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タイトル:609studio No.178◆現代時評:「郵政民営化」  2004/08/17


◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇
                              2004/8/17 No.178
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
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           ◇◇◇from 609studio◇◇◇

 ◇8月15日がめぐってきました。読者の皆さんの15日はどのよ
  うな15日なのでしょうか? それぞれの夏です。

 ◇残暑厳しい折、お体に気をつけてください。
         
───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:「郵政民営化」           ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年8月13日号

◆現代語感:[ドン]              MK

◆寄稿サンチャゴレポート14:[お先真っ白] 塩田悦三郎
                         
◆20代のぼやき:[贈り物]         有木優一

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :「郵政民営化」              ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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◆◆アサヒコム 2004.8.12 経済財政諮問会議は6日、07年4月
からの郵政民営化の基本方針の骨子を発表した。10年以内の移行期
を設けて最終的な民営化を遅くとも17年と明示。持ち株会社方式に
よる窓口ネットワーク、郵便、郵便貯金、簡易保険の4事業分社化や
職員の非公務員化などを盛り込んだ。しかし、意見が分かれていた郵
貯・簡保の全国一律サービス義務廃止や分社の時期などは「さらに検
討する」と、民営化に抵抗の強い自民党にも配慮して結論を先送りし
た……。

■■振り返ってみると、小泉首相が「郵政民営化」にとりわけ固執し
始めたのは、彼のニュージランド視察からのようだ。
 「壮大なる実験」としていまも毀誉褒貶が相半ばしているニュージ
ランドの行政改革について、現地視察で彼、小泉さんが、「ナゼそん
なにうまくいったのか」と聞いたとき、当時のヘレン・クラーク現首
相は、「国民がまだあまり何も知らぬうちに、さっと強行してしまっ
たからである」と答えた、という。

■■わが小泉さんも最初はその流儀で、有無を言わせず拙速に郵政民
営化を強行するつもりだったらしい。 郵政の民営化といっても、わ
が小泉さんのアタマにあったのは、ほとんどが目に見える「郵便局の
民営」だけで、郵貯・簡保などの銀行・保険事業についてまでアタマ
が回らず、そしてその状態は今日まで続いているように見える。
 金融や保険について、果たして民営が官営に絶対勝るかどうかなど
誰も判らない。最近の三菱・UFJ・住友など3行を巻き込んだ、い
わゆる金融再編騒動などについては、その道の専門家である経済学者
や金融エコノミストでさえ手がつけられないほど複雑で、素人の小泉
さんがクチバシを差し挟める余裕は無いといってもいいだろう。とに
かく、郵貯と間保については、ことがあまりにも複雑過ぎ、竹中大臣
をはじめ、政・官界とも、誰もはっきりした見識を持ち合わせないま
ま、ことの成行きで民営化への賛否を論じているとしか思えない。

■■それが「郵便事業」ないし「郵便局」の民営化については、その効
果は、簡単明瞭、誰の目にも見えすいている。
 「郵政の民営化にはどのようなメリットがあるのか」と、庶民に詰
め寄られた首相は、「東京、名古屋、大阪をはじめ、全国駅前の一等
地にはすべて郵便局がある。民営化して、そうした立地のいい郵便局
で他の商品も併せて売れば必ず成功する、JRがそのいい例だ」と、
言い切った。 これについては誰もが「なるほど・・」と思う。

■■小泉さんでなくてもニュージヘ観光旅行した多くの観光客にとっ
て、すぐ目に付くスマートな郵便局の姿。そこではコンビニと同様に
、絵葉書・ボールペンのみならず、日本人向けの米、味噌、醤油の類
まで小売していて、便利極まりない。もちろん郵便切手も売っている
。それも政府発行の切手だけでなく、民営郵便業者の切手まで売って
いるから、民営に馴染みが薄い我々には奇異の念さえ起こさせる。 
 あれを見た小泉さんがさっそく「郵便局の民営化」に目が眩んだの
もとうぜんである。 かく言うボクだってそう思う。理由をつけよう
とすればいくらかの反対理由も付けられるだろうが、とにかく郵便局
の民営化などは至極簡単で、しかも効率的なことははっきりしている
。 ほとんどメリットばかりと言ってもいいだろう。

■■ニュージランドに似た感じの郵便局を、ボクは既に四十数年前に
ハワイで見ている。 ボクがハワイに居たとき、近所のスーパーの入
口付近で、果物売り場に隣接して、あいだに簡単な金網を張っただけ
の簡易郵便局があった。 係員は若い女性一人で、郵便物からマネー
・オーダー、つまり郵便為替などを一人でこなしていた。ボクはそこ
でいつも日本向けの小包郵便を発送することにしていた。いちおう金
網で隣りの果物売り場と区分けしてあったが、目と鼻の先、手が届く
ところにオレンジやバナナが並んでいて、チョッと目には、八百屋と
郵便局が同居している感じだった。 もっともそれは民営郵便局では
なくて、簡易局とはいえ、れっきとした米国の郵便局であった。
 そこで働いていた、たった一人の若い女性局員のテキパキした仕事
ぶりを、いまなお懐かしく思い出す。

■■簡易郵便局としてならば、またもう一つ別の郵便局をボクはぐう
ぜん見学したことがある。
 3年ほど前、北イングランドへ旅行したとき、ホームステイさせて
くれた相手の人が、簡易郵便局を3カ所も経営しているという。彼の
その仕事場、つまり郵便局を訪問すると、道に面した表に王冠のマー
クが入った「ロイヤル・メール」の看板がある。とうぜん切手を売り
、郵便も受付けるが、主な業務は失業保険や年金の給付であった。 
 囲いの内側には中年の女性局員が3人居て、交代で、ひっきりなし
にやってくる失業者たちに手際よく現金保険金の給付をしていた。
 毎朝、契約している銀行の輸送車がやってきて現金行嚢を置いて行
き、それを開けて現金を取り出し、保険金を受取に来た人々に給付す
るのである。低所得者層が住む住宅地の郵便局だったから、朝、局が
開くのを待ちかねた客が行列を作っていた。 囲いの中にある設備と
いえば郵便の重さを量る秤と、それに扇風機だけが什器といえば什器
であった。 鼠色の現金行嚢からはみ出た小額貨幣が足元の土間に散
らかっていたが、女性局員たちは気にも留めない、まことに大らかな
ものであった。 それでも、れっきとした英国ロイヤル・メールの郵
便局には違い無い。こんなのを民営というべきか、委託経営、つまり
日本の特定郵便局のごときものか、その辺りはボクには分からなかっ
た。
 ちゃんと、郵便貯金受払いの表示も出てい、「郵便貯金をしよう」
という政府のポスターも貼られていた。 が、半日、ボクが見学して
いる間には、保険給付を受取に来る人だけで、「ロイヤル・デポジッ
ト」つまり郵便貯金の出し入れ客は一人も来なかった。

■■以上、ボクが見た限りの、ニュージランド、米国、英国という3
カ国の街の郵便局については、政府直営であろうと民営であろうと、
どうやら大差は無く、ボクにとっては「郵政民営化」で侃侃諤諤の議
論をすること自体が大げさ過ぎてナンセンスのように思えた。

 こと郵便業務に関する限り、民営であろうと官営であろうと、要は
経営する人々の心掛け次第で、効率的にも非効率的にも運営されるの
であろう。 

■■日本の郵便局で物品を販売するのは、もうすでに切手や葉書など
を売ってい、「ふるさとナンとか」という中元・歳暮商品の郵便販売
も請負っているのだから、いまのままで食品や文房具など、コンビニ
的商品を売るのは、取り立てて難しい話ではない。
 郵便配達についても、我々はすでに「これは郵便ではありません」
というステッカーが貼ってある封書や小包を受取っているし、郵便局
員が配達してきたか、宅配業者が届けてきたかは、戸口で立って監視
していない限り分からない。 こと郵便局業務に関するかぎり、もう
おおかた民営化の様相を呈している。

■■さて、そうなると、「郵政3事業の民営化」で後に残るのは、郵
貯と簡保と、そしてそれで集めたカネをどう運用するかだけの問題で
ある。 
 いままでは財政投融資と称して、郵貯・簡保のカネを公社・公団・
特殊法人などあちこちへ投資し、だいぶ焦げつかせているのは事実ら
しい。だから今後の投融資を私企業ベースで効率的に運用すべきとい
うのが「民営化」論の言い分になっているらしい。 が、「郵政民営
化」したからといって一挙に貸出しが健全化するとも考えられない。
 いまUFJ銀行が巨大な不良債権で、三菱東京か住友三井に吸収合
併されようとしているが、そのUFJはもちろん論のこと、あとの2
行も、つい先般、政府の特融を仰いだていたらくだったのである。
 民営が優れているとも言い難い。

■■ボクは考える。いませっかく小泉首相がニュージランドを真似て
「郵政民営化」したいと意気込んでいるのだから、取りあえず郵便部
門だけを民営化して、街の郵便局にコンビニを併営させ、毎日楽しく
ミニ・フェスティバルみたいなことをやらせてみてはどうだろうか。
 賑やかで、郵政民営化のシンボルとして持って来いである。

■■そしてあと2つ、「郵貯」と「簡保」はまあもうチョット様子を見
たらいい。 郵便局さえ華やかそうな街の人気店舗風にすれば、民営
化を主張する小泉さんの面子も立ち、それだけでもじゅうぶん意義あ
る行政改革といえる。

■■なにしろ、すべてを超特急で民営化し、理想的な行革を完了させ
たと見えたニュージランドが、いまなお「あれは失敗だった」と、諸
外国の国際機関から批判されている現状なのだ。 急ぐことはない、
後々の政治家や官僚にも、行政改革の楽しみを残しておいてやれば、
どうせそのうち郵貯も簡保も民間私企業と変わらぬ姿になるだろう。
「全国特定郵便局長会」とやらが政治的圧力団体として存続し得なくな
るのも、もうそう長い先のことではない。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2004年8月13日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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台風で停電と断水

  さる5日、サハリン北部地域からオホーツク海を通過した台風の影
響で風速30−32mの強風がサハリン北部を襲い、オハ市と近隣地
域に大きな被害を与えたことがわかった。数十本の電柱と350本の
木が強い風邪で倒れ、オハ住民1万人と5つの採油工部落住民が停電
と断水で大混乱している。石油の都市オハ区域というのもあって、復
帰事業は速やかに行われ、空の便は平常通り運行されているが、数カ
所の村では今も停電が続いている。

住宅公共資金調達

サハリン発展ファンドは今年公共住宅整備のために必要とされる2億
8450万ルーブルを調達することにした。資金は主に38カ所の水
道と下水道、暖房設備の整備に費やされる予定である。

州知事クリルスク訪問

 さる6日、イ・マラホフ州知事が二日間の予定でクリルスクを訪問
したことがわかった。知事はボイラーと給水設備、教育現場などを視
察する他、今年上半期の事業総括会議にも参加し、現地の実態把握に
努めた。

安山芸術団来島

 さる9日、民族芸術総連合安山支部団員13人がサハリンを訪問し
た。彼らはコルサコフ、ホルムスク、ユジノサハリンスク市で巡回公
演を行うために来島したが、団員の中に永住帰国したサハリン出身ハ
ルモニ5人がいるとのこと。

極東で最も失業者少ないサハリン

 サハリン州連邦国家就業管理局の発表によると、過去6カ月間就業
センターを訪れた人は4万8700人、その中の1万3016人が就
職でき、1530人が就業教育センターで職業訓練を受けている。今
州就業センターには5千余りの求人需要がある。サハリン州失業率は
1.4%、これは全ロシアの2.4%に比べ遥かに低く、極東では一
番低いのである。

ホルムスクで光復節記念行事開催

 さる7日、ホルムスク市で地域韓人会主催の光復節記念運動会が開
かれた。会場にはホルムスク市長をはじめ、州韓人会長と老人会長、
州議員たちが出席したほか、ユジノサハリンスク市からエトノス芸術
団、オーケストラなどの芸術団体が友情出演した。

光復節記念運動会のお知らせ

 8月21日(土曜日)、ユジノサハリンスク市「コスモス」競技場
で光復節59周年と韓人移住140周年を記念する運動会が開かれま
す。多くの方々のご参加をお待ちしております。

<行事プログラム>
1)10時30分―11時30分 王様の狩(行列、レーニン広場か
                ら公園まで)
2)10時30分 勝利の広場で顕花
3)11時00分 サハリン犠牲死亡同胞慰霊塔顕花
4)11時30分―12時00分 開幕式
5)12時00分―13時30分 祝賀コンサート
6)13時30分―17時00分 運動会とカラオケ大会

ロシア初の韓国語テレビ放送開始

 サハリンTVラジオ公社の韓国語ラジオ放送部が8月15日午後6
時からサハリン放送チャンネルを通じて、韓国語テレビ放送を開始
します。ロシア初、又唯一のTV韓国語放送となります。自制作番組
の他、韓国のドラマや音楽番組、ショーなどを見ることが出来る。

韓国大学生ら美容サービスをも

 7月15日〜8月2日までの19日間、韓国大学生奉仕団はサハ
リンのチャパエヴォ村に滞在しながら奉仕活動を行った。学生たち
は学校で宿泊しながら午前中は村の共同施設の修理を、午後には韓
国語やパソコン、伝統文化を伝える教育活動を行う忙しい日々を送
っていた。又、カットやネイルアート、髪染めなど美容技術をも教
えた。同奉仕団体の正式名は「コション」、韓国とロシア語の合成
語で韓国とロシアが一つになれるという意味である。セマウル中央
本部主管、大学生社会奉仕協議会と教育部後援で、全国から大学生
を募集し、主に低開発国或いは海外同胞社会のために奉仕と文化交
流活動を行っている。1997年、活動を開始して以来ウラジオス
トクで7年間活動をしてきたが、今年初めてサハリン州を訪れた。

あれこれ

「金メダルの卒業」
 ユジノサハリンスク市第15号学校の李・スンザ先生(韓国語と
日本語の先生)によると、今年卒業生のキム・オリガさんが最優秀
賞の金メダルと奨学金1万ルーブルを授与されたのである。

「製紙工場の改装」
 サハリン州で今も稼動している製紙工場は殆どない。ホルムスク
製紙工場も同様であったが、最近放置されたままのこの製紙工場の
修理が進められていることがわかった。10人の実業家が共同の建
物と敷地を修理し、事務所として活用しようとしているためである
。修理の前に重要文献整理のために5人の古文書館職員が投入され
た。

「道路建設決定」
 ドリンスク地域建築部により、ドリンスク区域のアルセンチエフ
スカ道路建設を連邦政府が高く評価し、新たに舗装工事資金を決め
たことがわかった。工事は2年後に完成される見込みである。
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◆ 現代語感:[ドン]                MK
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 ドン  [(スペイン) don] 
(1)スペインなどで、男性の名前の前につける敬称。
「―-キホーテ」
→セニョール
(2)首領。親分。実力者。
「暗黒街の―」

 「ドン」というのはスペイン語。日本の場合、一般的に首領や親分
という意味に使われて、あまりいいイメージではない。例にあるよう
に「暗黒街のドン」というように。

 ところで、球界のドン、渡辺さんが引責辞任された。日本球界のド
ンが消えたわけである。本人は無念だったろうことは想像に難くない。
 何しろ「有終の美」を汚しての辞任。
小泉さんも気をつけなければ。このままじゃあと3年持たないよ。
 まさに「人生いろいろ」だ。
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◆寄稿:サンチャゴレポート14「お先真っ白」    塩田悦三郎                         
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 サンチャゴの冬はスモッグが凄い。朝起きていつものように窓越し
に雪に覆われたアンデスを見ようとすると見えない。「お先真っ暗」
ではなく「お先真っ白」だ。これはスモッグのため。サンチャゴの冬
はスモッグがひどいということは来智する前から聞いてはいたがこん
なにひどいとは思わなかった。

 サンチャゴはどちらかといえば盆地。東側のアンデス山脈はアルゼ
ンチンとの壮大な壁だが、他は低い山がサンチャゴを囲んでいる。夏
でも冬でもほとんど風が吹かない。風がほとんどない証拠にマンショ
ンのベランダやビルの屋上には木々が生い茂っている。日本のように
台風があったらあのように建物の上で緑を育てることはできないだろ
う。

 スモッグの元凶は、例の「黄色い悪魔」(本レポート1、9参照)
だ。バスの後部に直径20センチ位の煙突があってそこから黒い煙を
出して走っている。もちろん一般の車や工場もスモッグの原因。アン
デスの山が見えないだけならがまんできるが、子供たちの気管支系統
の病気が多発する原因となっているのは問題だ。このことはテレビで
も頻繁に取り上げられている。

 チリは開発途上国なんかではないと思える点が多々あるが、ことス
モッグに関しては開発途上国丸出しだ。政府は無策ではない。天気予
報を基に、その日の車の使用規制や工場の操業停止を命じている。車
の使用規制は、触媒装置の有無による規制とかナンバープレートの末
尾の数字によって使用可・不可を命じている。2、3年後にはすべて
の車が触媒装置をつけなければならない法律もできている。しかし市
民の大半はその実現性を疑問視している。

 サンチャゴと自然との問題はまだある。雨が降らないいわゆる乾期
がおそろしく長いことだ。来智後約10カ月が経ったが「雨が降った
」と思える日は数日に過ぎない。日本からチリに来た女性の間では、
この乾燥対策が重要のようだ。お肌がかさかさになってしまう。いい
点もある。洗濯物がすぐ乾くことだ。日本では冬や梅雨時には洗濯物
がなかなか乾かない日があるが、こちらでは皆無。

 これだけ雨が降らないと、たまに降ると大騒ぎ。サンチャゴの南部
・西部では排水設備が未整備だからいたるところで冠水騒ぎが起こる
。こちらでは自転車の前にリヤカー(日本では後ろだが)をつけた運
搬車があるが、これが大活躍。水の少ないところまで人を乗せてお金
をもらう商売に早変り。こんな状態だから、雨の降った翌日には、会
社に「浸水したので休ませて下さい」という電話がかかっても不思議
ではない。いつでもどこでも庶民はしたたかだ。

 人間が自然との闘いをどこまでやるかは難しい問題だ。しかし、冒
頭のスモッグはサンチャゴの地形が原因でなくて、排気ガスが原因。
石原慎太郎並みの強力な規制が待たれる。このままでは病院が繁盛す
るだけだ。
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◆20代のぼやき:「贈り物」                有木優一 
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  先日、我が家に一冊の本が届いた。A4サイズで、273ページも
ある。その内容は6つの項目に分かれてある。ファッション、アウト
ドア、食器、時計・・・etc。日常生活のそれぞれの場面に応じて
役立つ商品が写真付きで並べられてある。所謂、商品カタログだ。以
前、僕が、参列した葬儀の儀礼という形で、このカタログが送られて
きた。この商品の中から必要なものを選んでくださいということだろ
う。

 現在、こういった「贈り物」が流行っているのだろうか。親戚の結
婚式に参加した後でも同じようなカタログが送られてきた。確かに、
冠婚葬祭、お中元、お歳暮と日本のしきたりで贈り物をする場面が多
い中、このカタログを使った贈り物は、贈り手と受け手のお互いのニ
ーズに応えられる画期的な方法だろう。しかし、この「贈り物」が罷り
通っていては、本来の「贈り物」をする意味を蔑ろにしてしまうのでは
ないだろうか。

 先日、僕は友人に誕生日プレゼントを買うために、その友人と連れ
立って出かけた。僕は、友人の欲しいものを買ってあげたいという気
持ちから、一緒に行って欲しい物を選んでもらうようにした。ところ
が、その友人は何でもいいと言い張り、一向に買い物は進まなかった
。そこで、その友人はこんな言葉を漏らした。
 「プレゼントをすることは、相手が何が欲しいのかを考えることに
意味がある。」そのとき、僕はプレゼント自体が重要なのではなく、
プレゼントをする行為の過程が重要なんだ、と気付かされた。

 確かに、贈る相手ありきの「贈り物」である。感謝の気持ちを込めて
贈るべき「贈り物」。相手の好きなものや嫌いなもの、必要なもの不必
要なものを考えることが、「あの人は今どうしているのだろうか」とい
う気持ちがあって、初めて抱く感情の様な気がする。果たして、カタ
ログギフト式贈り物のあり方やいかに。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 暑い夏です。サハリンでは光復節(日本の植民地支配から解放され
た日)として、盛大にお祝いがされます。わが国では戦没者への追悼
の日。それはそうと、福井県では原発事故で4人の死者。沖縄では米
軍輸送ヘリの墜落。いずれも想像出来た事故です。残念なことです。

◆アメリカが「国連安保理事国入りを日本が目指すなら憲法9条を変
えよ」と。冗談じゃないぞ。究極の内政干渉。
 もはやタブーではないのか。もう一度かみしめたい。平和のありが
たさを。
 今一度いう。21世紀にもなってもなお戦争を続ける世界に対して
の「最大の国際貢献は戦争をしないと約束できる」ことだ。

 我々が行ってきた半世紀以上に及ぶ約束を今ここで破れるのか?

◆それにしても昨今わが国は「軍事国家化」が緩やかだが進んでいる
ように見える。政府はイージス艦の配備、サマワの自衛隊の多国籍軍
化、いやそれ以前に自衛隊の派兵などを国民に真正面から説明しその
是非を問うたことがあったか。過去の経験に学ぶことをしない政府を
危ぶむ。

◆かつて中国の周恩来氏が「日本の軍閥が悪いのであって、人民は悪
くない」と。筆者も中国人とは心の広い民族だと感激?したことがあ
ったが、6月はじめにハルビンで聞いたある中国人の話では「あの時
代、そのように中国人民を引っ張ってゆかなければ、終始がつかなく
なる」と。

◆昨今の中国人の対日批判、たとえばアジアカップの騒ぎを見ている
とそう思える。しかし日本人にも責任の一端が。

◆10人の拉致被害者の北朝鮮側の調査は遅々として進まぬ。それに
対するわが国世論の反響は大。

◆先週、北九州・筑豊地区にサハリンからの調査団一行4人が来た。
「戦前、サハリンから北九州の炭坑に徴用されてきた父を探して」と。
 殆ど関心を引かない調査団。北朝鮮の拉致事件との相違を思う。

詳細は    http://www.609studio.com/html/040809.html

◆一首
     親と子と
     はなればなれの心もて静かに対ふ
     気まづきや何ぞ          啄木

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発行     2003年8月17日   No.178
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム         ID:MM3E1B97842E020
                Macky!                    ID:609studio
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