メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.177◆現代時評:[ふたたび自衛隊の在り方を問う]  2004/08/10


◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇
                              2004/8/10 No.177
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
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◆現代時評:[ふたたび自衛隊の在り方を問う]      ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年8月6日号

◆現代語感:[平和ボケ]                MK

◆寄稿サンチャゴレポート13:[忘れ物はプレゼント] 
                         塩田悦三郎
  
◆20代のぼやき:[ボランティア]         有木優一

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :[ふたたび自衛隊の在り方を問う]      ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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◆◆毎日インタラクティブ 2004・8・2   防衛庁の「防衛力
のあり方検討会議」がまとめた中間案新防衛大綱は、陸海空自衛隊の
冷戦対応型装備を転換し、テロや大量破壊兵器への対処を念頭に即応
性・機動性のある防衛力整備を目指している。国際貢献の必要性など
日本の安全保障を取り巻く環境の変化に伴うものだが、その一方、日
米で共同研究するミサイル防衛などで米軍と自衛隊の情報一体化がま
る懸念も指摘される。「何のために、どういう性能で、どこに置くか
を検証し、可能な限り国民に説明しないといけない」。石破防衛庁長
官は先月28日、防衛力整備についてこう説明した。「防衛力のあり
方検討会議」が設置されたのは01年9月で、防衛庁幹部は「3年近
くやってきて、だいぶ時間を使った」と振り返る。

◆◆サンケイWEB 2004・8・2 サマワで復興支援活動をし
ている陸上自衛隊派遣部隊の、後方支援を担っていた約80人の第一
次業務支援隊のうち、北部方面隊所属の隊員約30人が2日、北海道
旭川市の旭川駐屯地などそれぞれの部隊に帰還した。 業務支援隊は
ことし2月に出発。クウェートやサマワで、派遣部隊の受け入れ準備
や、当時の連合軍暫定当局(CPA)や地元との調整などを行った。
 旭川駐屯地では派遣隊員2人を、隊員やOBら約1000人が歓声
を上げて出迎えた。(中略) 千歳市の東千歳駐屯地には、隊員7人
が戻った。牧幸生司令は「縁の下の力持ちとして、長い間よくやった
」とねぎらった。

■■新防衛大綱は、ミサイル防衛システム、いわゆるMDの導入を前
提としているらしい。導入には巨額の予算を必要とする。が、防衛予
算は増やせない。そこで日本本土への本格的侵攻はあり得ないと断定
し、戦車や陸上火砲を削減することで、その費用を捻出しようとして
いる。
 とうぜんのことで、いまや大艦巨砲は不用の時代である。方向はそ
れで間違っていないとして、さて、かんじんの基本的なことが一つ忘
れられている。それをここで考えてみよう。

■■軍隊というのは戦争をするためにある。 戦争をすればとうぜん
勝たねばならぬ。この二つは絶対のものだ。
 ところが困ったことに、戦争というのは年中あるわけでなく、たま
にしか無い。 戦争はある方がアブノーマル(非常時)で、無いのが普
通である。 先の満州事変から終戦に至る、いわゆる15年戦争などは
、異例であった。上方古典落語に「無い物買い」という名作がある。
金物屋の暖簾をくぐって、青野菜を買うという荒唐無稽の話だ。常傭
いの軍人を抱えて、めったにない戦争に備えるのは、いわばこの「無
い物買い」落語に近い。

■■昔の王様や為政者は軽率・貪欲で、争い好きだったから、10年
か20年にいちどは戦争があった。ところがいまの日本周辺には軽率
に戦争をはじめるような暗愚な為政者は減ってしまった。時代が変わ
ったのである。だからわが自衛隊は、1950年の警察予備隊発足以来、
じつに53年間の長きに渉って戦争をしていない。 戦争がないのは目
出度い。が、それはつまり自衛隊にとってはする仕事が無いというこ
とである。じゃその間、自衛隊員はいったい何をしていたか。

■■もちろん戦争の稽古、つまり演習をしていたのだろうが、その軍
事演習の実態は何かとなると、まことに模糊としている。 先ずは鉄
砲を撃ったり、爆弾を落したりする稽古が必要であろう。しかし実戦
でないから、そうやたらと弾丸をぶっ放し続けたり、爆弾を落しまく
ることも出来ない。ときたま撃ったり、ときたま落したり、という程
度が軍事演習だろう。もちろん、もっと複雑で効率的な近代ハイテク
兵器もあるだろうが、それとて演習で人を殺傷するわけにいかぬから
、シュミレーションで新兵器の操作方法を習得するしかない。

■■子供の戦争ごっこを見ていると、わーわー声をあげ、攻めたり攻
められたりしているが、スポーツ競技のように勝ち負けを確定する方
法がないため、どことなく締まりが悪い。 自衛隊の軍事演習もまっ
たく同じで、敵が本気で攻めてくるわけではないし、もちろん死んだ
り怪我したりということもない。いかに名指揮官、名参謀が作戦を凝
らしたとしても、所詮それによる勝敗など分からない、いわば中途半
端なゲームが軍事演習というものの実態である。

■■たしか戦争中の海軍大学校で、南方侵攻の図上演習をやっていて
、敵艦隊がどの方向からやってき、こちらの艦隊がそれをどう迎え撃
つかの作戦を立て、こうして相手艦隊を殲滅してわが軍が勝利を得る
と、教官から教わっていたとき、一人の若い学生士官が質問した。
 「しかしもし敵艦が反対の方向から来た時はどうなるのであります
か」。すると教官は「敵は必ずいま言ったルートで来る。だからこち
らはいま教えた通りの作戦を遂行し、勝ちをおさめる。それでお終い
」と言い切り、その図上演習を終了してしまった。敵がどう出るか、
わからぬ状態のままの、いい加減な図上演習で、それで勝ち負けを決
めてしまっていいのかどうか。その程度の畠水練で、わが海軍はほん
とうに今次大戦を乗りきれるのだろうか。しかし考えてみると、実戦
の伴わぬ図上演習というのは所詮、その程度ものでしかないと悟った
とき、その若い海軍大学生は愕然とした。 という話を、最近、何か
の本で読んだことがある。

■■いくら勿体をつけ、どんなにハードな軍事演習を毎日繰返したと
しても、敵が火器を持ってほんとうに襲ってこない軍事演習などとい
うのは、土俵上の八百長相撲よりもっといい加減なものであることは
見え透いている。
 そのような「兵隊ごっこ」を50年間続けたわが軍隊が、一人の戦死
者も無い、まったく無風の状態で、それで兵士の士気がいったいどの
程度のものであるかは、およそ想像がつく。はやく言えば、マンネリ
で、だらけ切っている。

■■サマワで、派遣部隊の受け入れ準備や、当時の連合軍暫定当局や
地元との調整などを行って、旭川駐屯地へ帰ってきた派遣隊員2人を
、隊員やOBら約1000人が歓声を上げて出迎えた。同じく千歳市
の東千歳駐屯地には、隊員7人が戻っってきた。牧幸生司令は「縁の
下の力持ちとして、長い間よくやった」とねぎらった。 と、数日前
のニュースは報じた。50年のあいだ、戦争もなく、日々「戦争ごっ
こ」に明け暮れたわが自衛隊の恐るべき弛緩状態を、このニュースは
白日に曝し出した、といえよう。

■■軍隊というものは生死を賭けて戦うのが仕事であり、昔の軍歌で
いえば「泥水すすり草を食み、あれた山河を幾千里。よくこそ勝って
くださった…」というのがその職分である。シナ事変における応召歩
兵の一回当たり平均戦地勤務は1年半ないし2年であった。 
 イラクの米軍も一年で交替予定の米兵の滞在が延びて一年半以上に
なっているという。

■■それがいま、「長い間よくやってきてくれた」と労いの言葉を掛
けられている今回の、サマワ帰還自衛隊員の現地勤務はたった5カ月
に過ぎない。まるで灼熱地獄から生還したような扱いだが、じつはそ
こで一生を過ごす現地人もたくさん居る、電灯も電話もある場所から
の、飛行機による帰還であった。 まさに、柔弱な帰還自衛隊員と、
日々、たかが気楽な戦争ごっこに明け暮れている留守部隊との間の労
らい合い。いい加減にしてくれ、とボクら昔の戦争を知っている老人
は言いたい。

■■といってボクは殊更にそうした状態を非難しているわけではない
。 戦争がないときの軍隊をいったいどうすればいいか、ということ
をこの辺りで真剣に考えてみる必要がある、と言いたいのである。
 いたずらに「軍事演習」の名にかまけ、自衛隊員をのうのうとさせ
ておくより、「長い非戦時」をもっと有効、かつ役立たせる兵士の訓
練方法もあろうというものだ。 それをやらないと、軍事知識はある
にしても、柔弱極まりない軍隊が作られてしまう。 長く戦争がない
間の軍隊の在り方というのはひじょうに大事である。

■■平常時における軍人の処遇、とくに下級兵士の非行については、
わが国では上古物部氏健児(こんでい)の昔から、欧州にあってはハ
ドリアヌス帝のスコットランド遠征以来、為政者を悩ませ続けた深刻
な問題であった。力余り精力抜群の男でなければ戦争に役立たない。
さりとて元気な兵士は、非戦時には時間とエネルギーが余って破目を
外す。まことに困ったもので、ハドリアヌ帝などはそのはけ口として
、格闘技を勧め、征地でチェスター(保塁)を造ると同時に付属設備と
して屋内格闘技場を設けることを常とした。

■■文献で調べてみると、第二次大戦以前の英国などでは、戦争が無
い間の兵士の転用先として、先ず「消防士」との兼務、武器工場従業
員への流用、格闘技によるトレーニング、除隊準備のための職業訓練
などが実施された。しかしそれでなお、暇な兵士たちの無軌道振りに
手を焼き、なるべく兵士の正規雇用数を減らそうと努力した。

■■警察官という職業は、古今東西どこの国でも腕っ節が強くなけれ
ば勤まらない。警察署の前を通れば華やかな剣道の気合や掛け声が聞
こえ、府県警本部には柔道師範という職務の人も居る。
 自衛隊員も同じである。体力も腕っ節もいるから、そのための格闘
技の稽古などはとうぜん望ましい日常業務のうちに入る。だからとい
って、毎日、格闘技の稽古ばかりさせておいて、それで給料を払うと
いうのも妙な話だ。 
 ところが自衛隊は戦争屋だから、「軍事演習」つまり「戦争ごっこ
」をするのは仕事のうち、正々堂々とそれに励めばいい。だが何度も
言うように「迫真の戦争ごっこ」、つまり「ほんとうに弾丸が飛び交
う交戦シュミレーション」は危険だからやれるわけがない。 せいぜ
い「実弾射撃演習」か、格闘技の稽古ていどが精一杯のところだ。だ
が、それだけではどうしても兵営の時間が余る。しようがないから、
折りに触れて退職に備えた職業訓練を実施する、といったところが現
行の、自衛隊のプログラムのようだ。

■■が、それでもなお日時・時間が余り過ぎ、何か名目の立つ継続的
業務が必要になってくる。
 なにしろ本来の目的たる「戦争参加」がほぼ永久的に、いや少なく
とも一人の軍人としての全在任期間中における戦争が皆無という時代
が来てしまい、加うるに戦争放棄の憲法を持ったわが国のことである
。語弊を承知でいえば、もっと本気になって前々から、古代ローマ軍
団における格闘技のような「自衛隊の暇潰し仕事」を探しておくべき
であったのだ。 

■■それを「いまにも戦争がある」という期待感(?)でもって、「
戦争の稽古」だけを、表面上ほぼ総てとして自衛隊を今日まで維持し
てきたのは愚策だった。 結果として、平均より以上の余裕時間を持
つ普通のサラリーマン的日常が、いまの自衛隊員の日常生活になって
しまった。
 オランダの軍隊に護衛され、ちゃんと三食完全に食べさせてもらっ
て、水道会社の下請のような仕事を、たかが4、5ヶ月異国でやって
きたというだけで、まるで困苦に耐え戦争に勝って帰った凱旋軍隊み
たいに「ご苦労さん、さぞたいへんだったでしょう」と迎えられる軍
隊というのは、まこと柔弱の極みである、とボクなどは思う。そんな
体たらくで、もし実戦、硝煙弾雨のなかではいったいどうなるのかと
心配になる。

■■軍人というのは、日常業務において普通の月給取りなどに比して
、よりハードな日課を課する、というのが、大事なことではないかと
ボクなどは思う。そのためには「軍事演習」以外にも、もっと厳しい
作業をさせることが、つまりは実弾を必要としない実戦の稽古ではな
いだろうか。 それを、ハイテク武器の技術習得にかまけ、余剰時間
の過多に災いされ、戦闘員らしかぬ柔弱な兵士のみを養成してしまっ
ては、「すわ戦争」の間に合わない。
 その弊から脱するためには、例えば「災害復旧」要員として苛酷な
労働に参加せしめ、兵士をもっと鍛える必要がある、とボクは考える。

■■先日の北陸における大水害の、テレビ・ラジオニュースを視聴し
ていた家人などは、「ひ弱な女子ボランティアなどの参加はあるが、
自衛隊の救援が無い、どうしたことか」と、やきもきしていた。それ
が最終ステージになって少しばかり自衛隊が出動したシーンがテレビ
に出てきて、ようやくホッとした。 こうした天災時には、何を差し
置いても先ず自衛隊が出動すべきであると、ボクなどは思うのである。

■■自衛隊にとっては戦争が主目的で、災害救助などは副次的な仕事
、という潜在意識から未だに抜けてないから、災害救助に赴く自衛隊
が遅れ勝ちになり、それにいつも小人数しか派遣されないのではなか
ろうか。 テレビ上の、自衛隊の救援活動シーンを見ていて、いつも
ボクはそう思う。

■■8月5日付け「小泉内閣メールマガジン」で、首相は「各地の消
防団や消防・警察の広域援助隊、自衛隊などが救助救援や応急復旧に
全力を挙げていますが、政府は引き続き被災者への支援、被災地の復
旧にできる限りの対策を講じてまいります」と述べている。
 これでみても、災害救助に赴く団体の優先順序としては、地元消防
団、消防署、警察のあとが自衛隊、ということが小泉総理のアタマの
なかにも無意識的あるようだ。

■■これを格上げ(?)して、「すわ災害!」という場合、先ず真っ
先に自衛隊が救援に赴くよう既定しておけば、最近は国内、年中どこ
かで大災害があり、自衛隊も大掛かりな仕事が出来て、大いに「暇を
潰せる」のではなかろうか。 
 先般の北陸水害程度ならば、自衛隊の一ヵ師団も出動させれば、ひ
弱なボランティア団体などと違って、たいていの水害の後始末など簡
単に出来てしまうであろう。 
 イラクの田舎へたかが400人ほど派遣し、臨時給水するのと違い
、国内の災害派遣は、民生的効果として抜群に大きいし、わが国民の
自衛隊に対する尊敬と信頼が一挙に増すはずである。

■■そのような目前の国内貢献をないがしろにしておいて、国連の決
議を求めて自衛隊を海外の戦闘に派遣し、それで自衛隊の存在価値を
認めてもらおうなどというのは頷けない。それは自衛隊を戦争のみに
限定した古風な「戦争用軍隊」という固定意識のなせるわざで、いま
の時代にはまことに不適当である。 
 むかしの「火消し常雇い」が消防署や消防団になり、それとともに
、「火事」のみならず、「火事以外の災害救助」もまたそれら消防団体
のメイン業務に変化している。 火事が大幅に減少した現在では、街
の消防署といえども、業務のほとんどが「救命救急」出動に変わって
いる現状を知るべきである。

■■時代の変化とともに、目的も変わる。 自衛隊の主目的を「災害
救助」に置き、2番目が「戦争」であってもいいのではなかろうか。
防衛庁周辺、とりわけ三軍の長たる小泉総理の猛省を促したい。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2004年8月6日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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慰霊祭開催

 さる5日、ユジノサハリンスク市ロジナ会館の隣に立っているサハ
リン犠牲死亡同胞慰霊塔の前で第11回慰霊祭が開かれた。韓国から
李・ヨンテク韓国ノンソ奨学会理事長をはじめ5人が慰霊祭に参加す
るために来島した。2日にサハリンに到着した彼らは慰霊祭参加の前
に韓人社会団体代表らと会談を行った後、ポザルスコエ(ミズホ村)
にある韓国人集団虐殺被害者27人追悼碑に参拝する他、コルサコフ
市に建設中の液化ガス工場の見学もおこなった。

二重徴用被害者遺族日本訪問

 日本朝鮮人強制連行運動史研究会の長沢茂さんの招待を受け、二重
徴用炭夫遺族会顧問鄭・テシク、州離散家族会李・スジン会長、シャ
フチョルスク市呉・セウク、金・ウォンジン4人が、8月7日〜12
日まで九州現地調査に行く。  
 日本政府に問題解決を急ぐよう訴えるためと日本国民に広く事実を
伝えるための裏付け調査が訪問の主な目的。

極東自動車道路建設順調に行かず

 カ・プリコフスキ極東大統領全権代表は、極東自動車道路建設が計
画通り行われないことに不満を抱いている。資金不足でアムル、ウス
リ、ヴォストク間の約700kmの道路修理が放置されたままである
。今年、連邦道路建設予算が昨年より36%削減されたためであると
全権代表は伝えている。(極東大統領全権代表プレス)

サハリン児童鉄道建設50周年

 鉄道従業員の日―8月1日、ユジノサハリンスク市公園内あるサハ
リン児童鉄道建設50周年を祝う行事が行われた。同鉄道は1945
年建設され、子供たちに列車乗り体験機会を与えてきた。線路の長さ
は2200m、今150人余りの学生たちが運転と切符販売、監督を
行っている。

青少年母国語研修のために出国

 2日、サハリン同胞2,3世青少年たちが韓国東北青少年協議会の
招待で2週間の母国語研修に参加するために出国した。研修先はクミ
大学。

国境政策全担委員会組織

 サハリン州政府は国境政策立案と施行のためにサハリン州安全会議
共同委員会という専門組織を結成することにした。同委員会の首長は
ゲゴルギ・カルロフ副知事であるが、委員会は国境及び海上、海域、
海底環境などについての州の政策を決めるために働く予定である。

あれこれ

「製紙工場から煙が」
 マカロフの製紙工場は数年前から生産を中止し、工場内には人もい
なく錆びた機械のみが放置されたままの様子である。ところが、最近
工場から煙が上がっている。実は子供たちが工場に入って木材を燃や
したためであった。しかし、近頃硫黄が燃えているため問題となって
いる。消防隊が消火作業を行っているにも関わらず煙は止まらない。
市民たちは自然保護団体がいつ頃、この問題に注目してくれるであろ
うとか待っている。

「客が泥棒」
 先月末、ポロナイスク市警察に、ある女性から、家に泥棒が入って
約7万ルーブル相当の品物を盗まれたとの通報があった。調べた所、
犯人は通報した女性の友達であった。夜遅くまで数人が楽しく飲んで
家の主人などは眠ってしまった。その隙を狙って二人の若い男性が(
76年と81年生)家電製品と現金を盗んで逃げたのであった。

「離婚率低下」
 先週、サハリン州身分登録管理局職員会議で、今年上半期事業報告
が行われた。それによると、昨年の同時期に比べ、州全体地域におい
て出生率は増加しており、離婚率は低くなっている。

「グルジア長寿国」
 国連が177国を相手に調査した結果、CIS地域で一番の長寿国
はグルジアであった。彼らの平均寿命は73才。その次がアルメニア
とアゼルバイジャン(72才)、ベラルーシとウクライナ(70才)
、ロシア(67才)の順であった。

「児童らに強制労働」
 ラドジュキスタン共和国では綿花の40%を学生たちが収穫してい
る。国の法律では児童労働を禁止させているが、専門家によると年間
380時間の授業時間を労働に割り当てているとのこと。僅か20ド
ルの報酬で健康を害しながら働いている。

「中国人建築部門進出」
 過去旧ソ連時代建築専門家たちは中国の都市建設を手伝ったことが
あった。しかし、今はその反対に中国人がサハリンでアパートを建設
する時代になった。中国のシンゾウ建築会社は先月初め、ユジノサハ
リンスク市と1万〜1万5千人需要のアパート建設契約を結んだ。そ
して2千万ドルの設計案をサハリン政府に提出した。7月28日、中
国側はユジノサハリンスク市の関係者たちと州知事とも話し合い、サ
ハリン側の要求を全面的に受入れ、アパートの一部は住民福祉のため
に寄付し残世帯は販売する内容の契約書を締結したことがわかった。

3カ国国際フォーラム「永住帰国と次世代教育について」

 韓国東西大学と日本ワールド同胞ネットワーク、サハリン国立総合
大学の共同主催の「永住帰国問題と次世代教育問題について国際フォ
ーラム」が7月30日、ユジノサハリンスク市にある州科学図書館で
行われた。1部開幕式、2部シンポジウムの形式で行われた。1部の
挨拶で韓国東西大学朴・トンスン総長はサハリン韓人の永住帰国問題
と次世代をリードしていく若者たちの教育問題について真剣に考え提
案を提示するほか、これらがロシアと韓国、日本の関心を呼び起こし
政策に反映できるようにするのがシンポジウムの目的であると述べた
後、韓人問題の早期解決のために積極的に取組み、協力すべきである
と訴えた。ワールド同胞ネットワークの金・ミョンザ代表はサハリン
同胞一人一人の苦労を少しでも慰めたく、又若者の教育に積極的であ
る東西大学の考えに賛同して協力していると述べながら、シンポジウ
ムを契機に3国がより親しく平和友好的関係になってほしいとシンポ
ジウム参加の動機を明らかにした。
 サハリン州知事とウラジオストク韓国総領事、ユジノサハリンスク
日本領事館のシゲオ・ナツイ総領事など政府関係者が参加するほか、
高木健一、アナトリ・クジン サハリン国立総合大学教授がサハリン
残留韓国人朝鮮人問題とサハリン韓人に対する政治的歴史観点という
テーマが発表を行った。又、東西大学の張・ゼクック教授とサハリン
経済法律情報大学カン・ヨンボク総長、サハリン国立総合大学ヴェ・
エリサリエフ教授が人材養成の必要性と韓国の役割などについて発表
した。
 最後に参加者たちはサハリン韓人問題の早期解決を訴える声明書を
発表しシンポジウムを括った。

サハリン国際シンポジウム声明
 2004年7月30日、ロシアサハリン国立大学、日本ワールド同
胞ネットワーク、韓国東西大学が共同主催したサハリン州ユジノサハ
リンスク市での3カ国シンポジウム参加全員は以下のような問題提起
をする。

永住帰国問題を扱った第1分科では、
 永住帰国問題と一時帰国問題を含め過去の問題解決努力は、一部残
されている問題がありながらも一定の成果を上げてきた。しかし、郵
便貯金払戻と二重徴用問題を過去の問題に加え新たに提起する。

次世代人材養成問題を論議した第2分科では、
1 過去の問題解決努力を高く評価しつつも、これらを未来につなぐ
一層の努力が必要であることに認識を共にした。それは若者に未来を
準備する機会を与えることでもある。即ち、過去に縛られるばかりで
はなく、堂々な韓国系ロシア人として生きていかなければいけない。

1 そのために、過去の清算と未来志向的でなければいけない。その
ためにも2,3世の人材養成の必要性を強く認識する。

以上のことから韓国と日本政府に以下のように提議する。

1 未だに綺麗に清算されていない永住帰国問題の完結と郵便貯金払
戻問題、二重徴用問題の解決に日本政府は最善を尽くすべきである。
1 教育を通じての次世代人材養成のために、韓国と日本は共同基金
を調整し、(仮称)サハリン韓国人教育財団を設立するよう提議する。

安山市、カレイスキ館整備
 
 サハリンを訪問中の安山市職員代表は、ユジノサハリンスク市にあ
るサハリン郷土博物館のカレイスキ館内部を1週間に渡って改装整備
した。韓国から注文し運んできたショーケースに代えるなどして一層
綺麗になった。

楽しい年一度の遠足

 7月31日、ユジノサハリンスク市老人会主催の遠足に300人余
りが参加し楽しい一時を過ごした。市内に散らばって住んでいる老人
たちの送り迎えの貸切バスが数カ所を数回巡回してノヴォアレクサン
ドルフスク第31学校広場に向かった。民族伝統ゲームや歌、踊りな
どで故郷への思いを慰めたが、開幕は最近作られたサハリンアリラン
を皆で歌いながら始めた。
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◆ 現代語感:[平和ボケ]                MK
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 昨今のイラク情勢の中でこの言葉が聞かれるようになった。言葉自
体は以前からあったが。さてこの「平和ボケ」だが、なんとなく批判
的に使われているようだ。曰く「平和ボケの日本人」というように・
・。しかし考えてほしい。「平和ボケ」は世の中、平和だからそれに
慣れて「戦争の苦しみがわからない」ということだ。それはそれで結
構なことではないか。

 無論、他国の戦争に鈍感になれと言う意味でもないし、それから眼
をそらせよということでもない。

 ありていに言うならば「平和ボケ」をアメリカをはじめとする軍事
中心主義国家に薦めたいということ。

 いい意味での「平和ボケ」に価値を見出したい。「平和ボケ万歳!」
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◆寄稿サンチャゴレポート13「忘れ物はプレゼント」  塩田悦三郎                         
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 サンチャゴはチリの首都。チリは南米では最も治安がいいと言われ
ている。南米で安全といっても日本の安全とは比較にならない。以下
、チリの治安状況について述べる。

 私のチリでの仕事は、日本語教師。先日授業でビデオ使った。電車
で忘れ物をした女性が、降りた駅の駅員室に行って電車にバッグを忘
れた旨を届ける。駅員が別の駅に専用電話で問い合わせるとチャンと
届けられているという内容。「てしまいました(完了)」の学習が目
的。授業は思わぬ方向に展開する。

 生徒は、「忘れ物が戻ってくることはあり得ない」という。チリで
どこかに忘れ物をしたら、すぐ誰かのものになってしまうとのこと。
「忘れ物はプレゼント」なのだ。私が日本で電車に傘を忘れたことが
あり、5つ先の駅に届けられていたことを話しても誰も信じてくれな
い。しばしチリと日本の「安全」について話し合うことになってしま
いました。

 チリの人は乗り物に乗る時に荷物がどんなに大きくても、多くても
手許に置く。大きな荷物は乗降口のそばに置いて座席に座り、降りる
時にそれを持っていけばいいものを。家々の先の尖った鉄格子・厳重
なロックはせっかくの美観を損なう。「植え込み越しの隣の奥さんと
のおしゃべり」はあり得ない。他人はすべて疑うことが基本である。

 チリの治安状況は、1997年以降年々悪化している。2003年
の全国犯罪告発件数は36万件でその4割がサンチャゴ市およびその
周辺で発生している。ほとんどがひったくり、空き巣、すり、置き引
きで傷害・殺人等の悪質な犯罪は少ない。ただし、麻薬犯罪は明らか
に増加している。テレビのニュースでは連日の如く麻薬取引者の逮捕
を報じている。麻薬取引はそれだけで終わらず銃器使用に発展する。

 被害者にならないための安全対策は、危険区域に行かない、夜間外
出はしない、一人歩きはしない、貴重品は持たない、カバンは抱きか
かえる、抵抗はしない等の基本的なことを守ればいい。でもそれでは
生活できない。現に私の職場は、危険区域にあり授業が終わるのは夜
の9時。駅まで歩いて10分。2ヶ月前その駅付近でしかも夕方7時に強
盗事件が発生した。犯人は4人組。被害者は抵抗し、携帯電話を奪わ
れた。それだけならいい。眉間に一生残る怪我をしたという。

 日本大使館は、日本人の安全対策についてことこまかな情報を提供
してくれる。前記の犯罪状況・対策・犯罪事例等の情報は、日本大使
館の頼田領事からいただいたメールを基にしたもの。チリに住んで初
めて大使館の存在が身近なものになり、その点大いに感謝している。
ただ、貴重品は持たない、一人歩きはしない、夜間外出はしない、抵
抗はしないとなると旅行者ならいざしらずこちらで生活しているもの
にとってはいささか無理ではないだろうか。

 このようなお話をすると、これからチリに行こうかなと思っている
方は逡巡されるかもしれません。どうぞご心配なく。ぜひお出で下さ
い。チリはやっぱり南米一安全な国なのですから。
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◆20代のぼやき:「ボランティア」            有木優一 
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 先日、JICA、京都新聞社、全国地方新聞社連合会が主催する
『平和と国際協力の列島シンポジウム「ピース・トーク・マラソン」
〜一人ひとりにできること。一人のためにできること〜』に知人の紹
介で参加した。日本人の出す一年間のゴミの量とODAによる第三世
界への食料支援の量は、前者の方が上回るという現実も知らされた。
そして、そのシンポジウムは、「一人ひとりが無駄を無くすことが、
ボランティアに繋がる」という結論を出し、幕を下ろした。

 その中のパネルディスカッションの場で、ボランティア活動をする
コメンテーターの一人が、「ボランティアを必要としない世界が、私
たちの目指すところです。」と言い放った。この言葉に会場内に歓声
が木霊した。確かに、「一人ひとりが無駄を無くすことが、ボランテ
ィアに繋がる」ことを実行することは重要な「ボランティア活動」の
一つであろう。しかしながら、ボランティア活動ばかりに目が行って
いれば、単なる自己満足で終わってしまうのではないだろうか。まず
、ボランティア活動の需要を生み出す原因を把握することが重要だ。
そして、その原因を解消していかない限り、「ボランティアを必要と
しない世界」はやって来る事はないように思う。

 その原因の一つとして、「戦争」があげられるだろう。現在、イラ
ク・アフガニスタンでは世界中から復興支援、人道支援が惜し気もな
くなされている。日本でも「ヒロシマ・ナガサキ」に原子爆弾が投下
され、「この地に70年は草木も生えてこないだろう」といわれていた
頃、多くの外国からの支援を受けてきた。それから、59年後、今で
は大きなビルの建ち並ぶ巨大な都市へと豹変した。この豹変振りが、
過去の記憶をも拭い去ってしまったのであろうか。「ボランティア」
を受けていた側の国が、米英軍に給油措置等の戦争協力を真っ先に願
い出ていた。更に、今日では復興支援、人道支援と声高に叫び、ボラ
ンティア精神を存分に発揮している。ここは、まず「反戦」を貫き通
すことが、第一の「ボランティア」に繋がったのではないだろうか。

 戦後の復興から先進諸国の仲間入りを果たした日本。「ボランティ
ア」が必要だった国が、新たに「ボランティア」を必要とする国を生
み出しているという、この構図はいかがなものか。今、途上国と呼ば
れる国々が、いずれ先進諸国に仲間入りした際、同じような悪循環を
生み出していくのではないか、と危惧してやまないのは僕だけなのだ
ろうか。
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◆[編集長から]              Michio Katayama
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 日本国政府は、私たちの代表として、世界に誇るべき平和憲法を擁
護し、国内外で顕著になりつつある戦争並びに核兵器容認の風潮を匡
(ただ)すべきです。また、唯一の被爆国の責務として、平和市長会
議の提唱する緊急行動を全面的に支持し、核兵器廃絶のため世界のリ
ーダーとなり、大きなうねりを創(つく)るよう強く要請します。さ
らに、海外や黒い雨地域も含め高齢化した被爆者の実態に即した温か
い援護策の充実を求めます。

  これは8月6日に発せられた広島からのメッセージの一部。

 http://www.city.hiroshima.jp/shimin/heiwa/pd/pd2004j.html

◆小泉首相は「唯一の被爆国であるわが国は、平和憲法を順守し、非
核三原則を堅持する」と約束した。国連のアナン事務総長は、NPT
再検討会議について「核兵器全廃の約束を再確認し、実行に移ること
を切に望む」とのメッセージを寄せた。 

◆小泉首相に告ぐ。首相の広島での宣言は「世界中」が聞いているの
だ。決して「式典での口上」に終わらせないことを望む。広島市長の
平和宣言と併せて読み直してもらいたい。

◆久々に一首

     遠くより笛の音きこゆ
     うなだれてある故やらむ
     なみだ流るる         啄木

ー8月6日広島では原爆の投下された8時15分に平和の鐘やサイレ
ンを鳴らし、原爆死没者の冥福と恒久平和の実現を祈り、1分間の黙
とうが・・。
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発行     2003年8月10日   No.177
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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