メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.175◆現代時評:[内閣法制局の能力と、小泉さんの能力]  2004/07/27


───────◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇──────
                              2004/7/27 No.175
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト
 版、その他、寄稿記事など話題満載! 
           URL ⇒   http://www.609studio.com
─────────────────────────────────
           ◇◇◇from 609studio◇◇◇

 ◇暑中お見舞いもうしあげます。なんだか年々暑くなっているよう
  です。ご自愛ください。

 ◇水害や記録破りの猛暑。地球が怒っているのではと心配です。
  被害にあわれた方々には衷心よりお見舞い申し上げます。

 ◇石川公宏氏の寄稿「狙われている『お金持ち』のこの国の銀行と
  お金」を掲載しました。
    
───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:[内閣法制局の能力と、小泉さんの能力]        ken 

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年7月23日号

◆現代語感:[公約無視]                  MK

◆寄稿 :「狙われている『お金持ち』のこの国の銀行とお金」                   石川公宏
               映像と文化研究所   石川公宏

◆寄稿 サンチャゴレポート11:
      [ドンデ・エスタ・エル・バーニョ?]  塩田悦三郎

◆20代のぼやき:[情報を読み解く力]        有木優一

◆韓国新聞拾い読み:北朝鮮五輪選手団、韓国製ユニホームを着用
                                                    編集部
 
◆編集長から:[この1週間]

─────────────────────────────────
◆現代時評 :
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
─────────────────────────────────
◆◆アサヒコム 2004・7・16 政府は15日、先の通常国会
で成立した年金改革関連法に条文の直し漏れがあった問題で、内閣法
制局の秋山收長官、阪田雅裕次長らに対し、厳重注意などの処分を行
う方針を固めた。法案を審査する内閣法制局の幹部が、法律の条文の
誤りについて処分を受けるのは初めて・・・。 
 
◆◆読売オンライン 2004・7・16 政府は16日、年金改革
関連法を精査した結果、条文の直し漏れが計40か所にのぼったと発
表した。  国民年金法や厚生年金保険法などを改正する法案を作成し
た際、新たな条文を挿入したことにより、前後の条項にずれが生じる
誤りが30か所あった。このほか、正確な定義をせずに法律の略称名
を用いるなどの軽微なミスが10か所あった。 

◆◆毎日インタラクティブ 2004・7・16 年金制度改革法の
条文修正漏れが新たに発覚したことを受け、民主党は政府・与党への
攻勢をさらに強めている。藤井裕久幹事長は15日、記者団に「考え
られないような間違いが出ている。法律を出し直すことは当然の常識
だ」と述べ、改めて同法の撤回を求めた

■■内閣法制局による、年金改革法で30から40か所の直し漏れが
新たに判明したことを受け、秋山長官の監督責任について、政府内で
協議した結果、「年金改革法は国民の暮らしに密接に関連した重要な
法律で、関心も高いのに、余りにもミスが多すぎる」として、処分が
妥当との結論を出した、というニュースが伝えられた。
 来るものがついに来たか、という感じだ。

■■ボクが昔フィリピンに住んでいた頃、同国政府発表の大統領令を
読んでいた。そして、なかにぜんぜん前後関係が無いと思える、ある
条文を発見した。 大統領令というのは、さしずめ「緊急勅令」とで
も訳すべき法律で、そのころフィリピンでは2000を越す大統領令
が公布されていた。米国式で、日本のような官僚制度が殆ど無く、大
統領が変われば、大臣から門番までが殆ど入替わるフィリピンだから
、法に疑義があって役所へ聞きにいっても専門家は居ない。唯一、官
僚システム的専門家の居る中央銀行へ聞くのがいちばん手っ取り速く
、じじつ、中央銀行の職員はそうしたニーズによく応えてくれた。

■■わが社の公認会計士を中央銀行へ差し向け、大統領令中にある、
何か分からぬ条文を聞き質すと、至極簡単に「ああこれは間違いです
。たぶん発布したときタイピストが他の文章と間違えて打ち込んだも
のでしょう。無視して下さい」と、返事する。 
 同国ではこのようなミス記載がしょっちゅうあるらしく、ひとたび
原稿が纏まり、清書に回した後は担当役人はおろか、政治家なども殆
ど目を通さず、誤植、誤記載のまま法案は通過、発布されてしまうこ
とが多いのだそうだ。 暑い国だから、長々とした文書に目を通す作
業は、つい、なおざりになるらしい。

■■これは必ずしもフィリピンのみならず、ラテン諸国や東欧圏諸国
では珍しくなく、ときには米国ですらこうした「単純ミス」的条文が
公布されることがある、と、専門家は言う。

■■その点、日本は優等生で、ぜったいそのような間違いが無い、と
だいぶ前に聞いたことがある。 繁文縟礼、文華の香り高い中国科挙
の伝統を汲む日本では、明治以来、何はともあれ文章力に優れ、いわ
ば筆力に秀いでた論客ばかりを「法科大学校」で養成した。さらにそ
のうちの俊秀を選りすぐって内閣法制局に集めたので、法文の確実さ
はもちろんのこと、法と法の間の整合性なども法案提出前に徹底して
調べ上げ、どこから見ても落ち度のない法案が議会に上程された。こ
れは我々日本人にとってはとうぜんのことと理解されてきたが、国際
的にはむしろ異例であったようだ。
 多くの官僚候補のなかで、もっとも頭脳明晰な者ばかりが内閣法制
局に採用される、というのが定説でもあった。

■■そうした法制局のエリート官僚が一致団結して、「絶対に法に馴
染まぬ」と、大反対した法律用の単語が、戦後に二つあった。
 一つはいまの憲法第1章第1条の、天皇は国の象徴というときの「
象徴」であり、二つ目は中国との友好条約における「覇権条項」であっ
た。

■■ボクの記憶によれば、「天皇は国の象徴」については、歴史的事
実としてその通りであり、原文を発案した占領軍派遣のゴードン・ボ
ールズ氏などは、日本人よりより日本を理解している知日派であった
ため、「天皇はシンボル」として日本側も異論はなかった。ただ「象
徴」という抽象的な言葉が法文章に馴染まぬ、という法学者間の強硬
な反対意見が幅を効かせていただけである。 初訳を担当した白洲次
郎などは半ば英国人みたいな人で法学者でもないし、「天皇はシンボ
ル―象徴」で異論はなかったようだ。

■■しかし、初め新憲法作成当事者に擬せられていた法学者の松本蒸
治などは、「象徴」は絶対いけないと最後まで力説した。内容として
いけないのではなく、「象徴」という字句が法に馴染まぬと大反対し
たのである。
 「象徴」つまり「シンボル」が、憲法上ようやく我々の耳に馴染む
ようになるためには、その後半世紀の長い年月を必要とした。 
 いまごろまだ「象徴」でなく「元首」であるべきだ、というような人
は「右翼、保守反動の輩」であるかも知れない。

■■もう一つの、いわゆる「覇権条項」については、議会で当時の社
会党の江田議員と三木首相の間に次ぎのようなやり取りがあった。

江田議員「それは共同声明の第七項、いわゆる覇権条項の扱いをどう
するのか、この一点にかかっておるように思うのであります。その点
は外務大臣が昨年国連総会の前後に喬冠華外務大臣との会談の中で話
されたこともその一点だったと私は理解しておるわけです…」。

三木首相「覇権に反対である、こういう一つの原則は何ら日本の方針
と抵触するとは思っていないわけで、これが、条約を結ぶ場合に条約
上にどういう取り扱いをするかということは条約の技術上の問題であ
って・・・」云々。

■■この覇権条項が揉めて、日中合意に至る間に一年ほどを必要とし
たが、三木首相の言う「条約の技術上の問題」とは、つまりはときの
内閣法制局が「覇権という言葉が法律文章に適しない」ということだ
けであった、結局、それは三木首相が押し通して、日中平和友好条約
第2条「覇権条項」として加えられ、今日致に至っている。

■■以上、「象徴」および「覇権」の二つのついては、当時を生きた
ボクたちの世代にとって、「ナニを下らぬ文字の形ばかりに関ってい
るのだ」という思いはしたものの、内閣法制局の言い分にもじゅうぶ
ん理があると思った。 彼らが法文章の上で筋を通したいという、そ
の広範な専門知識に対する尊敬の念は転じて、わが国の法律に対する
信頼感ともなってきたのは事実である。

■■ところが年月が移り変わって、いまや日本官僚中の秀才ばかりを
集めたと言われた内閣法制局にも「秋風が吹き始めた」らしい。
 いまごろの若い官僚の字を知らないこと、文章が書けぬことは驚く
ばかりだ。それは、役所の文書の作成にも「ワード・ドキュメントビ
ジネス文書―社内編例文」を借用した方がまだしも無難かと思えるほ
どである。
 あれだけ国語能力、つまり文書作成能力が無くなれば、法律原案の
文章を推敲・確認するという法制局本来の責務も果せなくなるのはと
うぜんであり、秋山法制局長官が譴責処分を受けるのもやむを得ない
。時代の趨勢といえばそれまでだが、もう少しナンとかならぬものか。

■■根本原因ははっきりしている、日本人が急速に日本語を書け無く
なったのだ。 書けないだけでなく、喋ることすら困難になっている
。 その典型が小泉首相の、TVでいう「ボキャ貧」である。彼はい
ちおう慶応くらいは卒業しているそうだが、ナンともはや、そのあど
けないほどの言葉のアヤフヤさ。テレビで見ていてはらはらさせられ
る。
 きのうも、福井の水害地を視察して、「見ればたしかに大災害だ。
 前向きに考えて災害救助法をうんぬん…」と言っていた。このよう
な場合に「前向きに考えて…」というような言い方が適切かどうか、
それは中学生でも分かっていることではないか。大災害に直面して、
なおかつ「前向きに考えて…」というような、陳腐、かつ曖昧な慣用
句しか使えない人を首相した日本という国は不幸である。

■■もともと人間は、口に出すにしろ、喉元に留めておくにしろ、言
葉によってものを考える。語彙が少ない人は、おのずから思考能力も
少ない。小泉さんのように語彙不足の人は、とうぜん思考能力も不足
していると考えていい。
 ブッシュ大統領と会ったとき、「君はハイヌーンという言葉を知っ
ているか」と聞き、それが「真昼の決闘」というハリウッド映画の原
題名であると知っていたからといって、それが小泉さんの思考能力に
つながる言葉の知識とは誰も思わない。深い思考につながる言葉とい
うのは、また別に、それなりのツールとしての思考言語が要るもので
ある。

 そうした思考用言語の不足が、いまや法制局勤務の官僚の間にまで
広がり、議会に上程するための法の修正技術すら無くしてしまった。
悲しむべき現象である。
─────────────────────────────────
◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2004年7月23日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
─────────────────────────────────
州知事南部クリル訪問

 サハリン州イワン・マラホフ知事が南部クリルを訪問した。知事は
シコタン、クナシリ、タンピルリエフ島などを巡回訪問し、地元の漁
業と住宅企業の現況を調べた他、区域と地方政府指導者らと話し合っ
た。2004年上半期、南部クリル区域の生産量は昨年同時期に比べ
30%弱、低下した。その主な原因は基盤産業である漁業部門の漁獲
量減少。ロシア連邦によるクォター割当作業が3月9日まで遅れ、そ
の間、漁業を行うことができず、漁獲量が例年より半分に減った為。
州知事は訪問の際、漁業労働者の賃金値上げを提案したが、現在彼ら
の平均賃金は3500ルーブル。
 シコタンとクナシリの住宅事情を調べた州知事は、設備投資や修理
などは国家予算で賄うが、運営費は地域住民によって解決されるべき
であると指摘した他、本島との交通問題にも触れ、サハリンスキエ・
アビアトラスイ航空社が需要に応えられないのなら、もう一社の編入
を検討するとの強い姿勢を示した。

飼料質改善に注力

 7月初め、ヴィクトル・ナゴルヌイ副知事は家畜飼料準備状況とそ
の質を調べるために、トマリ区域を尋ねた。同地域は、昨年飼料作り
のために新しい設備を導入したにも関わらず経験不足と資金難でそれ
を十分活用できず飼料作りに失敗し問題視されたが、今年は順調であ
ると地元の責任者が報告した。トマリンスキ生産農業共同組合長は機
械の老化によりその部品をどこからも探せなくて作業に支障が生じて
いると訴えた。

最低生活費決定

 サハリン州住民の一人当り最低生活費が決まった。労働能力のある
住民―4524ルーブル、年金者―3226、子供―4053ルーブ
ル。

クリル開発計画に刺激与え

 先週南部クリルを視察した州知事と連邦プログラム担当のアレクサ
ンドル・コニェツヌイフ執行理事は、1994年から推進しているク
リル社会経済発展連邦特別プログラムの成果があまりないと判断し、
島のインフラ構築に一層力を注ぐ方針を示した。

州議員選挙日は10月10日

 7月15日、サハリン州議員選挙日が10月10日に決まり、一部
の区域では市長選挙も同じに行うことが決まった。

韓人社会団体連合組織要求

 21日、サハリン州韓人協会事務所で韓人社会団体関係者50人余
りが集まって、諸団体の連合問題などの懸案について議論を行った。
州韓人協会と老人会、離散家族会、二重徴用鉱夫遺族会をはじめ参加
者の多数が社会団体の連合を求めていた。サハリン韓人残留永住帰国
促進会は同会議の決定書を8月1日まで提出するように促した。又、
新たな永住帰国者用の300世帯の住宅提供と残留1世たちへの月2
00ドルの生活費支援を韓国赤十字社が日本側に提案しているので、
団体が協力して、そのための実態調査を至急に行うべきであるとの意
見も出されたのである。

韓民族記念行事組織委員会会議

 21日、サハリン州韓人協会事務所で、ロシア移住140周年を記
念しての多様な行事を推進していく組織委員会の会議が開かれた。す
でに予定されている行事としては、8月13日ユジノサハリンスク・
チェーホフセンタでの韓国芸術公演、8月20日韓人文化センター起
工式、8月21日光復記念運動会がある。

あれこれ

「展示会」
 今、ユジノクリルスク郷土博物館で画家アドルフ・シドロフスキさ
んの展示会が開かれている。シコタンとクナシリの自然をテーマにし
た絵には画家の島に対する愛情がよく現れている。彼は社会事業にも
関心が高く、現在画家と写真家協会の組織を推進中である。

「暖房準備不満」
 先週、スミルヌイフ区域を尋ね暖房準備状態を調べたセルゲイ・ゼ
クチェリョフ副知事は、計画の40%ほどしか達成できていないと強
く不満を示したことがわかった。副知事は昨年の冬、同地域アパート
の室内温度は10−12度であったことを指摘しながら、冬までの2
カ月間ボイラの修理を終えるよう指示した。

「罰金1万ルーブル」
 先週、トマリ警察に、ドリンスクに住む市民一人がイリンカ川で網
でマス漁をしているとの通報が入った。現場に出動した警察は不法マ
ス漁をしている男性一人を発見し、40匹の不法漁獲に対し1万ルー
ブルの罰金を要求した所、その場で払われる事件があった。

「蛇にかまれ」
 先週、44才の男性が蛇に噛まれユジノサハリンスク救急治療所に
運ばれてきた。釣りに行った川で手を毒蛇に噛まれたのである。体温
が上がり手がはれ上がるなどしたが命には問題なかった。サハリンに
蛇は多くはないが、もしも噛まれたらその場でウオッカと香水で消毒
をしてから治療所に行くようにと医師は言っている。

「ストレスも肥満の原因」
 米国学者らによるとストレスも肥満の原因となる。騒音のある職場
で働いた人たちが、静かな環境で働いた人たちよりも2倍ストレスを
感じていることがわかった。

<広告>

旧豊原第三小学校で一緒だった方を探しています

1945年8月日本の敗戦により、豊原市の第三小学校は、この年の
10月に日本人学校となりました。この校舎にはロシア人学校、朝鮮
人学校も一緒でした。この時期(1945年10月から1947年3
月頃まで)に、この校舎で学んだ朝鮮人学校の生徒で、当時の様子を
ご存知の方を探しています。私も同時期に三年まで在学していました
。現在戦前・戦後の三校の想い出を記録する作業を続けております。
日本語で当時のことを何でも結構です。教えていただけませんか。
札幌市在住の尾形芳秀

─────────────────────────────────
◆ 現代語感:[公約無視]                MK
─────────────────────────────────
 公約:公に約束すること。特に選挙に際して、政党または候補者が
当選後に実施することを約束した政策。

⇒先の参議院選挙で小泉首相以下、青木自民党参議院幹事長、安倍自
民党ら自民党の執行部の面々の選挙敗北後にその公約を無視したこと
をいう。
____________________________

 しかし大変な時代になってきた。「政治家、総無責任時代」だ。
選挙後の新聞各紙に掲載されていた記事の中で、一番驚いたのが、こ
の公約を無視した政治家たちの言動。それにその言動を「首相はこう
語った・・・」と「淡々と伝えるだけ」のマスコミ・・・。
 これじゃかの有名な独裁政権・金王朝の新聞と同じだ。
─────────────────────────────────
◆寄稿:「狙われている『お金持ち』のこの国の銀行とお金」 
                              映像と文化研究所  石川公宏
─────────────────────────────────
 この国の銀行が巨大な不良債権を抱えたのは土地神話(土地など不
動産を担保にとるシステムがそれをフル加速)によるというのは本当
。 (ちなみに Karl Marx の資本論は土地神話の必然性を明らかにし
たもの)。

 バブル崩壊で巨大な不良債権をすばやく見て取った世界の銀行(こ
れはほぼ全部をいわゆるユダヤ資本が握っている)が世界一のお金持
ち、日本の資産を狙って、「世界標準」を押し付けて思うままにしよ
うというのが本当。郵政民営化で世界最大の銀行、郵便局も狙われ、
民営化が進みつつある。危ないという思いだ。

 政府がこの国の銀行を保護して、ユダヤ資本ののぞむ方向へ進ませ
ないのは国益.。ひとまず国益を守ることも大事?

 日本は世界でも多面的に秀でた産業国、こういう国はめずらしい。
類稀な産業国であり、そして狭い国土、とりわけ狭い平地面積が異常
に高い土地価格を形成。

  平成の超バブルで異常高価となった土地にこの国の銀行が当時の市
場価格(あるいはそれ以上の貸し付け金額)で担保として取った土地
がバブル崩壊で2分に1、あるいは3分の1以下となり、土地を担保
に貸付を受けた資産家が100万人も破産の憂き目にあった。これを
「自己責任」で済ませることは出来ないことは当然。

 銀行の貸し手責任(東京三菱はこの点もあくどい銀行)を追求しつ
つ、世界の銀行の手からも守る必要がある。
 欧米諸国から、なんといわれようと世界標準へはじわじわとゆっく
り進み、郵貯の民営化はもちろん阻止したほうが国益?でないかと感
じる。

 世界標準を受け入れ、その結果しだいにユダヤ資本に身を委ねてい
き、その上郵貯や簡保の民営化を勧めて行くのが国益(あるいは民益
)かじっくり考える必要があるだろう。
─────────────────────────────────
◆寄稿サンチャゴレポート11「ドンデ・エスタ・エル・バーニョ?」
                         塩田悦三郎
─────────────────────────────────
 サンチャゴに住み始めて困ることは沢山ある。言葉をはじめとして
生活習慣の違いによる戸惑いである。私の場合は、外出先にトイレが
ないのが悩みの種であった。日本の場合、駅・公園・デパートなど人
が集まるところには必ずあるが、こちらはほとんどない。8カ月経っ
てだいぶ慣れてきたがいまだに完全ではない。昨日は久しぶりにこの
悩みに遭遇した。あまり話題にはならないけれど重要なことと思われ
るので報告させていただきます。

 サンチャゴ市内は公の場所でもトイレを探すのは一苦労。トイレが
あるのは、ホテル・レストラン・ショッピングモール・遠距離バスな
ど極めて限られている。私がサンチャゴで初めてマスターしたスペイ
ン語は、「ドンデ・エスタ・エル・バーニョ?」(トイレはどちらで
すか)だった。

 チリ人とトイレのことを話したことはない。我々が思うほど苦労し
ていないようだ。体の構造が違うのだろうか。でも、夜飲み屋街の近
くの建物の隅っこで小便をしている男の後姿を何度か見た。これと同
じ光景は、日本でも見ることがある。やっぱり人間は同じなのだろう
か。

 対策はただ一つ。自分の排尿のサイクルを知って、その時間にはト
イレのある場所にいるようにすること。

 サンチャゴから約125Km南へ電車で行ったときの事。祝日であ
ったので電車は珍しく混んでいた。小1時間経っただろうか、通路の
向こう側に座っていた男の子の動きがおかしい。その前の座席には男
の子のお母さんが赤ちゃんにおっぱいを飲ませている。どうやら、お
かあさんは男の子が尿意を催してきたのに気が付いたようだ。

 それからが大変。電車には、もちろんトイレはない。電車は混んで
いる。おかあさん、我慢できず、5、6m離れたドア付近に立ってい
るお父さんへ大きな声で「子供がおしっこしたいといっている」と訴
える。お父さん、人ごみの中でどうしょうもない。近くに立っていた
男が「そこでさせたら」と無責任に言う。周りの人は一斉に笑う。
 
 別の男が「次の駅のホームのはずれにトイレがある。電車が止まっ
たら急いで連れていけばいい。」という。 男の子はがんばった。停
車と同時に、男の子はドア付近にいる父親のもとに向かう。先ほど笑
った連中も男の子が早く行けるように通り道を作る。お父さん、停車
と同時に男の子をホームのはずれのトイレに連れて行く。

 ああ、無情。男の子が戻って来ないのに発車の合図。乳飲み子を抱
いたお母さんと男の子を連れたお父さんが離れ離れになってしまう。
乗客は一斉にため息をつく。ドアがしまりかけた。その時一人の若者
がドアの間に入り、しまりかけたドアをとめた。男の子とお父さんが
電車に戻った。車内は、一斉に拍手と歓声の渦。
 
 電車にトイレがないことが、このように乗客に連帯感を持たせるな
んて。だれが想像できただろう。トイレがないことの効用はまだある
。それは排尿の快感を増大させることである。先程の男の子はきっと
我慢した喜びを味わったにちがいない。チリと日本とどちらがいいの
だろうか。
─────────────────────────────────
◆20代のぼやき:「情報を読み解く力」            有木優一 
─────────────────────────────────
 去る7月17日、18日と二日間にわたって、「イラク国際戦犯民
衆法廷京都公判」が京都産業会館シルクホールにて厳粛に執り行われ
た。京都の街は祇園祭り一色の中、僕は記録係として専属カメラマン
の助手をするため、この場所を訪れていたのだ。

 起訴状朗読から始まり、今回の実行委員長がモチーフとしていた市
民参加型の法廷にて、多くのオルタナティブな証言も盛り込まれてい
た。その中には高校生までもが壇上に立ち、自らの意見を証言してい
た。そして、当然のことながら、著名なジャーナリストも顔を並べて
いる。同志社大学教授浅野健一氏(ジャーナリスト)、アジアプレス
坂本拓氏。坂本拓氏の証言では、イラクの実状を知ることでブッシュ
大統領が「対テロ戦争」と大儀を掲げているものが実際はどのような
ものであるか、衝撃的な映像を駆使して、まざまざと見せ付けられた。

 「メディア・リテラシー(情報を読み解く力)」という言葉が、近
年よく叫ばれるようになってきた。テレビや新聞に取り沙汰される「
情報」は、「わがルポルタージュ論」(バックナンバー06/08分
参照)で述べたとおり、一度記者によって受け止められているのだ。
つまり、その記者が作り出す世界を我々が享受することになる。

 それは、また今回の件でも言えるだろう。米ブッシュ大統領を筆頭
に英ブレア首相、そして小泉首相の対イラク外交に法的制裁を加える
までもなく、市民の手で事実を認識し、イラクの現実を知ることを目
的とした民衆法廷ですら、すべて鵜呑みにしていてはならない。これ
も一つの「情報」として捉えることが必要である。一方、そこで冷静
に成り過ぎて、活動の原動力となる「感情」から生み出された「意志
」まで淘汰すべきではないことも認識しておかなければならない。結
局、「情報を読み解く力」を養うことは、やはり単純に事象に対する
「情報」を幾つ所持できるかにあるという結論に至った。

 京都の夏の風物詩、祇園祭も終わろうとしている。函谷鉾(かんこ
ほこ)が解体されていく光景を背に、会場を後にする僕はそんなこと
を考えながら、京都の雑踏の中へと紛れ込んでいった。
─────────────────────────────────
◆[韓国新聞拾い読み]                       編集部
─────────────────────────────────
北朝鮮五輪選手団、韓国製ユニホームを着用

 アテネ五輪に出場する北朝鮮の選手団が、韓国と全く同じトレーニ
ングウェアを着ることになりそうだ。これは、選手団が開幕式で同時
入場する際に着用する制服だけでなく、競技会場での服装も同じにな
ることを意味する。 このようなことは分断以来初めてだ。
_______________

 まだ「可能性」の問題だが、もしそうなれば「着実に北は変化して
きている」ことになろう。
 アテネオリンピックのもうひとつの注目点! 
─────────────────────────────────
◆[編集長から]              Michio Katayama
─────────────────────────────────
 暑いですねえ。何度言っても暑いです。言っても仕方ないとわかっ
ていても暑いです。先日、ホームページの掲示板に、「旧豊原第三小
学校で一緒だった方を探しています」という書き込みがありました。
 早速、セ・コリョ新聞と韓国語放送局に連絡したところ、セ・コリ
ョ新聞7月23日号に掲載されていました。ハンドル・ネーム北斗星
さん、見つかるといいですね。私たちはサハリン(旧樺太)に関する
情報をお探しの方々のお手伝いもしています。ご遠慮なくお申し出く
ださい。
─────────────────────────────────
発行     2003年7月27日   No.175
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
配信          まぐまぐ配信システム       ID:0000052236
              MailuX配信システム         ID:MM3E1B97842E020
                Macky!                    ID:609studio
e-mail        info@609studio.com
website    http://www.609studio.com
投稿      http://www.609studio.com 掲示板へ
購読 購読解除は websiteへ

           ◇禁・無断転載◇
─────────────────────────────────

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。