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タイトル:609studio No.173◆現代時評:[尖閣列島と竹島問題]  2004/06/29


───────◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇──────
                              2004/6/29 No.173
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セコリョ」ダイジェスト
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 ◇6月30日からサハリンへ出かけます。「二重徴用被害者」に対
  する取材を主にする予定です。つきましては7月6日、13日の
  メールマガジンは休刊、この間のHPの更新もお休みいたします。

  ◇ホームページにサハリンニュースというページを設けました。
  サハリン、ロシア沿海州の政治・経済ニュースや北方領土関係の
  ニュースを扱う予定です。当分の間、セ・コリョ新聞のニュース
  を掲載いたします。
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───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:[尖閣列島と竹島問題]                     ken
 
◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年6月25日号
 
◆現代語感:[不条理]                   MK

◆寄稿サンチャゴレポート9:「黄色い悪魔(その2)」塩田悦三郎

◆20代のぼやき:[総合学習センター]          有木優一

◆韓国新聞拾い読み:                        編集部
 
◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :[尖閣列島と竹島問題]                    ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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◆◆毎日新聞 2004年6月20日 中国が東シナ海における日本
の排他的経済水域付近で天然ガス田開発を進めている問題で、政府は
、日本の権益が脅かされると判断、早急に対応策を講じる方向で検討
に入った。21日の中国・青島での日中外相会談で、川口順子外相が
李肇星外相に懸念を表明し、ガス田の鉱区開発データの提供を求める
。中国の対応次第では日本独自の調査も辞さない構えだ。

◆◆読売新聞 2004年6月22日  政府は、東シナ海における日
本の排他的経済水域の境界線近くの中国側海域で中国が天然ガス田開
発を進めている問題で、日本側海域で試掘調査を行う方向で具体的検
討に入った。この問題では、川口外相が21日の日中外相会談で、中
国側の鉱区設定のデータの提供を求めたが、李肇星外相は、データ提
供については明確な返答はしない一方、日中両国による共同開発を提
案した。 

◆◆外務省ホームページ 「日本は古くより竹島を認知していた。こ
のことは多くの文献、地図等により明白である。(中略) 江戸時代
の初期(1618年)、伯耆藩の大谷、村川両家が幕府から鬱陵島を拝領
して渡海免許を受け、毎年、同島に赴いて漁業を行い、アワビを幕府
に献上していたが、竹島は鬱陵島渡航への寄港地、漁労地として利用
されていた。また、遅くとも1661年には、両家は幕府から竹島を拝領
していた。」

■■尖閣列島の領有について、わが外務省はホームページ上で、「尖
閣諸島は、1885年以降政府が沖縄県当局を通ずる等の方法により再三
にわたり現地調査を行ない、単にこれが無人島であるのみならず、清
国の支配が及んでいる痕跡がないことを慎重確認の上、1895年1
月14日に現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行なって正式にわが
国の領土に編入することとしたものです。 同諸島は爾来歴史的に一
貫してわが国の領土たる南西諸島の一部を構成しており…・」と、日
本領を歴史的に主張している。

■■にも関らず、今回の中国の同地域における石油探索に対する、わ
が政府の公式態度は、イマイチ曖昧かつ弱腰に過ぎる。何かあるはず
だ。そこで念のため、ネット検索で「尖閣列島領有権についての歴史
的いきさつ」を調べてみた。

■■結果は意外や意外、驚くほど日本側に歩が悪い。それも中国側の
学者の意見でなく、日本側のれっきとした学者の論文、および、日本
政府寄りと思える立派な団体のホームページに於てすら、中国領との
論説が出ている。下記がそれだ。
 http://www.mahoroba.ne.jp/~tatsumi/dinoue0.html 
空いた口が塞がらない、これでは日本政府の弱腰もとうぜんなのだ。

 しかも、その「尖閣列島」という名称を使用すると、とうぜんそう
命名した原文献を認めねばならず、それがまた中国領であることを証
明するのと同じ文献であるというジレンマを包含することになるらし
い。

■■にもかかわらず、つい今週も川口外相が、中国政府に苦情を述べ
、それに対して中国は、「領有権が確定していない地域については、
取りあえず領有権問題を棚上げにして、共同で開発するのが望ましい
」と言ってきている。
 ボクの見たところ、中国政府の言い分はまことに適切で、まさにわ
が日本政府が「1本とられた」恰好である。これではむしろ、歴史的
に歩がある中国側から、だいぶ譲歩してくれているのだ。

■■もともと「尖閣列島または釣魚諸島」という、地域も島名も、い
まなお定かでない無人の岩礁群を、わが国が正式に領有宣言したのは
、さらに詳しく調べると1970年9月1日のことらしい。 それも
当時米軍治政下にあった琉球政府の声明「尖閣列島の領土権について
」に拠っている、というのだからお粗末極まる話である。

■■こんなことなら、いま中国が「領有権問題を棚上げにして、とり
あえず共同開発しよう」と言ってくれているのに乗じて、さっそく共
同で探査・開発に乗り出す方がよっぽどましである。
ぐずぐずしていて、中国側の気が変ったら元も子もない。

■■それを、わが政府が表向き中国政府に対して「尖閣列島は日本の
領土」といまなお主張しているのは、いわゆるわが「国民感情」、つ
まり「世論」なるものに気を遣い、心にもない在来からの主張を繰り
返しているとしか思えない。

■■だいたい、現在すでに確定したことになっている地球上の領土な
どには、じつはまことに曖昧な処がひじょうに多いのである。まして
、いまなお係争中というのはそれ以上に領有権があいまいな場なのだ
。 身近で、典型的で、そしてたしかに紛争中の適例が「竹島」、韓
国名でいう「独島」である。

■■われわれが、れっきとした近代国家の確定領土であると信じて疑
わないような場所ですら、その帰属の決定はごく最近である場合が多
い。 例えばイタリアの首都ローマ市の周辺地帯がイタリア国に併合
されたのは明治も中期である。独仏国境のアルザス・ロレーヌ地方が
仏領と認められたのなどは、つい先日の第2次大戦後のことである。
それもそのはず、今の統一ドイツ共和国が地球上に出現したのは大正
9年と、ごくごく新しい。
 アジアでもスルー諸島がフィリピン領と認定されたのはわが大正時
代の終わりであり、インド中部のハイデラバードなどは英領ではない
として第2次大戦中も中立国で、わが日本などは戦時中に敵性国家に
ついての情報を、ハイデラバード経由で取ったりしていたのをボクら
は記憶している。

■■いま日本など、いわゆる世界のリーダー国が「自領」であると主
張している地域のうちの多くは、明治維新、つまり1870年前後に
、ひと足早く領土獲得戦に参加し得た、いわゆる先進国が、「自分た
ちの地である」と宣言しさえすれば、それで自国のものになった時代
の、いわば「拾い物件」であり、それを自国領だと言い張っても、大
して根拠のある話ではない。

 それを我々日本人は、いまの日本国土があたかも神武天皇の昔から
の日本領土であり、絶対不変のものと思い込み、そうした考えの延長
として、地球上の各国領土もまた、いにしえからのそれぞれの固有の
土地と、誤解しているきらいがある。

■■ボクら青年のころ、第一次大戦の分け前として南洋群島を得た。
南洋群島は元ドイツ領と聞かされていたが、それがドイツ領であった
のは僅か18年に過ぎず、その前はスペイン領だった。 ところがそ
れが元スペイン領というのも、せいぜいその前の僅かな期間で、付近
をぐうぜん通りかかったスペイン船が、「この島はスペインのもの」
と宣言し、そこに果たして幾つの島があるかなど、調べてもいなかっ
た。それが不用につき、簡単にお金でドイツに売渡したというのが南
洋群島だった。 スペイン人が旅の途中、道で拾った石ころを、欲し
がるドイツという友人に売り渡したのを、またすぐ後で日本人が喧嘩
しかけ、その石ころを取上げたのが南洋群島というわけだ。 

■■その南洋群島の真中にグアムがある。もともとフィリピン群島と
近縁の島で、いわゆる米西戦争の結果、米国が両方まとめて2000
万ドルでスペインから買い取ったといういきさつがある。
 だからグアムとフィリピンの人々のあいだには共通の姓が多く、い
まなおフィリピンからグアムへの労働移民がグアム人口の過半を占め
ている。
 その辺りが、スペイン領、ドイツ領、日本領、グアムという米領、
あるいは、お隣りのサイパンことマリアナ政府であろうと、そうした
国家の名による境界分けは、あまり確定的でなく、所詮はうつろいや
すい一時のものと解すべきである。

■■ヨーロッパ辺りの古い国々は別として、南太平洋の島々や、いま
揉めている中近東いったいの国々は、たいていがその程度の領土保有
の歴史があるに過ぎない。 「濡れ手で泡」に領有宣言した国々は、
そこにもともと原主権者たるべき幾らかの住民が居たことなど、歯牙
にも掛けなかったのである。

■■われわれの近くの東アジアの国々は、それにほんの僅かばかり遅
れをとったからといって、日本が先に領有宣言しているのを、黙って
指を咥えて看過するハズはない。 そのままでは、いわば「癪」で、
香港島の英国や、インドネシアのオランダのように、「貴方がたの先
取得権を認めない、さっさと返してくれ」と言われれば、ナンとか色
をつけて共同統治するか、相手に渡してやるのが無難な解決法という
べきである。 

■■それを、あくまで既得権益を主張すれば、将来、臍を噛むことに
なり兼ねない。よく心得ている英国などは、地球上、陽の没すること
がなかった世界のほぼ総ての旧領を、争わずに返還し終わった。かの
国をして今なお世界の大国と尊敬されている主たる理由はここにある。

 日本もいくらか見習って、どうせ人も住まぬ「竹島」など、隣りの
国に差上げる程度の雅量があって、初めて東アジアに平和が訪れる。

■■どういうつもりか知らぬが、世界でもっとも広い国土を持つ中国
が、台湾やチベットを自国領と主張するのは、いささか解し難く、将
来のトラブルを背負い込む可能性がある。最近の英国も、どう血迷っ
たかフォークランド島などという、どうでもいい辺境を軍艦と大砲で
守り通したりして、災いを残している。 これらは、見習うべきで無
い。「筑紫の果てからみちのおく 海山遠く隔つとも…」と、「蛍の
光」を小学唱歌で習ったボクら戦中派は、戦時中のいっとき、その歌
詞をもじって「昭南の果てからアリューシャンまで…」と歌ったこと
がある。 シンガポールを占領し、アリューシャンにわが皇軍が進駐
したころの話だ。 がしかし、アリューシャンでは山崎中将以下全員
が玉砕し、昭南特別市も、僅か2.3年でもとのシンガポールに逆戻
りしてしまった。いっときは欲しいと思ったわが領土だったが、無く
なってもナンと言うことは無かった。

 領土などは、あれば重宝するように見えるが、無ければ無いでナン
とかなるものだ。あのときもしアリューシャンなどを、ほんとうにも
っていたならば、それなりの統治費や開発費が要って、後々困っただ
ろう。

■■その不幸な例が満州の遼東半島だ。
「過ぎし日露の戦いに 勇士の骨を埋めたる 忠霊塔を仰ぎ見よ・・・
」と歌われ、赤き血潮の代償として最後まで日本領にしようとした「
203高地」こと「爾霊山(にれいさん=なんじの霊の山)」は、そ
の地を持つことを固守したがために、第2時大戦で再び我らの血を流
す悲劇に見舞われた。
 度を過ぎた領土慾は後日に災いを残す可能性がたかい。

■■いままた、「竹島」か「独島」かで、日韓両国が争っっているが
、両国の言い分には5分5分の理屈がある。それでいて実のところ、
日韓いずれにも、その岩礁島による目に見えた利益などはない。
 ある種のナショナリズム、つまり体面のためか、または意味の無い
「国防上」の主張に過ぎない。 

 竹島は明治38年に、ときの内閣告示で日本領であると宣言された
というが、その頃の韓国は、それに反論するほどの国力がなかったこ
とは確かで、日本の力による一方的宣言であったことは明白だ。

 また1660年前後に竹島が、伯耆藩の大谷・村川両家が幕府から
拝領していたことを、わが外務省は理由にしているが、それならば、
 現在韓国領になっている鬱陵島もまた同じであるのに、なぜ鬱陵島
を韓国領と認め、竹島のみを日本領と主張するのは何ゆえか。

 同じような歴史的曲折を持つ隣の鬱陵島が、いまは韓国領になって
いるところから見て、「竹島」が絶対日本領だ、と主張できる根拠は
ない。
 この島も、日韓共同管理くらいに折れ合いを付けた方が将来の「日
本海平和」のためには賢明である。

■■こと、ひとたび「自国領」であると主張すると、どこの国でも、
いきさつや目的は横に置かれ、ただ「右翼国粋主義」のみが一人歩き
し、両国共同管理以外には決着の付けようが無くなるのが通例だ。

 しかしそれでは後日に災いが残ると考えるならば、英国の香港のよ
うに、目を瞑って、相手国に渡してしまうのも一つの賢明な方法では
ないか。
 ボクも日本人だから、日本の国益、もしくは既定の権益を守りたい
心に替わりは無い。しかし、将来に禍根を残すような一方的主張を支
持するつもりも無い。

■■いまや時代は大きく変わり、一昔前のように、先に発見したから
とか、領有宣言を先にしたからとかいう理由だけで、自国のテリトリ
ーにしておける時代ではない。
 米国では先住インデアンの「土地を返せ」運動に手を焼いているし
、豪州でも先住アボリジンの「丸ごと豪州を返せ」の訴訟に困惑して
いる。
 ニュージランド中部の温泉都市では、先住マオリ族に迎合しようと
、街中の道路名をマオリ語による名称に切り替えるべく、大童である。

◆◆日本政府も、昔の領土拡張時代の先取得権にあぐらをかかず、も
うこの辺りで周辺諸国の誰もが納得し、地域平和が得られるよう、方
針を切り替えるべきである。 いたずらに過去の先取得権を振りかざ
すのみでは、日本という国家のインテリジェンシーとヒューマニズム
を疑われるだけである。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2004年6月25日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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永住帰国と補償要求

 さる21日―24日まで韓国在外同胞財団と韓国赤十字社の職員、
国会事務官ら9人がサハリン韓人社会実態調査のために来島した。彼
らは韓人団体代表らやセコリョ新聞、ウリマル放送局など同胞関連機
関を訪ねて、韓人社会の懸案について調べた。そこでは相変わらず永
住帰国と補償問題が挙げられ、未だに解決されていないことを改めて
確認された。

我々の島の経済

 最近、多くの外国人がわが島を訪問している。先週も駐ウラジオス
トク韓国総領事と日本の九州電力、中国開発改革国家委員会代表らが
来島したのである。彼らを呼び寄せているのはエネルギー問題。九州
電力の場合、サハリンから2009年度に50万トンの液化ガス輸入
契約を締結したのである。東京電力と東京ガス、トウホガスも既に2
60万トンのガス輸入契約を締結している。プリゴルドヌイ液化天然
ガス工場の総生産能力が960万トンであるので今後輸出先はますま
す増える見込みである。資源の輸出はガスのみではない。先日、州政
府は中国に財政難に落ちいているシネゴルスカヤ炭鉱を49年間長期
賃貸契約で貸すことを決めたのである。
 ところが、数日前経済委員会のヴェービダ副委員長は、開発事業の
一環としてのインフラ構築のために建設部門で多くの雇用が作り出さ
れているが、賃金の安い外国人不法労働者たちを雇っているため、労
働市場に混乱を招いていると心配していたのである。

今年初の里帰り

 今月の21日から韓国へ永住帰国した1世たちの里帰りが始まった
。彼らは1カ月間子供や孫たちに囲まれて幸せな日々と送ることにな
る。

州知事韓国と中国訪問

 サハリン州政府プレスセンターによると、6月23日―29日まで
サハリン州イーマラホフ州知事が韓国と中国を訪問する。知事は韓国
外交通商部長官と動力工業商業部門関係者ら会う他、サハリン液化ガ
ス輸入会社である仁川の‘コカス’社のパイプラインの見学もする予
定である。その後、中国の青島、山東地方を尋ね液化ガスパイプライ
ンを視察するほか、北京に行って開発改革委員会メンバーと企業家た
ちと面談を行う予定である。

あれこれ

「ドリンスク市長の辞職願」

 さる7日、ドリンスク区域住民はドリンスク市長の辞職願を区域議
会に提出した。数年間、寒い冬暖房のない生活を余儀なくされたその
責任を問っての決断であった。議会が辞職を検討する間、エンーシニ
ャフスキ第一副市長が代理を勤めるが、同じ理由で2001年にも市
長が辞職したことがあり、今回の辞職願が通れば再び市長選挙を行う
ことになる。

「ゴルノザヴォドスクとシェブニノが村に」

 ネスク区域議会はゴルノザヴォドスク市とシェブニノ部落を「村」
にすると決めた。しかし、住民はこれに反対して1人が署名書を議会
に送ったが、受け入れられず、市民は議会を相手に裁判を起こすと強
気を見せている。

「電力窃盗犯探し」

 最近、サハリン電力会社が電気の不法使用者探しに取り組んでいる
。調査を通じて個人住宅に住んでいる人たちの殆どが料金を払わずに
何らかの措置をかけて不法で電力を盗んで使っていることがわかった
。個人住宅の他、車庫、地下室、サウナ、プールなども電力を盗んで
いることがわかった。大きい住宅の場合、月1千キロワットの電気を
使っているのに、60キロワットしか使わないことになっている。昨
年の4月、このように無断使用電力量が193.5万キロワット、お
金に換算すれば328万9500ルーブル相当の電力が盗まれた。電
気料金をきちんと払えば、老化した設備の修理も燃料購入もでき、エ
ネルギー問題は解決できると電力会社は訴えている。

サハリン韓人のど自慢大会、今年も盛大に

 さる22日、ユジノサハリンスク市にある「オクチャブリ」映画館
でロシア韓人移住140周年を記念するサハリン韓人のど自慢大会が
開催された。サハリンでは今年で5回目。今年は、韓国KBS社会教
育放送と在外同胞財団主催、ウラジオストク韓国総領事館、サハリン
テレ公社、ウリマル放送主管、韓国赤十字社、アシアナ航空後援であ
った。公式社会は韓人若者のチェロマンさんと金ジェンニさんが担当
し、本番司会は例年通りKBSの許ウンジョンアナウンサと有名な作
曲家兼歌手の李ホソプさんが担当した。予選を通過した16人の熱戦
の結果、人気賞は祖母と一緒に‘アパート’を歌った5才の朴ユリさ
んの他3人に、ソウル往復チケットが賞品となっている大賞は「幸せ
な私」を歌った朴アレクサンドル君がとった。例年通り、今年も子供
や孫の歌う姿や母国の歌を聞きに来た同胞たちで映画館は満員であっ
た。
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◆ 現代語感:[不条理]              MK
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 ふじょうり ―でうり 2 【不条理】 
(名・形動)[文]ナリ
(1)筋が通らないこと。道理が立たないこと。また、そのさま。
「―な判定」「―な事件」
(2)〔哲〕〔(フランス) absurdit〕実存主義の用語。人生の非合
理で無意味な状況を示す語としてカミュによって用いられた。
[派生] ――さ(名)
______________
  
 イラクへの多国籍軍参加、年金法案の成立過程、出生率データの後
だし、道路行政、社会保険庁の無駄使い・・・。枚挙に暇がない。

 いまアメリカでマイケル・ムーア監督の「華氏911」の話題が沸
騰。

⇒映画を見た米人市民、オードリーさんは市民が何もしないから「と
んでもないのが(ブッシュ)のさばるのよ」と怒りの声を上げた。

⇒若者の政治離れが。だからわが国も「とんでもないのがのさばり、
不条理の世界を闊歩する?」 
─────────────────────────────────
◆寄稿 サンチャゴレポート9「黄色い悪魔(その2)塩田悦三郎
─────────────────────────────────
 今回も本レポート1で述べたサンチャゴ市内を走る「黄色い悪魔」
にまつわるお話。
 はじめは、「車内販売」についてのお話。「車内販売」というと日
本では新幹線の「車内販売」をイメージされるでしょうが、サンチャ
ゴでは「バスの中での販売」を言います。あの悪名高い市内バス「黄
色い悪魔」の中での販売活動です。停留所で乗客の昇降が終わるや否
や、時には走行中のバスに飛び乗っていろんな商品を販売する。

 取扱商品は、菓子類・アイスクリームから始まってボールぺん、お
もちゃ、シール、新聞、新商品の歯磨きなど種々雑多。値段は100
ペソから1000ぺソ(日本円で20〜200円位)が標準。時には
商品を座っているお客のバッグの上に勝手において行って代金の回収
をする。もちろんいらない意思表示をすれば引き取って行く。何だろ
うかと思って開封したら代金を支払わなければならない。

 ギターの弾き語りもある。グループで歌うこともある。大道芸人な
らば聞く聞かないはこちらの勝手だが、バスの中ではそうはいかない
。楽しんだと思えばなにがしかを支払う。変わったのでは、演説をす
る者がいる。私は何を言っているのか分からないので支払わない。

 彼等はバスを自由に乗り降りしている。適当なところで降りて、戻
りたくなったら、反対方向のバスに乗る。バスの走行中でも乗り降り
する。危険を感じさせない身のこなし。運転手は彼等の乗り降りを黙
認している。時々、運転手自身が彼等からアイスクリームを買い、食
べながら運転をする。

 「車内販売」を装って引ったくりを行う者もいる。被害にあった女
性から直接その話をきいた。前方座席で携帯電話を掛けていたところ
、アイスクリーム販売の風をした男がダンボール箱を持ってバスに乗
り込んできた。使用中の携帯電話を引ったくるやいなやバスから飛び
降り逃げ去った。車内には空っぽのダンボール箱が転がっていた。
 
 次は「黄色い悪魔」の外側でのお話。停留所または赤信号で止まっ
たバスの運転手に,同一経路のバスの運行状況を知らせる商売がある。
彼等は運転手からなにがしかの情報提供料をもらっている。サンチャ
ゴのバスは、停留所で横に二重停車が普通で、三重停車、時には四重
停車もする。彼等はバスとバスの間隙を縫って,運転手に情報を提供す
る。命がけである。情報提供を受けた運転手は、ライバルを追い越そ
うと思って恐怖のカーレースを行う。

 サンチャゴの市民にとっては、バスは最も有効な交通手段である。
危険を承知でもこれを利用しなければ生活できない。急ブレーキ・急
発進・急な車線変更は日常茶飯事。お客は必死に肘掛や前の座席のバ
ーにしがみついている。私も例外ではない。時々最前列の座席に座り
、このカーレースを楽しむことがある。

 サンチャゴの市内バスは、すべてベンツかボルボ製で頑丈だ。しか
し人間はそれほど頑丈でない。

「運転手さん、お客を乗せてのカーレースだけは止めていただけませ
んか。」

「ほら、あそこで手をあげている人がいますよ。歩道側の車線を徐行
しなければ停車できないではないですか。」
─────────────────────────────────
◆20代のぼやき: [総合学習センター]        有木優一 
─────────────────────────────────
 現実に大国を国際戦犯として「イラク戦争」を裁くことが出来る国
際機関は存在せず、事実上罰することは出来ない。

 イラク国際戦犯民衆法廷京都公判」をご存知だろうか。ブッシュ米
大統領、ブレア英首相、小泉首相を市民の手によって民衆法廷にかけ
、イラク戦争の実態を認識し、国際法に照らし合わせて、裁いてみよ
うというこの民衆法廷。僕はこのイラク国際戦犯民衆法廷京都公判の
広報・宣伝プロジェクトチームのスタッフとして、チラシやポスター
の設置のみではあるが、参画している。

 先日、その活動としていくつかの公共施設を出回った。しかし、イ
ンパクトを狙ったデザインが、政治色が強すぎるレイアウトとなって
しまったためなのか、「政治色の強い偏った考えのポスターは掲示で
きない」として、「総合学習センター」ですらも設置の許可が下りな
いという事態となった。おそらく、公共施設である「総合学習センタ
ー」にそのような政治色の強いポスターを貼ることは立場上受け付け
られないのだろう。しかし、彼等は、偏った考え方へ住民を扇動させ
てしまうようなポスターは貼れません、と言いたげだった。なぜ、扇
動させてしまうのでしょうか。

 世論として、イラク戦争はすでに反対の立場を取る人も多数存在し
ている。しかし、日本の外交上止むを得ない状況であることも当然認
知されているはずだ。それらを踏まえた上で執り行われる民衆法廷で
ある。これは扇動を目的とした活動ではなく、民衆法廷と銘打って「
イラク戦争」について考える場を提供するために設けているだけなの
だ。仮に、扇動を危惧するような場であったとしても、参加者がそれ
によって扇動させられてしまうほど無知ではないだろう。そういった
議論の場をも排除してしまう「総合学習センター」は本当に「総合学
習センター」と呼べるのであろうか。「総合学習センター」たるもの
が、イラク戦争の学習の場を排除すること自体、疑問を感じる。

 政治に対する不信感から、投票に行かない若者が急増している。投
票率を上げるためには、政治に興味を持つことが先決であると思うが
、故意に興味を持つ機会を排除されていて、どのようにして興味を持
てというのだろうか。
─────────────────────────────────
◆[韓国新聞拾い読み]                       編集部
─────────────────────────────────
  【社説】派兵前に現地公館にメスを(中央日報)

  金鮮一(キム・ソンイル)氏殺害事件で、韓国外交の総体的な問題
点がまないたに上がった。外交部のホームページには抗議が殺到して
いる。韓国外交の力量とレベルに対する外交部の痛恨の自省を求める。 

  政府のイラク追加派兵方針が確定されてから9カ月も経過した。徐
煕・済馬(ソヘ・チェマ)部隊がすでに2期の交代を行いながら派兵
され、活動している状況だ。さらに中東地域に常駐する韓国人が1万
人にものぼり、全19の公館がある。韓国が中東に公館を本格的に開
設し始めてから30年が過ぎた。にもかかわらず政府がイラク国内に
充実した情報収集体系も構築できず、右往左往するような姿を見せて
いるのは、とうてい理解ができない。外交部は大きな事態が発生すれ
ば、人員不足をのせいにするが、果たして現在の人材を地域状況に合
わせて効率的に運用しているかどうかも疑問だ。
_________________________________

 どこかの国の外務省も外国にある公館にもメスを!
「公僕」って言葉も死後か?
─────────────────────────────────
◆[編集長から]              Michio Katayama
─────────────────────────────────
 参議院選挙が始まりました。選挙こそ参加することに意味があるの
ではと考えます。なんてったって、主権在民の国に住んでいるのです
から。

◆7月に予定された父の70歳誕生日に出席するため韓国への帰国だ
けを待ちわびていた金鮮一(キム・ソンイル)さんは、遺体となって
故郷の釜山(プサン)に26日に帰ってきた。(朝鮮日報)

 イラクでの犠牲は広がる一方。

◆北朝鮮は「核実験実施」で各国を恫喝。ここでもとんでもないのが
のさばる。

◆啄木のように「悔い」ある思いをしないよう、投票に行こう!
政治は国民が決めるのだ。

   この日頃
   ひそかに胸にやどりたる侮あり
   われを笑はしめざり         石川啄木   
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発行     2003年6月29日   No.173
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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