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タイトル:609studio No.169◆現代時評:「首相の重みと、軽ろみ」  2004/06/01


───────◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇──────
                              2004/6/1 No.169
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セ・コリョ」ダイジェス
 ト版、その他、寄稿記事など話題満載! 
           URL ⇒   http://www.609studio.com
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   〒530-0015 大阪市北区中崎西4−2−21−609
             609studio あて

     ◇◆◇韓国MBC放送「フォトエッセイ」◇◆◇ 

 今年2月にサハリンで取材中のところを韓国MBC放送が取材して、
4月に韓国で放映された「フォトエッセイ」という番組のビデオを掲載
しました。(MK)

  http://www.609studio.com/html/movie/sakhalinstory-2.html  
       
───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:「首相の重みと、軽ろみ」                 ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年5月28日号

◆現代語感:[国策]                    MK

◆寄稿 サンチャゴ レポート5:「路上の軽業師」  塩田悦三郎

◆20代のぼやき:[JR大阪駅にて]             有木優一

◆韓国新聞拾い読み:                          編集部

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 :「首相の重みと、軽ろみ」             ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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◆◆アサヒコム 2004/5/24 北朝鮮側から「死亡」などとされ
た安否不明者10人の家族らは、小泉首相訪朝の結果に失望し、怒りを
あらわにする。首相が取り付けた「再調査」の約束は確証がない。「こ
のままでは拉致問題の解決が遠のく」という焦りもある。
  「これが一国の首相が国民を背負って交渉した結果か」。 北朝鮮に
よる拉致被害者家族連絡会(家族会)副代表の飯塚繁雄さんは23日、
東京都内での記者会見で、厳しく首相を批判した。

◆◆アサヒコム 2004/5/25 「北朝鮮による拉致被害者家族連
絡会」が訪朝後の小泉首相と面会した際の発言に、批判が出ている。増
元照明・家族会事務局次長(48)は25日午前、拉致議連総会で「ご
批判に対して」と題する家族会や支援団体「救う会」の見解案を読み上
げた。
 救う会によると、首相と面会した家族会メンバーが訪朝結果を批判し
た22日夜から、メールが500件、電話が100件、救う会にあった
。4分の3は「首相に感謝の言葉がない」「拉致被害者の家族の帰国を
喜ばないのか」などと批判する声という。

◆◆毎日インタラクティブ 2004/5/25 25日午前、閣議後に
行われた閣僚懇談会で、中川昭一経済産業相が22日の日朝首脳会談に
ついて「たった1時間半で終わったのはおかしい」などと小泉純一郎首
相に直接、不満をぶつけた。(中略) 外交問題で閣内から異論が提起さ
れるのは異例だ。25日午後には衆院本会議で首相の訪朝報告が行われ
るため、野党に格好の攻撃材料を与えそうだ。
 中川氏は会談時間のほか、首相が迎賓館の玄関に立って金正日総書記
を出迎えたことについても「軽く扱われ、一国の総理として権威が損な
われたのではないか」と疑問を呈した。首相は「普通の首脳会談は1時
間だ。言うべきことは言った」「宿舎になっている迎賓館に総書記があ
いさつに来る形を取った。そういうことを理解しないで発言されては困
る」と反論した。


■■ずっと以前、たしか「ポッダムの7日間」とかいうタイトルの映画
をTVで見た記憶がある。 チャーチルとスターリンと、そして、ニク
ソンがホテルに集まり、日本をどう処理しようかという話のときのこと
だ。 
 チャーチルは牛のような巨体にステッキを手にして葉巻を咥え、悠然
として現れた。スターリンは自慢の髭、それに胸いっぱいの勲章で飾り
立て、傲然たる姿でやってきた。 ところがニクソンは、大西洋の船旅
ダンスを楽しみながら、ゆっくりと航海してきた。
 ポッダムのホテルでは、チャーチルとスターリンが精一杯の重厚さで、
駆引き外交の限りを尽くした。ところが、新任の米大統領はスマートな
体型の上に、駆引きらしき素振りはいっさい見せず、すべての交渉を事
務的に進めたのである。
 重苦しい会議は、中休みに入る。ニクソンが「ちょっと失礼」と言っ
て隣室に行き、ピアノ椅子に座るとともに、なにか軽快な曲を弾き始め
た。それを眺めたチャーチルが感に堪えかね、「偉い男だ、あの若い男
は・・」と、つぶやく。
 大英帝国を象徴する重厚なチャーチルと、至上の権力を誇示するスタ
ーリン元帥と、事務的で実業家風のニクソンの姿がひじょうに対照的で
あった。
 おそらく、老兵英国と権力国家ソ連を揶揄するための、アメリカによ
る精一杯の風刺映画であったろう。

■■そしてたぶん、あの映画から30年か40年が過ぎた。
 いまやわが日本にも、細身な青年風の首相が存在するようになった。
 おそらくそれは細川首相以来で、物腰、言葉つきとも、かっての政界
領袖の「重み」と「獅子吼調」は消え去ってしまっていた。
 とくに小泉首相などは、癇を立てれば立てるだけ、怒鳴れば怒鳴るだ
け子供っぽく見え、我々はそれを不思議とも思わない。チャーチルのよ
うな、佐藤栄作のような重厚な姿を、ボクらはわが首相の理想像とは思
わなくなったのである。

■■旧態依然の議員諸公が、もし少々恐持てを狙っても、それは所詮わ
れわれのテーストに適合せず、千葉県選出元議員のごとく暴力を売り物
の安タレントに身を崩すか、さもなければ強持てし過ぎて首相候補から
外されてしまった亀井議員のような前途があるだけである。

■■つまり、いまの時代の政治家ファッションは、小泉さんのような軽
薄型が時代向きなのだ。換言すれば、重厚で大仰な政治家というのはオ
ールドファションで、いまの世代の好みに合わないのである。
 と、そう思っていたのだが、そうした軽薄短小型政治家にもチョット
した難点があることがぼつぼつ分かってきた。 北朝鮮の拉致問題が発
端だ。ここのところ北朝鮮の金将軍という、かってのスターリンにも似
た相手と、「拉致問題」なる、いっけん首相が扱うべき国家的大問題で
ないにも拘わらず、それでいて「国民感情」という摩訶不思議な理由で
、首相自身が直接乗り出さざるを得ない事件が起ってしまった。そして
そこでは、小泉という率直型政治家が、狸のような、そして鵺のような
金将軍に翻弄されてしまうことになったのだ。 単純と率直が売り物の
小泉首相にとって、いちばん手ごわい相手が、他ならぬ金将軍のような
人だったのである。

■■よき獲物を見つけたマスコミと野党諸君、のみならず次期政権を狙
う与党幹部諸君らがこれを見逃すハズはない。
 もっと用意をして行くべきだった。もっと強硬に金将軍と交渉すべき
だった、はやまって援助を出し過ぎて失敗だった。あるいは、玄関に立
って金正日総書記を出迎えるなどは「軽く扱われ、一国の総理として権
威が損なわれる」などなど、軽い首相を見込んでの悪口雑言が巷に、
そして政界に溢れる。
 結果、せっかく5人取り返して、成功のはずだったのに、小泉首相の
今回の北朝鮮行きは、大して誉められもせず、毀誉褒貶、ほぼ拮抗する
ことになってしまった。 小泉氏としてはまことに心外だろう。

■■せっかくあれほどまでに努力して、非難されては堪ったものではな
い。他にどんないい方法があるというのだ、あれば教えて呉れ、と小泉
首相としては言いたいところだ。
 ボクなどは前々から、「首相が当座の成否に拘わらず、何度でも北朝
鮮を訪問すれば、必ずいい答えが出るだろう」と言い続けてきたし、
その意見に、ボクは今なお変りはない。

■■しかしそれに大反対の専門家も居るらしい。その代表格が元駐米大
使村田良平というご仁だ。 彼は言う・・。
 「私が日本の将来との関連で危惧を抱いている問題がある。それは、
他の主要な国々に比べ、日本の総理大臣の職がいかにも軽いものとなっ
ていることだ。政府の最高責任者が民衆により近いものとなっているの
は世界的現象で、民主主義からみて、自然な流れだ。だが、日本の場合
には、総理の威厳と重みが認識されていなかと思われることが起こる。
さきのイラク人質事件に際して、人質の家族は総理への面会を求めた。
あの時点で関係家族に会う必要は全くなかったので、小泉総理がとった
態度は当然であった。家族たちは、常識を欠いていたわけだが、私が驚
いたのは、この「非常識」ぶりを批判したメディアがほとんどなかった
ことだ。これは「不見識」であった。」

 「今や、首脳外交は日常茶飯事といってよい。しかし、首脳レベル外
交には当然とされる条件や慣行がある。国交のない国相互間では訪問は
原則としてそもそも行われない。逆にいえば、首脳レベルでしか打開で
きない問題がある場合にのみに限り、それもこちらから行けば、つぎは
先方から来るという暗黙の外交マナーがあり、今回のように小泉首相片
側からの再訪などは一国の首相としての重みを失するものであり、日本
国としてとるべき態度ではなかった…。」

■■なるほどそれで判った、日本におけるプロの外交官が、いまなおこ
うした前時代的な外交慣行を金科玉条にし、それによってわが国が世界
に重きをなしていくべきだ、と考えていることが…。

 体裁と体面を重んじ、相互均衡による秩序正しい外交交渉を重ね、そ
れで外交上の難問が解決されるならば、なるほどそれに越すことは無い。
ところが相手は、ブッシュさん相手に1歩も引かず、核開発を進めよ
うとする怪物金将軍のことだ。とりあえず軽量率直の小泉首相では、
歯が立ちにくい。 強持てと強引さでは、彼、金将軍に叶いっこない。

 金将軍のような度胸男が背水の陣を敷いていては、その前でこちらが
いかに強硬に詰め寄っても、あまり勝ち目は無い。

 5月革命のときのヂスカールディスタンのように、「わが採るべき道
は【宥和】しかない」といわざるを得ない。 
 誠心誠意お願いし、頭を下げるしか他にどんな方法があろうか、とい
うものだ。

■■古い石頭外務官僚に助けられつつ、小泉さんも、「今回ははよくや
った」と誉めて差上げたいくらいだ。村田元駐米大使のような頑迷固陋
の官僚を相手にしては、田中真紀子さんでなくても、わが外務省の解体
を考えたくなるのはとうぜんだろう。

■■首相であるなしにかかわらず、一般的にいって重みのある政治家と、
軽い政治家と、どちらが立派な政治家であり、どちらが政治家として
成功するかとなれば、それは一概には言えない。

 むかし河野一郎というずいぶん強持てする政治家が居た。社会党領袖
で書記長だったこともある川上丈太郎が、講演会で述懐していた、「私
は河野さんが怖くて、あの人の前ではモノが言えなかった・・」。川上
丈太郎氏は学者で知性派、人となりが穏やかな政治家だった。
 その点、河野一郎氏は世俗的に言えばずいぶん重みのある政治家であ
った。がしかし、長年、首相に擬せられながら、結局は首相になれなか
った。

■■その河野氏が外相のとき、ソ連のスターリンに会いに行き、単独面
会したが、そのときの会見記録が、後日に彼とスターリンの間でだいぶ
食い違っていたとかで、スターリンに謀られたと、のちに評判になった。
 彼、河野氏は「いまやシルクハット外交の時代は過ぎた」と唱えて、
念願通りスターリンとサシで話をしたのだが、それが裏目にに出たので
あった。
 学者の川上丈太郎を震えあがらせても、スターリンに勝つことは出来
なかった、というわけだ。

■■アメリカだって同じで、イラクを一時震えあがらせることは出来て
も、テロと名付けるゲリラ戦には手を焼いている。
 日本の政治家などは、本来優さ男に生まれついているのが殆どだから、
自分の態度に重みなど付けようとしないで、誠意を尽くし、日時をかけ
て相手を説得する方がいいのではないか。たとい、軽いと言われても、
やむを得ない。

 というようなわけで、評論家や野党政治家諸君が、小泉率直首相に対
して、やたらと重みを見せたり、外交の手練手管を奨励するような言動
は慎んで欲しいもの、と、ボクは思う。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] 2004年5月28日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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セコリョ新聞創刊55周年

 サハリン韓民族セコリョ新聞が今年6月1日で創刊55周年を迎え
た。セコリョ新聞は全ロシアでハングル(韓国文字)で発刊される唯
一の新聞であり、過去55年間サハリン韓人社会に民族言語と文化、
風習、伝統の継承発展に大きく貢献してきた。又、同胞界の情報のみ
ならず、祖国のニュースを広く知らせる役割を果たしてきた。
 その間、経済難をはじめ多くの難関があるにも関わらず、使命感を
もって仕事を続けてきた社員の努力と読者や支援者の皆様方の声援に
心から感謝する。  
 同胞界を代表して、これからも社員一同力を合わせ頑張っていくこ
とを願いながら、一層の発展をお祈り致します。
          サハリン州韓人協会・老人協会・離散家族協会
サハリン州知事訪日 

 日本外務省招待でサハリン州イ・マラホフ知事が今月19日―24
日まで日本初の公式訪問を行った。州知事は25日訪日報告の記者会
見を開いた。知事によると、日本の外務省、日本駐在ロシア大使、日
本国会代表、北海道選出国会議員、北海道知事、函館市長、そして日
本企業家代表たちと面談した。今日、政治及び経済分野での日露交流
はサハリンを中心に行われており、最近15年間サハリンと日本との
文化、スポーツ分野の交流が続いており、現在は日本大企業がサハリ
ンの原油ガスプロジェクトなどに参加している。
 州知事は養魚場建設への日本側の協力、昆布輸出クォタ−、石炭部
門共同事業、ガス管と鉄橋建設の重要性について強調した。

世界韓人指導者大会開催

 今月の31日―6月2日までソウルで開催される世界韓人指導者大
会に参加するために、サハリン州韓人会朴・ヘリョン会長が訪韓した。

サハリン−5設計進行

 先週サハリンを日帰りで訪問した「ロスネプチ原油ガス会社」エス
・ボグダンチコフ総裁は一日で株主会議を召集すると同時に記者会見
を開き、「英国ペトロルレウム社」と共同で<サハリン―5プロジェ
クト>の油田試掘事業をはじめると発表した。
<サハリン5―プロジェクト>は初期に巨額の投資を必要とされるが
、当社は本事業への投資準備は勿論のこと、社会文化部門への巨額の
投資も検討中であると伝えた。当社はノグリキ村営病院工事の完成も
支援する予定である。総裁はコルサコフ区域のプリゴロドノエガス液
化工場建設現場も視察した。

サハリン州連邦総監督官在任確定

 カ・プリコブスキロシア極東大統領全権代表の発表で現セルゲイ・
ザリツキサハリン州連邦総監督官の在任が決まったことがわかった。
8人の候補者から選ばれた現総監督官は2002年6月から現職に
ついており、以前はドルズバ水産コルホズを長期間指導しており、
2回サハリン州議員を歴任した人物である。現在ロシア連邦3等官。

ユジノサハリンスク市整備スタート

 先週開かれた州と市政府指導者会議で、サハリン州政府がユジノ
サハリンスク市整備作業のために、「ゼレストロイ社」に1億ルー
ブルを割当てたことがわかった。整備作業の具体的内容は道路包装
、第9、14アパート団地の美化と安全装備設置などでる。州政府
はこの他にもユジノサハリンスク市の衛生と美化のための管理指針
を厳しくする方針であると伝えた。

南クリルに放送局設立

 クリル島の経済発展プログラムの一環としてユジノクリルスクに
テレビ中継放送局が設立された。現在モスクワの4つのチャンネル
を流している。

あれこれ

「リサイクル技術セミナー」

 18ー21日間、サハリンで食品工業におけるリサイクル技術に
ついてのセミナーが開催された。セミナーには規模の大きい生産機
関指導者たちが招待されて出席したが、参加者達はアルコール工場
とジュース工場を見学した後、サフンセンターでリサイクル技術と
野生果物と山菜の加工についての講演を聴いた。

「法律学コンテスト」

 先週サハリン国立総合大学法律学科在学生たちの法律学コンテス
ト「コンサルタント・プラス」が開催された。コンテストの目的は
市場経済で働く才能ある大学生の選抜である。コンサルタント・サ
ハリン社の後援し、法律専門家と研究者が審査委員を務める当コン
テストの優勝者はソ・アンドレイさんであった。

「新しい屋根を」

 ネベリスク市ゼレズノドロズナヤ通りにある5階建てのアパート
の屋根が火事で燃える事件が最近起きた。その後大雨が降り住民に
大被害が及んだ。先日、ネベリスク市は100万ルーブルをかけて
新しい屋根を作った。しかし、まだ犯人は見つかっていない。

有功同胞母国訪問

 ロシア移住140周年を迎え、韓国在外同胞財団がCIS地域の
有功同胞母国訪問事業を行った。独立運動家やその子孫など25人
が招待を受け参加したが、サハリンからは老人会の全・サンジュ会
長とユジノサハリンスク市韓人会の金・スンザ書記が招待された。
全会長は1919年独立運動に積極的に参加した父全・チャンリョ
ルさんの子孫の資格で招待されたのである。

韓国大学との交流協力関係実践に移る

 昨年11月、ユジノサハリンスク経済情報法律大学と韓国の東西
大学が交流協定を結び、交換留学生と研修支援などを約束した。メ
ディアとIT分野に強い東西大学は既に各国から1800人の留学生
を受け入れている。
 昨年の協定書条項通り、今年の6月末―7月初春頃東西大学がわ
が大学で技術研修を実施する。研修授業はロシア語と韓国語と二つ
にクラスに分かれて行う予定であり、一クラスの定員は13―15
人を予定している。研修内容はパソコン・ネットワーク管理と編集
などのコンピューター関係。この他に交換留学生プログラムも実行
され、9月には当校から一人が東西大学に留学し、当校も韓国から
も2人の研修生を受け入れる予定である。
 (ユジノサハリンスク経済情報法律大学広報部ゲ・ワシリエワ)
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◆ 現代語感:[国策]                 MK
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  国の政策。特に、一般の政策に対して、国家の基本的方針の意で用い
られる。
______________
 イラクで邦人ジャーナリストが殺害された。「国策」に反する行動だ
と自民党あたりから聞こえてきた。またこれを擁護する大学教授などが
「政府は(イラク渡航を)規制すべきだ」と叫びだした。幸い細田官房
長官は「海外において邦人がいろいろな災難に遭った時に、対応するの
は政府の責任」と。
 国策という言葉が聴かれるようになった。自己責任論の次は国策論。
人質になって「生きて帰れば」自己責任でバッシング。今度の事件のよ
うに殺害されれば国策を持ち出して、自衛隊のイラク派兵を危うくする
輩を排除するという論理だ。
 非国民、自己責任、救出費用の支払い、国策・・・。冗談じゃない。
この国はどうなってしまったのか。そのうち「大本営発表」で情報操作
がまかり通る。
 現に読売新聞はイラクから撤退した。時事通信の現地からのニュース
やカイロ特派員がカバーしているようだが、時事通信の記者が国策で撤
退したら、読売は大本営発表を掲載する?

 こんな事態を「情報非常事態」という。
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◆寄稿 サンチャゴレポート5「路上の軽業師」  塩田悦三郎
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 サンチャゴには日本では見ることのできないものが沢山あります。そ
の一つは「路上の軽業師」です。大道芸人は日本でも見ることがありま
すが、「路上の軽業師」は、歩道でなくて車道で芸を披露します。赤信
号で停車した数台の車の前で宙返りやいくつものバトンを巧みに操るの
です。たった30秒か40秒の間にそういう演技をやり、停車していた
車の運転手から何がしかのお金を頂くのです。ドライバーはあげてもあ
げなくてもいいのですが、大半はあげています。大体100ペソか20
0ペソで、日本円に換算すると20円か40円というところでしょうか
。彼らはほとんど中学生か高校生位の男の子です。

 赤信号で停車した車に対しては様々なパーフォマンスがあります。窓
ガラスの清掃もその一つです。前の窓ガラスはもちろん後ろの窓ガラス
も短時間にきれいにしてくれます。もし必要がなければ手を振って断れ
ばいいのです。その他、お菓子・果物・野菜などの販売もあります。こ
ちらは「路上の軽業師」とは違って年齢も高く、男性ばかりでなく女性
も販売をしています。母の日にはカーネーションを販売するというよう
にドラバーの心理を巧みに捉えた商売です。

 青信号で車が流れている時の彼等の待機場所は歩道ばかりでなく、車
道の真ん中で待機している場合もあります。中央分離帯があればいいの
ですが、ない場合は危険きわまりありません。
 
 たった30秒から40秒の間に演技して、何台もの車から集金するこ
れはまさに「路上の軽業師」ではありませんか。ドライバーからみたら
赤信号で停車すると100ペソか200ペソを払うことになるので、ド
ライバーはダッシュボードにかなりの小銭を用意していなければなりま
せん。

 場面は違いますが、スーパーのレジで精算している間に買った品物を
ポリ袋に詰めてくれる若い子達がいます。その子達へはやはり100ペ
ソか200ペソをあげます。私自身最初はあげることに抵抗があったの
ですが、こちらの人が普通にやっているので最近はあげるようになりま
した。もちろんあげなくても問題はありません。
 
 日本では考えられないことですが、スーパーで精算の時、レジの女性
が「端数(1ペソ〜9ペソ)は寄付しますか」と聞くことです。どこに
寄付するのかわかりませんが「ハイ」と答えるようにしています。ちゃ
んと貧しい人に渡してくれればいいのですが。

 今回は日本ではあまり見られないことを書きました。次回は‥‥‥。       
─────────────────────────────────
◆20代のぼやき: [JR大阪駅にて]          有木優一 
─────────────────────────────────
 阪急梅田駅界隈を歩く僕。おそらく誰も僕のことなど知っているはず
もないだろう。そして、僕も彼らを知らない。ただ、すれ違い様に、無
機質な物体ではなく、痛みや感情を持つ人間であることを確認するぐら
いの関心を互いに持つが、それ以上はない。

 しかし、僕はこの都会の雑踏の中で、去年の今頃の自分を彷彿させる
就職活動中の大学生に興味が注がれるのだ。先日、検索サイトYAHO
O!のトピックスと見ていると、こんな内容の記事が掲載されていた。

 今年、大学に入学した学生に「大学生活で何を頑張りたいですか。」
という質問をしたところ、毎年ランキング一位だった「サークル活動」
を抑えて、新入生等は声を揃えて、「大学では、勉強(資格等の取得)を
頑張りたい。」と、それまで一位だったサークル活動を抜いて一位に躍
り出たそうだ。

 このような変化は、この記事の中でも述べられていたが、大学生の就
職難という現状が一つの大きな要因であるように当然として考えられる
。新入生ですら「サークル活動」ではなく「勉強を頑張りたい」と言う
ことが、最も顕著に現在の大学生における就職活動が芳しくない状況を
物語っている。去年の今頃、僕は大学の就職活動が年々早くなり、3回
生の冬には内定を貰っている学生がいるという記事を見て、彼らの就職
活動に対する意識の高さに驚いていた。それも束の間、一年経った今日
では、大学に入学したときから、就職するために「勉強を頑張りたい。
」と考え、入学してくるようになるとは、これもまたそれ以上の驚きだ
った。

 こういった状況下では、大学生の学力低下が叫ばれ、割り算が出来な
い大学生が増えている、という理解しがたい問題の解決に繋がるかもし
れないが、この就職難を本当に何とかしなければ、本来大学のあるべき
姿も、霞の向こうへ雲隠れしてしまう恐れがある。大学とは、就職する
ための学校ではなく学ぶための学校であるはずだ。

 今まで日本が歩んできた道を振り返ると仕方ないことなのかもしれな
い。しかし、時代の流れが、大学をも飲み込んでしまい、大学を「専門
学校化」してしまうとは、これからの「大学」に一抹の不安が残る。
─────────────────────────────────
◆[韓国新聞拾い読み]                       編集部
─────────────────────────────────
[オピニオン]ハッキング部隊  東亜日報

 「20××年×月×日。首都ソウルに蜘蛛の巣のように張りめぐらさ
れたコンピューター・ネットワークが事故を起こし出す。電力の供給が
中断し、電話、交通、金融などのすべての電算システムがマヒし、都市
は一瞬にして混乱に陥る。国防情報ネットワークもダウンして、各軍の
指揮統制が不可能になる。幸い戦闘機の離着陸は手動でできるが、本部
の戦術統制は機能せず『目の見えないカラス』のようだ…」。『ハッカ
ー戦士(hacker warrior)』が主役で登場する南北サイバー戦争の仮想
シナリオだ。

◆本格的戦争に突入する前段階を描いているこのような状況が、果たし
て現実のものとなり得るのか。答は「十分に可能だ」である。北朝鮮が
人民武力部偵察局傘下に、ハッキング部隊を運営しているという事実が
確認されたからだ。他のことはともかく、コンピューター・ソフトウェ
ア開発分野では他国に後れをとらないと自負する北朝鮮だ。ハッカー戦
士を養成する人的資源も豊富だということだ。「育成された一人のハッ
カーは1万人の兵士に勝る」という言葉から分かるように、これは北朝
鮮には見逃すことのできない「新天地」であったろう。(後略) 

───────────
 「ハッキングのための精鋭部隊を運営しており、韓国側の国家機関・
研究機関の情報を収集するなど、サイバー上のテロ活動を強化している
ことが判明」したとしている。東亜日報の[オピニオン]はこの現実を
割りに軽く取り上げているようだが、事態はもっと深刻なのかもしれな
い。
─────────────────────────────────
◆[編集長から]              Michio Katayama
─────────────────────────────────
 先週末に友人と久方ぶりに飲む機会がありました。彼はこの国の行く
末にまったく希望を持てないと嘆いていました。「右傾化、年金、その
他諸々の今を取り巻く問題」に展望を見出せないというわけです。事情
が許せば「この国から逃げ出したい」と。気持は筆者も同じです。
 その夜の酒は久々の再開で楽しいはずが苦い酒になったことは言うま
でもありません。

◆イラク戦争開戦以来の米兵死者数が27日、800人に達した。(A
P通信)一方ジャーナリストの死者は43人。(毎日新聞)

◆一方イラク人の死者はAP通信によると「イラク戦争後、暴力行為に
より死亡したイラク人の数が、首都バグダッドと三州だけで少なくとも
5500人に達していると報じた。しかしイラク各地で頻発している爆
弾テロなどでは死体が家族のもとに直接届けられるのがふつうで、統計
に含まれないケースが多い。

◆パウエル米国務長官は28日の外国人記者団との会見で、曽我ひとみ
さんの夫、元米兵チャールズ・ジェンキンスさんの処遇について「現在
も米陸軍の脱走兵だ」と。小泉首相は「私が保証する」とジェンキンス
さんにメモまで示して。首相にはどんな勝算があったのだろう。ジェン
キンスさんのほうが冷静。

 これは首相は功をあせってのフライング?
─────────────────────────────────
発行     2003年6月1日   No.169
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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