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───────◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇────── 2004/5/25 No.168 【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る！」をコンセプ トに論説委員Ｋｅｎ氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セ・コリョ」ダイジェス ト版、その他、寄稿記事など話題満載！ URL ⇒ http://www.609studio.com ───────────────────────────────── ◇◆◇「サハリン・アリラン」ＣＤプレゼント◇◆◇ このほど韓国人歌手（ソウル在住）李・在聖さんが歌うサハリン・ア リランのＣＤ試聴盤が完成しました。読者の皆様にプレゼントいたしま す。必要な方は下記宛郵便切手１４０円を添えてお申し込みください。 〒530-0015 大阪市北区中崎西４−２−２１−６０９ ６０９studio あて ◇◆◇韓国ＭＢＣ放送「フォトエッセイ」◇◆◇ 今年２月にサハリンで取材中のところを韓国ＭＢＣ放送が取材して、 ４月に韓国で放映された「フォトエッセイ」という番組のビデオを掲載 しました。（ＭＫ） http://www.609studio.com/html/movie/sakhalinstory-2.html ───────────◆◆◆ＩＮＤＥＸ◆◆◆─────────── ◆現代時評:[近ごろ３者３様の大盤振舞い] ken ◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版：２００４年５月２１日号 ◆現代語感：[自縛] ＭＫ ◆寄稿 サンチャゴ レポート４：「へそ出しルック」 塩田悦三郎 ◆２０代のぼやき：[事故現場] 有木優一 ◆韓国新聞拾い読み： 編集部 ◆編集長から：[この１週間] ───────────────────────────────── ◆現代時評 ：[近ごろ３者３様の大盤振舞い] ken Ｋｅｎ氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは info@609studio.com へ！ ───────────────────────────────── ◆◆毎日新聞 ２００４/５/１８ 小泉純一郎首相の北朝鮮訪問の準備 を進める政府代表団の先遣隊が１８日、北京経由で平壌入りし、市内の 高麗ホテルに現地準備対策本部を設置した。外務省や警察庁などの職員 約６０人が２２日の日朝首脳会談に向け、警備や通信手段の確保などの 最終調整を急ぐとともに、拉致被害者の家族８人の帰国・来日に関して 北朝鮮当局者と詰めの協議を進める。 警備担当者らの役割は、首脳会談場への移動ルートの事前調査や、沿 道の要所への警備担当者の配備。首相が休憩する部屋などの盗聴器探索 、暗号装置付き電話の設置など秘密保持のための作業も行う。 （中略） 外務省幹部は先遣隊の役割について「国交がない国では何が 起きても不思議ではなく、会談をいかに成功に導くかは下準備にかかっ ている」と解説する。 また、首脳会談当日の２２日に出発する本隊は 前回並みの約１２０人。 ◆◆毎日新聞 ２００４/４/１７ ２月２７日に東京地裁で死刑判決を 受けたオウム真理教の松本智津夫被告＝控訴中＝の国選弁護人に対し、 国費から総額約４億５２００万円の報酬が支払われたことが分かった。 １人の被告の国選弁護報酬としては、過去最高額とみられる。 地下鉄サリン事件など当初１７事件で起訴された松本被告には、１２ 人の国選弁護人が選任された。異例の大型国選弁護団が編成されたうえ 、初公判から判決までに７年１０カ月、２５７回の公判を要したため、 報酬額も膨れ上がった。 ◆◆サンケイＷＥＢ ２００４/５/２０ 国際的な奉仕社交団体ロータ リークラブの連合体「国際ロータリー」の年次大会が２３ー２６日、大 阪市西区の大阪ドームなどで開かれる。日本での開催は１９７８年の東 京以来２６年ぶりで、日本からの約３万６０００人を含め、世界約１０ ０カ国・地域から約４万７０００人が参加する「ロータリー史上最大規 模の大会」（実行委員会）となる。 ■■明治のニヒル作家斎藤緑雨に、たしかこんな一文があった「憤れる 者は湯に入らしめよ。湯果ててのち酒を与えよ、女を与えよ。しからば 天下一切の憤懣は雲散霧消すべし」。 言い得て妙である。 ■■理由はともあれ、北朝鮮の金将軍も憤っている。おまけに腹が減っ ている。このような人相手には、かって斎藤緑雨が言ったように、とに かく宥め、話合うことが先決だ。 ぼくは前にもこの欄で、先ず小泉首相が何度でも出向き、胸襟をひら いて話をすることが大切だ、といった。いまは飛行機の時代だから、終 末にゴルフ場へでも出かける気で、しょっちゅう北朝鮮へ出かけ、金将 軍と話をすれば、おそらく数回も行けば人質を返してもらうくらいなこ とは、そう難しいことではない、と主張した。 ■■だが、小泉さんは一回行ったきりで、あと１年数カ月は、海のこち らから禁輸を仄めかすだけで行こうともしなかった。ブッシュさんと同 じで、自分が先に意思表示をして断られたら体面が立たぬと、体面ばか りに拘って、相手と積極的に話合うことを避けた。世の早耳筋は、ブッ シュさんに言われて、日本だけで交渉するなと釘を指され、行けなかっ たのだ、という説もないではなかった。 ■■ところが今回は急に、８人の家族達を迎えにゆくと言出した。「さ ては本気になったか」と思ったところ、何のことはない、北朝鮮側から 「返すから、迎えに来い」と言って来たらしい。返してくれる気なら、 付箋をつけて送り返してくれればそれで済むものを、「首相が迎えにこ い」とは、何か強請りたいことがあっての下心だろう。 それを、迎えに行くその日まで話の内容をぼやけさせておいて、「自 分が行ったから取り返せたのだ」と、小泉さんは自分の手柄にして、参 議院戦を有利に進めようとの魂胆らしい。政治家らしい手法だが、それ はまあそれでいい。 ■■それより、ボクが問題にしたいのは、その大旅行だ。用意のための 先発隊が６０名、あとに続く小泉本隊が１２０名、つごう２００名の大 旅行である。さすが政府官僚も気が咎めたのか言訳をしている、「国交 の無い国では何が起るか分からぬから、すべての用意をしていく」と。 ■■用意といって警察や軍人まで連れていっても、もし先方が危害を加 える気なら、少々の人数では一たまりもない。通信が傍受されぬように 鉛筆ノートの類まで持参しても、全世界注目のアルカーイダの大物が新 潟辺りにアパートを借りていても気がつかなかったという、わが国の情 報管理能力ではタカが知れている。 この機会に、北朝鮮の国情を偵察とシャレ込もうとしても、相手は名 うての秘密国家で、とてもその辺りを自由に見物させてくれる国ではな い。 ■■ほんとうは首相一人で迎えに行けばいいことだ。 むかし戦後、アメリカからダレスという大物が日本経済に大鉈を振る いに来たときはカバン一つでやってきた。そのときのカバンのことをダ レスカバンといい、いまもその名が残っている。 マッカーサーがタラ ップを降りてきたときはパイプを咥え、オープンシャツ姿だった。 ぼ くらはその鷹揚ぶりと、自信のほどに圧倒された。 小泉さんが、丸腰、カバン一つで行たって、８人くらいを連れて帰る のは造作もない話ではないか。 ■■小泉首相がおっかなびっくりで、一人で行くのが怖ければ、太刀持 ち、露払いと、それに通訳の数人で行けばいいことだ、と、ボクは思う。 それをそれを６０名と１２０名の、複数の団体様ご一行で、金剛山観 光もしないで、日帰りとは勿体無さ過ぎる。税金の無駄遣いも甚だしく 、もし田中真紀子さんが大臣任期中なら、「ええ加減にしなさい」と外 務官僚を叱りつけるだろう。 それともその会見の席で、小泉さんを差し置いて、金将軍に堂々と渡 り合えるほど立派な官僚が日本側に居るというのか。そしてまた同じよ うなのが北朝鮮側にもいて、お互いが丁丁発止、侃侃諤諤、喧々囂々と 夜を徹して交渉するつもりなのか。 外務省や防衛庁が専門家ぶって、いかにも大仕事のように言うが、じ つのところは彼ら官僚諸君の、楽しい官費旅行にしか見えない。役人の 大集団旅行も甚だし過ぎる。 ■■つぎは例のオウム裁判のことだ。予期された通りの死刑判決が出た。 １２人の国選弁護士たちは、どの弁護士も内心では「死刑」は免れぬと 初めから思っていた。だから、国という依頼主から頼まれた弁護士たち にとって、あれほど気楽な仕事はなかったハズだ。はじめから被告の完 敗と分かっていて、ただ一つ、裁判を長引かせるだけが彼ら弁護士の仕 事であり、だからこそ判決までに７年の長年月がかかった。 換言すれ ば、裁判を長引かせれば、長引かせるほど、弁護士の収入がふえる仕掛 けであったのだ。 ■■そして７年間、とにかく初審は終結した。発表された国選弁護団へ の国家からの報酬、つまり税金からの支出は、驚くなかれ４億３千万円。 ただ判決の日を１日１日と延引させるだけのための弁護士費用が４億円 なのだ。 一般的な業務促進とは正反対の、裁判という役所の業務を遅 らせる、そのためだけにこれだけの巨額を、はじめからそうと知りつつ 、何のためらいもなく実施し、支出した。その気質とでもいうべき行為 、それに腹立たしさを覚えるのはボクのみではなかろう。 ■■そしてその結果得たものはなにか。それは「日本の裁判は公平であ り、いかなる被告にもその利益となるべき機会をじゅうぶんに与えた」 という言訳、つまり、わが国の裁判制度がいかに立派であるかの、ＰＲ 以上のなにものでもなかった。 それにしては余りにもコストが掛かり過ぎた。他に何かの方法がなか ったのか。今回の国選弁護団費用について、政府側から何らかの釈明が 国民に対してなされてもいいのではなかろうか。もしそれがなければ、 ボクなどは「国税の大いなる浪費」と、見なさざるを得ない。 ■■次は、きょういよいよ大阪で開幕の、ロータリーの世界大会である。 １人前平均３００ドル強、約３万３０００円の入場料で、全世界から の参加者４万７千人。概算〆て１５億円也だ。 この３００ドルの入場料は、期間４日間通しの料金だが、会期中の会 場内における飲食費は別勘定で、入場料には含まれていない。だから遠 方から来る人々にとっては旅費・宿泊費などがさらに嵩む。 ■■まぁ外国から来る１万数千人については、海外旅行につき、それな りの旅費も計算されているだろうが、約四分の三の日本人にとっては、 少なくとも数万円は要る宿泊料などは大きな出費になる。 在阪の高級ホテルはほぼ総て予約でいっぱいとのことだが、この不況 下で、よくもこれだけのカネを払い、これだけ多数の出席者があるもの と、ボクなど驚かざるをえない。 ■■そしてその、ロータリー世界大会なるものの内容はナにか。率直に 言って、内容は殆ど無い。 もともとが全世界１００万人を越すロータリアンの、毎年１回、世界 中持ちまわりの会員親睦パーティだから、世俗的に魅力があるイベント など無いのが当然かも知れぬが、それにしても内容はお寒い限りである。 目玉商品としての記念講演も緒方貞子さんの講演だけだそうだ。皇太 子殿下が来られるという前触れだったが、欧州皇室のおめでたと重なっ て、駄目ということになってしまった。 ■■主催者側は、今までのロータリー世界大会中、もっとも多くの人が 集う最大の大会になると自賛している。じじつ、大阪という土地柄にし ては空前の規模の国際大会になろう。 この不景気にこの高価な入場料。それでこれだけ多くの人が集うとは 、さすがロータリーと言えなくもない。 しかしボクが試算したところでは、３００ドルという入場料は法外に 高過ぎる。大会の経費から勘案するに、２００ドルもあればじゅうぶん ペイできる催しものである。 ■■しかし集う大半がカネ持ち国家日本のロータリアンであるとして、 これを機会に、去年のオーストラリアにおける大会の損失分も、日本で カバーしようとの意気込みだそうだ。金持ちと見込まれた日本の、いわ ば有名税であるかもしれない。 デフレ、不況下の日本にしてなおこれだけの世界大会が開ける。目出 度いとすべきか、俄か成り金日本の紳士方のお遊びとして、分不相応な 大盤振舞いと憫笑すべきか。 ◆◆以上、３者３様の、近ごろの贅沢模様、もしくは大盤振舞い。ボク は面白くないが、読者諸氏はどう思われるであろうか。 ───────────────────────────────── ◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版] ２００４年５月２１日号 発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang ◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com ───────────────────────────────── 極東地域社会経済状況について論議 先週末、ハバロフスクでカ・プリコフスキロシア極東大統領全権代表 主催で極東地域執行機関指導者たちの調整協議会が開催された。 カ・プリコフスキ全権代表はヤクチヤ、ハバロフスク辺境、アムール、 カムチャッカ、サハリン州、ユダヤ人自治州、コリャク自治州指導者た ちと２００４年１・４分期社会経済状況及び昨年と今年の暖房準備状況 について分析を行い議論した。全体的に２００２−０３年に比べ昨年冬 の非常事態発生件数は１．２％減少したが、カムチャッカ、サハリン州 、コリャク自治区では燃料供給が遅れ、住民への電気熱供給が中断され ることがしばしばあった。又、極東の全地域が住宅関係職員に１０億ル ーブルの未払賃金がある。職員たちの殆どが２−３カ月分の給料をもら っていない。 会議参加者たちは麻薬中毒防止策についても議論したが、カ・プリコ フスキ全権代表は法律機関の取締りが弱いことと麻薬治療機関不足が問 題と指摘した。 ネプチェゴルスクの悲劇 さる１３日、サハリン州政府は１９９５年５月２８日ネプチェゴルス クで起きた大震災の犠牲者追悼式準備委員会を組織した。２８日昼１２ 時に震災被害者と救助隊員、社会角界の代表たちと政府関係者たちを招 いての慰霊祭を予定している。 表彰 自治体アカデミ総裁ワレリ・シャチェフモスクワ副市長によると、ユ ジノサハリンスク市シドレンコ市長が＜全ロシア自治体の最も素晴らし い公務員コンクール＞として選ばれた。市長の他、ユジノサハリンスク 市政府プレスセンターのタチヤナ・ダヴィドワ指導者と文化観光担当管 理局ライサ・ザグリフコ局長も受賞者名簿に載っている。 チェチェン共和国大統領に英雄の星与え プーチン大統領は今月の９日の「勝利の日」記念式場で、テロで亡く なったチェチェン共和国元大統領ア・カドィロフ大統領にロシア英雄の 星を与えた。又、プーチン大統領は慰霊塔の設立も命令した。 あれこれ 「戦争老兵たちに電話線設置」 ダリスビャジ株式会社アレクサンドロフスク・サハリンスキ支部は偉 大な祖国戦争勝利記念日を迎え、地域郊外に居住する戦争老兵に電話回 線を設置してあげた。 「元遺族たちの要請」 ２００３年８月２０日のカムチャッカでのヘリ墜落事故で死亡したサ ハリン州イ・パルフトジノフ知事と犠牲者遺族たちはヘリ墜落現場に十 字架を立てるように、カムチャッカ政府建築建設委員会に要請してきた ことがわかった。カムチャッカ政府は既に十字架建設をはじめた。 「プリモリエ大学生たちサハリンへ」 サハリン州政府青年管理局は、青年プロジェクトの一環としてプリモ リエ大学生約１，０００人を夏休み中に招いて、サハリンとクリルの魚 加工と鉄道修理の仕事を手伝わせる企画を立てている。 「鉄道線路泥棒」 最近、ドリンスク区域スタロドフスコエ村のゲ・コトフスキ水産コル ホズまで延びている線路中１２０ｍが盗まれる事件があった。犯人は１ ９７２年と１９５４年生まれの村人であるとことがわかった。 「ヘリ泥棒」 ロストフ州カリニン村で非常事態が発生した。カラゴゾフ社所有のミ −２型ヘリが盗まれたのである。ヘリ警備員の話では、操縦者の一人が 見知らぬ２人と一緒に訪ねてきて村から６０ｋｍ程離れたところで修理 をしなければいけないと言ったという。ヘリ所有者は当時モスクワ出張 中であった。警察に追放して犯人を探しているが、ヘリは隣の村で見つ かったが犯人はまだわかっていない。 「嘘の通報」 今月４日、ユジノサハリンスク市のある学校に校内に爆発物を設置し たという通報があった。非常事態担当機関の専門家たちが長時間校内を 調べたが結局爆発物は見つからなかった。嘘の通報をしたのは同校学生 。１６才の彼は先生に叱れて腹が立ったので悪戯をしたと告白した。調 査が終ったら彼は裁判にかけられる。 休暇旅行交通費援助要求 サハリン州エン・ノヴィコワ副知事によると、今年教師達の休暇手当 は休暇シーズンに支払われる。現在教師たちに支払うべき休暇手当総額 は３億８，４００ルーブルであるが、ロシア連邦政府とサハリン州政府 が半々負担することになっている。サハリン州政府は休暇手当の他、交 通費援助もロシア政府に要求している。その金額は５億１，５００ルー ブル。ロシア連邦政府が果たしてこの要求を受け入れるかどうかはまだ 分からない。ノヴィコワ副知事は地方政府も休暇旅行の交通費を援助す べきであると言っている。 クリル列島にロシア正教会の十字架を １９９７年サハリンカザクたちはサハリン州政府と国境警備隊と協力 してタンピロフ島にロシア正教会の十字架を立てた。この十字架は日本 からもよく見える位置に置かれてあるが、これはここがロシアの領土で あることをアピールするためでもあった。ところが５月はじめにユジノ クリルスクとシコタンのカザキたちが再び、ゼリョヌィ、アヌチナ、ユ リ島に十字架を立てた。ここはカザク村建設予定地である。 ───────────────────────────────── ◆ 現代語感：[自縛] ＭＫ ───────────────────────────────── じばく 【自縛】 （名）スル （１）自分で自分を縛ること。 （２）自分の言動に拘束されて、自由な言動ができなくなること。 「自縄―」 ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 小泉首相が訪朝した。日本中の眼がピョンヤンを向いた。２２日・２ ３日のマスコミ各社は、このニュースを追い掛け回した。家族会は小泉 訪朝に大きな期待をかけ、裏切られたと怒る。政府・与党は「まずまず の成果」と自賛。町の声は２分されたようだ。評論家は「やらなかった よりまし」との評価が大方。 それぞれがそれぞれの立場で評価する。手かせ・足かせの元で。 しかし解せないのが、小泉首相が約束した食料支援と医療支援。参議 院選を目前にして、イラクへの自衛隊派兵や年金未納・未加入問題と国 内政治では問題山積の中での訪朝・人道支援はかなりの政治臭。 ───────────────────────────────── ◆寄稿 サンチャゴレポート４「へそ出しルック」 塩田悦三郎 ───────────────────────────────── サンチャゴの名物の一つに、「へそ出しルック」があります。冬の到 来と共にその数は減ってきましたが、老いも若きも女性がお腹を見せて 歩いているのです。日本でも「へそ出しルック」はあるようですが、サ ンチャゴのそれは数・年齢・スタイルの点で日本とは比較になりません 。若い人はもちろん若くなくても、太っていても、妊娠していてもまっ たく平気でおへそ見せて歩いています。ファッションとはいえ首を傾げ ざるを得ません。 もちろん若くてお腹の出ていない女性ならば美しいと感じるのですが 、小錦の女性版のようなお腹を見せられては目の遣りようがありません 。専門語は存じませんが、太りすぎて皮膚に縦じまが走っているような お腹でも平気で出しています。 小さい女の子の「へそ出しルック」はとってもかわいく感じます。で も私が小さい頃は寝冷えするからといって必ず腹巻をさせられていたも のです。どうやらこちらでは「お腹を冷やすこと」＝「体に悪い」とい う公式は成り立たないようです。この「へそ出しルック」ついてチリ人 の女性に尋ねたことがあります。中南米のどこかの国の真似をしたもの でここ５年位の傾向とのことでした。 サンチャゴには、太っている人がたいへん多いです。女性だけではあ りません。男性もです。これは１日３．５食の食習慣がまだ残っている 事や甘いものを沢山食べているからに違いありません。歩きながらでも 、バスの中でも、電車の中でもアイスクリームを食べている人をよく見 掛けます。背広を着ているビジネスマンがアイスクリームを食べながら オフィス街を歩いている光景は珍しくありません。ランチの定食は、コ ーラやファンタのように甘いものがセットになっているのが大半です。 水を飲んでいる人は極めて稀です。 ここまでお読みになると、チリには太っている人しかいないような印 象を与えてしまったかもしれません。チリ人の名誉のために申し上げて おきます。チリは、中南米の「３Ｃ」の一つだということを。「３Ｃ」 とは、コスタリカ、コロンビアとチリです。この「３Ｃ」は中南米で美 人の多い国とのことです。私は残念ながらチリ以外の中南米の国を存じ ませんので真偽の程は定かでありません。確かに目を見張るような美人 に出会うことが何度かございました。読者の皆さんがチリにいらっしゃ って直接確かめていただくといいのですが。 ───────────────────────────────── ◆２０代のぼやき： [事故現場] 有木優一 ───────────────────────────────── ５月１５日、京都発上り２２時３４分発、野洲行きの電車がホーム にやってくる際にその事件は起きた。人身事故だった。 電車が汽笛を鳴らしながらホームに入ってきた。扉が開き、僕は疲れ た体をシートに持たせ掛けた。耳にイヤホンをあて、大阪からの帰りで 、振り続いていた雨は僕を憂鬱な気持ちにさせていた。そして、定刻に なっても出発しない電車は僕を苛立たせた。不意に、外に目をやると、 人が息を呑んで一種の無音状態を保ちつつ、声にならない悲鳴をあげて いた。その瞬間、電車のアナウンスが僕の耳を貫いた。一瞬、躊躇もし たが、すぐに現場に駆けつけた。すでにそこには小さな輪が出来ていた 。その輪の後ろの方で、電車とホームの隙間を恐る恐る覗き込んだ。線 路と電車の車輪に何かが挟まってあった。靴、それともミュールか、と にかく黒い履物だった。 徐々に膨らみつつある輪を掻き分け最前列までやってきた。その輪の 向かい側で二人の女性が事故の瞬間を目撃したらしく、顔を手で覆いな がら、悲鳴を上げ、泣いていた。警察がやって来て安全ロープを張り出 した。現場を中心にして大きな輪がより大きくなった。線路を挟んで向 こう側のホームも人でごった返している。駅員と警察がホームから線路 に降りて、電車の車輪で八つ裂きにされたであろう被害者を探している。 １５分位して、消防隊もタンカを持って、駆けつけてきた。警察が目 撃者を探し始めた。僕の隣で女性が手を上げた。警察が気づかないので 、僕が声を出して、警察に知らせた。隣で警察の取材が始まった。質問 する警察、時に泣きそうになりながら、その経緯を必死に応える女性。 隣にいる僕ですら、あまり聞こえないほど周囲が騒然としていた。 辛うじて、「ごめんなさい。」と一言残して、飛び込んだということ は、聞き取れた。 被害者がタンカで運ばれた後に、僕は被害者の安否が気になり、傍に いた若い警察官に声を掛けてみた。 「助かったのですか？」そして、ホームと電車の隙間から見えた履物が 気になり、「男性ですか、女性ですか？」と続けて尋ねた。 しかし、その若い警察官は、「何も聞いてない」の一点張りで、何も 教えてくれなかった。マスコミに対しても同様にして、某大手新聞社の 腕章をした女性記者も困り果てていた。 なぜ、「何も聞いていない」と応えたのだろうか。事故に関して口外 しないように言われていたのであろうか。しかも、現場にいた僕のよう な一般人のみならず、マスコミに対しても彼は話さなかった。事態が大 沙汰にならぬ様に口外しないよう口止めされているならば、「教えられ ない」「応えられない」と応えればいい。 そこで、なぜ「何も聞いていない」の回答が返ってくるのだろうか。 「何も聞いていない」、あなたが聞こうとしていなかったのか（事務 的）、上司から一方的に言われた内容にその回答となるものを聞いてい ないのか（機械的）、それとも、知ってはいるが、上司から口外しない 様、口止めされ、「何も聞いていない」と応えるよう命令されていたの であろうか（軍隊式）。彼の言葉から推測されるこの三つの憶測は、僕 が抱いている「強い」警察というイメージからのものである。そして、 実際にこの問いには、この三つの憶測がすべて当てはまるように思う。 だから、そのような用意された回答になるのであろう。 １１時０５分の上り電車が反対のホームにやって来た。僕はそれに飛 び乗り、雨降る暗闇の中、帰路に着いた。 ───────────────────────────────── ◆[韓国新聞拾い読み] 編集部 ───────────────────────────────── 【日朝首脳会談】「静まり返った平壌」 歓迎の横断幕もなく （朝鮮日報・ピョンヤン発） 北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記と日本の小泉純一郎首相の 朝日首脳会談の前日である２１日、平壌（ピョンヤン）市内はいつもと 変わらない静かな様子だった。外国の首脳が訪朝する時に掲げられる歓 迎の横断幕も見当たらなかった。街の人々の姿も特に変わった印象はな かった。（中略）北朝鮮側の案内人たちは訪朝した記者団に含まれた朝 鮮日報記者など駐日韓国特派員２人に対しては、特に返答に神経を使う 様子だった。 北朝鮮外務省の報道副局長だと自分を紹介したある幹部は、「今回の 小泉首相の訪朝問題は同胞の観点から見るべきではないだろうか」と注 文し、「二方の記者先生についての“審査”は終えている」と言って笑 った。２００２年の日朝首脳会談当時、朝鮮日報記者の訪朝が不発に終 わったことについては、「多くのことが変わった」という言葉で、答え に代えた。 ─────────── 小泉首相訪朝前の２１日付の韓国朝鮮日報の記事だ。東京から先行し てピョンヤンに入った朝鮮日報の記者が書いたもの。「多くのことが変 わった」と笑う北朝鮮外務省報道局副局長の言葉は印象的。 ───────────────────────────────── ◆[編集長から] Michio Katayama ───────────────────────────────── 最近のわが国の政治風潮にはいささか戸惑いさえ覚えます。 たとえば、戦前は鬼畜米英、今、テロリスト。大政翼賛会的公明、民 主両党。大東亜共栄圏は国際貢献という名の派兵。それに気がついてい るのか、いないのか、取材に突っ込みの足りないマスコミ。 これじゃ、もうすでに戦時体制！皆さん、そう思いませんか。 ◆小泉訪朝。日朝正常化交渉始まる？結構な話だが、１年半以上前に始 めることができたはず。国内世論が問題なら、前回の訪朝時にもっと詰 められたはず。こりゃどうしても「出たとこ勝負」！ ◆詰めが甘いといえば、ジェンキンス氏の扱い。小泉首相得意の「同盟 国・米国」の反応が鈍い。こんな時に発揮できない同盟関係なのだ。 ◆年金隠しの感多し。今回の訪朝。個人の、国民の運命をもてあそぶ政 治家は金正日の国だけではなかった。 ◆一方で相変わらずのイラクでのテロと戦闘。 ───────────────────────────────── 発行 ２００３年５月２５日 No.１６８ 編集・発行 609studio Michio Katayama 発行 毎週火曜日 購読料無料 配信 まぐまぐ配信システム ID:0000052236 MailuX配信システム ID:MM3E1B97842E020 Macky! 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