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タイトル:609studio No.161◆現代時評:《虚構の石油争奪戦》  2004/04/06


───────◇◆◇609 Studio メール・マガジン◇◆◇──────
                              2004/4/6 No.161
 
【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
 トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
 して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セ・コリョ」ダイジェス
 ト版、その他、寄稿記事など話題満載! 
           URL ⇒   http://www.609studio.com
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     ◇◇◇◇◇◇新定期寄稿者のお知らせ◇◇◇◇◇◇

 この春大学を卒業して、人生の何かを掴み取ろうとして「もがいて
いる」一人の青年が心の赴くままに書いたエッセイを掲載。
 彼は大学を先月卒業しました。すでに昨年決まっていた就職を今年
になって断るという「暴挙」に出た迷える子羊でもあります。そんな
青年が今後どう生きてゆくのか、その心の様を読者にお届けします。
 応援してあげてください。
       メールは info@609studio.com まで   

───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:《虚構の石油争奪戦》           ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年4月2日号

◆現代語感:《ゆさぶり》                MK

◆《20代のぼやき》               有木優一

◆韓国新聞拾い読み:                編集部

◆編集長から:《この1週間》

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◆現代時評 :《虚構の石油争奪戦》       ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                  info@609studio.com   へ!
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■■「ブッシュ政権のイラク攻撃が石油戦略を伴っていることはもは
や疑い無い…」といった記事が、このところ大流行だ。
「だからわが国も米国に追随して、石油が無くなったというときに分
けてもらわねばならぬ」という論調が次に続く。
 つまり、今回のイラク戦争は石油を独占しようとする米国の陰謀だ
というのが国際問題評論家たちの、大半の見解である。米国の手荒い
やり口をみると、なまじイラクが世界第2の産油国であるだけに、信
憑性が増す。しかし、そうかどうかは我々には分からない。

■■第二次大戦開始時の日本のように、誰かに邪魔されて石油が入手
出来なくなれば困る。
 石油を禁輸された日本は、それでは軍艦も動かせず、飛行機も飛ば
せず、手足をもぎ取られたに等しかった。まさに「石油の一滴は、血
の一滴」だった。
 それならいっそ先制攻撃をかけて、とりあえず石油だけは確保して
おこう、ということで開戦と同時にスマトラの石油基地パレンバンに
落下傘部隊を送った。「見よ落下傘空を行く…」という歌がそれで、
熱帯の真っ青な大空に白い落下傘が舞い降りた。あのニュース映画は
、いまなおボクらの世代の脳裏に残っている。

■■もし同様のことが再び起こったらたいへん。いまの内にアメリカ
に協力しておいて、まさかのときに「血の一滴、国家の血液」たる石
油を配給してもらおう、と考えるのも無理は無い。
 われわれにはまだ前大戦の悪夢が払拭しきれていない。

■■ところがちょっと待て。いまの世界の石油事情は60年前と同じか
となれば、それはぜんぜん違う。大違いどころか、まさに雲泥の差な
のだ。前大戦のころの石油は、その殆どを英・米・オランダの、いわ
ゆる石油メジャーがほとんど抑えていた。その国の政府が、「日本へ
売るな」とひとこと言えば、それであっさりと対日禁輸が出来たのだ
った。

■■ところが今はもうかっての西欧石油メジャーは、能力も団結力も
無く、彼ら自体の存続が危なかしい会社すら存在するのだ。
 例えばサウジの砂漠の町ダーランには、かって米系石油メジャー共
同のアラムコという世界一の米系石油会社があった。
ダーランのアラムコはその域内は、あたかも治外法権地区そっくりで
、そこにはアラムコ放送局があり、米総領事館があり、米国産のたま
ごから自動車に至るまでのすべてがあり、もちろん産油業務のいっさ
いがアラムコという米企業によって支配され、運営されていた。しか
し1988年に至って、突如としてサウジ王家によって接収され、そ
っくりそのまま「サウジアラムコ社」という、サウジの国営会社にな
ってしまった。米国にとってどうしようもなかった。

■■また、海外で原油を生産する日本初の会社としてもて囃された1
958年設立のアラビア石油社も、その生産基地「カフジ油田」のサ
ウジ王国との利権契約が2000年に切れてしまい、いまは採掘設備もろ
ともサウジアラムコ社のものになってしまった。
 一度はわが国エネルギー行政の希望の星であり、日経平均株価の採
用銘柄でもあったアラビア石油という会社の株は、油田がサウジ王家
に接収されるとともに、投機家の、非上場ギャンブル銘柄に成り下が
ってしまった。

■■これら日米系産油会社の、サウジ油田から採掘した石油は、いま
やすべてサウジ王家のものとなり、米系石油メジャーや、あるいは日
本の石油会社の手の内には無い。
 サウジから買う石油は、すべてサウジ国営石油会社との商取引にな
るわけで、サウジ王家以外に分配権はない。

■■1958年、最初第一発の試掘から成功したアラビア石油の幸運
に気をよくしたわが政府は、じまえの海外産油企業を育成すべく、税
金のなかから大盤振る舞いの援助金を石油関係各社にばら撒いた。
 わが政府の税金のうち、いままでに石油公団に注ぎ込んだ総額は1
兆7261億円、公団はそれを112社の石油開発会社に投資してき
た。だが結果、ほとんど石油が出ないままの累積赤字で、政府投資額
のうち1兆4245億円が、現在までに回収不能になっている。 す
べてが失敗に終わったのである。

■■ところが不思議なことに、その間わが国が石油不足で困ったこと
は一度も無い。つまり、石油資源の自主開発などしなくても、自由市
場から石油などいくらでも買えた。しかもたいていの場合、それは買
い手市場で、アタマを下げて頼んで分けていただく稀少物資ではなか
った。いまや、わが政府の石油行政担当官僚は、石油資源の海外開発
など不必要であったと遅蒔きながら覚った。いままでに投入した政府
資金1兆5000億円と保証債務残高数千億円、合わせて2兆円とい
う巨額を、すべてドブへ捨ててしまったことをしぶしぶ認めざるを得
ない。それを担当した官僚のすべてが定年退官したあとで、財政上の
償却処置にかかるべく、いまはなりを潜めているときだ。
 事実上の確定欠損だが、いますぐやるには官僚のプライドが許さぬ
と見える。

■■結局この世の中、だれが石油を握るかとなれば、それは採掘現場
の主権国家以外にないということは既に明白になった。
 そしていま、かって世界市場で猛威を振るった米系石油メジャーな
どは、彼らの商売のために、採油権取得を産油国と平和裏に交渉する
よりは、むしろ、産油地の国家主権をまるごと奪取するという方法に
出ているように見える。そうでもしなければ、かっての日本のアラビ
ア石油や、米国アラムコ会社の昨日の運命は、つまりは明日の米系メ
ジャーの、残された海外利権の運命になる、と考えたからだ。

■■米国という国家自体は、米本国やアラスカにだいぶ大量の未採掘
石油を蔵していて、取り敢えずは困らない。しかし営利企業としての
旧石油メジャーたちはそうはいかない。経営を続け、利益を挙げねば
ならぬ。つまり、私企業としての旧石油メジャーグループは、彼らの
内部事情のため、「米国の国益」という旗を押し立て、米政府をして
イラク侵攻せしめる必要があったのだ。

■■わが日本も、第二次大戦前のように、「さあたいへん、石油がな
くなった」と困ったとき、アメリカ様から分配して頂こう、と考え、
それでいま米国に味方しておく。心情として分からぬでも無いが、チ
ョット待て。他に方法がないわけではない。
 じつは、米国に石油の分配を懇願する前に、その他の世界にゴマン
とある産油国や石油生産企業相手に、おカネを払って堂々と石油を買
うという方法があり、その方がずっと簡単なのだ。

■■石油は典型的な国際流通商品で、オカネさえ払えばどこからでも
買える時代であることを忘れてはいけない。
 コネがあれば入手でき、そして安く買える、という商品ではなく、
それは、おカネさへあればいくらでも買える自由商品なのだ。
 換言すれば、いかに需給が逼迫しても、石油という商品を最終的に
入手する資格があるのは、「もっとも高い値段を払える」金持ちたち
である。いくら親密であろうと、いくら過去に忠節をつくした国家で
あろうと、自由市場の自由商品であるある限り、値段をより高く払え
る金持ちバイヤーには勝てない。

■■仮に米国がイラクを永久占領しても、そこで石油を採掘し世界に
分配する米系石油業者たちが、米政府の要請でおカネを持たぬ国に石
油を恵んでやる雅量など持ち合わせないのは明白だ。ナンとか理屈をつ
けて、より高いカネを払ってくれる顧客に彼らの商品を売りつけるの
は経済行為としての自然の成行きである。
 そして有難いことに、われわれ日本という国は、そうした金持ちバ
イヤーの筆頭にいま位置している。

■■いつの時代でも、石油に限らずどんな商品でも、最終的にその商
品にもっとも高価な買値をつけられるバイヤーが、その商品の入手権
を握っている、という事実は強い。
 米国におべっかを遣って、万一のとき配給のお零れに預かろうとす
るよりは、いまの内にせっせとおカネを稼いで、まさかのときに貯め
込んでおく方がより現実的なのだ。

■■貧乏国に転落した米国は、おカネによる入手権では劣る。だから
、それに代わるものとしての武器を持ち、脅しをかけて、採掘地の国
家統治権を奪い取ろうとしている。しかしそれは、米政府が、彼らの
内なる石油メジャーと名付ける営利会社の、採掘利権取得の代行をし
ているに過ぎない。

10ドルから40ドルに至る国際石油価格の変動は、採掘コストとは
無関係だ。だがもし何かの要因で、短期的に需給が逼迫すれば産油会
社は大儲けする。 そうしたいわば不当利得に近いものを狙うには、
石油企業は産油から始めねばならない。通常の利益を望むだけなら、
石油会社は精製と販売でじゅうぶんである。 米国など旧大手石油企
業が中東辺りで採掘を志向する原因はここにある。大儲けのための産
油地進出で、それがうまくいけば次にチョットきな臭い遊びも企てる
。とうぜんの成行きである。儲けてそして、大統領選の資金を出す。
それが米国石油産業の歴史的なパターンである。

◆◆ここで肝に銘じておかなければならぬのは、少なくともここ数十
年、石油は国際的に過剰商品であるというトレンドと事実だ。
10ドルから40ドルに至るまで、過去数十年、石油の国際価格は大
幅に変動して来たが、基調はつねに弱含みで、それはオペック自身、
とりわけサウジ王家の減産志向がはっきりと証明している。
 百年先はイザ知らず、いま我々が関与しうる現実の世代に関して言
えば、石油の入手難など考えられず、むしろ過剰生産なのだ。
 おカネさえあれば、無限に石油は入手出来る、そうした時代である
ことを、我々はここでもう一度反芻すべきである。
 増幅された石油枯渇への心配に踊らされるのは見苦しい。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]  2004年4月2日号  
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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サハリン州下院10周年記念

  3月26日、サハリン州下院議員たちは事業を10周年になる日。
27人からなる下院はその間、500件に及ぶ法案を採択し、極東で
最も認められている地方下院に成長した。議員たちは毎日通勤し年間
1500件の法案を検討している。議員の月給は800ドル、その他
、職務自家用車の提供を受けており、不可侵地位という強力な権力も
持っている。下院から政府要職についた人も多く、リュボヴィ・シュ
ビナ現州副知事、今は国家下院議員として活動しているボリス・トレ
チャクさんがその例である。今年の10月には第3代下院議員選挙が
あるが、選挙戦はもう既に始まっている。

韓国国会文化観光委員会代表団来島

 3月23日ー27日、行政学博士の孫・ジュンチョル専門委員の引
率下、韓国国会文化観光委員会代表団が来島した。海外への韓国語放
送支援のための現地実態調査が訪問目的。調査団はサハリン国営テレ
ラジオ公社のア・ゾルロトフ社長とウリマルラジオ放送金春子局長を
訪ね、技術と財政問題を含めた放送局現況と問題点を調べる他、韓人
会代表たちとも面談を行った。

大統領全権代表サハリン訪問

 3月29日、ロシア連邦極東大統領全権代表コンスタンチン・プリ
コフスクさんが、州政の監査のためにサハリンを訪問したが、今回は
プーチン大統領が政府人事体系の監査を特別に支持したことがわかっ
た。

追悼碑建築

 ユジノサハリンスク市にあるヴィスクレセンスク大聖堂は、ヘリ墜
落事故で亡くなったサハリン州指導者たち14人を偲ぶ6トンの追悼
碑を建築する。建築費は同聖堂が、設計はウラジミル・チェボタリョ
フ彫刻家が担当する。除幕式は今年8月に予定されている。

サハリン州人口

 30日、サハリン州国家統計委員会は2002年全ロシア人口調査
の結果発表を行った。それによると、サハリン州人口は54万7千人
。1989年に比べ都市人口が11万人、農村人口が5万3千人減少
、州全体では16万3千人が減少した。島の平均年齢は35.5才で
男性が26万5千人、女性が28万2千人である。島の中で最も人口
の多い都市は17万5千人のユジノサハリンスクで、最も少ない所は
北クリルスク(2600人)とクリルスク(2200人)である。又
、個人営業所は2万7千あることがわかった。

開校50周年

 ユジノサハリンスク第16号学校が開校50周年を迎える。同校卒
業生たちと現在サマラに住んでいる財政支援者のアンドレイ・イシュ
クさんが記念式に参加するために来島した。アンドレイさんは全露バ
スケット連盟執行委員会員として活躍している。

サット航空社コンクールで勝利

 サハリンスキエ・アヴィアトレシィ(SAT)航空がモスクワで開
催される「ロシア2003コンクール」で、国内空路乗客輸送部門で
受賞した。又、プリモリエのウラジオストクアヴィア社とハバロフス
クのダルアヴィア社もいい成績を収めた。

あれこれ

「故パルフトジノフ元知事民族賞受賞」

 ロシア原油ガス綜合発展に大きく寄与したと、故パルフトジノフサ
ハリン元州知事に、ロシアエネルギー2003民族賞が授与された。
審査員たちは大陸棚開発事業とサハリンでロシア初の天然液化ガス事
業を進めたことが授与の理由と伝えた。

「商業センターパノラマ オープン」

 3月26日、ユジノサハリンスクで日常用品店として最も規模の大
きい商業センターパノラマが州と市政府関係者出席の下で盛大な開館
式を行った。キッチン用品、インテリア用品、建築材料まで品揃えが
豊富で、利用法も便利でとてもいい評判である。

「鉄道路線再開」

 ノヴォショロヴォ部落に列車が再び停車することになった。同部落
停車は収益性がないため数年前から運行を停止していた。しかし、ト
マリ駅から列車で20分の距離にある同住民たちは運行停止で大変不
便な暮らしを強いられ、考えた末、当局に再開の手紙を出し、その希
望が受けられたのである。しかし、運行は週二日、一日2回だけだが
、それでも住民たちは大歓迎している。

「秘密文書発見」

 最近サハリン州韓人二重徴用坑夫遺族会が日本政府の責任を明かす
新しい文書を発見した。それは60年前日本政府が戦争勝利のため、
日本内地石炭需要打開緊急対策の一つとして、1944年8月中旬当
時サハリン全島で稼働中の26カ所の炭坑、西海岸の恵須取以北(現
ウゴレグルスク)に散在稼働中の12カ所の炭坑を速やかに廃坑、休
坑、補坑するなどで整理し、そこの労働者たちと機材を急速転換させ
た事実が記述されている文書である。同文書には1944年8月11
日の日本閣議決定をはじめ、日本政府の通達、指令、閣議要請、実施
要綱、実施細部案のみならず、徴用された炭坑夫、運搬夫、土建労働
者とその家族に対する各種統計資料が載っている。南サハリンに家族
を置いて九州方面へ徴用される炭坑夫たちとその残留家族達に対する
待遇まで記載されている。この他、南部サハリン恵須取港から日本内
地へ合計15回の緊急輸送で総9702人の炭坑夫が運ばれ、その中
に朝鮮人炭坑夫が319人入っていたことや、家族918人が如何に
輸送されたかを詳しく知らせている。
 これを皆様に紹介するのは私の役目であると思い、同文書の一部を
翻訳して新聞に掲載し、サハリンのみならず韓国、日本、ロシア大陸
に住む皆に二重徴用の真相を知ってもらい、日本政府が一日も早くサ
ハリン韓人たちに戦後処理を行うことを要請する。同文書は日本外務
省外交史資料館が所蔵しているものである。

【閣議要請】
軍需閣第56号
昭和19年8月10日
軍需大臣 藤原銀次郎
内閣総理大臣 小磯国昭殿
「樺太及び釧路における炭坑労働者、資材等の急速転換の件閣議要
」選挙区の推移に伴い樺太及び釧路における炭坑に関し左記措置を
講ずるの要あり、別紙理由をもって閣議要請



一、現下急迫せる内地石炭需給状況打開の一方策として樺太及び釧
路における炭坑の徹底的整理を断行し其の保有する勤労者、資材等
の緊迫転換を実施す
二、本件実施の為の具体的事項については軍需大臣関係各官庁と緊
急な連絡を保持し遅くとも9月末までに之を完了するよう措置をと
る。

指令
内閣軍甲第66号
昭和19年8月11日
内閣総理大臣小磯国昭
軍需大臣藤原銀次郎殿
指令
昭和19年8月10日十九軍需閣第56号
樺太及び釧路における炭坑勤労者及び資材等の急速転換の件。要請
に従う
通達
十九燃第2141号
昭和十九年  月 日
軍需次官、厚生次官、内務次官
樺太及び釧路における炭坑勤労者、資材等の急速転換に関する件通

 緊迫せる戦局に対応する為石炭の増産益々緊喫の要務なるため戦
局の推移に伴う海上輸送力の急激な低下により樺太及び北海道釧路
地方における産出炭の輸送に今後殆ど之を期待し得ざる現状からこ
の地方炭坑勤労者及び資材等の輸送力の裏付けある地方に急速転換
しこれで緊迫した石炭需給状況を打開し決戦遂行に必要な戦力増強
の緊急要請に応ずべく八月十一日別紙の通閣議決定相成り之が実施
に関しては関係各省庁間において協議の結果別添各要領に基づき実
施することと相成りたること付貴官においては右了知の上関係官庁
と連絡し炭坑勤労者及び資材等の転換、供出輸送及び受入に関し万
全を期せられ度依命通達す。

理由

 戦局の推移に伴う海上輸送力の急激な低下により樺太及び北海道
釧路地方に存する配船の今後殆ど之を期待し得ざる現況から右地方
における炭坑の徹底的整理を断行し其の保有する勤労者、資材等は
(不明)て之を他の輸送力の裏付けある地方の炭坑に転換をして、
戦力化し得べき石炭の増産を促進し現下の緊迫せる石炭需給状況を
打開し、こうして決戦遂行に必要なる戦力増強の緊急要請に応べん
とするに依る。

【第7付録事項―再徴用者とその家族保護事項】

1.勤労者の転換と供に家族達の保護策にも最善を尽くすのを原則
とし船舶関係で残留を余儀なくされた時と治療中にある勤労者等転
換不可能の場合、彼らの生活保障等のために厚生施設及びその他色
々な配慮に万全を期する。
2.転換勤労者の残留家族たちには次のような別居費を支給す

 あ)会社の規定のある場合これを原則とし、ない場合はあっても
支給程度が低い場合、転換勤労者が職員の場合は毎月最低75円を
支給し、勤労者には毎月最低50円を支給する。
 い)国民徴用援護会の規定により、前記項の手当の他、転換勤労
者一人当り15円の別居手当を支給する
3.整理炭坑において残留家族及び被扶養者たちの援護や転居の必
要ある場合、樺太庁長官の承認を得て急速に実施し、移転の旅費(
家財運送費を含め)は政府が補償する。
4.残留家族及び療養者たちの生活保障のため、整理炭坑には管理
会を設置する。整理炭坑における炭坑事業を樺太鉱業会社に任した
後、同会社が管理員を設置生活保護を計らうようにする。
5.残留家族の生活保護として、社宅費、電力費、治療費、水道費
、購買会費、医療費及び管理費は政府が保証する。
6.整理炭坑の負担と扶助に関しては、将来の経過を予算して一時
金を支給する。受容治療中にある者には完治するまで整理炭坑が十
分な支援を行う。
7.炭坑整理により失業したものに対しては樺太庁の指示に従い、
運ぶことのできない機材は政府が購買して樺太炭坑株式会社に渡し
て効率よく利用させる。

 上記の文書からみて、現在日本政府の行う永住帰国と支援事業は
、人道主義或いは道徳的なものではなく、行って当然の義務と言え
る。
                (翻訳及び文・鄭 テシク)
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◆ 現代語感:《ゆさぶり》                MK 
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 語意:ゆさぶること。相手に動揺を与えること。「―をかける」
 
 ご承知のように北朝鮮の外交折衝の常套手段。拉致問題で、核問題
で様々なルートや手段で自国に有利な交渉を進めるために揺さぶりを
かけてくる。語意のように「相手に動揺を与える」ほど、相手も甘く
ないから、最近ではあまりその効果は期待できない。しかしそれでも
かの国は揺さぶっているつもりのようだ。
 自民党前副総裁の山崎氏が訪中して北朝鮮側と拉致問題で話し合っ
た。そのことが新聞などで報道されると、様々な思惑や立場での意見
が噴出している。かの国から見れば、「揺さぶりをかけられて右往左
往している」ように見えないか。
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◆《20代のぼやき》「広島にて・はじめまして、有木優一です」
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 先日、2泊3日で父親方の実家のある広島県の中心に位置する某市
を訪れた。父親の4回目の命日と親戚の四十九日の法要に参列してき
たのである。法事も早々に引き上げ、空いた時間、平和記念公園へ赴
いた。そして広島平和記念資料館の方に足を伸ばしてみる。すると、
閉館30分前にも関わらず、多くの拝観者がいた。私が小学生の頃に
家族でこの資料館を訪れて以来、2度目になるが、やはりその頃と同
じ感情を私は抱いていた。二度と同じ過ちを犯してはならない。「戦
争は百害あって一利なし。」この言葉に尽きる。何千度もの熱線を浴
び、全身に大火傷を負った人の写真、被爆者が当時の様子を描いた絵
には黒い雨を貪る様に飲む人々が描かれてあった。本当にこのような
世界が存在したのか、と胸が痛くなるほど、やるせない、憂鬱な気持
ちになった。そのような原爆の脅威を訴えていた資料館の中に1度目
の拝観よりも強く印象に残った箇所がある。それは、戦後の復興の様
子が展示されていた箇所だ。そこには、75年間は草木も生えないだ
ろう、と噂され、世論の認識としても戦後復興は絶望的とまで言われ
ていたことが述べられていた。ところが、戦後復興の努力の賜物とし
て、現在、政令指定都市にまで成長した広島市が存在している。その
展示を通してだが、「人」のやる気を目の当りにした気分だ。私も周
囲の動向に左右されることなく、「やる気」を存分に解き放っていき
たいと切に願い、心の底からやりたいと思える道を自ら選んだ人間だ
。しかし、今、学生を終えて、何に属することもなく、22歳の春を
迎えている。それは、まるで荒野に一人佇み、この不毛の土地をいか
にして「自分なりの政令指定都市」へしていくべきか、奔走している
ような感覚だ。無論、ぬるま湯ばかりにつかっているつもりは毛頭な
い。むしろ、私は熱過ぎるくらいの湯の方が丁度いいと思っている。
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◆《韓国新聞拾い読み》               編集部
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 宋斗律氏への実刑判決、ドイツ一部メディアが非難(中央日報)

 ドイツ国籍の在独社会学者、宋斗律(ソン・ドゥユル)教授(ミュ
ンスター大)が、国家保安法違反容疑で懲役7年の第一審判決を受け
たことに関連、ドイツのメディアが批判的な見解を示した。 
 保守紙のシュート・ドイチェ・ツァイトンは「たとえ容疑が真実で
あっても、宋教授は北朝鮮政権が買収した同調者であり、テロ犯でも
大物スパイでもない」と主張した。同紙は、宋教授が「進歩的な盧武
鉉(ノ・ムヒョン)大統領の支持者らが勝利する4月15日の総選挙
後に帰国していれば、何もなかったはずだが、韓国ではそれ(選挙結
果)を決して予想できない」と語った、と伝えた。 (後略)

http://japanese.joins.com/html/2004/0331/20040331180031500.html  
───────────────
 「北朝鮮のスパイ」とのことで、ドイツ国籍の韓国系教授が、ソウ
ルで実刑判決を受けたことに対する批判が、ドイツで高まってきてい
る。韓国の政治情勢に対するかなり挑発的な記事だが、この中央日報
の記事もまた、政治的といえるかもしれない。今韓国では総選挙たけ
なわ。大統領の弾劾も絡んで、熱い春を迎えている。
─────────────────────────────────
◆《編集長から》              Michio Katayama
─────────────────────────────────
 雨・・・。桜。日本列島は本格的な春を迎えるために胎動している
ようです。中国へ行けない首相の代わりにいろんな人が北京詣でをし
ています。しかし決定打は出ないようです。心もとない対中政策。

  決定打といえば、岡田阪神。東京ドームでの対巨人開幕三連戦で、
いきなりの三連勝!「今年もやるぞ!タイガース」です。

 今週号から《20代のぼやき》という欄を、若い有木優一君が書い
てくれます。「自己の心の赴くままに」が私からの注文です。はたち
代の若者は、何を見て、どう感じているのでしょうか。

◆イラク:イラクにおけるテロの脅威 (2004/04/03) 
1.イラクにおいては、民間人・施設を標的とするテロ事件が多数発
生しており、依然として日本人や日本の関連施設等がテロ攻撃の標的
となる可能性は排除されません。今後、バグダッド陥落一周年(4月
9日)に向けて、イラクにおけるテロの脅威が高まることも考えられ
ます。(外務省 海外安全ホームページより)

 イラクだけじゃないようだ。安全ホームページは「海外」限定だが。
出しますか。警察庁あたりで「国内」のそれを。
 若干ニュアンスと表現法が違うが、警察庁でもあった。
    http://www.npa.go.jp/keibi5/hp.pdf

◆山崎氏と平沢氏が北京で北朝鮮政府関係者と会談した。わが国では
政府・外務省などの面子がつぶれて、帰国した二人の処遇に焦点が。
 ちょっと違う反応だ。いや相変わらずの面子争い?。

◆春なのだ。一日くらいは・・・。

 心より今日は逃げ去れり
 病ある獣のごとき
 不平逃げ去れり    啄木

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発行     2003年4月6日   No.161
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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