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タイトル:609studio No.156◆現代時評:[平成の大ドル買い]  2004/02/17


2004/2/17 No.156【609 Studio 】
───────────◆◆◆INDEX◆◆◆───────────

◆現代時評:[平成の大ドル買い]            ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2004年2月13日号

◆現代語感:「強硬派の台頭」                   MK

◆韓国新聞拾い読み:               編集部

◆編集長から:[この1週間]

 【609 Studio 】メールマガジンは「現代社会を斬る!」をコンセプ
トに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、サハリン情報と
して、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セ・コリョ」ダイジェス
ト版、その他、寄稿記事など話題満載! 
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 サハリン取材のため、次週2月24日号及び次々週3月2日号は休
刊とさせていただきます。またホームページの更新も2月18日から
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◆現代時評 :[平成の大ドル買い]             ken
   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
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◆◆読売新聞2004.1.19 急激な円高に対応するため、今年初めから政府
・日本銀行が断続的に実施している為替介入の累計が6兆円を超えたこ
とが18日、明らかになった。1か月間の為替介入の最高額は昨年9月
の5兆1116億円で、今年1月は約半月でこれを上回り、すでに過去
最高を更新した模様だ。 
 特に9日に東京市場で行われた円売り介入は1兆7000億円と、1
日の介入額としては最近にない大規模なものだったと見られる。市場に
は、単独介入の限界を指摘する声もある。政府は外国為替資金特別会計
(外為特会)の介入資金調達枠(79兆円)を使い切り、保有する米国
債5兆円分を日本銀行に売却して、さらに介入を続ける方針だ。 

◆◆日経ネット2004.1.09 昨年末の外貨準備1.4倍、6735億ド
ル 財務省が9日発表した2003年末の外貨準備高は、前年末に比べ
約4割増の6735億2900万ドルとなり、5年続けて過去最高を更
新した。10年前の1993年末の7倍の水準。円高阻止に向け政府・
日銀が昨年1年間で外国為替市場で過去最大の約20兆円の円売り介入
を実施したため、日本が保有する米国債などが急速に膨らんだ。(中略)  
昨年の外貨準備の増加額の約2000億ドルは、過去最大の金額。政府
・日銀の円売り介入額とほぼ一致している。前年末比の伸び率43%は
1995年以来の高水準だ。2000億ドルの大台に初めて乗せた19
96年末から2001年末までの5年間で2000億ドル増えたが、昨年1
年間だけで同額を積み増した形だ。 

◆◆読売新聞 2004/1/20 外国為替市場へ介入する資金を管理している
政府の外国為替資金特別会計(外為特会)の今年度末の為替評価損が、
前年度末より1兆8500億円増えて、7兆7928億円に膨らむ。(
中略) ただ、米国債などの運用益に相当する積立金は11兆1700
億円あり、評価損を差し引いても3兆3800億円のプラスとなる見通
しだ。累計では約26兆円の運用益を出し、2003年度までに約15
兆円を一般会計に繰り入れており、2004年度も運用益から1兆42
00億円を繰り入れる。 

◆◆アサヒコム 2004.1.30 政府・日本銀行が外国為替市場へ
介入できる資金の限度枠が2月上旬にも21兆円広がる見通しとなった
。新たな介入資金の調達が可能となることで、政府・日銀は急激な円高
の動きに対しては円売り介入を続ける方針だ。政府・日銀は昨年、20
兆円超の巨額介入を実施。1月も約7兆1000億円の介入を行った。
すでに今年度枠(79兆円)は使い切っており、財務省は政府保有の米
国債を日銀に一時売却して5兆円を手当てするという「非常手段」でし
のいできた。

◆◆毎日新聞 2004.2.07 先進7カ国財務相・中央銀行総裁会
議(G7)に出席中の谷垣禎一財務相はスノー米財務長官と日米財務相
会談を行った。谷垣財務相は、外国為替市場で続く円高・ドル安に関連
し「為替の乱高下は(世界の)安定的な成長にマイナス。過度の相場変
動は防止されなければならず、我々は必要なことはやるべきだ」と米側
の理解を求めた。 これに対し、スノー長官は「日本の考えに同意する
」と述べ…云々。

■■ここのところ日本政府のドル買い介入がすごい。
昨年1年で20億ドル。今年の1月期に至ってはたった1か月で7億ドル
の買い介入したというから、前代未聞の「円売りドル買い」である。
 そのため介入資金として議会から認められた外為特別資金79兆円が
枯渇してしまい、買ったドルをそのまま日銀に持ち込んで臨時に買取っ
てもらった額が5兆円にものぼった。今年度末から来年にかけてのドル
買い資金は、79億円ではとても足らぬので、いまその枠を140兆円
にまで広げる算段中という。まさに「平成の大ドル買い」だ。

■■「犬養かドル買いか」に対して「うそつきか若槻か」という、古い
掛け言葉があった。「昭和初年の大ドル買い時代」のことである。
1931年政友会の犬養内閣が成立。高橋蔵相は,即日金本位制の再停
止を行い、管理通貨制へ移行した。円相場は大方の予想通り急落し,一
連の攻防は「ドル買い」筋、すなわち三井物産および三井、三菱、住友
銀行など財閥系の勝利に帰した。野党民政党は「犬養かドル買いか」と
与党を非難した。犬養内閣は怯まず、その財源を赤字国債発行に求めた
。しかもそれは,公募ではなく日本銀行引き受けによる当時としての新
方式だった。高橋財政のもとで,景気は1932年以降回復過程に入りその
方式は成功した。だがしかし、景気回復の主原因は、満州事変、シナ事
変と続く、その後の政府軍事費の増額によるインフレにあった。
 犬養内閣による昭和の「ドル買い」は成功し、それは終戦の昭和20
年まで続いた。

■■「犬養かドル買いか」と野次った巷の政談家たちは、その直前の若
槻民政党内閣を「若槻かうそつきか」と揶揄した。若槻は対外協調外交
を展開し、中国にも温厚な外交姿勢をとっていた。内外に満州事変の不
拡大方針を発表したが、関東軍は政府の方針を無視し、軍事行動をさら
に拡大していった。だが「統帥権の独立」を名目に、政府は停戦命令を
出さなかった。「うそつきき内閣」といわれた所以である。

■■それから60年。いま平成の強力な「ドル買い」が継続されている
。昨年1年間に20億ドルのドル買いを行った日本は、今年はさらに加
速し、1月度だけで7億ドルを買い増した。つい先だって4500億ド
ルといわれたわが国のドル保有は、あっという間に6500億ドルを越
えた。ドル買い資金の政府枠79億ドルではとても足りず、日銀に無理
やり引き受けさせた国債特別枠で買い込んだドルを、「余裕さえ出来れ
ばすぐ買い戻す」との条件で、とりあえず買い取らせ、それで原資を調
達して、すぐまた新しいドルを買い増しするという禁じ手をすでに何度
か使用している。
 昭和の高橋蔵相による日銀保証付き民間銀行買取国債という禁じ手を
今回すでに数度も反覆したのだ。

■■立場、様相、市場状況などは、今回の「平成のドル買い」と、「昭
和のドル買い」は酷似してい、その最終処理は昭和初年同様の「軍事イ
ンフレ」に依らなければ解決出来ないかに見える。 じじつ、相手方米
国の、双子の赤字年間1兆ドルは、軍事国防費の大幅増額による以外に
処理方法はない、という事実は暗黙の了解になっている。

■■ボクらは迂闊にも、いまの日本の「ドル買い」は、強い円による米
ドルの買支えであって、それを暗々裡のうちに米政府および米国財界に
強要されている、と解釈していた。 世界最強の円が米ドルを買支え、
もしそれをしなければドルが暴落し、米国の破滅に直結すると信じてき
た。ドル買支えは米国の要望であって、われわれは心ならずもそれを実
行していると考え、じじつ、わがマスコミもそうした論調に、つい先日
まで終始してきた。
 
■■それがここのところ大きく変貌し始めた。どうやら米政府は安いド
ルを志向し、方向修正するつもりらしい。彼らの口振りは、必ずしも日
本円による米ドル買支えを喜んでいないかに見える。
 日本の6500億ドルに次いで、世界で2番目にドルを蓄積し、すで
にその額が4500億ドルに達している中国に対して、人民元の切り上
げを示唆し、中国側もそれに呼応しているのがその証拠だ。

■■そこで攻守ところを替え、いまや日本は、「ドルの激しい乱高下は
市場に害がり、やむを得ず円売り・ドル買いを実施している」と、米国
の理解を求めにかかっている。それに対してG7におけるスノー米財務
長官は「日本の言い分も理解出来る」と、おおように構えた返事をして
いる。
 米国に頼まれて心ならずも米ドルの買い支えをしていると思っていた
のに、「要らんお節介をしてくれるな」とばかりの米国の態度は意外だ
った。

■■じつはいまの日本のドル買支えはひじょううに危険、かつ一方的な
買支え専門のバクチで、常軌を逸していると言っても過言ではない。
 双子の赤字が年間1兆ドル、農産物と武器以外に輸出商品のない国と
して、平価切下げによって輸出振興を図ろうとする米国は、巷間伝える
ところでは対円85円までドルを切り下げるつもりらしい。
 それに至る過程をほぼ日本一国で買い支えるのだから、結果的に85
円といまのドル平価との間、つまり約20%ものドル価切下げ分が、わ
が国のドル買いの、近未来の損失になる可能性はじゅうぶん過ぎる。 
わが国の、いまの手持ちが6500億ドルだから、その値下がり分約1
300億ドル、円に換算して13兆円は、少なくともわが政府の赤字に
なる。 それをまだ買い増すつもりだから、損の上塗りはもっと増える
勘定だ。

■■財務省で外貨売買を担当するのは、それ専門の僅かな若手エリート
官僚たちで、首相も財務相も、日銀総裁も彼らの行動を横目で眺めてい
るだけだ。彼らトップには口を挟む見識も専門知識も無い。毎月、数兆
円もの外貨バクチを、ほんの少数のエリート官僚たちが、彼らの自信と
プロの誇りにかけて実施しているのみで、賭けが外れても責任などいっ
さい問われない仕組みになっている。気の遠くなるような大金、この1
月度だけでも7兆円の大バクチを、驚くべき度胸で動かしているのだが
、その自信のほどはいったいどこから生まれたか。年来、それはボクに
とって疑問であった。

■■米国経済を支え、ひいてはわが国の外為経済を安全にするための官
僚の使命感、と言ってしまえばそれまでだが、それにしては余りにもリ
スクの大きい仕事である。例えば、今年度末の為替評価損は、前年度末
より1兆8500億円増えて、7兆7928億円に膨らんでいる。たと
え10万円のカネでも予算と支出承認によって国庫が厳しく出納する国
にあって、この外為会計の評価損は余りにも大きい。わが国の膨大なド
ル保有は、もちろん政府のドル買いが主原因ではないが、いずれにしろ
、値下がり傾向が顕著な米ドルをたくさん持つことは避けるべきであろ
う。

■■外貨操作は長い目でみるべき損得勘定であり、そのときどきで一喜
一憂しておれないと言うのも解る。しかし、それにしても巨額過ぎる。
 政府外為会計はさぞや大きな隠し損を抱えているだろう、といままで
ボクは思ってきた。
 ところが、あに図らんや大儲けをしていた、という記録がある。
 読売新聞1月20日の報道によれば、「米国債などの運用益に相当す
る積立金は11兆1700億円あり、評価損を差し引いても3兆380
0億円のプラスとなる見通しだ。累計では約26兆円の運用益を出し、
2003年度までに約15兆円を一般会計に繰り入れており、2004
年度も運用益から1兆4200億円を繰り入れる」とのことだ。

■■これにはボクもいささか驚いた、立派なものだ。必ずしも小泉内閣
に不信感を持つだけが能ではない、と思うようになった。
 おそらく、外為取引を専門にしている財務官僚のエースたちは、こう
した「勝馬の数字」に支えられて、毎日の外貨売買をしているのであろ
う。だがしかし、昨年1年の外貨評価損が1兆8000億円にものぼっ
たことも冷厳な事実だ。
 そして米ドルは、よしんば対円85円にまで下落せずとも、100円
程度に落ち込むだろうことは、いまや全世界の常識になっている。それ
を今後まだドル買い一点張りで、日本だけでドルを買い支えていこうと
する、その神経のほどがボクには解らない。やはり、損しても自分の腹
は痛まぬ役人根性のなせるわざ、と思いたい。

■■昭和初年の「ドル買い」は、犬養首相と高橋蔵相の暗殺という不幸
でひとまず第一幕を終えた。特に、小学校中退で83才の高橋蔵相が、
責任者として天晴れ覚悟の上とはいえ、兇徒に腹の臓腑まで抉られ、非
業の死を遂げたのは無惨としか言いようがない。
 念のため釈明すれば、ドル買いをしたのは財閥や銀行であって、とき
の政府は民間による円売りを容認したに過ぎない。
 当時流行した「昭和維新の歌(5.15事件の三上卓中尉作詞と伝え
られる)」に、「財閥富を誇れども社稷を愁う誠なし」と歌われたのは
そのためである。

◆◆いま平成の、大「ドル買い」の責任者はロンドン大学留学の小泉首
相と、東大法学部卒のエリート谷垣財務相の二人である。ご両人に、か
っての犬養、高橋並の見識や責任感があるかどうか判らない。
 ただ言えることは、幸せな平成時代のことだ、おそらく暗殺だけはな
いだろう。そして、たといドル買いで大損をしたとしても、多額の議員
年金だけは保証されている。
 いまとなれば理由不詳のドル買いのことだ。昭和の「犬養かドル買い
か」に倣って、平成の「小ねずみのドル買い」とでも言っておこうか。

ただしこの子ねずみ2月12日の内閣メールマガジンでなかなかいいこ
とを言っている。フランスの哲学者アランの言葉として、「悲観主義は
気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである。」と。
 「平成のドル買い」と「イラク派兵」は、意思が強い彼の楽観主義に
よる大バクチであろう。
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]  2004年2月13日号    
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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イゴリ・パルフトジノフ号入港

 9日、ノヴォロシイスクからホルムスク港に故イ・パルフトジノフ元
サハリン州知事を追悼して、彼の名前をつけた旅客船が、奥さんと息子
さんを含め、多くの人たちが迎える中で入港した。入港式に参加したベ
・ゴルクノフ第1副知事は、「故イ・パルフトジノフ元知事は、クリル
住民の生活改善に特に関心が高く、北クリルとサハリンとの定期船便が
できることを強く希望していた」と命名の背景を説明した。同船はサハ
リンとクリルを往復する旅客船として利用される予定であり、乗組員3
4人、165人の乗客が乗れる。サハリン−クリルイ社は、近々運行を
始めると発表した。同船の旧名はアドミラル・ラザレフ、91年に創ら
れたもの。

抗日デモ−我々のクリル

 7日、ユジノサハリンスク日本総領事館前で、日本の南部クリル返還
要求に反対する集会が開かれた。日本は1976年から「北方領土の日
」を記念している。集会を主催したのはロシア自由民主党のサハリン支
部。ロシア自由民主党員、共産党員、イエジンストヴォ青年団体代表ら
、州議院らなど150人が集まって、カザクの旗を振りながら、日本語
で用意したクリル島に対する権利を主張するスローガンを揚げながら2
時間に及んで反日デモを行った。集会参加者たちは日本政府に対して、
「北方領土の日」の取消、クリルを日本領土に入れての地図制作中止、
クリル返還を訴えている右翼団体運動の中止を訴える要求書を、ユジノ
サハリンスク日本総領事を通じて小泉総理宛てに送ると決議した。

モスクワで地下鉄爆発

 6日、モスクワの地下鉄、パヴォルレツカヤとアブトサヴォドスカヤ
区間で爆発事件が起き、現在約100人の負傷者が入院中である。ロシ
ア連邦安全局は誰もテロ行為を認めようとしないため、テロ行為と自然
発生的爆発事件の両面から事件を捜査中であると伝えている。

サハリン鉄道−安全装置強化

 モスクワの地下鉄事件を契機にロシア全鉄道に安全措置が強化されて
いる。サハリン州鉄道局も特別警備網を組織し、旅客列車や乗客の取締
りを強化している。

新党登録予定

 リア・ノヴォスチによると、ロシア兵士母性委員会が1月末に新党登
録の手続きを終えた。全ロシア兵士母性委員会のヴェ・メルニコワ委員
長は、兵士のみならず女性と子供たちの権利を守りたいと抱負を述べて
おり、財政問題はスポンサーたちに支援を要請するつもりであるとのこ
と。

有権者の皆様!

 04年3月14日はロシア連邦大統領選挙日であります。投票権をお
持ちの国民の皆様は、居住地別に投票者名簿に記入されている選挙ウチ
ャストクで投票することになっています。しかし、出張や休暇、臨時居
住地移動などで名簿に記入されているウチャストクで投票できない方々
は、事前に証明書の発給を受け、現地で投票できるような手続きを行っ
てください。憲法で保障されている権利を放棄しないようにお願いしま
す。
                    (サハリン州選挙委員会)

あれこれ

「麻薬押収」

国家麻薬統制管理局によると、先週末コルサコフ・リストヴェニツノエ
部落近くで73年生まれの男性が運転するトヨタ自動車から120グラ
ムの麻薬が発見された。麻薬は押収され、容疑者は刑事事件として取調
べを受けている。

「火災」

 今月3日、ホルムスクのアパートの地下1階で火災が発生し、1人が
窒息死する事件が起きた。窒息した人はホームレースで火災の原因は電
気ストーブの利用を間違っていたことがわかった。又、ネベリスクでは
ソファでタバコを吸っていた74才の市民が火災を起こす事件があった
。その男性は救助され入院で治療を受けている

「若い窃盗団」

 今月2日、アレクサンドロブスク−サハリンスキ警察は、個人住宅の
門を壊して侵入して家電製品など1万8千ルーブル相当のものを盗んだ
2人組の泥棒を検挙した。彼らは第10技術学校生徒(87年と85年
生)であった。盗まれたものは返された。

「犬の幸せ」

 200匹の犬が止まれる犬旅館が近々ミンスクでオープンする。旅館
の主人は飼主も家もない犬たちを臨時的に5日間食べさせ、治療も受け
させた後再び街に返すという。その後、この犬たちの運命は?

「事故」

 4日の昼2時30分、ユジノサハリンスク−ノグリキ区間鉄道215
Km地点のヴォストツノエ部落の踏切で旅客列車と貨物車が追突する事
故があった。貨物車の車輪が線路に挟まれたために起きた事件で、貨物
車に乗っていた41才の女性は脚に怪我、運転手は現場から逃げてしま
ったが、警察に逮捕されてしまった。この事故で列車は1時間半遅れた


「悪戯のつもりが」

 ヤルタの住民一人が現代自動車を買う目的で友たちとセワストポリへ
出かけた。気に入った車を買えて喜んだ男性が、一杯奢ると友人たちを
レストランに誘った。しかし、レストランから出てみると外に止めて置
いた新車が姿を消してしまった。事情はこうである。悪戯のつもりで一
人の友人がその車を彼の家に密かに運ぼうとした。しかし、不幸なこと
に運ぶ途中、反対側の大型トラックに追突し、運転手はその場で即死し
た。

経済−寒天工場の改革

 サハリンでのアガル(寒天)生産は1947年に始まった。日本時代
の工場が戦後、再び操業を行い、解放直前までアガルを生産していた。
コルサコフにあるこの工場の記事はセコリョにも過去数回掲載されたこ
とがある。1991年、工場は日本から先端技術と設備を購入、年間1
50トンの生産能力を備えることができた。
  今日、世界の多くの国が各種の赤い海草でアガルを生産している。例
えば、日本は約30種類の海草を混ぜてアガルを作っている。しかし、
海草・アンペルチヤでアガルを作っているのはロシアだった一つ、これ
は非常に質の高いものである。
  ロシアにはアガル工場は少ない。コルサコフにある工場の他に2カ所
(プリモリエ辺境のウラジミル部落、アストラハン州のソルロブキ島)
しかなく、その2カ所の年間生産量は合計して50トン弱に過ぎない。
又、コルサコフ以外のところは長く操業を中止していたが、2002年
度から再び稼働している。コルサコフ工場は91年先端設備などを備え
たにも関わらず数年間操業を休んでいたが、設備の70%は問題なく使
える。蒸気釜の取替えと、乾燥機、400mのケーブル敷設、自動化シ
ステム、技術検査設備、計算システムなどの設置、そしてコストを下げ
、品質を高くするための努力があれば十分再生できる。コルサコフ工場
は今日水産業界で高い評価を受けている有限会社「ビノム」(社長ア・
ヴェ・ポポフ)に属している。工場は57ヘクタールの敷地に6棟のコ
ンクリート建物と3つの鉄網建物からなっており、港からは2Kmくら
いしか離れていない。

 ここではクリル・クナシリのイズメナ湾で取れるアンペルチヤを原料
に使っている。71年まではコルサコフから40Kmほど離れたブセ湖
で取れたアンペルチヤを使っていたが、99年度同社が800トン弱の
採取権を獲得するまでの20年間採取が禁止されていた。採取許可は得
たものの同社もブセ湖からの採取はまだ行っていない。
 アガルは主に食品として広く使われているが、薬剤としても利用され
る。コルサコフ工場では食用のアガルと微生物(細菌)アガル、2種類
を生産している。質の高いものを生産しようとしても、天候や不純物除
去技術の不足で、生産量も質も目標まで至っていない状態である。
以前、フィリピンで、アガル生産で成功した企業家全・ホウォン社長(
エルエム社、在日同胞)が韓国の新アリテクの鄭・テウ技術営業部長と
一緒にビノム社を訪問し、1週間工場視察を行ったことがある。全社長
が10年前フィリピンでアガル生産を始めた頃、家で手作りだったのが
、今は世界10位の中に入る大きい会社にまで成長した。毎日2〜3時
間の睡眠しか取らず走り回って先端生産方法を学ぶなど努力も時間も資
金も惜しまず使って成功させたという。ビノム社の招待で工場を訪ねた
全社長は、「工場の運命は人が握っている。各自職業的機能を高めなが
ら自分と工場のために働くのが重要。又、いい製品を適期に売ることも
。だからマーケットに目を離さず素早く販路を確保することがとても大
事。そのためには質のいいものを作らなければいけない。コルサコフ工
場はこの面では希望が持てる」との評価を下した。全社長と鄭部長は黒
板に書きながら先進技術や工程などの説明をする他、工場の抱えている
悩みを解決できる方法を専門家と相談した上、ビノムにアドバイスする
との支援の約束をもした。
 今日、コルサコフ工場のアガル生産量は20Kg、120人が昼夜働
いて生産している量である。反面全社長の会社は30人で400Kgを
生産している。コストは高く製品の販売価格はコストの半分。工場の赤
字を避けるはずがないシステムである。ビノム社はこの工場に100万
ドルを投資している、今後も投資を続け本格的な体質改善を進めようと
している。フィリピンと韓国の会社と協力して努力していけば、近い将
来国内で最も優秀なアガル工場として成長できるであろう。

炭坑に電力供給制限

 サハリンエネルゴ社はシネゴルスカヤとシャフチョウルスコエ炭坑2
つの企業所に76%まで電力供給制限を強化することを決めた。数次、
公式的に警告書を出したにも関わらず炭坑管理部が電気代を払わないた
め、会社の管理者会議はこのような強い措置を取るしかなかったという
のである。

写真ルポタージュ 老人クラブの会館式

 7日、長年年寄り達の願いであった老人クラブがとうとう会館式を迎
えた。ユジノサハリンスク市韓人会が用意した同施設はサハリン韓人会
事務所の入っている建物の2階に設けられた。朴・チョンザ、ユジノサ
ハリンスク市韓人会長は「長年の夢が実現されてとても嬉しい。年寄り
の皆さんが一緒に映画を見るほか、将棋などのできる場ができたので十
分楽しんで欲しい」と述べた後、会館のオープンのために韓人会代表た
ちと企業家たちが財政的な支援を行ったと一人一人の名前を挙げながら
感謝の気持ちを伝えた。同施設の必要性を訴えていた兎・チョングンさ
んは「このような場を作ってくれたお礼に、ロジナ文化会館前にあるサ
ハリン犠牲同胞慰霊塔の管理は私たちが担当しましょう」との提案もし
た。多くの年寄りを招待した中でオープンを祝う晩餐会を開いた。

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◆ 現代語感:「強硬派の台頭」                   MK 
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 政権内部やそれを取り巻く政党などに「強硬派の台頭」が目立ってき
た。9・11同時テロ以来の風潮のようだ。じっくり振り返ってみると
北朝鮮の存在とブッシュ大統領のアフガン及びイラク戦争の影響をもろ
に受けている。北朝鮮の存在とは、拉致問題と核疑惑。国民は安全に真
正面から脅威を受けていることは事実だろう。拉致被害が「自分の身に
襲いかかった」事を考えた国民は、北朝鮮に対する強硬意見に耳を傾け
た。当初、拉致被害に対して過去に耳を傾けなかった政治家たちが、そ
の流れに乗った。国民の大多数がこの問題の早期解決を望んだ流れに乗
ったのだ。それらの動きが小泉政権の顔となり、政権内部やそれを取り
巻く政党に「強硬路線」が目立つようになった。それが有事法であり、
北朝鮮を目的とした外為法改正であり、イラクへの自衛隊派兵だ。
 これは危険な兆候である。古来「強硬派の台頭」が平和に組した例は
ない。さすがに小泉政権を支える人々は、これらの風潮が自政権を支え
ているということを自覚しているように感じられる。つまり「砂上の楼
閣」化した「世論に支えられた高支持率」だということを。
 それほど「強硬派の台頭」は危険なのだ。政権にとっても。
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◆[韓国新聞拾い読み]               編集部
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 「拉致問題出すなら、日本の6カ国協議参加を拒否」(中央日報)

 北朝鮮は今月25日に予定された次回6カ国協議で、日本側が、北朝
鮮の日本人拉致(らち)被害者問題を再び持ち出す場合、日本の同協議
への参加を拒否するとの立場を表明した。北朝鮮外務省スポークスマン
は、14日、姜錫柱(カン・ソクジュ)第1外務次官らが11日〜14
日、北朝鮮を訪問した田中均外務審議官らに会い、そうした警告の意を
示した、と伝えた。
________________
 
 既に日本でも伝えられている事だが、北朝鮮にとっては、「拉致問題
」が目の上のたんこぶのようだ。小泉政権にとっても同じだろう。
国民の手前、安易に北朝鮮に妥協できないし、この問題を推し進めると
「6カ国協議」も暗礁に乗り上げる可能性がある。それは他の4カ国に
対しても出来る話ではない。最後の手段?と田中外務審議官達をピョン
ヤンに派遣した結果もこのように思わしくない。
 さて次の手があるのかしら?
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◆[編集長から]             Michio Katayama
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 サハリン取材に出かけます。今頃のサハリンは厳寒の頃です。荷物も
防寒のための衣類で夏に行くのとは大違いです。ただ室内は暖かいので
これも大変です。室外と室内との温度差が最大で50度からあります。
 そんなこんなで、旅行バッグに入れたい出したり、大わらわです。

◆モスクワで、室内プールのガラス天井が崩落。「すわテロか?」とい
ったんは疑う。わが国でも対テロ対策に余念がない。事が起こればテロ
を疑わなければならない社会を愁う。

◆拉致問題。北朝鮮の硬化は折込済み?福田官房長官の「大変、意味が
あった」と改めて評価の弁。それとも政権への風当たりを気にするあま
りの強がり?。

◆啄木の短歌をひとつ。

   あはれかの男のごときたましひよ
   今は何処に
   何を思ふや

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発行     2003年2月17日   No.156
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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