メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.146◆現代時評:[誰が扇動者たるべきか]   2003/12/09


2003/12/9 No.146_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

   【609 Studio 】609studioメールマガジンは「現代社会
  を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時評」
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  まだ決して充分ではないのですが、ウェブ・ログ「コーヒー・ブレ
イク」を開設しました。

 朝鮮半島関連のニュースを拾ってみたり、日記風の書き込みが多い
と思いますが、過去のサハリン取材などからいろいろサハリンの朝鮮
人に関しても書いてみたいと思います。
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   またご意見や投稿も大歓迎です。メールでお送りください。
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          ◇609studio INDEX◇ 

◆現代時評:[誰が扇動者たるべきか]       ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2003年12月5日号

◆現代語感:「戦闘」                 MK

◆韓国新聞拾い読み: 編集部

◆編集長から:[この1週間]
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◆現代時評 :[誰が扇動者たるべきか]          ken
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◆◆テレビ朝日の朝生(あさなま)予告 2003.11月 そもそも、自衛
隊は派遣すべきなのかどうなのか?派遣しないという選択はありえる
のか?犠牲を覚悟で自衛隊をイラクに派遣する、そして、国民をあえ
てテロの危険にさらす、そこまでして守るべき「国益」とは一体何な
のか?

◆◆朝日コム2003,11.21  米大統領訪英に抗議、ロンドンで15万人デ
モ。ロンドン中心部で20日午後(日本時間21日未明)、ブッシュ米
大統領の訪英に抗議する大規模なデモが繰り広げられた。主催した「戦
争を止めよう連合」などの市民グループは約15万人が参加した、と発
表。欧州で、米英によるイラク軍事介入に対する反感が根強い実情を浮
き彫りにした。仕事を休んだ勤め人、授業を抜け出してデモに加わった
学生たちが目立った。多くが「イラク占領をやめろ」などと書かれたプ
ラカードを掲げ、議会や首相官邸前で、米英軍撤退を叫んだ。

◆◆日経新聞 2003.10.20ブッシュ米大統領がフィリピン入りした18
日、マニラ市内で数千人が反米デモを繰り広げた。左翼系団体などが参
加しており、米国旗を燃やすなどの抗議行動を展開。大統領が演説した
議会に近づこうとして警官隊に阻止された…。

■■テレビ朝日の目玉に「朝生(あさなま)」という人気番組がある。
深夜の政治討論だ。そのときどきの若手評論家や政治家をパネリストと
して、文字道理口角泡を飛ばす議論でなかなか面白い。その11月末の
なま番組で、司会の田原総一朗氏が開口一番、「この中で、いまイラク
派兵に賛成する人は居ないでしょうね」と言った。ボクは一瞬アレッと
思った。ヘーゲルの弁証法ではないが、ふつう討論は賛否2派があって
、丁丁発止やるのが面白いのだ。 それを「賛成する人は居ないでしょ
うね」と決めつけたのは、いささか異例である。しかしその異例がすん
なり通った。自民党の武見議員を含めてパネリスト12人全員が、派兵
反対を表明したのである。

■■司会の田原氏が、さてどう出るかと見ていると、「それで反対運動
が国民の間から出ないのはナゼ」と、問いかけた。返事がない。さらに
追いかけて、「ロンドンでも15万人のデモが行われたというのに、日
本ではなぜデモがないのか」と聞く。居並ぶ12人、誰も返事をしない
。 さらに数回同じような質問を彼が出したあと、わずかに「国民は無
関心」、「ニヒルになっているのだ」との返事がかろうじて出ただけで
、結局、田原氏もその質問を打切ってしまった。恐らく彼としては、そ
こから討論の出発をしようとして、用意していた質問ではなかったろう
か。歯切れの悪い腰折れだった。
 それにしても、出席パネリスト12人がすべて「イラク派兵反対」だ
ったのは、ボクにとって意外だった。見たところ、彼らパネリストの選
定に偏向があったとも思えないのに。

■■世に「世論」という言葉があり、「国民運動」という言葉がある。
ボクは、それらが自然発生的に起こることは、少なくとも日本において
は先ず無い、と、かねがね思っている。
 大正時代の米騒動や、戦後のトイレットペーパー騒動は別として、少
なくとも政治運動に関する限り、最初、誰かが意識的に火をつけないか
ぎり起こらない。何者かが首謀者として策動し、そしてそれが組織化さ
れ拡大していって、はじめて「世論」になり、「政治デモ」になり、国
民運動になるというのが定型パターンだ。 自然発生的な民衆「デモ」
など先ず無い。あればロマンティックであり、ヒロイックであるが。

■■そのくらいな事は、評論家や政治家などが、言わず語らず、心の中
で承知している事実である。それを突然田原総一朗に「なぜデモがない
のか」と聞かれて、返事に窮するとは、ふだん偉そうに言っているパネ
リスト諸君、つまり東大の姜尚中教授や、共産党の穀田恵二議員をはじ
めとする面々が、如何にユル褌であったかを、垣間見る思いがした。

■■イラク派兵の善悪・賛否については、ここではちょっと横に置くこ
とにする。
 日米同盟の絡みもあろうし、人道問題にも関係があろうし、憲法の根
本にも触れようし、とりわけ、これがネットに載ったころは既に派兵が
実現している可能性も大きく、正月過ぎての注連飾りになろうから。

■■それよりボクがいま論じたいのは、「イラク派兵反対」の大規模デ
モがなぜ起こらぬかということと、かしこ気なパネリスト諸君がそれに
ついて、とっさに返事も出来ないのは何故か、ということだ。

■■他所の国はいざ知らず、わが日本の、戦後の反政府運動、つまり「
政治的デモ」は、誰かがしかけた小さくて意識的な「世論操作」、もし
くは「反政府運動」が必ず種火(たねび)となっている。それが国民の
間に燃え広がり、熾烈な「デモ」となり、いわゆる「民衆による反政府
運動」となって、ときの政府にじゅうぶん対抗するほどの盛り上がりを
見せたのである。
 その種火(たねび)は誰が仕掛けたか。おそらく次の3種だろう。

■■先ず「新聞マスコミ」。 彼らは世論と称して、じつは彼ら自身が
意識的に世論を作る。「作る」という言葉が不適切ならば、かれらはそ
れを「醸成する」のだ。
 第二次大戦中の軍国主義的世論は主として「毎日」が作りあげたとい
われ、同じく戦後の左翼がかった世論は「朝日」がつねに主導したと評
されている。
 たしかに、戦後の反政府世論は、長らく「朝日」がリードしてきた。
が、その「朝日」も最近は耄碌したか、「赤かぼちゃ」の噂が高い。「
中身は何色か分からぬが、とにかく外見だけは赤色だ」という、マスコ
ミ内部の評判がそれを裏付ける。 
 朝日がその状態であれば、あとのマスコミは押して知るべし。すべて
の主要新聞の報道には、裏に政府への迎合が見え隠れする。国民をして
反イラク派兵の運動を起さしめるようなパンチの効いた世論など、マス
コミは作るつもりも無い。
 彼ら新聞にはかってのような、社会の木鐸たらんとする気概も無く、
商業新聞として広告主に迎合することで、ただただ生き長らえているだ
け、と解していい。

■■つぎの仕掛け人は学生と労働者だ。
 フランスの5月革命はルノーの労働組合と学生の蜂起から始まり、と
きの大統領ドゴールはいっとき隣国へ避難し、首相ディスカールディス
タンをして「わが採る道は宥和(appeasement)あるのみ」と言わしめた
。 およそどこの国でも、反政府大規模デモの発端は労働組合と学生で
あるばあいが多い。わが国でも、岸内閣の安保騒動は学生が主導し、労
働組合のゼネストはつねに反政府運動の山場を作った。 
 しかしよく考えてみると、学生や労働組合が立ち上がるにも、そこに
先行する扇動者が要る。 安保のときの清水幾太郎先生とか、べ平連の
小田実がそれだ。ところがいま、我々の周辺を見渡しても清水幾太郎も
小田実も居ない。 

■■それに、いまの労働組合は自分たち組織労働者の既得権益を守るに
汲々とし、学生は豊かな親のすねかじりで遊び呆けるか、さもなければ
リクルート服で就職活動に余念が無い。名分は何であれ、反政府デモを
みずから主宰する気概など、いまの学生や労働者には皆無といっていい
。泰平の日本に酔い痴れているのだ。

■■もともと労組・学生連をして反政府デモに立ちあがらせるリード役
は学者・評論家よりも社会主義政党だった。 共産党、左派社会党、労
農党といった荒削りの万年野党が画策し、指嗾・扇動するのが定石だっ
た。しかしいまは社会党もあるかないかの状態になり、共産党も「下膨
れの顔に、柔和な目がねを掛け、七三に分けた頭髪」のインテリ紳士と
化してしまった。彼らに労働者・学生を扇動する気力は消えている。
 かってのヴォルシェヴェキは、大衆扇動能力を指導者素質の重要部分
として位置付けていたにも関らず・・。

■■三つ目の、反政府国民運動を組織し、熾烈な大デモなどを実行に移
す火付け役は、言わずと知れた政権交替用「野党」であり、彼らはその
期待をこめて、自ら称して「陰の内閣」という。

■■選挙投票の票数で勝てない野党が次ぎに採るべき道は、大規模な反
政府運動を国民の間に起し、その圧力で、与党政府をして政策転換せし
めるのが実際政治の技術である。
 与党は票数によって政権を獲得し、自分たちが思うままの政治を行う
。政党が票で負けたときは政権を取れない。小澤代議士の言う通り負け
は負けで、僅少差であろうと大敗であろうと変わりはない。
 だからといって浪曲の見受山鎌太郎でもあるまいし、次回の選挙まで
3年待つわけにもいかない。票以外に何かの方策を考えねばならない。

■■その一つが「国民運動」とか「大衆動員運動」と称する大デモ作戦
だ。これによって大衆を味方につけ、目に物見せたその圧力で、政府与
党を震え上がらせ、政策を変えせしめる。少々荒くたく、ときと場合に
よっては、いささかアウトロー的に見えるかも知れぬが、とにかくやや
非常手段に訴えて政府の政策を変更させるのは、野党としての権利であ
り、政治家たるもの、こうした技術をとうぜん持ち合わせなければなら
ない。

■■ボクの住んでいたフィリピンなどでは、野党は年中、大きなデモ(
彼らはそれをラリーと呼ぶ)を起しては与党の政策をしょっちゅう変更
せしめ、まま、政権交替すら実現している。与党政府がデモのため、あ
れほど頻繁に政策変更を余儀なくせざるを得ぬということは、つまりは
議員の投票選挙に問題があるか、議会における議決システムが不適切な
のを暗示しているらしく、政治的デモ(ラリー)への非難は絶えて聞かな
い。むしろ、政治手法の一つとして、好意をもって積極的に受容されて
いるようだ。
 それが日本では歴史的経緯もあってか、政治デモはあたかもアウトロ
ーへの入り口のごとく忌避され、非難に近い認識のもとにある。
 反政府デモについては、重要な政治行動としての復権が、先ず以って
必要だ。かの隣国中国では、老いた毛沢東と江青夫人は、紅衛兵運動と
いう大デモを起して、いっときは政権を自分の手に取りもどしたという
歴史的事実がある。それが良かったか悪かったかは、もう少し年月を掛
け、後世の史家をして評価せしめなければならないが、ともかく、毛沢
東も最後に頼るべき手法として「民衆による政治デモ」を採用した、と
いう事実は記憶されるべきだ。

■■今回の、ロンドンにおける15万人の大デモも、恐らくは野党かマ
スコミ言論人が企てた、そうした政治運動の目に見えた部分であったろ
う。庶民大衆に、数万人規模の政治デモなどを自然発生的に起す能力は
ない。烏合の衆は、しょせん烏合の衆なのだ。
 まこと、政治デモを作り上げる技術こそ、野党の持つ武器中の武器、
有効、かつ重大な固有ファンクションである。

■■ところが泰平に狎れたわが政治家諸君は、そうした技術を磨きもせ
ず、忘れ去って久しい。一党独裁が半世紀も続けば、野党諸君は諦め顔
で、議会でぶつぶつ苦情を言うだけに安住している。そして与党諸君は
、ただ黙って野党に与えた持ち時間を、居眠りしながらやり過ごせば、
あとは形式的な票決が待っているだけである。
 政治家たちは、過去に与えられた「デモを組織する」という、有効な
武器の操作など忘れ去って、ただ形式的な論戦だけを商売の道具にして
いる。これを安住と言わずして、どう言うべきか。

■■そしていう、「国民は無関心だ」、あるいは「国民は白け切ってい
る」と。国民というのは目先の欲得には敏感だが、国家百年の大計には
盲目に近い。トイレットペーパーの買い溜めには走っても、イラク派兵
には鈍感だ。
 そうした場合、政治家たるもの、身を挺して国民に訴え、ときとして
アウトローにも近い大政治デモさえ起す覚悟と技術が要る。 それは政
治家のみならず言論人にとっての責務でもある。
 自叙伝によれば、かの東大勅任教授河上肇は、自分の思想に忠実であ
ろうとして、進んで非合法の政党に入り、昭和10年には懲役刑にまで服
している。いまの政治家や言論人諸君は、その爪の垢を煎じて飲めばい
い。

■■いまどきの政治家や評論家は、テレビの深夜番組で自己の見識は披
露するが、それを実行に移す気概、気力はおろか、技術の持ち合わせす
ら無い。「国民が無気力でニヒルだから、デモが起こらない」と、テレ
ビで逃げ口上をいうばかりだったのはそのためだ。

■■ボクの見るところ、今回の「イラク派兵反対」をテーマにしたデモ
ならば、上手に扇動し、うまく組織作りさえすれば、第2次安保騒動以
来最大の大政治デモに発展する可能性はじゅうぶんある。
 田原総一朗の「朝生(あさなま)」番組出演のパネリスト12名が、
すべて派兵反対というのだから、まず間違い無い状況にある。

■■穏やかさで女性に人気があるという姜尚中教授は、番組中で、「派
兵すればいい、戦死者が数人出るだろう。すると国民は黙っていない」
と言う。 
 ボクはそうは思わない。今の状態では、たとい数人が死んでも国民は
動かない。泰平を謳歌し、そして白けてニヒルなわが国民だ。はっと気
がついたときは既に「米国の軍事同盟国」に仕立て上げられてしまった
我々は、小泉首相に言いくるめられて、イラク派兵はまだまだエスカレ
ートするだろう。

■■国民を動かすには扇動者、つまりデモを作り上げる人が必要で、そ
れが居なければ、たとい10人、20人戦死者が出ても国民の「しらけ
」はそのままだ。
 だが、うまく誰かがデモの首謀者になり組織すれば、いまの場合、百
万人の大デモはわりあい簡単であると思う。

■■その例が手近にある、北朝鮮の拉致問題だ。「日本の北朝鮮拉致問
題への対応はいささかヒステリック過ぎる」というのが、諸外国および
海外評論家の定説である。
 被拉致者の親族に一人の辣腕家がいて、うまく誘導した結果、ついに
政府与党の大幹部までが拉致事件の総指揮者みたいな具合になっている
。海外から望遠すれば、日本中、全国民をあげた一大国民運動と見えて
も不思議ではない。 あの拉致問題を牛耳る辣腕家某氏を見習う政治家
、もしくは言論人が出て、本気で「派兵反対」の大デモを繰り広げれば
いいのだ。
 ボクはその首謀者に野中広務氏を擬していた。がしかし、彼はどうや
ら老いたらしい。日本のために不幸というべきだろう。

◆◆「政治的デモ」が無い国というのは、いっけん静謐そうな社会に見
えて、その実は議会政治制度の歪みに対する補完システムが存在しない
不完全な社会ではなかろうか。

  Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 

                 info@609studio.com   へ!
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]  2003年12月5日号    
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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強力な手をうつ動力工たち

 不法で電気を使っている消費者の電力窃盗取り締まり事業に積極的な
協力を求める要請書をサハリンエネルゴ社がサハリン州検事局宛てに送
ったことがわかった。サハリンエネルゴ社は、この10カ月間無断で電
力を使っているために被った被害額は4億ルーブルに達しており、その
ために財政難が続いているため、以前から地方警察や国家電力監視所な
どの共同で毎日消費者の家を調べてきた。今まで摘発された事件は23
件。その中の17件に訴訟を起こしている。しかし、検事局はこのよう
な動きが消費者の権利剥奪だと非協力的姿勢をみせてきたのである。

乗客輸送問題

 11月27日、ユジノサハリンスク市政府は運輸企業指導者と労働老
兵協議会委員ら、法律関係職員らと集め、乗客輸送問題について話し合
った。市政府関係部署の発表によると、市内を走っている営業バスは4
70台、その大部分が小型マイクロバスである。州が予算不足で大型バ
スの購入と修理ができなくなったため、個人営業の小型バスが増えてき
た。しかし、小型バス運転手たちは年金生活者らの利用を断るなど不法
行為をしてきた。これを防ぐために営業許可を取消すなどの強力な対応
をしてきたがあまり成果がなかった。他の地域も状況は同じであるため
、州レベルでこのような問題を解決するべきであるとの声が高く、会議
参加者たちは市議会と市政府宛てに、新しい大型バス3台の購入資金を
来年度予算に入れることを要請すると決議したのである。

短信

コルサコフ市長復帰

 10月30日、コルサコフ市長は冬を迎える準備を期しなかったとの
失策を認め、辞職願いを区域議会に提出した。そのため、11月27日
コルサコフ市議会が召集され検討を行った結果、議員らは昨年より暖房
準備状況は改善されたと判断し、辞職願いを受理しないことにした。

エヴェンクたちデモ

 先日、州庁舎前でのエヴェンク(東部シベリアの少数民族)たちのデ
モが行った。デモを主催したサハリンエヴェンク文化自治体のウラジミ
ル・マチェヒン指導者は、サハリン州がエヴェンクたちの生計手段であ
る鹿狩りを禁止したことは、民族に対する経済的人種差別であると主張
した。ヴィタリ・ゴミレブスキ副知事は彼らに対して、ノグリキのワル
部落に鹿放牧場建設と損害賠償を約束した。

腫瘍治療専門センター新設

 ユジノサハリンスク市に腫瘍治療を専門的に行う予防センターが建設
中である。連邦から予算が下りなかったため、作業が中止されるなどの
紆余曲折はあるにしても、今まで2億ルーブル弱の資金を調達しながら
建設を続けている。予防センターが収用できる患者数は360人だと言
う。

あれこれ

「ポロナイスクニュース」

 地域政府会議参加者たちは、この9カ月間の地域社会経済事業を分析
した結果、社会発展計画全てが実行されたと肯定的に評価した。市長の
報告によると、商品生産量は47%増加、特に電気、熱、木材、乳製品
、原木などの生産量が著しく増加した。漁獲量も73%増加、缶詰め生
産量も12%も増加した。今、地域大手水産会社社員の給料は8800
ルーブルまで達しているとのことである。

「ウゴレゴルスク訪問」

 イ・マラホフサハリン州知事候補は先週、ウゴレゴルスク地域を訪問
して、ボスィニャコ炭田をはじめ、農村を巡回しながら住民の生の声を
聞いた。地域住民たちは道路状態の悪さ、飲料水不足、未払賃金などの
苦情を訴えた。

「コルサコフ暖房問題調査中」

 コルサコフ検事局は最近、今16棟のアパートに熱が供給されていな
い事件を詳しく調べている。理由はボイラーの故障が原因であるが、責
任の所在などについて調べているのである。

新年ツリー

 サハリン州文化管理局は新年ツリーを準備中である。今年はレーニン
広場で「純白の雪村」というテーマでツリーが立つ予定であると関係者
は伝えた。しかし、問題とされているのは昨年ツリーが建てられた勝利
の広場はどうするかである。ツリー一つの予算は45万ルーブル、スポ
ンサーが現れたら勝利の広場でもツリーを見ることが出来るとのこと。

児童糖尿病者40人

 現在、サハリン州に登録されている児童糖尿病者は40人。1997
年から進めている糖尿予防プログラムが一定の成果を上げ、糖尿病患者
数が減り、寿命も8〜10年延びていることがわかった。

インタビュー:
「サハリン初のオーケストラ誕生」−代表白・スギョン社長(抜粋)

:まず自己紹介を。
:私は1945年2月、ポロナイスクで7人兄弟の末子として生まれた
。両親は戦争が終れば帰国するとコルサコフに移ったのが、帰れず51
年にスタロルスコエ村に移住した。当時、長兄が結婚して家族は14人
もいた。家族が餓え死にしなかったのは芋のお陰である。そこで朝鮮小
学校(4年制)を卒業した後、7年制の夜間ロシア学校に通った。ロシ
ア語が分からず大変苦労した。大学に進学したかったが、当時北朝鮮の
パスポートを取っていた私たちには大変難しいことだった。私は他人の
パスポートを借りてウラゴヴェシェンスク医学大学に受験しに行った。
出国管理局の渡航許可証を持っていなかったため、その大学では受験を
断わられた。それで仕方なく近くの農業大学に受験した。そこでは幸い
パスポートの検閲をしなかったため、受験し入学できた。1970年、
その大学を卒業してサハリンに帰ってきた。ソコル部落で農業技師とし
て3年間働いた。

:結婚はいつ?
:69年に、私が受験を断わられたウラゴヴェシェンスク医科大学生の
朴・チュザと。結婚してもう34年である。長男が33才、次男が24
才、皆高等教育を受け、自立した。家内は長年、ユジノサハリンスク病
院精神科医師として働いている。

:会社名が奥さんの名前になっているが・・・。
:8年前、ちょうど会社を立ち上げた時、私は50才の若さで、脳出血
で倒れた。心臓も悪かった。悩んだすえ家内に告げた「これからどうな
るかわからないから、会社の名前を貴方の名前にしましょう。そして、
私がいなくても息子達と協力して経営を続けてください」と。その後3
年間、私は動きが不自由な暮らしを強いられた。今日、こうして歩ける
ようになったのは全てが家内の献身的な介護のお陰である。

:同社は多角的生産企業と聞いていますが。
:結構大きい会社である。古鉄の加工とペイントと木材工場も経営して
いる。古鉄は加工して韓国に輸出している。建築関係の仕事もやりたい
ため準備をしている。

:オーケストラを創設したきっかけは。
:子供の頃から音楽が大好きだった。若いときはアマチュア楽団を作っ
て活動したこともあった。私はアコーデォオン演奏家である。40才を
過ぎてからは歌も歌うようになった。数年前からオーケストラを創る夢
を見てきた。とうとう今年の5月、有限会社「文化センター」を創立し
、設備や練習場を用意し夢を現実にした。運がよかったのかオーケスト
ラの総指揮者は音楽専門学校の教師呉・ミョンチュンさんが引き受けて
くれた。

:オーケストラのメンバーは何人?
:25人、バイオリンが8人ですが、一人は韓国から招待した方です。
歌手も5人います。

:初公演はいつ頃?
:12月22〜23日、オクチャブリ映画館で行います。今、猛練習中
です。

:最後にサハリン初のオーケストラを誕生させた白社長に読者の皆さん
に代わってお礼を申し上げます。会社とオーケストラの大きな発展を祈
ります。

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◆ 現代語感:「戦闘」                MK
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 辞書では「たたかうこと。特に、兵器を用いて敵と戦いを交えること
。」とある。

 最近、イラクで「テロ」が激化して、英米軍が戦闘状態の真っ只中に
いる。そこへ小泉首相は自衛隊を派兵しようとしている。部隊が活動し
ている場所周辺でテロ攻撃が発生したり、米軍など他国の部隊がゲリラ
と交戦しても、こうした事態を「戦闘行為」とは認めない方針を固めた
ようだ。イラク特措法では、自衛隊は「非戦闘地域」で活動できると規
定している以上、テロ行為があった場合、撤退するよう命令しなければ
ならない。それでは「まったく派兵できない」状況だから、こんな詭弁
を思いついたのだろう。
 「戦闘」の意味が変わってきた。こんな詭弁が通るのが、わが国なの
か。相手がテロリストであれ、レジスタンスであれ、また政府軍であれ
戦闘は「敵の種類」でなく、「その行為」だと思うのだが。
─────────────────────────────────
◆[韓国新聞拾い読み]               編集部
─────────────────────────────────
 「北の住民、忠誠心よりはカネに関心」(朝鮮日報)
     
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は昨年の7.1経済管理改善措置
以降、生活がかえって悪化しており、生活苦に悩む住民は党と組織に対
する忠誠心よりはカネを重視する姿勢に変わっていると伝えられた。 
__________________
 
 記事は「住民らがカネさえあれば成分の悪い人でも労働党に入党し、
良い人と結婚できると考えるようになり、労働党入党にはあまり関心が
ない」と結んでいる。鉄の団結(?)を誇っていたはずの北朝鮮の体制
も、崩壊ま近か? 労働党への入党が「金次第」とは。
 朝鮮日報URL   http://japanese.chosun.com/
─────────────────────────────────
◆[編集長から]             Michio Katayama
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 今朝(8日)は札幌やソウルから雪の便りが来ました。寒い朝になり
ましたが、まあこれが本来の12月なのでしょうね。お体を大切に。

◆ロシアで列車爆破、自爆テロ。すごい事件です。東京や大阪は大丈夫
なのか。新幹線は?地下鉄は?イラクのテロが怖い。

◆「米英連合軍への攻撃、より激化に」文民行政官ブレマー氏が予測
した。ますます「戦闘状態」に。わが国の政府は、言葉遊びでイラク
派兵。

 憲法に定められた「力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解
決する手段としては,永久にこれを放棄する」にある、「国際紛争」
が引っかかる。「テロ」であれ、「レジスタンス」であれ、英・米軍や
その協力軍との戦闘は「国際紛争」ではない? 

◆イラクで殺害された奥克彦大使(45)(参事官から昇進)と井ノ
上正盛1等書記官(30)(3等書記官から昇進)の、両家と外務省
の合同葬。2人の尊い命を利用しないでおきたいものだ。

 ◇ 一首

      こそこその話がやがて高くなり
      ピストル鳴りて
      人生終わる           石川啄木
        

 ⇒ 閣議で「イラク派兵」を謀議するのに、かん口令をひき、号砲
一発、自衛隊員は・・・。こんなことのないことを祈るのみ。

◆イラク北部のティクリートを州都とするサラハディン州のフセイン
・ジュブルト知事は7日、陸上自衛隊の派遣が予定され、比較的治安
が安定しているとされる南部サマワでも「誰も安全を保証できない」
と警告した。(毎日新聞)

 ⇒ ほらほら、(州知事のバックグラウンドはわからないが)もう
イラク人から警告が発せられた。なんでも隣接するサウジアラビアと
の国境には砂漠しかないとか。

◆AP通信によると、バグダッドの北約110キロのサマラ近郊で6
日夕、爆弾が爆発し、付近を走っていたバグダッド発モスル行の列車
(20両編成)の8両が脱線した。(毎日新聞)

 ⇒ 事件は6日。わが国は明日9日、そのイラクへ自衛隊を派遣す
ると閣議で決まる?首相の説明責任は?国民は納得できるか?

 「Noといえないニッポン」は健在。何人の犠牲者でNOといえる
のか?2人もの犠牲で充分だと思うが。

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発行     2003年12月9日   No.146
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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