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タイトル:609studio No.131◆現代時評:[近ごろ気にそぐわぬおカネの話]  2003/08/26


2003/8/26 No.131  _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

  【609 Studio 】609studioメールマガジンは「現代社会
  を斬る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時評」
   をはじめ、サハリン情報として、ロシア唯一の韓国語新聞サハリ
   ンの「セ・コリョ」ダイジェスト版、その他、寄稿記事など話題
   満載! URL ⇒   http://www.609studio.com
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 ◎◎セ・コリョ新聞社及びサハリン韓国語放送からのお知らせ◎◎

    サハリン・アリラン歌唱コンクールに参加しませんか

 セ・コリョ新聞社とサハリン韓国語放送ではサハリン・アリランの
歌を普及させるために、歌唱コンクールを開催することとなりました。
サハリンの韓人の心境を歌ったこの「サハリン・アリラン歌唱コンク
ール」に参加しませんか?

参加ご希望の方はテープに歌を吹き込んでサハリン韓国語放送(下記)
までお送りください。
  詳しいお問い合わせはメールで→   info@609studio.com

テープあて先  Sakhalin TV-RADIO Korean Broadcasting
     209,Komsomolskaya Street, Yuhzino-Sakhalinsk, Sakhalin, 
     RUSSIA

      ◎◎サハリン韓国語放送からのお知らせ◎◎

 放送機器のメンテナンスのため2カ月間(9月9日まで)ほど放送
は休止いたします。ご了承ください。なおバックナンバーは609st
udioにCD−ROMで用意しておりますので、ご遠慮なくお申し出く
ださい。(無料)

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          ◇609studio INDEX◇ 

◆現代時評:[近ごろ気にそぐわぬおカネの話]            ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2003年8月22日号

◆現代語感:「名誉毀損」                MK

◆韓国新聞拾い読み:北朝鮮応援団長の「スター誕生」  編集部

◆編集長から:[この1週間]

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◆現代時評 : [近ごろ気にそぐわぬおカネの話]         ken
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◆◆産経WEB  2003.8.17 アフリカで「最も血塗られた暴君」として
恐れられ、一九七一-七九年の独裁政権下で大量虐殺を行ったウガンダ
のイディ・アミン元大統領が十六日、サウジアラビアの病院で死去し
た。一九二五年生..。

◆共同通信 2003.8.05 スイス司法省は5日、フィリピンの故マルコ
ス大統領がスイスの銀行に預けていた6億8300万ドル(約820
億円)をフィリピン政府に返還すると発表した。両国の当局者が同日、
ベルンで会談し返還に合意した。しかしマニラからの報道によると、
マルコス元大統領のイメルダ夫人は5日、フィリピン最高裁の判決を
不服として上告している。.

◆共同ニュース 2003.7.26 米国防総省筋は25日、米軍が殺害した
イラクのフセイン元大統領の長男ウダイ、二男クサイ両氏の潜伏先発
見につながった情報提供者に、2人分の報奨金3000万ドル(約3
6億円)全額を支払う意向を明らかにした。

◆共同通信 2003.8.01 ロイター通信によると、ブッシュ米大統領の
再選対策本部は1日、今年4−6月の3カ月間にパーティー券購入や
インターネットを通じた寄付などで選挙資金約3420万ドル(約4
0億8000万円)を集めたと発表した。

◆毎日インタラクティブ 2003.3.3 国内の開幕戦を1カ月後に控え、尾崎直
道(36)はやる気満々だ。一昨年はプロ15年目にして念願の賞金
王を獲得、昨年は兄尾崎将司にその座を譲ったものの、1億3088
万余円を獲得して…。

■■1979年にウガンダのアミン大統領がクーデターでリビアへ亡
命するとき、国庫の金庫を開けさせ、有り金残らず飛行機に積み込ま
せ、そのため政府にオカネがなくなってしまった、というニュースを
聞いたことがある。それから20数年、そのアミン氏も亡くなってし
まった。
 40万人を虐殺したとか、政権最後の頃に「人食いアミンとアント
ニオ猪木の幻のリンク」などなど、センセーショナルなニュースに事
欠かぬ元大統領だったが、亡命の際、数億ドルを持ち逃げしたという
噂があった。NHKにいた木村太郎氏の話では、大統領は噂されるほ
どの悪人でもないとのことだったが、巨額の現金を国庫から持ち出し
たのは事実らしい。しかし、いくらたくさんのカネを懐にしても、命
が無くなってしまえばそれでお終い、あくどい事はすべきではない。

■1986年にフィリピンのマルコス大統領が失脚してハワイへ逃れ
たとき、スイス銀行に5億ドルのカネを預金していて、国庫への返還
訴訟が起こされたと聞いたが、いまようやく結論が出て、スイス銀行
はフィリピン政府へ6億8000万ドルの預金残を引き渡すと決めた
そうだ。マルコス氏のばあいは、アミン大統領のように国庫の金庫を
開けさせて現金を持ち出したのではなく、自分の在任中に、政府関係
の取引に関して、自分の架空会社へ平均10%程度の斡旋手数料を出
させることとし、それをその都度スイス銀行に送金させていたのだか
ら、イメルダ未亡人が、相続人として自分に所有権があると主張して
いるのも、まんざら理屈がないわけではない。ただ金額が大き過ぎる
のが問題で、それがもし100万ドルか200万ドル程度なら、現フ
ィリピン政府も目を瞑ったことだろう。

■インドネシアのスカルノ大統領失脚のばあいも、デビ夫人がフラン
ス辺りへたくさんおカネを持ち出したと噂されたが、いまごろ日本で
なりふり構わずTV出演して稼いでいらっしゃるところから察するに
、アミンやマルコスが持ち出したほどの大金ではなく、だからこそイ
ンドネシア政府もお目こぼししたのかも知れない。 総じてものには
限度があり、それを大きく越すと倫理感から醜くく、社会の制裁を受
けるものだ。宝くじにしろ、商店街のラッキーカードにしろ、僥倖の
賞金に上限を設けているのは、そうした感覚や考え方がもとになって
いる。

■国際政治の上でもとうぜんそうしたことが言える。国連ですら認め
ない敵国の、重要人物の行方を密告した者に3000万ドルもの報奨
金を出すと臆面も無く広告し、じじつそれを支払ったという破廉恥な
国の、金額の青空天井振りなどは、それがいかに窮よの策の戦術とは
いえ、支払い相手はきのうの友を裏切ったたかが破廉恥漢。それを買
収するのに法外な大金を出すとは、受取る方も方だが、払う側の倫理
感の欠如は、聞くも汚らわしい。頴泉の水で耳を洗った故人の気持ち
になりたくなる。

■政治家というのは、身を清貧におき、ひたすら国家社会のために働
く聖職である。東洋の儒教は政治家のための古来からの道徳律であっ
て、カネの話などはとうぜん恥ずかしいこととして忌避したものだ。
 それが第2次大戦後は、おカネの話にくっついて政治が存在し、誰
もそれを不思議とも思わず、恥じもしない風潮がいつの間にか定着し
てしまった。どうもその風潮はアメリカから渡来したもののようで、
現に米国の次回大統領選などは、またしてもカネの集まり具合からニ
ュースが始まったようだ。この3−6月だけの選挙資金の集まりが4
0億円というから、それはもう大統領選というよりは金集めのコンク
ールと言った方が当たっている。

■ボクの嫌いなものに「賞金獲得王」と言う言葉がある。ゴルフ好き
の友人たちが日常使う言葉だが、聞くたびにその人の知性が疑われ、
その無神経さに虫唾が走る。スポーツの勝敗などは、それなりのスポ
ーツ精神があってこその優劣勝敗であって、カネをいくら稼いだなど
で優劣を云々するのは下司(げす)もいいところだ。最近のダイエー
球団とフジテレビ事件で王監督が「球界と芸能界を一緒にするから、
こういう問題になる」と言って怒ったというが、いまやゴルフという
英国発祥の紳士スポーツも博徒のカネ儲けか、低俗芸能並みに堕して
しまった。その責任は金銭万能のアメリカ社会にあると考えて間違い
なかろう。

■国家社会の政治もそれと同じ過程にある。スポーツに賞金獲得王と
いう語を恥ずかし気もなく持ち込んだ国は、政治もカネの力で決める
べく、次期大統領選の政治資金集めがたった4ヶ月で3000万ドル
に達した。カネをより多く集めた方が大統領になる、そうした国によ
って世界社会が動かされる時代が到来している。

◆◆繰り返すが、われわれ儒教圏の社会では修身・斉家・治国・平天
下、つまり政治家たるものは清貧を基として世界社会の静謐安定を図
るを職務としてきた。そうした伝統を持つ我々の国が、密告者に30
00万ドルを払い、たった4ヶ月に40億円の選挙資金をかき集める
アメリカという国に、どう動かされ、どこへ連れてゆかれるのであろ
うか。空恐ろしく、そして慨嘆に耐えない。

   Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 info@609studio.com   へ!

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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]  2003年8月22日号    
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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高木健一氏来島−30年間1世のために頑張った

 17日午後6時30分からユジノサハリンスク市にあるロジナ文化
会館で高木健一弁護士と韓人同胞たちとの対談会が開かれた。韓人会
・老人会・離散家族会の会長ら、ユジノサハリンスク市長補佐官をは
じめ多くの同胞が出席した。通訳は金・ビョンスさんが勤めた。高木
健一弁護士は30年間サハリン1世韓人のために活動し、同胞社会で
は広く知られている。対談会で弁護士は「ペレストロイカ以前ここの
韓人1世は苦労ばかりだった。しかし、ペレストロイカ以後、声を出
し自分らの要求を言えるようになった。最初は韓国にいる家族に会い
たい、第2の段階では一時母国訪問、第3は永住帰国したいとのこと
であった。これらの問題は一つ一つ徐々に解決されてきた」と述べた
。韓国とロシアとの国交もない時代、高木弁護士の周旋で家族再会が
実現でき、又母国訪問、永住帰国もできた。このような功績を認めら
れ韓国政府から勲章も送られた。弁護士は最後に「4、5年文化セン
ター建設が遅れているが、それももう直ぐ解決される見通しである。
文化センターは強制連行して苦労をかけた1世たちに対するお詫びの
意味での支援である。今後も皆が一つになって協力しながら問題解決
に励むべきだ」と強調した後、出席者からの質問を受けた。質問と応
えを要約した。

質:「パイロット・プロジェクト」という言葉は何処から出たのか?
答:初期、500世帯アパートでサハリン韓人が満足するかどうか分
からなかった。アパートが不足する場合、又建設するとの意味でパイ
ロット・プロジェクトと名付けたと思われる。しかし、1千人の永住
帰国者を予想していたのにもかかわらず人数が足りなくて、本来その
対象とされなかった若い2世まで永住帰国させるはめになった。その
結果、これ以上、家は要らないとの判断され、日本政府側は追加建設
の必要性を感じていない。

質:1.一時母国訪問事業を中止させ、その資金でサハリンファンド
を作り、一時訪問できなかった障害者に1千ドルずつを支払うべきで
ある。2.子女同伴の永住帰国であったならば1世は皆帰国したはず
だ。

答:一時母国訪問事業を中止となると、その後日本政府からは一銭も
出してもらえないことを私は知っている。だから覚悟しなければいけ
ない。

質:民団はサハリン韓人のために何をしたか?
答:(これに対し日本神奈川県民団本部ユン・ユンド議長が応えた)
民団もサハリン韓人の帰国を韓日両政府に要請するなど協力してきた
。30年前、朴・ノハクさんはよく民団事務所に出入りしていた。今
も要請があれば民団は協力する意思がある。しかし、ここでの意見の
統一がないと成果は期待しにくい。

ウラジオストク韓国総領事館代表来島

 駐ウラジオストク韓国総領事館の金・スンギ領事が16日の光復記
念行事に出席するために15日来島した。15日は同胞社会の近況を
調べるため韓人社会代表らと面談を行い、16日は記念行事に出席し
て祝辞を述べた。16日ウラジオストクに戻った。

日本からのお客様

 日本から高木健一弁護士と神奈川県民団本部ユン・ユンド議長夫妻
が、サハリン韓人社会の近況を調べるために15日〜20日の滞在予
定でサハリンを訪ねた。彼らは韓人たちと集会を開いて1世たちの望
みに聞き入れる他、在日同胞たちの生活について伝えた。

韓赤代表、里帰りに同行して来島

 韓国赤十字社南北交流局在外同胞課金・サンユ課長が13日永住帰
国者35人を引率して来島した。金課長は同胞社会の懸案について各
団体の代表らと話し合った。又15日にはホルムスク市庁関係者との
面談も行った。金課長は16日帰国したが、里帰りした1世たちは9
月中旬までサハリンに残る。

朴・ヘリョン会長訪韓

 韓国在外同胞財団と海外韓民族代表者協議会が主催する世界韓人同
胞社会指導者大会に出席するために朴・ヘリョン韓人会長がソウルに
向かって18日出国した。ソウルで各国同胞社会指導者数百人が同胞
の地位向上や民族共同体強化などの問題を巡って議論する。

サハリン州知事行方不明

 イ・パルフトジノフサハリン知事と州政府部門別担当管理局長ら、
州政府プレスセンター記者ら15〜17人が登場したミ−8へリーが
、20日カムチャッカ地域で姿を消し捜索中である。21日午前11
時現在、彼らは見つかっていない。

光復58周年記念

 16日雨の中でも予定通り、サハリン州知事や政府関係者らも参加
した中で今年もコスモス競技場で光復記念行事が行われた。参加者た
ちは開幕の前に、老人会主催のサハリン犠牲同胞慰霊塔の定例参拝を
行った後、今年の特別企画された朝鮮時代王様の狩り行列がユジノサ
ハリンスク市庁前を出発して南部サハリンとクリル解放記念塔のある
スラワ広場まで行進した。エトノス芸術学校と一般学校生徒ら70人
は雨も気にせず行進に参加した。又、今年は北朝鮮の最高人気歌手、
金エランさんの参加が大歓迎を受けた。今年はサハリン国際芸術協会
(金・ヨンジュ会長)、サハリン韓人残留永住帰国促進会(金・スヨ
ン会長)、極東高麗人統一連合委員会(権・チョンシク委員長)など
多くの民族団体が協力参加し団結をみせた。又極東大統領全権代表傘
下連合監督官から光復を祝う祝辞をセコリョ新聞社に送ってきた。

あれこれ

人口変動」
 
州政府によると、93年から減少傾向にあったサハリンの人口がこの
5カ月間回復を見せ始め、昨年同時期に比べ出生率が増加している。
しかし、南クリルとホルムスク、ユジノサハリンスク市など出生率の
減少がまだ続いている地域もある。世論調査によると経済的理由で出
産を諦めている。サハリン州政府は人口増加のために2015年まで
の長期計画を立てており、これから2年間は緊急対策を応じる考えで
ある。

「交通事故」

 無免許の運転手が12人の乗客を乗せドリンスクからユジノサハリ
ンスクへ走っている途中自家用車と追突し、自家用車の運転手(28
才)が即死、8人が重軽傷を受け病院に運ばれたが、その中の一人は
死亡し、もう一人は昏睡状態に落ちている。バス運転手(34才)も
重傷を受けているが回復を待って起訴される見通しである。

「ガソリン代値上げ」

 極東でガソリン代の値上げが続いていると連邦統計委員会が発表し
た。発表によると先週ユジノサハリンスク市ではガソリン代が24コ
ペイカ値上げし1リットル11.4ルーブルに達した。他の地域の値
上げ状況については言及がなかった。

「クリルで日本語研修」

 イトルプとクナシリで住民達の日本語研修ブームが起きている。こ
の地域の住民たちはビザなしで日本に入国することができるからであ
る。南部クリルでは3年前から日本語研修が実施されている。日本語
研修を優秀な成績で終えると札幌国際連絡センターに留学できる。今
年も10人が日本での留学が実現できた。

「アルコール製品押収」

 この2カ月間サハリン州政府はアルコール搬入を厳しくチェックし
た。30万瓶を調べた中で質の悪いワインが400瓶入っていた。政
府はこの他にも4万瓶のヴォッカ、ワインなどが押収された。

「共産党員らの会議」

 9日、ロシア連邦共産党サハリン支部党員らの第2次会議がユジノ
サハリンスク市で開催された。15の地域から代表が参加し国家下院
議員選挙準備と活動性について話し合った。

「自殺未遂」

 ユジノサハリンスクゴリキ通りのアパート地下でホームレスの男性
(51才)が自殺を図ってガソリンをかけたが、火をみて怖くなって
逃げる事件があった。男は命を救われたが火災による損害は少なくな
い。

KAL撃墜20周年、撃墜手が心境を語る『命令を実行したから忘れろ!』

 1983年9月大韓航空機ボーイング−747を撃墜させたゲンナジ
・オシポヴィツ飛行士はその悲劇的体験を再びやっている。
約20年前米国大統領はソ連を「悪の帝国」と言明した。これは198
3年8月31日から翌日の変わる未明サハリン上空でゲンナジ・オシプ
ヴィツ操縦の戦闘機がニューヨーク・ソウル間のKAL747号を撃墜させ
た後のことである。 
269人の乗客と乗務員全員が死亡した。世界の反ソヒステリーを招い
たこのような残酷な事件を巡っての疑問、即ち、1.最新設備を搭載し
たボーイングがどうして空路から180キロも離れたのか?2.実際は
カムチャッカのソ連原子力潜水艦基地の上空を飛びながら、乗務員はど
うして太平洋上空の第1チェックポイントを通過しているように通知し
たのか?3.飛行路を監視していた外国指令塔はどうしてソ連領空に進
入していることを韓国の乗務員に知らせなかったのか?について誰も応
えようとしなかった。
長期間の調査結果、1993年国際民間航空機関は、ボーイング747
が「誤って」ソ連領空に進入したのに偵察機と誤解されソ連航空隊に撃
墜されたと結論づけた。又、その数年後日本の退役軍人田中ヨシロウの
書いた「KAL007飛行の真実」が出版されたが、田中は次のように
結論づけた。「米国秘密諜報機関が意識的に、韓国旅客機がソ連領空に
入るようにしたのだ。その目的は近代化を進めているソ連極東防攻シス
テムを驚かせるとともに、平和時代に沈黙している電波探知観測所を稼
働させてみたいとのことであった。オシポヴィツ ソ連操縦士は勿論田
中氏の書いたような秘密を知る術はなかったであろう。
 彼の人生も変えてしまったその悲劇的事件から数十年が過ぎた今も、
「私が偵察機を撃墜させただけだ」と任務を忠実に遂行した人としての
毅然とした態度を彼は取っている。

質:疑惑或いは良心的に苦しんだことはないのか?
答:一度もない。

 本や新聞、ドキュメンタリー映画などで彼の飛行過程は克明に描かれ
ている。戦闘機が目標物を負いながら命令に従ってロケット弾を発射す
る。「私はモスクワから如何なる命令を受けていない。全ての責任は部
隊司令官ゴルヌコフ大佐が負った。私は撃墜命令を受ける前、諸々の信
号を送った。しかしその飛行機は中立領空へ逃げるばかり。だから私は
命令を受けてサハリン上空で撃墜させた。最初のロケット弾はエンジン
に、二番目は後部に撃った。しかし、余りにも大きい飛行機であったの
でもしもと思って戦闘機で突撃しようとも思った。」と彼は言った。

質:二つのロケット弾で足りなかったのか?
答:以前そのようなことがあった。撃たれたボーイングが氷の上に着陸
した前例があった。だから二つだけでは足りないのではと思った。その
飛行機はモネロン島付近に落ちた。

質:そこはソ連領土なのか?
答:勿論だ。後で分かったが当時そのボーイングを捕まえるために、他
に8台の戦闘機が出動していた。偵察機を逃がすことはできないからだ。

 その後オシプヴィツから聞いた話によると、その時アンカレッジでボ
ーイングと同じ米国偵察機が飛んでいたという。2機が同時に飛んでい
た。それは我々に民間機1機だけが飛んでいるように見せようとしてい
た。実際、電波探知機の記録もそうであった。ゲンナジ・オシポヴィツ
は「怖かったのは上空でではなく、帰ってきてから陸地で始ったことで
あった」と言う。陸地に帰ってきて三日間彼は空虚状態に落ちていた。
上官は何もさせない上、彼と会うのも避けていた。彼はある調査機関が
部隊に来ている事を知った。しかし、友だちを彼に寂しい思いをさせな
かった。毎日、夕方には友だちが訪ねてきた。アルコールは幾らでもあ
った。1機のミグ25に300リットルのアルコールがあった。友だち
は皆「ゲンナジ、軍服に勲章をかける穴でも開けておきなさい」と言っ
た。三日後、オシポヴィツはハバロフスク軍司令部に呼ばれた。偵察機
を撃墜させた英雄としてではなかった。滑走路に集まっていた同僚から
は「よくやった!」と拍手を受けたが、実際英雄という感じはしなかっ
た。

当時を彼の次の様に語った。
「私は戦闘準備が完了した防空隊飛行士であった。時には一日2、3回
出動する。米国偵察機が領空を侵入した時、或いはそれを防ごうとする
時のやり方は知っている通りである。相手が突発的行動に出ると我々は
電波探知観測器を稼働させる。そのすべてが偵察機機構に直ちに記録さ
れる。私を出動させた朝5時、その飛行機がカムチャッカ上空を過ぎサ
ハリンに向かっていることを私は既に知っていた。」

質:撃墜命令は直ぐに出たのか?モスクワから命令があったというのは
本当か?
答:責任者が危機を感じて録音テープを偽造していた。私の飛行中に言
ったことはすべて録音された。撃墜命令を受けた時、私は撃てなかった
。何故ならば距離が余りにも近すぎて。だから目標物から5Km離れてか
ら撃った。私は「閃光のような信号が見えると言ったが、テープには閃
光のような信号は見えないと変わっていた。なぜなら日本人や米国人が
言葉一つ一つの意味を知っているからだ」。

彼がハバロフスクから家に帰って見ると、奥さんのリュドミラと娘オー
リャが泣いていた。安全のために12時間以内に移住しろとの命令が下
りたのであった。民間機を撃ったと世界がソ連の残酷性を告発した。乗
客の多数が韓国人であった。サハリンにも韓人が多く住んでいる。彼は
家財道具を近所に渡し、車を安く処分し、用意されたイル−76機に乗
って12時間後は新しい所に着いた。オシポヴィツの家族をマイコフ市
に隠してしまったのである。そこで彼は軍に復帰した。彼の奥さんもチ
ェチェンで火薬の匂いを嗅いだ従軍通信員であった。移住のために用意
された飛行機、新宅、このすべてが英雄に送られる特典であった。事件
1年後勲章を受けた。空の名手オシポヴィツ退役中佐の最終的居住地は
「10月革命17周年記念村」となった。彼は1986年飛行機事故で
腰を痛め早期退役をした。彼は今も空を飛んでいる。夢で15才の少年
に戻って。ところがいつも変な夢を見る。飛行機に乗っているが本当は
車の中だ。だから車を止め外に出て雲の上を歩く。しかし、その時、1
983年9月には止めることができなかった。命令だったから・・・。
              エン・セロフ(「トルド」)モスクワ
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◆ 現代語感:「名誉毀損」              MK
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 昨今この言葉が頻繁に新聞や雑誌等に出る。辞書をひくと「人の名
誉を傷つけ,損害をあたえること」とある。また「刑事上は不特定ま
たは多数の人が知ることが可能な状態で,真偽にかかわらず,なんら
かの具体的な事実を摘示して,その人の品性・能力などについての社
会的評価を引き下げること。名誉毀損罪の対象となる。」とあり、刑
事罰もありそうだ。

 日本道路公団(藤井治芳総裁)は21日、同公団の債務超過を示す
財務諸表が存在したとする手記を月刊誌に公表した片桐幸雄・四国支
社調査役(54)と掲載した月刊誌・文芸春秋を名誉棄損、侮辱、信
用棄損罪で刑事告訴することを決めたようだ。意地とも言える告訴。
 往々にして名誉を傷つけられたと感じる方々は、名誉を重んじる。
しかし、藤井総裁の場合、テレビなどで野記者会見を見ていると、名
誉ならぬあれは「恥の上塗り」としか言いようがない。いわば悪あが
き。あのような記者会見や国会での答弁を聞いていると、この人に「
訴えてまで守るべき名誉」なんてのがあるのか疑いたくなる。もっと
も「名誉毀損で訴える人」とは得てしてそういう人たちなのかも知れ
ない。
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◆[韓国新聞拾い読み]               編集部
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◇北朝鮮応援団長の「スター誕生」(中央日報8月21日)

 20歳、大学3年生。北朝鮮応援団を率いるキム・ウンボックさん
が、新しいスター誕生を予告している。昨年の釜山(プサン)アジア
競技大会のスターがイ・ユギョンさんだとすれば、大邱(テグ)ユニ
バーシアードのスターは彼女のものだ。 
  彼女は「学校や北朝鮮での各種体育大会で磨いた技を、大邱で遺憾
なく発揮するつもりです」と自信をのぞかせた。 
  21日の北朝鮮男子バレーボール予選に初めて出演した彼女の応援
は躍動的だった。あの小さな体(身長156センチ)のどこからそん
な力が湧いてくるのかと思うほどに、そのきびきびした動作はカメラ
記者の的となった。彼女は、指の本数を随時変え、応援団員を「指揮
」した。彼女が指を1本立てると、応援団員は準備したチャクチャギ
(手のひらほどのシンバルのような楽器)を1回ずつ(タン、タン、
タン)と叩き、2本立てると2回ずつ(タタン、タタン)と叩く。3
本だと、1、1、2(タン、タン、タタン)と叩く。 
  彼女は「今日は初めてなのであまり見せられませんでしたが、次の
試合では期待してください。本当にたくさんの『作品』を披露するつ
もりです」と言い、小さなガッツポーズを見せた。 

関連HP(写真も)
http://japanese.joins.com/html/2003/0821/20030821200050600.html
─────────────
 韓国のユニバシアード大会の関係者をやきもきさせて結局しっかり
選手ともども応援団を派遣した北朝鮮の戦略は開会式で日米の選手団
には「沈黙」もって迎えたが、その他のチームには華麗な声援を送っ
たと報道にある。

 したたかな美女達だが、古来美女には注意しなければ・・・。

 このメール・マガジンをお届けする頃には北京で「6カ国協議」が
開催されている。その行方は不明だが、イラクでのアメリカの占領統
治が困難な状況の中で、北朝鮮はかなり強気に押してくるかもしれな
い。

 何はともあれ、北の国からきた美女たちには驚く。
─────────────────────────────────
◆[編集長から]             Michio Katayama
─────────────────────────────────
 夏休みを戴きました。その間九州は武田市へ行ってきました。荒城
の月の作曲で有名な滝錬太郎のふるさとです。モデルとなった岡城址
は晩秋に訪れたい雰囲気をもっていました。

◆サハリンの州知事たちを乗せたヘリが墜落した。全員絶望とか。
州知事はサハリン大陸棚石油天然ガス開発の推進に力を入れ、日本と
の経済交流拡大にも積極的な姿勢を見せる一方、北方領土については
返還反対の姿勢を明確にしていた。州の主だった幹部もこのヘリに同
乗していた。州政府は大きな痛手。

◆いささか古い話だが、与党三党がイラクへ調査団を派遣した。6月
20日から25日のことである。その報告書の中で治安は「特にバク
ダッドでは急速に回復」とある。   http://www.jimin.jp

しかし同じ頃・・・

◎首都バグダッドの北西約140キロにあるヒート近くで22日、イ
ラク南部と北部の油田をつなぐ原油パイプラインが爆発、炎上した。

◎バグダッドの南約20キロで22日、米軍の車列に手投げ弾が投げ
込まれ、米兵1人が死亡、1人が負傷した。米中東軍が発表した。

◎英首相府報道官は24日、英軍が管理するイラク南部バスラの北方
約200キロのアマラ市南部で同日、パトロール中の英軍第1空てい
部隊が武装組織の攻撃を受け、6人が死亡、8人が重軽傷を負ったこ
とを明らかにした。 などなど。

いったい何を見てきたのか。

◆万景峰(マンギョンボン)号が入港。「黒船の来航」の如き騒ぎ
が・・・。

◆犯罪白書(平成14年度判)にこうある。

各被害の実情 
 生命・身体に被害を受けた死傷者総数は,平成12年に4万人を突
破し,13年には,4万5,777人となった。うち,死亡者は1
,440人,重傷者は3,436人である。特に軽傷者の増加が著
しい。財産上の被害における被害額を見ると,平成13年では,被
害総額が約3.670億円であり,このうち現金の被害総額(約1
,030億円)・・・。性犯罪の被害は,被害者及び被害発生率(
女子人口10万人当たりの被害者数)のいずれも,近年増加傾向に
ある。平成13年では,強姦が,被害者数2,228人,被害発生
率は3.4人であり,強制わいせつが,女子被害者数9,044人
(前年比1,922人増),被害発生率13.9人である。・・・

安全なはずのわが国は年々犯罪数の増加をみている。いったい何が
原因なのか?

 万景峰号にも「現行法での徹底した検査」が必要とは思うが、こ
の犯罪数の増加、現行法内でどうにかできないか。安部官房副長官
殿。

犯罪白書  http://www.moj.go.jp/HOUSO/2002/index.html

◆22日付の米紙ワシントン・タイムズは、朝鮮戦争で捕虜となっ
た米兵4人が1993年、北朝鮮の平壌市内のホテルで目撃されて
いたと報じた。米兵捕虜家族でつくる市民団体の要請により公開さ
れた米国防情報局文書で分かった。なんともミステリアスなことが
起こるミステリアスな国だ。

◆先日とある市の公民館で「スライド・トーク」なるものをした。
人前で話すのは苦手なのでうまくは行かなかったが、写真はお褒め
に預かった。スライドは以下のページに掲載。

         http://www.609studio.com  

   のサイトマップからスライドショー「人間追跡」へ!

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発行     2003年8月26日   No.131
編集・発行  609studio   Michio Katayama
発行     毎週火曜日  購読料無料
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