メルマガ:片山通夫のnewsletter「609studio」
タイトル:609studio No.101 現代時評 [売る人がいて、買う人がいる武器取引]  2003/01/08


2003/1/7 No.101  _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

【609 Studio 】609studioメールマガジンは「現代社会を斬
る!」をコンセプトに論説委員Ken氏の論説「現代時評」をはじめ、
サハリン情報として、ロシア唯一の韓国語新聞サハリンの「セ・コリョ
」ダイジェスト版、その他、寄稿記事など話題満載!

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          ◇609studio INDEX◇ 

◆現代時評:[売る人がいて、買う人がいる武器取引]    ken

◆セ・コリョ新聞ダイジェスト版:2003年1月3日号

◆コリア・コンフィデンシャル
    [南北問題が影を落とす]         Kil Sang
       

◆韓国新聞拾い読み:                              編集部

◆編集長から:[この1週間]
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◆現代時評 [売る人がいて、買う人がいる武器取引]   ken
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◆人民報 2002.12.10  大量破壊兵器の開発計画や保有に関するイラ
ク政府の申告書について、国連から原本の提出を受けた米国は9日、
ワシントンに持ち帰り中央情報局(CIA)などを中心に独自の分析
と検証を開始した。国連安全保障理事会が当初の決定を一転させ、常
任理事国5カ国への原本配布を認めた背景には、「兵器輸出大国」で
もある5カ国が、自国がかかわった可能性がある「イラクへの兵器援
助」の記述をチェックする目的がある、と批判が出ている。報告書の
目次によれば、申告書は、「核」「化学」「生物」「弾道ミサイル」
の4部構成。イラクがミサイルなどを購入したり、主に化学兵器製造
の技術協力を受けたりした記録が含まれている。「優先配布」の背景
に、兵器大国でもある各常任理事国が、公表前に売却や援助の記述を
チェックする目的が…。

◆アサヒコム2002.12.18生物、化学兵器と弾道ミサイルの査察を担当
するUNMOVICからは約3500ページの文書で、核兵器を受け
持つIAEAからはCD−ROMで各国に渡された。製造情報のほか
、イラクに武器を売却したり、武器製造を技術援助したりした企業の
名も削除された。

■船名を隠した北朝鮮の船がミサイルを積んでいたとして大騒ぎにな
った。 その前にはテボドンと称するミサイルが日本の上空を飛んで
、「さあたいへん」と慌てたこともある。核もミサイルも同一視して
一大事なことのように騒ぐが、いまの世の中、ミサイルはそう特異な
武器とは言い難い。30年まえには米国とソ連の2カ国だけが持ってい
た弾道ミサイルは、2002年現在では46カ国が保有していて、どちらか
といえばポピュラーな武器というべきだ。

ミサイル(被誘導弾)の製造技術はひじょうに難しいというが、それ
も昔のことで、いまではあちこちの国が製造している。たとえば19
98年にイランが「シャハブ(流れ星)3」というミサイルを実験発
射している。そのルーツはソ連製のスカッド・ミサイルで、北朝鮮が
それを改良してノドン(労働)ミサイルと名付け、さらにそれをイラ
ンが輸入し改良して「シャハブ3」と命名した。インドとパキスタン
も1999年にミサイルの開発競争をやった。そのときインドがベン
ガル湾から発射したミサイルが「アグニ2」で、パキスタンがパンジ
ャブ州から撃ったのが「ガウリ2」だ。パキスタンのミサイル技術は
中国から供与されたと言われていたが、後日どうやら北朝鮮の「ノド
ン」をみずから改良したものらしいとも噂された。
北朝鮮のスカッド・ミサイル製造技術は、もともと1970年代にエ
ジプトから技術供与を受けたといわれているが定かではない。ただ言
えることは1960年代の世界には、米・ソの2国だけがミサイルの
実物も、したがって技術も半独占していたのである。

■それがいまでは世界46カ国が保有し、年間総取引額は97年度で
346億ドルと、年間武器取引総額600億ドルの過半をミサイル取
引が占めているという、いわば武器輸出の花形商品なのだ。それをい
まごろになって、たった15基ていどのスカッド・ミサイルを北朝鮮
の船が運んでいたからといって驚くことはない。ミサイルの輸出が多
いのはもちろん米国とロシアだが、北朝鮮もまた近年にいたってミサ
イル輸出で実績を急に増やしているのは周知の事実で、ニュース・バ
リューすらない。

しかもミサイルを積んだ船が北朝鮮の南浦を出航したときから米国の
レーダーは監視を続け、いよいよイェメンの港に着くと見定めてから
、やおらスペインに頼んで形式的に臨検してもらったのだ。日本のマ
スコミがもしほんとうに「さぁたいへん」と本気で騒いだのなら情報
収集能力を疑われる、もっとしっかりせよと言いたい。世界46カ国
が保有している、いわば通常商品としてのミサイルを公海上で押収し
たりすれば、いくら米国でも海賊行為に他ならず、国際法で米国に勝
ち目はない。
もっとも先年、ミサイル技術管理レジュ―ム(MTCR)という国際
的枠組みが作られてい、参加国は輸出を自主規制しているが、中国や
北朝鮮は加盟してないので拘束力されることはない。それに業を煮や
した米国は勝手に自国で国内法を作り、違反国に対する制裁を規定し
ているが、どこの国もそのような米国の身勝手は認めていない。
もし北朝鮮なり、買い手のイエメンが「米国は海賊行為を働いた」と
国際社会に訴えたら米国はぐうの音も出ぬところだった。

今回はイエメンが自分の国が買った品だと正式に発言したから、泰山
鳴動してねずみも出ず、一件落着したが、実際のところ1994年に
始まった南北イエメンの内乱が終わって以来、イエメン政府はミサイ
ルのような高価な武器を買っても、それを撃ち込むべき相手などある
わけでない。おそらくエジプトの代理買付けか、内密にイラク辺りへ
転売するか、都合によってはアルカイダに売って巨利を博するのが目
的、としか考えられない。
だから米国も気になって、何とか理屈をつけて押収したかった、とも
考えられる。

■しかしボクは、米国があまりにも執拗にミサイル売買に文句を言う
裏には、何か別の思惑があるように思えてならない。
「ひとたびミサイルが入手できれば、核を搭載するのは比較的易しい
から、それを憂慮して通常ミサイル、つまり通常兵器の段階で厳しく
統制しておこうではないか」という米国の言い分を、そのまま鵜呑み
にするほど我々は鈍感でない。

米ソ冷戦の終結と共に旧共産圏への戦略物資輸出を禁止した「ココム
」制度は解消したが、そのあと引き続いてひじょうに酷似した「ワッ
セナ―合意」という武器輸出の管理機構が出来ている。
言い出したのは例によって米英仏で、今度は「国際テロ集団への武器
輸出が野放しになってはいけないから」と言うもっともらしい理由が
つけられ、現にそれは参加各国が国内法をつくって実効化している。
最近でもわが国の某社が精密機器を輸出したのが、この「ワッセナ―
合意」違反として懲罰に掛けられるという事件があり、精密機器メー
カーなどは、「ココム」に引き続いて、新顔の「ワッセナ―合意」に
もひじょうに気をつかっている。
わが国は国内法で武器輸出を禁止している世界でも珍しい国だから、
一見武器輸出など関係ないようなものの、ほんのちょっとした機械部
品を何げなく輸出して、「ワッセナ―」に抵触していると米英辺りか
ら文句をつけられるケースが多いのだ。
 
■そこで実態をわがメーカー筋に聞いてみると、話がだいぶ違う。
もしいま国際間の武器輸出を自由化すると、技術的に優秀な日・独2
国に武器関連マーケットを侵食される可能性がある。それでは既得権
益としての米・英・仏の武器輸出業界が損をする。なにせ1990年
ごろの統計で総額600億ドルを越える国際武器取引は米国が30%
から40%、ついで英国15%、フランス13%のマーケットシェア
だったのだ。ソ連崩壊後の市場シェアは圧倒的にこの3国が占めてき
た。
だから自分たちが国際武器市場の支配を続け、日独を締め出したまま
にしておく最良の方法は「ワッセナ―合意」を堅持し、しかもその商
品を輸出していいかどうかの判定権を米英仏が握って離さない、とい
う今まで通りの制度を踏襲することなのだ。

いま地球上の武器輸出市場は米・英・仏・ロ・中の国連常任理事国が
握っているところへ、北朝鮮という予期せざる国が、最新商品として
のミサイル輸出に割り込んだのだから、「核の脅威」の名目のもとに
追い出す必要がある、と米・英・仏は考えている。
しかし輸出禁止は国際法上ダメと分かったので、バイヤー側に圧力を
掛けて「北朝鮮からは買うな」、つまり「買うなら我々から買え」と
イエメンに圧力をかけたのが、今回の北朝鮮船臨検問題であった。 

■かく考えると、イラクに武器製造の報告書を出させるという国連安
保のシナリオにも無理があるのも自明の理だ。だいたいが農業国のイ
ラクが武器を作り、あるいは武器製造技術を習得しようとすれば、と
うぜんのことその供給元は安保常任理事国以外には無い。
イラクから報告書を受け取った5大国は、慌てて自分たちに関係があ
る部分を墨で消してしまった。墨でべたべたと消された部分が多い報
告書のコピーをあとで受け取った非常任理事国が怒るのはとうぜんで、
「そんな報告書など見たくもない」と、つき返した国があったとニュ
ースは報じている、当たり前すぎる話だ。

もし米英仏が本気で世界の平和を願うのなら、先ず第一に自国の国内
法で自分たちの武器輸出を禁止するのが筋で、そのモデルとしてはす
でに日本という良心的な国がある。
それをやらずして、「自分たちが世界の武器市場を独占するから、他
の国は手を退け」というのは理不尽もいいところだ。
そこをうまく潜って、せめて部品だけでも輸出して稼ぎたいとするわ
が国の精密機器メーカーなどは、すでに米英仏の業者を代理店に指定
し、彼らを表向きのバイヤー名として輸出を継続している。彼らに扱
い口銭を支払はねばならず、ある種の保険料だが、そうしておけば
「ワッセナ―合意」違反ということで米国からお叱りを頂戴すること
もなく、会社も日本も安全ということらしい。
今回のイラク政府による申告書のなかにも、核関連の部分に日本企業
名が数社出ていると報道されているが、おそらく米・英・仏などの企
業経由だろうから、ちゃんと墨で消してくれているものと考えられる。

イラク政府の申告書を、常任理事国と称する5大国がすぐさま、それ
ぞれ自国に関係ある部分に墨を塗って消してしまったというのは、
つまりは「ワッセナ―合意」と称する武器禁輸協定が、あまりにも
勝手なグループ内の武器市場独占契約であった事実を、今回の事件
がいみじくも全世界に発表するチャンスになったのである。

◆日本人を拉致した北朝鮮の行為は、文句なしに怪しからぬ。だがし
かし、ミサイルを輸出した北朝鮮の行為について、我々部外者が「怪
しからぬ」というのは筋違いである。むしろ小国ながら、独占五大国
の向こうを張って最新式武器の輸出市場に食い込んだ北朝鮮という、
かっての我が兄弟国に、拍手でも贈るべきでないか、とボクなどは思
う。
もしその拍手が不謹慎だというのなら、五大国に対して「いますぐ武
器輸出全面禁止条約をつくれ」という運動を起こそうではないか。
表面上だけでもそうした条約が締結されれば、地球上の戦争被害が半
減するのは目に見えている。 
麻薬は、買う側よりも売る側の取締りが先決だ。武器も、買う側を取
り締まるまえに、売る五大国を取り締まるのが筋というものだ。

    Ken氏もしくは現代時評へのご意見、ご要望などは 
                 info@609studio.com   へ!
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◆[セ・コリョ新聞ダイジェスト版]   2002年1月3日号    
              発行 ユジノサハリンスク市 翻訳 Kil Sang
◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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新年挨拶

尊敬する読者と後援者の皆さま、そしてインターネット新聞愛読者の
皆さま!新年おめでとうございます。いつものご愛読、ご声援、誠に
ありがとうございます。今年は苦しい中でも正直に生きようとする方
々を思いながら、より読者に近い「読者たちのセ・コリョ新聞」を作
っていきたいと思います。今年も多くのご声援をお願い致します。ご
健康でよいお年でありますようお祈り致します。
                                (セ・コリョ新聞社編集部)

州知事の新年挨拶

 親愛するサハリン・クリルの住民の皆さん、又同郷の皆さま!新年
おめでとうございます。サハリンはロシアの中で一番早く新年を迎え
る地域です。2002年は記憶に残る特別な年でした。サハリン州が
成立55周年を迎えた年であり、極東で投資額一番、福祉部門で大き
く成長した年でした。建設と大陸崩開発プロジェクトが順調に進み、
連邦政府からの積極的な応援も受けるようになりました。それから、
人々の考えも大きく変わりました。サハリンとクリルを真の故郷と思
い、島の将来と子供達の将来を関連つけて考えるようになりました。
新年にもこのような成果を維持発展していくことが何より大事であり
ます。この1年間の皆さまのご声援に感謝します。来年もよろしくお
願いします。又、皆さまのご健康とご成功、お幸せをお祈り致します。

大統領選挙法改正

 昨年12月、ロシア下院は3回の審議を経て大統領選挙改正法を制
定した。改正法により、今後政党が大統領候補推薦権を持ち、政党の
推薦を受けた大統領候補は一般推薦と選挙準備金の制約を受けなくな
る。法律に明記されている次回大統領選挙は2004年3月14日で
ある。

税金法修正

 昨年12月末、ロシア下院が税金法に修正を加え、03年1月1日
から5年間、外貨購入税制を実施してきたが、収入より統制に費用が
かかったため、外貨購入税を廃止するようになった。又、連邦政府は
今年から作業量と成果に基づく公務員給料制の導入を検討中である。

あれこれ

「警備員の死」

 昨年12月末、オハ市のある店に泥棒が入った。ドアの向こうに何
かが引っかかって店の中に入れなかったオーナーが警察に通報して開
けてもらうと、ドアの前に泥棒たちに殺された警備員の死体が捨てら
れていたのであった。警察は犯人を追っている。

「ひき逃げ事件」

昨年末、ウゴレゴルスク市で70才のお婆さんが車に轢かれて死亡す
る事件が起きた。しかし、運転手はその現場から姿を消していた。逃
亡中の犯人が先日警察に逮捕されたが、52才のシャフチョルスク市
民、バス運転手であった。

「日本、タジキスタンに支援」

 日本政府がタジキスタン政府保健部に1300万ドルの支援を約束
したことがわかった。子供達と妊婦の病予防のための薬品と医療器具
の購入に支援金が使われるとのことである。

「パイプ・ラインの老化深刻」

 サハリン住宅公共経理管理局によると、ボイラーと燃料供給は順調
であるが、熱供給パイプ・ラインの老化が酷く、暖房供給のできない
住宅が多い。昨年と同様にゴルノサヴォドスクが最も深刻であり、コ
ルサコフ、ユジノサハリンスク、ブイコフ、ワフルシェフ、ポロナイ
スクなどでも寒さに震えている住民が多いとのこと。

「釣りコンクール」

 年末ネベリスク市港で、ネベリスキエ・ノヴォスチ新聞社主催の釣
り大会が開催された。一番釣れない場所を指定してコリュスカ釣りを
戦ったが、一番多く釣ったのはネベリスク港警備員ア・グセフさんで
あった。

魚加工工場オープン

 ネベリスク市で魚加工工場ドランスプロト社がオープンした。3年
前、船長として有名な同社イワンネドフ社長が、外壁しか残っていな
い鉄筋コンクリート生産工場に魚加工工場の建設の計画を出したが、
多くの人が否定的な見方をしていた。しかし、諸々の難関を乗越え、
3年後最先端の設備を備えた近代的な工場がとうとう建てられたので
ある。150人の新しい雇用を創出、地域住民に職場を提供した。開
所式に出席したパルフトジノフ州知事は、ネベリスクでこのような生
産工場ができたのは大変な進歩であると歓迎の言葉を述べた。同社は
300人まで雇用拡大を計画中であり、近々ネベリスク市民は同社の
缶詰を味合うことができるであろう。

昨年の建築作業総括

 サハリン建築管理局によると、昨年11カ月間の建築組立作業量が
大きく増加した。98年15億ルーブルであった作業量が、00年度
には47億ルーブル、昨年11カ月間に69億ルーブルへと成長した
他、来年度は100億ルーブルを目標としている。

読者の手紙「自由はあるが生活は苦しい」

 日本はわが祖国を植民地とした上、我々を太平洋戦争中、強制連行
してきては炭鉱などでろくな食糧も与えず過酷な強制労働をさせた。
そして終戦後、朝鮮民族をこの地に捨て、自国民だけを連れて帰った
。その後、我々は祖国にいる家族の消息も知らず、書信連絡もできず
悲しい歳月を送ってきた。90年ソ連邦が解体し、ぺレストロイカが
始まり、祖国との往来もでき、親戚との再会も実現、永住帰国をした
同胞もいる。ソ連時代、ソ連公民証のない同胞はいくら実績をあげて
も正しく評価されることもなく、バスや汽車に乗って自由に移動する
こともできなかった。しかし、ペレストロイカ以降は誰も公民証の提
示を要求しなくなった。自由もできた。又店には品物も豊富な時代と
なった。しかし、インフレや購買力低下により年金生活者の苦労は日
々増している。又失業率や犯罪の増加が我々を不安に導いている。
       (ポロナイスク市の年金生活者 チェ・スンチョル)

愛する母へ送る手紙

永住帰国して安山のコヒャンマウルで80回の誕生日を迎えるお母さ
ん、お誕生日おめでとうございます。私達に命を与え、苦しい時はい
つもやさしく励ましてくださったお母さん!働き者の貴方から私達は
多くのことを学びました。こうして真面目に正しく生きていけるのは
、すべて貴方の愛情のお陰です。もっと親孝行できなくてもすみませ
ん。これからも元気で幸せでおられるようお祈り致しております。
         遠いサハリンから長男のチェ・キョンジュンより

戦争及び労働老兵たちとの会談

 イエジナ・ロシア所属のサハリン州議会下院議員たちは年末、サハ
リン州戦争及び労働老兵協議会と法保護機関代表たちと会談を行った
。アレクサンドル・スタロドブチェフ州議会予算財政委員会長は老兵
たちの受けている特別待遇を来年も確実に保障すると伝える他、セル
ゲイ・バサコフ社会問題委員会長はサハリンとクリル住民に有利な年
金法、労働法改正のために努力すると強調した。老兵協議会のユリ・
アンドレイフ第1副会長は州内多くの地域が資金不足のため薬剤の無
料サービスを中止しており、サハリン州は薬剤無料サービスのために
1600万ルーブルの予算を策定したが、全ての人がサービスを受け
られるためには最低4800万ルーブルの予算が必要であると訴えた。

第2回目の言語祝典

 昨年末、カレイスキクラブが主催する第2回言語祝典がユジノサハ
リンスク市の州科学図書館で開かれた。サハリンに居住する100余
の民族文化の相互理解を目的とするこの集いに、今回は朴・ヘリョン
韓人会長が出席し新年への挨拶をした他、少数民族ナナイの家族芸術
団が参加し歓迎を受けた。又、エトノス芸術学校の招待で北朝鮮から
派遣された芸術家も参加して民族楽器や踊り、歌の素晴らしさを改め
て教えてくれた。

朴・ヘリョン韓人会長の昨年の総括、今年の課題

 当会は02年も強制連行されてきた1世達の補償と永住帰国問題を
中心に事業を展開してきた。以前に比べてより効果的に動いたと自己
評価している。昨年当会の行った「日本政府に対する損害賠償要求署
名運動」への参加者は3542人であった。その署名文と韓国への永
住帰国希望者2300人、サハリン残留希望者3500人の名簿を、
9月に来日して日本の外務省と赤十字社、高木健一弁護士に渡す他、
韓国政府にも提出した。又、終戦後我々がここに残されたのは誰の責
任であるか、旧ソ連の要請があったかどうかを明らかにするために関
連文献を探すことにした。これに関して、ユジノサハリンスク駐在の
ロシア外務省エス・カストルノフ代表が協力を約束した。私はサハリ
ン韓人問題を広く知らせるために日本の平和の船に乗り講演を行う他
、韓国のマスコミとインタビューも数回行った。このような一連の努
力が実り、昨年州政府傘下韓人問題委員会が設置され、問題解決に州
政府の積極的な協力を得られる基盤作りができた。同委員会の会長は
ヴェ・ゴミレブスキ副知事が引き受け、私が副委員長を勤めることに
なった。昨年は韓人社会の諸々の団体が州韓人会の傘下に入るなど組
織力の集結が実現できた。そして長年議論を繰り返されてきた文化セ
ンター敷地問題が解決された。しかし、選定された敷地内にある3棟
の住民を移住させるために18世帯の住宅を用意しなくてはならなく
、そのために40万ドルの資金がいる。先は難航しているが今年中に
工事着工できると思われる。韓日赤十字社の合意に基づき韓国安山市
にサハリン1世のための養老院(60人収容)が建設される予定であ
る。しかしアパート建設要求は受け入れられないでいる。しかし、当
会は来年もこのような未解決の問題に継続的に取り組み、皆さんに希
望を与えるよう頑張ります。最後に私が読者の皆さんにお願いしたい
ことは、母国語の新聞セ・コリョの購読である。韓国語を習える第9
学校と韓国教育院に子供達を通わせ、その子達が母国語新聞を読むよ
うにしましょう。これが新年の私の願望です。新年を迎えて、永住帰
国を願っているお年よりにいい知らせが一日も早く訪れるよう、又そ
の日までどうか元気でいてくれる事を頼みたい。読者の皆さまも健康
でよい1年をお過ごしください。

全・サンジュ州老人会長の昨年の総括、来年の課題

 昨年は日本と韓国へ数回出張しました。又、米国で開催された「第
3次世界韓民族フォーラム」に招待され、趙・チュング委員と一緒に
参加しました。その結果、米国で「サハリン同胞支援民族連帯」が結
成され、米国での補償請求訴訟チームが形成される他、サハリン強制
徴用史発刊が決められた。しかし、残念ながらその後何の支援もない
。経済的支援を年に一度でもと期待していたがいつ実現できるかはま
だわからない。もし支援を受けられるなら経済的に苦しい1世たちへ
の資金援助に使う予定である。又、2年前サハリンを訪問した際、1
世たちへの金銭的支援を約束して帰国した韓国の環境汚染防止団体「
ハンノンボッグフェ」からは数回の書信と電話催促にも関わらず何の
連絡もない。 
当会は最後まで期待を捨てないで努力したい。昨年日本外務省から好
ましくない返事が届いた。我々に対し個人補償はできないと明確にし
た上、1世に対する支援事業は続けるとのことであった。日本はバス
が必要であるとの我々の要求に対し、11月に15人と30人乗りの
バス2台を寄贈すると約束した。又、9月来日の際、日本外務省の杉
浦副大臣は「戦時貯金問題は審議必要がある」と期待感を持たせる返
事をしたこともあった。当会はサハリン強制連行研究会を設立し強制
連行史を発刊する計画で関連資料を集めている。しかしこれらの事業
に多くの資金が必要であるため、周辺に援助をお願いしている状態で
ある。今年も当会は日本に対して一層強く永住帰国と補償を要求し続
けながら、1世たちへの生活支援金作りに取組む。又、当会の事業展
開に於いて州内17地域の老人会の協力が何よりも大事であることを
改めて強調したい。最後に1世の皆さま、どうか無病長寿してくださ
い。そして皆にとってよい1年でありますように・・・。

韓人会の忘年会

 昨年12月27日、州韓人会事務所でユジノサハリンスク市韓人会
と老人会主催の忘年会が開かれた。忘年会には州韓人会と老人会、離
散家族会をはじめ、韓人社会団体の指導者達が招かれた。

新年挨拶
 新年おめでとうございます。ご家族皆さまがご健康でお幸せであり
ますようお祈り致します。    サハリン州二重徴用炭鉱夫遺族会

◇詳細/写真、記事、は関連Webへ → http://www.609studio.com
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◆コリア・コンフィデンシャル[南北問題が影を落とす] Kil Sang
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 年末年始、国内ニュースは北朝鮮核問題で一杯。しかし、危機感に
溢れるマスコミの報道にも関わらず、一般国民は大して動揺を見せて
いない。通信社の記者の友人も「戦争は起きない。北朝鮮側は核を武
器に交渉しようとするだけで、自爆行為をするほど無謀ではない。又
、周辺国の力関係で韓半島(朝鮮半島)での戦争勃発は防げられる」
と確信していた。理由が如何であろうが大部分の人が似たような考え
であり、日本のマスコミの反応は過敏すぎると評価している。
90年当初、北朝鮮からの亡命者が口を揃えて、金正日政権はこの1、
2年で倒れるであろうと予言したにも関わらず10年以上も健在であ
るのをみて、高度の外交戦略を持った利口な集団であり、充分理性的
であるということだ。
しかし、このような漠然とした平和願望と北朝鮮観に対して警告する
人たちもいるが、その声は極めて小さい。反米感情がエスカレートし
ている今、安全保障を名目に親米を訴えると直ぐに右翼あるいは保守
親米主義者のレッテルが張られる恐れがあるからである。
韓国人は安全保障という言葉は耳にタコができるくらい聞かされてき
た。又、歴代為政者たちが執権のために絶えず安全保障を武器にして
きたため、真実を言っても信じてもらえない風土でもある。

話は変わるが、ある日筆者の住む家の近所のお婆さんが突然電話をか
けてきた。「最近心配で眠れない。又戦争が起きたらどうしよう。私
の子供たち、北にいる親戚、皆の顔が浮かんで不眠状態が続いている
」とのことだった。「お婆さん、大丈夫でしょう。北朝鮮はそこまで
愚かではないでしょう」と慰めたが、実際その根拠は何もなかった。
その婆さんは少し変わった経歴の人である。
満州(中国東北部)で生まれ、北朝鮮で女学校を通っていた時、終戦
を迎えたという。南の米軍庁で秘書として働き、朝鮮戦争後、北へ帰
れず一人南に残った離散家族の一人であった。既に両親と腹違いの兄
弟も皆亡くなって、甥や姪が北朝鮮に残っているだけ。政治に巻き込
まれた波乱万丈の生涯を生きてきたであろう彼女の不安と恐怖感は、
我々若い世代には中々伝わらないものだ。戦争を経験したことも離散
を経験したこともない戦後生まれの私たちは「平和ボケ」しているの
かも知れない。

「米国にNOと言える大統領」の期待を浴びて当選したノ・ムヒョン
次期大統領は就任前に既に政治生命のかかった大事な決断を迫られて
いる。最近、「反米キャンドル・デモを自粛して欲しい、親米的自主
を目指す」という発言をしたため、市民団体やネッティズンから失望
の声があがっり、変節などの酷評を受けているノさん。理想と現実と
のギャップがもう露呈してきたのである。安保と親米という言葉にア
レルギー反応を見せる若い支持勢力との信頼関係維持は容易なことで
はない。一般国民から長・次官推薦を受ける人事改革をはじめ、国内
政治改革プランを続々と発表しているが、外交に於いては徒手無策の
様子である。今後が注目される。

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◆[韓国新聞拾い読み]               編集部
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◇<北朝鮮核>「北朝鮮より韓国が悩みの種」米紙
                 2003年1月2日 中央日報

  2日付のニューヨークタイムズは、この50年間、米国の最も充実
した友邦だった韓国が、これからブッシュ米政権の最大の外交問題に
変わったと報じた。同紙は「パウエル米国務長官がこの3カ月間で5
回にわたり韓国に特使を派遣し、韓米間の政策調整に努めているが、
多くの韓半島専門家らは、両国に重大な見解の違いが存在すると見て
いる」と指摘した。
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⇒記事は「韓国民の心に長い間積み上げられた米国に対する不満が、
最近の大規模な反米ろうそくデモで表面化し、金大中(キム・デジュ
ン)大統領と盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領が米国の対北朝鮮強
硬策に相次いで反対の立場を表明したため、韓国が北朝鮮より扱いに
くい問題として浮上した」ということで、「米国の最優先課題は、金
大統領と盧次期大統領が『米国の対北朝鮮政策は効果がないだろう』
とい発言をしないようにすることであり、これに失敗すれば、韓米関
係はさらに悪化するだろう」と推測している。

 ブッシュ政権にとって、朝鮮半島は頭の痛い問題となることは明白
だ。アフガンやイラクに対しては、周知のごう慢かつ恫喝で片付ける
つもりであろうが、ここ朝鮮半島でははそうはゆかないようだ。年末
に筆者が韓国人記者とソウルで話した内容が年が明けて具体化してき
たのかもしれない。今年は朝鮮半島から眼が離せない。
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◇日本軍慰安婦「強制動員」の公式資料が発見
                 2003年1月3日 中央日報
  太平洋戦争の当時、日本軍の性的対象となり被害をこうむった軍隊
慰安婦らが、日本政府の強圧や詐欺によって動員されたということを
記述した米軍情報局(OSS)の公式資料が初めて発見された。 
  ソウル大の鄭鎮星(チョン・ジンソン)教授と米リバーサイドカリ
フォルニア大のチャン・テハン教授チームは3日、記者会見し「ここ
1年間にわたって、米国立文書保管所(NARA)の捕虜尋問記録を
調べたところ、以前の日本軍の性奴隷制度が強制動員によるものであ
ったことを裏付ける公式文書が見つかった」と発表した。これまで軍
隊慰安婦らは証言を通じて、自分らが強制的に引きずられたと主張し
てきたが、日本政府は、日本政府や企業による強制動員について否定
する立場を取ってきた。 
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⇒なんだかこの記事を読んでいると悲しくなる。従軍慰安婦は「自ら
進んで」といけしゃーしゃーと話していた「愛国者気取りの輩」や、
わが国の政府の対応が・・・。まだまだ出てくる可能性がある、この
手の情報が・・・。
 独自の調査を政府でもやってみては?そのほうがいさぎよいぞ。コ
イズミサン。

中央日報 URL  http://japanese.joins.com/
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◆[編集長から]             Michio Katayama
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 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げ
ます。

◆北朝鮮の崔鎮洙(チェ・ジンス)駐中国大使は3日午後4時(日本
時間5時)、北京の北朝鮮大使館で記者会見し、核問題について米国
と無条件対話する意向があると述べた。また崔大使は「時賀くれば、
国際原子力機関(IAEA)とも(核問題について)再び話し合うこ
とになるだろう」と北京からの報道にある。一方アメリカのブッシュ
大統領は「 北朝鮮の核開発問題はあくまで外交努力で」と話した。

 これでアメリカと北朝鮮の間に「対話」が生まれないのだから、国
際外交とは不可解なもの。

■■■又、北朝鮮の「労働新聞」は日朝関係の論評を掲載し、日本に
国交正常化交渉の進展と過去の清算を求め、そのうえでアメリカや韓
国と連携して北朝鮮に核開発の断念を迫る動きについて対米追従政策
を捨てるべきだと非難した。

 対米追従政策といわれても、わが国には「独自の外交」というもの
が、戦後半世紀以上ないのに・・・。冷戦時代は「親ソ派」だとか、
「親中派」とか「北朝鮮寄り」の政治家がいたり、政党があったりし
たけど、彼らもその国に「無批判・べったり」していただけの、盲従
派だった。
 考えてみれば、江戸時代は鎖国政策で外国と付き合わず、明治にな
って富国強兵策をとり、朝鮮半島から中国大陸へ侵略政策。これも当
時の列強の模倣策でもあった。そして敗戦。今度は冷戦の狭間で対米
追従策と反津米追従策といっても「東側陣営無批判べったり派」の対
決でしかなかった国。「独自外交」の能力が育つ環境になかった。

 だからいまさら「偏差値至上」の卒業生であるキャリア官僚や、お
のれの選挙にキュウキュウしている政党や政治家に「独自外交」の芽
を出せといったって・・・。
 嗚呼、日本にそんな無理難題を・・・。まさかこんな事情を知って
ていってるのじゃないだろうな。「労働新聞」の論説委員さん。

◆◆◆そんな中、わが国独自の政策も出てきた。防衛庁が、周辺国の
施設を高高度から撮影する滞空型無人機の装備化のため、新年度に2
億6千万の予算で研究開発するという。偵察衛星は一日一回しかター
ゲットを撮影できないが、この滞空型機では連続36時間偵察が可能
といわれる。アメリカには同じ目的で開発された「グローバルホーク
」があり、米空軍はアフガニスタン攻撃に利用した。

 右傾化、軍事力強化が進む、現代の「貧国強兵策」といえる。空か
ら覗き見される周辺各国の反応やいかに?

◇◇◇ユジノサハリンスク(サハリン州・州都)の今週の気温は、マ
イナス15度前後が最低で、最高はマイナス10度前後の見込み。
 セ・コリョ新聞によると、暖房のためのパイプ・ラインの破損が相
次ぎ暖房の効かない町が多いとか・・・。皆どうしてるんだろう?

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発行     2003年1月7日   No.101
編集・発行  609studio   Michio Katayama
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