メルマガ:屋久島発 田舎暮らし通信
タイトル:屋久島発 田舎暮らし通信  2008/06/14


 
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  2008/6/14
『世界自然遺産の島』   屋久島発・田舎暮らし通信(第208号)

      http://www.yakushimapain.co.jp/  屋久島パイン株式会社
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このメールマガジンは、北海道から屋久島に移住し、現在弊社屋久島支店の
社員が本人の移住経験を踏まえまして、屋久島の日常を発信しています。


●自然薯を栽培する

屋久島の自然薯栽培に取り組む森嶋さんご夫妻に、島の生活の様子など
伺った。自然薯に対する森嶋さんの想いをお伝えしたく、今回のメルマガは、
ご本人にレポートしていただいた。

『自然薯(じねんじょ)!って知ってますか?
そ、あの山芋のことですね。
自然薯とも山芋とも言われていますが、日本の山間部に自生している日本
原産の根菜です。
スーパーなどでよく見かける「長芋」や「つくね芋」類は日本原産ではなく、
主に中国から入ってきた外来種になります。自然薯はその風味、味、粘り
ともに外来種とは比べ物にならないくらいスグレモノです。

私は、この自然薯を屋久島で栽培しようと頑張っています。
一昨年の5月、定年してすぐ62歳で京都から夫婦で移住してきました。
屋久島は私の好きなところで、30代前半の頃から毎年のように屋久島を
訪れるようになって、定年後は屋久島に移住する予定で、土地も10年位
前に購入しました。

もともと田舎が好きで、都会は人の住むところではないと、かねがね思って
いたので屋久島に移住するのに何のためらいもなかったです。妻も、負けず
劣らずの田舎好きで、特に海が好き、釣りが好きと言うだけあって屋久島に
移住することには積極的だったのでよかったです。

屋久島町は、県庁所在地以外の地方では唯一、人口が増えている日本でも
稀有な町なので、移住者を見かけることは珍しくなく田舎に来たという感じ
があまりしないです。つまり、それだけ島外からの移住者が多いということ
になります。
私たちのように定年後、夫婦で移住してくる人もいるし、若い人もいます。
しかし、夫婦そろって田舎暮らしが好き!という人は少ないようです。
私が知る限り、夫が妻を説き伏せて?移住ってタイプが多いような気がする。
夫婦で移住する場合は、共に田舎暮らしが好きで、田舎特有の「不便」さを
由!とするタイプでないと長続きしないようです。

3年計画で自然薯の栽培を目指す!ということで、今年はその2年目。
昨年5月に試験的に植えつけた自然薯が100本余り。結果は上々で、今年は
それを種芋にして1000本の植え付け準備に、現在忙しい真っ最中。順調に
いけば、さらに来年は5000〜1万本を栽培し、本格出荷の予定。
種芋はむろん、屋久島自生の自然薯を自ら掘り取ったものです。

農業の経験もない人が何で自然薯‥‥‥。
ははは、よく言われますよ。京都から移住してきたってことでさえ、
“何を血迷って”などと言われるくらいですからねェ。

私は長く調理の世界で働いていました。子供の頃から自然薯掘りは好きで、
よく掘りに行ってました。長じてからも京都、大阪北部、滋賀、福井など
よく掘りに行きました。屋久島には何十回も来ているけど、屋久島の自然薯
にはほとんど関心がなかったです。それどころか、岩や石ばかりで自然薯は
あっても掘ることは難しいだろう、と思ってました。

その思い込みを180度打ち砕いたのは、自然薯掘りを案内してくれた営林署
のSさんでした。
Sさんは知る人ぞ知る自然薯掘りの名人。屋久島も本土と同様、この頃では
自然薯掘りをする人がほとんどいなくなってしまったようです。
私が知る限りSさんを含めて2〜3人しかいない。
しかも、自然薯そのものを知っている人だって少ない。

掘ってみてびっくりしました。
きめ細かな肌に、白く美しいこと‥‥‥。
擦り下ろして食してさらにびっくり‥‥‥。
そのなめらかさ、風味のよさ、さらに自然薯の生命というべきその粘りの
濃さ‥‥‥。
「屋久島の自然薯は日本一ばい!」感嘆しました。

屋久島の美味しい自然薯は、いろいろ調べたらその原因は屋久島の地層に
あるようです。
島全体は大きく分けると山岳部と海岸沿いの平地に分けられる。この平地
から山岳部入り口あたりまでの地層は地元の人が言う「ぼっこ土」層です。
このぼっこ土層は細かいガラス質の混じった礫土(れきど)です。ぼっこ土は
いわゆる「不毛の土」で、ほとんどの植物は育たない。自然薯を掘ってみる
とすぐに分かりますが、ぼっこ土層には植物の根はほとんど存在しません。

ぼっこ土層はどうしてできあがったのか?
これは屋久島近海にある「喜界カルデラ」の数万年に1回あるかないかの
大爆発によって引き起こされた噴出物の一種だそうです。約6300年前に
その大爆発は起こり、屋久島はおろか南九州一円を焼け野が原にして
しまったそうです。このときの噴出物は遠く東北地方でも確認され、屋久島
でも深いところでは10メートルものぼっこ土層が確認されています。

自然薯はこのような地質を最も好みます。
つまり、深窓の令嬢!よろしく、深層の自然薯!なのです。
他の植物が敬遠するような場所を生きる場所として選択した自然薯は、
しかし、その芋の部分に滋養豊富な養分をたっぷりと含んでいます。

昔から人々は自然薯の不思議な生態と養分を珍重し、薬としても用いて
きました。しかし、掘るのに難儀する自然薯を何とか栽培できないかと畑
などに移植したけれど、ことごとく失敗してきました。自然薯の長い長い
歴史の中で無機質な不毛の土でないと生育できないことを知らなかったの
です。つまり、畑の肥沃な土では成長を阻害されるわけです。

このことは、山岳部に自生している「屋久島石楠花(しゃくなげ)」にも言え
ます。養分のほとんどない、寒冷な場所を生きる場所とした石楠花は、平地
に移植してもほとんどが育たない、どころか枯れてしまう。

自然薯の育つ環境と同じ環境を作れば畑でも栽培できる!というのが分かっ
てきたのはごく最近のことです。屋久島の特異な地質と水は、自然薯の生育
に好都合なのです。
まだ誰も、本来の自然の状態で、屋久島の自然薯の栽培を手がけた人は
いません。農業そのものが屋久島では産業として育ちにくいところです。
私が3年計画で出荷までにこぎつけたら、きっと、人々の評価は変わって
くるでしょう。

屋久島の自然薯栽培は、有望な農産物に育つ可能性を秘めています。
この年になって体力的にもキツイ面もありますが、人間、いくつになっても
生産的なものに携わっていけるのが生きがいにもなります。
意気軒昂でいこう。』


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