メルマガ:屋久島発 田舎暮らし通信
タイトル:屋久島発 田舎暮らし通信  2005/11/05


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  2005/11/05
『世界自然遺産の島』   屋久島発・田舎暮らし通信(第141)

      http://www.yakushimapain.co.jp/  屋久島パイン株式会社
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このメールマガジンは、北海道から屋久島に移住し、現在弊社屋久島支店の社員
が本人の移住経験を踏まえまして、屋久島の日常を発信しています。


●「たこいや」とは
昔では珍しくなかった、自宅出産。
自分たちだけで自然分娩された、30代の地元夫婦の貴重なお話。


『僕らは自宅出産しようと決めてしまいました。自宅で一人で出産された方を何
人か知っていましたし、自宅出産の本を薦めてくださる方もいました。また、期
が熟せば、出たいときに出てくるものだと思っていました。とにかく、お腹に赤
ちゃんがいる間は、何よりも母体を大切にしました。精神的なストレスも受けず
に穏やかな日々を過ごせたと思います。月が満ちて、いよいよおしるしがきまし
た。出産する部屋を、心を込めて清めました。陣痛が激しくなり、数時間が経っ
た頃、頭が出てきましたが、かなり尖がっていて驚愕しました。首まで出てくる
と、くしゅん、くしゅん!と、可愛いクシャミ。もう少しや!きばれ!と言って
妻が力んだら、スルッと出てきました。

父である僕がとり上げました。へその緒も、僕が切りました。おぎゃー!おぎゃ
ー!赤くて小さな体で、元気いっぱい泣き声をあげています。その瞬間は、もう
夢中で何も考えていませんでした。でも元気に生まれてきてくれて、本当にあり
がたかったです。屋久島の大自然の中で、ありのまんま伸び伸びと大きくなって
くれることでしょう。「たこいや」にもならずによかったです。

取り上げるときは、もう無でしたよ。知識は、ほとんどないですよ。妻が自宅出
産に関する本を読んでいたぐらいです。最初は産婆さんに頼んで、自宅でと思い
ましたが、屋久島には、今はもう産婆さんはいないため、自宅出産は難しいので
す。昔は、産婆さんは結構いたようですが。そういうことを考えているうちに、
生まれる時期が近づいて、自分たちだけで産もうとおもいました。おそらくあま
り深く考えていなかったので、できたのだと思います。一般的には、お産は島内
にある病院で産みます。僕らの場合は、珍しい例ですが、貴重な体験をしました。
お産して数ヶ月経った今でも、母子ともに元気なので何よりです。もし自宅出産
をしようとしている人がいるなら、リスクも覚悟の上、決めてください。だれに
でも大丈夫とはいえないと思いますからね。』


昔は自力で、畑で生んだ人も珍しくないが、今はそういう人のほうが、珍しい存
在になっている。
自力というか、間に合わずにといったところか、ぎりぎりまで働いていたのだそ
うだ。
それ位、昔の人は安産な人が多かった反面、助かるものも助からないくらい、命
がけだったことは確かだ。

「たこいや」というのは、たこの吸盤のように、胎盤がお腹にくっついてしまう
こと。
後産が出てこず、母親が死にいたるというものらしい。
「いや」と言うのは、胎盤の意味。

昔、それで亡くなった方もいるとか。
「たこいや」は、恐れられていたようだ。
島のお年寄りに聞いても、はっきりとしたことは覚えていないという。
きっと、安産の人はいいけれど、「たこいや」などの難産や、さまざまなつらい体
験もあるからだろう。

生命の誕生は、いつでも神秘的。
自然の摂理で行われ、また神の領域でもある。
今日の夕飯は屋久島産の切干大根。
へその緒に似ている。
これもまた自然の造形。



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発行責任者  角谷和雄   kakutani@yakushimapain.co.jp
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