メルマガ:屋久島発 田舎暮らし通信
タイトル:屋久島発 田舎暮らし通信  2004/12/04


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  2004/12/04
『世界自然遺産の島』   屋久島発・田舎暮らし通信(第117号)

      http://www.yakushimapain.co.jp/  屋久島パイン株式会社
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このメールマガジンは、北海道から屋久島に移住し、現在弊社屋久島支店の社員が
本人の移住経験を踏まえまして、屋久島の日常を発信しています。


●不思議な夢

私は、不動産屋で働いている。
こんな辺鄙なところに尋ねてくる人がいるのだろうか、そう思うような場所に、不
動産屋はあった。
深い緑色の照葉樹林で覆われた山の、中腹辺りに建っている。
それでも屋久島は人気があって、たびたび人が訪れる。

私はログハウス風の事務所の内側から、窓ガラスを拭いている。
何度も拭いているのだが、一向にくもりが取れない。
雑巾が汚いわけでもない。
窓ガラスが、すりガラスというわけでもない。

急に30代後半の男の人が、くもりガラスの目の前に立っていた。
「また、屋久島の土地を求めて、見に来られたお客さんだろう。朝一番で来るとは
ひやかしじゃなさそうだ。」と、私は思った。

木造のドアの取っ手を回して、彼は入ってきた。
とても足が弱っているようで、歩行器のような乗り物に乗っていた。
二人の小さい子供と、一緒だった。
不思議なことに、車に乗ってきた様子もない。

ここまで歩いてきたのだろうか。
とりあえず長イスに座ってもらって、話を聞くことにした。
小さい二人の子供は、中に入ろうとしない。
二人とも、頭が風船みたいにふわふわしていて、地面から少し浮いている。

彼が話し始める。
「私、出身は東京なのです。実は数年前に、火星に土地を買って移住したのです。
でも、屋久島にも興味があり、見学しに来ました。」とのこと。

彼が『宇宙暮らし』という雑誌の、土地販売のページの所を指差した。
そこには、所在地と区画図・坪数それから値段が、それぞれ書いてある。
どの惑星の住所にも、最後に必ず『着陸』という文字で締めくくられている。

「ほー、変わった住所ですね。地球とはそこだけが違う。あとはみんな同じですね。
土地の値段も屋久島と同じくらいだし。火星は住み心地悪いのですか?」と聞くと、
彼は、「いいえ、そんなことありません。ただ屋久島の土地を、一度見てみたかった
のです。」と言う。

私と彼は、移住という共通の話題で盛り上がった。
彼は『宇宙暮らし』の雑誌で、現場を見ずに買って移住したそうだ。
そして、うちの主人も屋久島を見ずに買った。
「偶然ですね!」と、体の割には頭が大きめの彼は、笑顔を見せた。

「観光ですか?それとも土地を買って、屋久島に住むのが目的ですか?」と聞くと、
彼は黙り込んでしまった。
何だか、わけありみたい。
「奥さんは来られなかったのですか?」と聞くと、「私は独身ですよ。もちろん子供
もいませんよ。」と言う。

外にあるガジュマルの木。
木の周りで遊ぶ、一緒についてきた小さい二人の子供は、誰なのだろうと思ったが、
それ以上、聞かない方がいいと思った。

事務所の前に急に現れたときから、彼がモノクロに見えることも、気にしないこと
にした。
決して、モノトーンの洋服を着ているわけではない。
彼の背景も含めて、すべてモノクロに見える。

私は目がどうかしてしまったのかと思い、目の疲れを取るために、窓の外の遠いと
ころを眺めてみたりした。
遠くに見える雑木林は、明らかに緑色だった。

私がいつも乗っている藍色の車のエンジンをかけた。
小さい二人の子供は、スッと乗り込んだ。
彼は足が弱っているので、乗り込むのに時間がかかった。

走り出してすぐのところに、『竜神の滝』という滝がある。
彼らが喜んでいるのを見ていたら、屋久島ってやっぱり良いところに違いない。
そう思ったら、目が覚め、朝だった。

近頃私は、テレビも映画も見ていない。
今夜も夢の続きが見られるという確率は、ほとんどないだろう。

『竜神の滝』http://www.yakushimapain.co.jp/a2004ryuujinnotaki.htm


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屋久島パイン株式会社   http://www.yakushimapain.co.jp/
発行責任者  角谷和雄   kakutani@yakushimapain.co.jp
本      社       東京都千代田区麹町1丁目8番14号
屋久島支店       鹿児島県熊毛郡屋久町原914番地
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