メルマガ:屋久島発 田舎暮らし通信
タイトル:屋久島発 田舎暮らし通信  2004/10/23


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  2004/10/23
『世界自然遺産の島』   屋久島発・田舎暮らし通信(第114号)

      http://www.yakushimapain.co.jp/  屋久島パイン株式会社
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このメールマガジンは、北海道から屋久島に移住し、現在弊社屋久島支店の社員が
本人の移住経験を踏まえまして、屋久島の日常を発信しています。


●ギンナン拾い

昨年、Mさんに「ギンナン拾いに行こう。」といわれ、イチョウの木があることを
知った。
屋久島の西部の栗生集落。
小学校の隣の栗生神社に、イチョウの木がある。

黄色っぽい、イチョウの葉っぱ。
ギンナンの実は、下に落ちていて、茶色でぐにゃぐにゃしていて臭い。
ゴム手袋をはめて拾う。
この実の中に入っている種が、ギンナン。
「島の人は、ギンナンに興味ないみたい。」と、Mさん。

実がなる雌木のイチョウの木は、屋久島で、ここ以外では見たことがない。
ギンナン拾いしたい人が、殺到しても良さそうなのだが、誰も来ていなかった。
ユニークな形の、イチョウの葉っぱ。
強烈な匂い。
ビニール袋に入れても匂う。
ゴム手袋をはめないと、手がかぶれてしまう。

私は、ギンナンを拾い続ける。
イチョウの木は、背が高い。
上の方に、サクランボの様に実をつけているのが、まだ残っている。
集めたギンナンの実は、土に埋めてしばらく放置すると、種と実が分離しやすい。
茶色い種を水洗いして、天日で乾燥。

乾燥すると、白色になる。
それを、フライパンで煎る。
パンパンとはじける音がしたら、出来上がり。
殻を割って食べると、黄緑色のモチモチした食感。

今年も、ギンナン拾いに出かけた。
しかし、全くギンナンが見当たらない。
一体どうしたんだろう。
木を見上げると、グリーンの葉っぱが。

Mさんに電話して聞いてみたら、「去年はもっと早い時期に、拾いに行ったような
気がするけど、今年は台風の影響で、実が余り生らなかったのかも。それか台風で、
葉っぱも実も、飛んでいってしまったとか。」と、Mさんも、9月に行ったけど、見
当たらなかったとのこと。

確か去年行ったときは、今くらいの時期だったと思ったけれど・・・・。
ひとつ位は落ちているだろうと、クマみたいな恰好でうろうろと、ギンナンを探し
回ったが、ひとつもなかった。

ちょうど人が通りかかったので、聞いてみた。
「今年はもう終わったよ。異常気象だったからね。」
私は、クマの気持ちになった。

台風の影響で、えさ不足のクマたちが、山から出てくる全国ニュースを聞く。
屋久島では、クマなどの大型哺乳類はいないけど。
どこか、よその地方での出来事。

親子で山から里へ下りてきて、木の上で様子を伺っていたクマの親子。
親グマの目の前で、撃たれたらしい子グマ。
かわいそうな子グマ。
まだ何にもしていないのに。

人間界では、子供虐待のニュースも目立つ。
親が子供を虐待して殺しても、たった数年の懲役で、出てきてしまう不思議さ。
お腹を空かせているだけなのに、殺される子グマ。

そんな中、[どんぐり]をクマに届けようと呼びかけている、自然保護団体の新聞記
事が載っていた。
皆に呼びかけて、都会の公園などで集めた[どんぐり]を、山奥のクマへ贈ろうとい
うもの。

危険が伴うので、どういう形で渡すのかはわからないが。
でもそういう発想は、すばらしい。
とっても、温かい気持ちになった。

[どんぐり]とは、ブナ科の木の実を総称していう名前。
クマは[どんぐり]が好き。
ハチミツは、もっと好きなんだけど。

クマの体の大きさを考えると、[どんぐり]の一粒一粒は、小さいかもしれないけれ
ど。
でも生命力の詰まった小さい[どんぐり]は、思うよりも大きな力を発揮してくれる
かもしれない。

種子は少量でも、栄養価がある。
[どんぐり]も、木の種類によっては、人間も食べることが出来るようだが、私は食
べたことはない。
クマは、[どんぐり]を食べたい。
私は、ギンナンが好き。

私は、ギンナンを食べ損なっても、他に食べるものがある。
クマは、これから迎える冬眠を、空腹のまま過ごすには、気の毒すぎる。
童話の中の話なら、クマにハチミツや木の実を、直接手渡しで届けることが出来る
のだけれど。

私は、一日に一度は、クマを思い浮かべる。
なぜなら、私は、毎日ハチミツを食べているから。



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発行責任者  角谷和雄   kakutani@yakushimapain.co.jp
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屋久島支店       鹿児島県熊毛郡屋久町原914番地
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