メルマガ:屋久島発 田舎暮らし通信
タイトル:屋久島発 田舎暮らし通信  2003/03/01


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  2003/03/01
『世界自然遺産の島』   屋久島発・田舎暮らし通信(第71号)

      http://www.yakushimapain.co.jp/  屋久島パイン株式会社
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このメールマガジンは、北海道から屋久島に移住し、現在弊社屋久島支店の社員が
本人の移住経験を踏まえまして、屋久島の日常を発信しています。


●竹の工芸作家

自宅のベランダで、黒竹を細く割っている。
手つきは、熟練さが感じられる。
奥さんは、外で洗濯物を干している。
後藤修さん(50歳)と奥さんの京子さんは、先月、安房の海の見えるところに引っ
越してきたばかりだ。

修さんが作品作りに用いるのは、黒竹。
中国原産といわれる竹で、和歌山県のものを使用。
表皮の光沢が綺麗で、工芸用品として幅広く使われているもの。
屋久島には、黒竹はほとんど見られない。
屋久島は春になると、竹の子がたくさん出る。
その竹は、モウソウ竹、マ竹、カラ竹などだ。

観音竹という竹もあるが、これは平内の一部に自生していて、町指定文化財の天然
記念物になっている。
中国原産だが、半ば野生化して自生しているという。
普通の竹とは、ちょっと違った感じがする。
外で自生しているよりも、植木鉢に入れて、観葉植物として見かけることが多いの
では。

修さんが田舎暮らしをしようと思ったのは、10年ほど前。
そういう心のうちは、京子さんには内緒だったそうだ。
50歳頃には、田舎暮らしを始めたいと思っていた。
大阪で公団住宅に住んで、サラリーマン生活を送っていた。

ある日、全国の不動産会社が集まって、田舎暮らしのための催し物があった。
それに参加したときに、大分県の不動産会社の人に、「仕事を探してから住むところ
を決めるのではなくて、どこに住みたいかを決めてから仕事を探してはどうです
か?」といわれて、なるほどと思ったそうだ。

確かに、仕事が決まってから引越しするならば、単なる転勤するのと同じだな、と
思ったそうだ。
田舎暮らしをするなら、九州が良いと決めていたので、大分に住みたいと思った。
その時、屋久島も候補地にあったが、様々な理由から大分に決めた。

その後、サラリーマン生活に終止符を打って、大阪の大分県事務所で紹介を受けて、
別府市に夫妻で引越しすることになった。
そして、44歳で市内の竹細工の職業訓練校に入学した。
元々手先の器用だった修さんは、入学試験にもすんなりパスした。

30名ほどの生徒数の、竹細工の職業訓練校の学生になって、失業保険ももらった。
一年間学校に通った後、竹細工を扱う資料館で働きながら、工芸作家としての腕を
磨いた。
職業訓練校は、技術を身につけながら失業保険も出るので、それをうまく利用して
いくのもいい方法だ。

奥さんの京子さんは、理解のある方で、修さんが別府に行くときも「あなたが行く
ところなら、どこでも行くわ。」と賛成してくれ、自らパートに出て、家計を支えた。
夫婦二人で気軽とはいえ、京子さんの理解があってこそ今があると、修さん。
修さん自身に行動力があり、自信を持って自分の道を進むので、京子さんの不安も
軽減されたのではないだろうか。

別府に住みながら、3年前のある日、インターネットをしていた。
屋久島のホームページを見ていて、もう一度、屋久島に行ってみようという気持ち
になった。
そうして、結果的には縁があって、屋久島に住むことになった。
別府で暮らしたことも良かったし、屋久島に、今住んでいることも良かったと、修
さん。
作品作りに使う黒竹は、和歌山県から送ってもらっている。
「黒竹がたくさんある和歌山県に、住むことも考えたことはありますが、屋久島に
いても手に入るので、屋久島にしました。」とのこと。

京子さんがおっしゃるには「女の人は友達と離れたり、今の生活環境を変えること
を好まない人が多いのではないでしょうか。でもそれなりに楽しみを見つけられれ
ば、女の人のほうがたくましいと思います。ここ安房集落はとても便利だし、鹿児
島行きの高速船も出ていて、スーパーも病院もあるし、働くところも多そうで、住
み心地は良いですね。近々パートにも出て、いろんな人と知り合いたい。この間、
尾之間のペイタと言うパンとケーキの喫茶店に行ったけど、とてもおいしかった。
ほしいものが手に入らなくて、困ることがあるけれど、修さんにインターネットで
注文してもらって解決しました。屋久島は住むにもいいところだけど、別荘ならも
っと最高ですね。」と、本音もちらほら。

工芸作家として、屋久島生活を始めたばかりの修さん。
自分のやりたいことを予定通り、50歳からスタートさせて、とても満足そう。
ランプの傘や小物入れなど、自慢のオブジェが、自宅のあちこちに並ぶ。
個性的な作品は、安房のお土産屋さんなどにおいてもらって、販売する予定だ。

京子さんは、ちょっと不安もあるという割には、とても楽しそう。
なぜか修さんよりも、輝いて見えた。
ご主人の夢が現実のものになるには、奥さんの力は大きいなと実感。
それとバクに夢を食べられないように気をつけなくては。


工房 竹の案山子  後藤 修
TEL 0997−46−3125



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発行責任者  角谷和雄   kakutani@yakushimapain.co.jp
本      社       東京都千代田区麹町1丁目8番14号
屋久島支店       鹿児島県熊毛郡屋久町原914番地
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