メルマガ:面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)
タイトル:[ROADSHOW REVIEW]368  2008/04/05


━━━[PR]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━[PR]━━━
★★★↑↑↑「ヘッダー広告」募集中です。料金等、詳細については、一番下を
御覧ください。
==========================================ROADSHOW REVIEW=====

★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)★★★★★
     2008/04/05 No. 368 (週刊)            前回発行部数:3,049

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
毎週見ているロードショー映画の感想です。出来るだけタイムリーに(上映
期間中に)おとどけします。個人的な趣味で選んでいるので参考になるか分
かりませんが、見たまま、思ったままを書きます。

お断り:この「感想」は、通常、一週間ほどかけて書いています。その間、記
憶違い、想像力の逸脱等から、本来作品には無かったような事を書いてしまう
場合があります。その際は御了承ください。
====================================================================
バックナンバーと発行日は下記のホームページにてご覧いただけます。
★2007年分は、「感想」の下に移しました。2001〜2006年分につ
いては、サイトを御覧下さい。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/syd/roadshowmm.html

AVP2 エイリアンズVS. プレデター 01/05 茶々 天涯の貴妃 01/12
アース 01/19 シルク 01/26
母べえ 02/02 アメリカン・ギャングスター 02/09
テラビシアにかける橋 02/16 エリザベス:ゴールデン・エイジ 02/23
チーム・バチスタの栄光 3/01 ライラの冒険 3/08 
バンテージ・ポイント 3/15 ジャンパー 3/22
マイ・ブルーベリー・ナイツ 3/29 明日への遺言 4/05
====================================================================
明日への遺言 2007

U.S. Release Date: 

■監督:小泉堯史
■原作:大岡昇平『ながい旅』(新潮社刊)
■キャスト:藤田まこと/富司純子/ロバート・レッサー/フレッド・マックィ
ーン/リチャード・ニール/(田中好子)/ナレーション:竹野内豊
■音楽:加古隆 主題歌:森山良子『ねがい』
■字幕:
■お勧め度:★★★★

 「第二次大戦中、名古屋への無差別爆撃を実行したB29搭乗の米兵を略式
裁判で処刑し、戦後その罪を問われB級戦犯として裁かれた東海軍司令官・岡田
資中将が、部下を守り、自らの誇りを懸けて挑んだ法廷での闘いと、それを見守
る家族との愛と絆を描くドラマ。原作は大岡昇平のノンフィクション『ながい旅
』。監督は「雨あがる」「博士の愛した数式」の小泉堯史。主演は藤田まこと、
共演に富司純子。
 1945年5月、米軍による名古屋市街への絨毯爆撃が行われ、その際撃墜されパ
ラシュートで降下した米軍搭乗員38名が日本軍により拘束される。東海軍司令官
・岡田資中将は、彼らを略式裁判によって処刑する。終戦後、岡田中将をはじめ
とする被告人20名は、捕虜を殺害した罪で起訴された。これに対し岡田中将は、
搭乗員はジュネーブ条約の定める捕虜ではなく、無差別爆撃を行った戦争犯罪人
であり、かつ、当時の状況では略式の手続きもやむを得なかったとその正当性を
主張、この裁判を“法戦”と名付けて、徹底的に争う意志を貫く一方、部下の行
為も含めすべての責任は司令官である自分にあると、部下を守り全責任を負う論
戦を展開していくのだった。」(allcinema.net/より。)

裁判もののテレビドラマ風とはいえ、なかなか。

実際問題としては本土を爆撃した米兵を「処刑」するというのは、現場の下級士
官の独断でやったのだろうし、岡田資中将は国際法を主張するが、そうしたもの
は既に形骸化していたことは間違いないだろう。それにも係らず岡田中将が全て
の責任は自分にあると主張し、あえて絞首刑の道を選んだのは何故だろうか。部
下を思う気持ち、というより軍人としてのプライド、そして若い部下を救うこと
で、「明日への遺言」を残したかったような気がする。

戦争裁判というと、勝った方が一方的に負けた方を裁くというような印象があっ
て、それの批判的な作品かと思ったが、岡田中将の証言や姿勢を見るうちに、次
第に弁護側だけではなくて検察側も裁判官側も、中将の人間性に惹かれ、むしろ
彼の刑を軽減するような方策を提示する。中将はしかしそれらを分かっていなが
ら全て拒否し、信念を貫く。

裁判の争点は、捕虜殺害に関して中将に責任があったかどうかで、弁護側の主張
は絨毯爆撃等は国際法の定める無差別殺人であり、爆撃した者は戦争犯罪人、戦
中の混乱の中では長たらしい裁判をやっている余裕は無く、略式裁判で有罪とし
て処刑したが、この事に関して中将には戦犯として問われる理由は無いというこ
とで、検察側の主張は、そうした状況があったにせよ、中将が処刑を命じたのが
事実であれば、公正な裁判を経ずして捕虜を殺害した戦犯というもの。これに対
して中将が主張したのは、殺害は自分が下した命令による「処刑」であって、ア
メリカ軍の軍律では許される「報復」行為ですらない。つまり検察側の主張を全
面的に認める形で自分の「法戦」に勝利したという内容。

これには一つ背景があって、中将はロンドンに駐在していたことがあって英語も
達者、おそらく欧米の軍律や、「硫黄島からの手紙」でクリント・イーストウッ
ド監督が暴いたような、日本軍の指揮系統の乱れというより、特に実戦で中心と
なる尉官クラスが上官の命令は聞かず、勝手な思想を振り回して部下を殺すとい
う、そもそも軍隊としての体を成していなかった実態、その理由と原因、そうい
う事は熟知していたに違いない。そうした事には一切、触れず、自分に全ての責
任があると主張したのは、上記のような実態に対する彼なりの最大の批判、抵抗
だったような気がする。軍部の独走、あるいは上のような事を二度と繰り返して
はならない、その事を、実際の犯罪人、戦犯である若い部下たちを救うことで、
逆に「明日への遺言」を残したかった。

というような信念の人、あるいは頑固者役を藤田まことが見事に演じている。さ
すが大阪芸人、健在(生まれは東京だが。ついでに書いておくと、藤田まことは
元々は大阪のコメディアン)。これに富司純子が妻役で登場するが、裁判の都合
上もあって、この二人の間には一切、会話は無いものの、特に富司純子が表情だ
けで演じる夫婦の絆というのもかなり感動的。実はこの作品、とある理由でスー
(田中好子)を観たかった作品なのだが、「特別出演」程度だったので不満は残
るが、それは置いといて、藤田まこと、富司純子にしても、米国側の弁護人、ロ
バート・レッサー、検察官のフレッド・マックィーン、裁判委員長のリチャード
・ニールなど、かなり見ごたえあるキャスティング。邦画にありがちな、「エキ
ストラ」的な「外人」使用とはかなり違う。裁判ものなので、難しい用語も出て
くるが、裁判ものというのは台詞が理詰めなので、むしろ普通の会話や台詞より
遥かに解り易い。

注意点一個。明らかに反戦ものなので、当時の爆撃や原爆被害者の白黒写真がデ
ジタル技術でやたらリアルに映されるので、最初の方、かなりショッキングな部
分がある。

なんか、前にも書いたが、最近の邦画の好調振りが目立つ。これは偶然だろうが、
「チーム・バチスタの栄光」で医者が患者を死なせることの恐怖が描かれ、本作
品でも、捕虜を殺した若い兵士の恐怖におののく様が描かれる。人が人を殺すと
いうことは、戦争であるとか平和時であるとか、民間人とか兵隊とかとは関係無
いことで、あるいは善悪とかいうような道徳的、宗教的なこととも関係無いこと
で、人が人である限り、この恐怖というのは抱くのが当然なのではないだろうか。
動物は食べるために他の動物を殺すが、人は違うような。だから人は特別だとい
うのではなく、むしろ人に与えられた宿命のような。たしかに殺人とかは映画ネ
タとしては面白いものの、それは別として、こうしたテーマを描いた作品という
のは、洋画にはあまり無いような気がする。命の大切さと、それを断つ恐怖とい
うのは、全く別のテーマだろう。この観点から戦争とかを見れば、たとえば本作
品での検察側は、爆撃を敢行したパイロットならいざしらず、無線技師まで処刑
したのは戦犯に値するという主張だが、無線技師だから、あるいは軍人として命
令に逆らえない、これらは言い訳に過ぎなくなる。爆撃で人を殺すことになんら
の恐怖心も抱かなくなった搭乗員たちは、この意味では、既に人では無い。そう
した彼らに対して、報復ではなくて処刑だったと主張する中将、なにか殺人とい
うのが娯楽のネタにされている現状を根本的な部分から批判した作品のようにも
取れる。こうしたテーマを描くために、実話に元づいた作品かもしれないが、か
なりフィクション部分があるかもしれない。この点、やはり藤田まことの起用は
納得がいく。岡田資中将を描いた作品というより、藤田まことの芸人魂、根性を
描いたような作品。この部分、一番、印象に残る。


ヒアリング度:★★★
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★★★★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

--------------------------------------------------------------------
★★★発行者よりのお知らせ★★★

ヤフーオークション、eBay(アメリカ)にて出品落札代行しております。売りた
い物、買いたい物のある方、ご連絡ください。

直接販売も行っております。海外発送、承ります(支払い方法:「PayPal」、
国際郵便為替)。-> s_mori@sa2.so-net.ne.jp

(神奈川県 公安委員会 古物商 許可 第451320001094号)
====================================================================
-今後楽しみな映画:

★ナルニア国物語/第2章

サイトのコンテンツ:
-メルマガ発行システムの状況:名称/URL/コメント/現在12システムをカバー
★★最終更新:2006年05月28日
-映画のことなら Google search:英文タイトル入力で検索結果のトップに
-劇場リンク:全国劇場案内
-字幕関連サイトリンク:字幕の「なぜ?」に答えるF&Qサイト(その他)
-The Internet Movie Database (IMDb) 映画のデータベース
--------------------------------------------------------------------
2007年分:
犬神家の一族 01/06 シャーロットのおくりもの 1/13 
ラッキーナンバー7 1/20 マリー・アントワネット 1/27
幸せのちから 2/03 墨攻 2/10
守護神 2/17 ドリームガールズ 2/24
ディパーテッド 3/03 蒼き狼 地果て海尽きるまで 3/10
どろろ 3/17 ステップ・アップ 3/24
ホリデイ 3/31 デジャヴ 4/07
大帝の剣 4/14 フラガール 4/21
ラブソングができるまで 4/28 スパイダーマン3 5/05
バベル 5/12 俺は、君のためにこそ死ににいく 5/19
眉山 -びざん- 5/26 パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド 6/02
ザ・シューター/極大射程 6/09 300 <スリーハンドレッド> 6/16
ラストラブ 6/23 憑神 6/30
ダイ・ハード4.0 7/07 プレステージ 7/14
シュレック3 7/21 ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 7/28
ピアノの森 8/04 トランスフォーマー 8/11
オーシャンズ13 8/18 ベクシル 2077 日本鎖国 8/25
ラッシュアワー3 9/01 怪談 9/08
釣りバカ日誌18 9/15 HERO 9/22
ファンタスティック・フォー:銀河の危機 9/29
幸せのレシピ 10/06 ローグ アサシン 10/13
パーフェクト・ストレンジャー 10/20 グッド・シェパード 10/27
スターダスト 11/03 ブレイブ ワン 11/10
バイオハザード III 11/17 ボーン・アルティメイタム 11/24
モーテル 12/01 ベオウルフ/呪われし勇者 12/08
マリと子犬の物語 12/15 アイ・アム・レジェンド 12/22
ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記 12/29 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆↓↓これより下は、毎回、同じです。
======================================================================
★ヘッダー広告募集要領★
 
個人、法人、内容問わず、ただし「公序良俗」を害しないもの。
広告のサイズ(長さ)は、10行まで。料金は、個人(的な)広告の場合、
一回500円、法人は、一回1000円。連続掲載の場合は最大3回まで。

振込先:銀行、ぱるる、イーバンク(他行からの直接入金が可能になりました)
 
★★広告文の作成の際には、メール本文に貼り付けるなどして、体裁を整えたもの
を送ってください。
======================================================================
★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)★★★★★
                      2008/04/05 No. 368 (週刊)          
発行者:シド(s_mori@sa2.so-net.ne.jp)
このメールマガジンは(主に)以下の配送システムを利用して発行しています。

カプライト    http://cgi.kapu.biglobe.ne.jp/m/1776.html
E-Magazine    http://www.emaga.com/info/syd111.html
メルマガ天国  http://melten.com/m/4480.html
melma!        http://www.melma.com/backnumber_32970/ 

Home Page (登録/解除/バックナンバー)
http://www003.upp.so-net.ne.jp/syd/roadshowmm.html

【無断転載不可です。】
==========================================ROADSHOW REVIEW======

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。