メルマガ:面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)
タイトル:[ROADSHOW REVIEW]218  2005/05/21


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★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)★★★★★
     2005/05/21  No. 218 (週刊)            前回発行部数:3,148

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
毎週見ているロードショー映画の感想です。出来るだけタイムリーに(上映
期間中に)おとどけします。個人的な趣味で選んでいるので参考になるか分
かりませんが、見たまま、思ったままを書きます。

お断り:この「感想」は、通常、一週間ほどかけて書いています。その間、記
憶違い、想像力の逸脱等から、本来作品には無かったような事を書いてしまう
場合があります。その際は御了承ください。
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バックナンバーと発行日は下記のホームページにてご覧いただけます。
★2004年分は、「感想」の下に移しました。2001〜2003年分につ
いては、サイトを御覧下さい。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/syd/roadshowmm.html

ターミナル 01/01 エイリアン Vs. プレデター 01/08
カンフーハッスル 01/15 東京タワー 01/22
オーシャンズ12 01/29 レイ 02/05
アレキサンダー 02/12 ボーン・スプレマシー 02/19
運命を分けたザイル 02/26 オペラ座の怪人 03/05
ローレライ 03/12 大統領の理髪師 03/19
ナショナル・トレジャー 03/26 アビエイター 04/02
ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月 04/09
コーラス 04/16 コンスタンティン 04/23
Shall we Dance? 04/30
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 05/07
海を飛ぶ夢 (2004) 05/14 キングダム・オブ・ヘブン 05/21
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キングダム・オブ・ヘブン (Kingdom of Heaven)
U.S. Release Date: 5/6/05  

■監督:リドリー・スコット
■キャスト:オーランド・ブルーム/エヴァ・グリーン/リーアム・ニーソン/
ジェレミー・アイアンズ/エドワード・ノートン
■音楽:Harry Gregson-Williams
■字幕:戸田奈津子
■お勧め度:★★★

「12世紀のフランス。妻子を亡くし失意のどん底にある鍛冶屋のバリアン(オー
ランド・ブルーム)の元に、十字軍の騎士・ゴッドフリー(リーアム・ニーソン)
が訪れて、自分が父親だと告げる。バリアンは父に従い、聖地エルサレムへと旅
立つ。当時、聡明なキリスト教徒の王ボードワン(エドワード・ノートン)と、
回教徒のカリスマ的指導者サラディン(ハッサン・マスード)によって束の間の
平和が保たれていたエルサレムだったが、権力の座を狙う一派の卑劣な振る舞い
により危機が迫っていた...。 」(goo映画レビューより)

2時間半、長い。疲れた。本作は、ある程度、史実に基づいたもので、前半の部
分は、この筋というか複雑さがよく分らない。物語りがエンターテインメント性、
スペクタクル性を帯びてくるのは最後の1時間ぐらい。したがって筋が分ってい
る場合は、前半は寝てた方がいいかもしれない。という事で上の筋書きを補足す
ると、「コンスタンティン」と先週の「海を飛ぶ夢」に続いて、いわゆるカトリ
ック教の自殺=地獄行きという教義だか信心だかが一つのベースになっている。
バリアンの妻は幼子の死を歎き自殺した。バリアンは村の鍛冶屋。彼は妻の自殺
の件が元で司祭を殺害してしまう。殺人も地獄行き。その罪と、妻の自殺の罪を
あがなう事が彼にとっての最大の関心事になる。その矢先、十字軍の騎士、ゴッ
ドフリーが。したがってバリアンは二つの罪をあがなうためにエルサレム行きを
決意する。しかし道中、父のゴッドフリーは手傷から死亡、バリアンがその地位
を引き継ぎエルサレムへ。そこで彼は「聡明なキリスト教徒の王ボードワン」の
信頼を得、(父に仕込まれた)剣の腕と頭脳の聡明さで一躍ヒーロー、しかしボ
ードワン王が死ぬと、後継者の王は無謀にもエルサレムを出てサラディンの大軍
と対決し全滅。唯一エルサレムに残った騎士であるバリアンは、平民を騎士に任
じ、押し寄せるサラディンの大軍から町を死守、和平へと。この最後の部分、エ
ルサレム攻防戦(だけ)が見物。

「十字軍」とは何なのかというのは、詳細はネットの百科事典でも見てもらうと
して、作品から台詞を抜き出していうと、「異教徒を殺せば天国へ行ける」「エ
ルサレムへ行けば罪があがなえる」といった、カトリック教の信心に基づく。当
時としては、こういう事がマジで信じられていた時代で、バリアンにしても、自
分だけでなく、妻の自殺の罪も、自分がエルサレムに行くことで、あがなえると
信じていた。ところがエルサレムに着き、(キリストが処刑された)ゴルゴタの
丘の地を踏んでも、神は何も語らない。どうしたら罪があがなえるのか、その答
えを彼は十字軍の騎士として活躍し、またボードワン王その他と出会ううちに知
ることになる。したがって物語り的には、村の鍛冶屋に過ぎなかったバリアンが、
当時の最大級のイベントであった十字軍に参加することで世の中を知り、信仰の
意味に目覚め、(流行りの)等身大のヒーローに成長するという過程が、分りや
すく描かれている。この部分と、最後のエルサレム攻防戦だけ注目して観れば、
史実の煩雑さは無視できる(だろう)。

スペクタクル性に関しては、(「指輪物語」のような)ファンタジー性が無い分、
派手さは無いが、良く言えば、アナログのリアリズム、現実感がかなり凄い。と
は言え、ファンタジー系のスペクタクル作品を観た後では、かなり見劣りするこ
とも否めない。むしろスペクタクル作品というより、オーランド・ブルーム演じ
るバリアンの人間像を描いた作品。彼のバリアン役は、とても好感が持てる。等
身大のヒーローとして、彼はエルサレムの町を守った後も、地位や名誉欲はなく、
村の鍛冶屋に戻り、彼女(が誰かは観てのお楽しみ)とハッピーエンド。大作初
主演のオーランド・ブルームとしては、ものすごく美味しい役だったような。

問題なのは、この作品、おそらく政治的な意図を持った作品だろう。イスラムの
王、サラディンだけでなく、イスラム側の将校は、全てと言っていいほど、高潔
な人物として描かれ、これに対して「西側」の十字軍の将兵は、ボードワン王と
バリアン(とその父)以外、全てと言っていいほど悪者(か狂信的なカトリック
教徒)として描かれている。「十字軍」と聞いて思い当たるだろうか。いわゆる
9/11同時多発テロの直後、米ブッショ大統領は、補佐官やスピーチライター
が居ない席で、テロリスト退治を「十字軍」という言葉で表現してしまった。
「十字軍」は宗教戦争であり、テロリスト退治とは何の関係も無い。幸い(とい
うか実際は石油利権がからんでいるため)、このバカ・ブッシュ(「パパ・ブッ
シュ」の駄洒落)発言に対してアラブ/イスラム諸国は黙認/無視したものの、ア
メリカの良識人としては、なんらかの落し前をつける必要が、あったかどうかは
知らないが、少なくとも本作品での「十字軍」あるいはサラセン側将兵の描き方
は、「うちのバカな大統領の件でごめんなさい」的な描き方になってしまった。
この点、作品は、少なくとも中立性を欠いたものになってしまい、イラク戦争で
は(バカ・ブッシュおよびその「ネオコン」一派に)片棒をかつがされた日本の
国民としては、隣のオヤジのバカ発言の責任を、なんで取らなくてはいけないの
だろうか、というような印象がしてしまった。実際、これは推測に過ぎないもの
の、このイスラムびいきが、現実(史実)描写が売りの作品としては、現実性を
欠くという残念な結果になってしまった。しかし、政治的な意図があるとすれば、
そちらが優先される(国情)なので、属国日本の国民としては、製作者と共に懺
悔するしかないのだろう。この作品でイスラムの人々を悪く描いたりしたら、そ
れこそ宗教戦争の元にもなりかねない(というのは大袈裟ながら)。実際、作品
は、サラディン王がいかに高潔かつ賢い人物であったかが描かれ、それとバリア
ンがエルサレムに平和をもたらした時点で終わっている。実際の「十字軍」宗教
戦争は、この後、むしろ歴史上、はるかに有名な(英国の)リチャード獅子心王
が戦った(最後に出てくる)。

これは周知の事と思うが、エルサレムが何故、キリスト教(のカトリック派)と
イスラムの聖地かというと、いわゆるイスラム教のコーランというのは、開祖モ
ハメッドが、キリスト教で言う旧約聖書を書き変えたもの(新約聖書=キリスト
を否定し、モハメッドを最高の予言者とする)。つまりこの2大宗教は同根とい
うことになる。さらに、旧約聖書のヘブライ語で書かれた原本を「聖書」とする
ユダヤ教(ヘブライ人、旧約聖書に出て来るアブラハムの子孫とされる)の聖地
でもある。ユダヤ教によると、エルサレム(これ自体、ヘブライ語、「平和の遺
産」)はアブラハムにより創設。


ヒアリング度:★
感動度:★★
二度以上見たい度:★★★
劇場で見たい度:★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★
ビデオで見た方がいい度:
ムカつく度:
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

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-今後楽しみな映画:

★「戦国自衛隊1549」(旧角川作品のリメイク)

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★★最終更新:2005年01月15日
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2004年分:
すべては愛のために 01/03 ミシェル・ヴァイヨン 01/10
ミスティック・リバー 01/17 タイムライン 01/24
シービスケット 01/31 ハリウッド的殺人事件 02/07
ラブ・アクチュアリー 02/14 ロード・オブ・ザ・リング3 02/21
(旧)バイ・バイ・バーディー 02/28 マスター・アンド・コマンダー 03/06
レジェンド・オブ・メキシコ 03/13 ペイチェック 03/20
イノセンス/INNOCENCE 03/27 恋愛適齢期 04/03
イン・ザ・カット 04/10 ディボース・ショウ 04/17
オーシャン・オブ・ファイアー 04/24 映画館、邦画について 05/01
キル・ビル Vol.2 05/08 コールド マウンテン 05/15
ビッグ・フィッシュ 05/22 トロイ 05/29 
レディ・キラーズ 06/05 デイ・アフター・トゥモロー 06/12
ロスト・イン・トランスレーション 06/19 21グラム 06/26
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 07/03 ブラザーフッド 07/10
スパイダーマン2 07/17 ウォルター少年と、夏の休日 07/24
キング・アーサー 07/31 マッハ! 08/07
リディック 08/14 サンダーバード 08/21
華氏9/11 08/28 LOVERS 09/04
ヴァン・ヘルシング 09/11 テイキング・ライブス 09/18
アイ・ロボット 09/25 バイオハザードII アポカリプス 10/02
アラモ 10/09 アラモ 10/16 『その2』
ツイステッド 10/23 シークレット・ウインドウ 10/30
コラテラル 11/06 キャットウーマン 11/13
80デイズ 11/20 2046 11/27
スカイキャプテン−ワールド・オブ・トゥモロー 12/04
ポーラー・エクスプレス 12/11 僕の彼女を紹介します 12/18
マイ・ボディガード 12/25

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                2005/05/21  No. 218 (週刊) 
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