メルマガ:面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)
タイトル:[ROADSHOW REVIEW]217  2005/05/14


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★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)★★★★★
     2005/05/14  No. 217 (週刊)            前回発行部数:3,139

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
毎週見ているロードショー映画の感想です。出来るだけタイムリーに(上映
期間中に)おとどけします。個人的な趣味で選んでいるので参考になるか分
かりませんが、見たまま、思ったままを書きます。

お断り:この「感想」は、通常、一週間ほどかけて書いています。その間、記
憶違い、想像力の逸脱等から、本来作品には無かったような事を書いてしまう
場合があります。その際は御了承ください。
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バックナンバーと発行日は下記のホームページにてご覧いただけます。
★2004年分は、「感想」の下に移しました。2001〜2003年分につ
いては、サイトを御覧下さい。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/syd/roadshowmm.html

ターミナル 01/01 エイリアン Vs. プレデター 01/08
カンフーハッスル 01/15 東京タワー 01/22
オーシャンズ12 01/29 レイ 02/05
アレキサンダー 02/12 ボーン・スプレマシー 02/19
運命を分けたザイル 02/26 オペラ座の怪人 03/05
ローレライ 03/12 大統領の理髪師 03/19
ナショナル・トレジャー 03/26 アビエイター 04/02
ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月 04/09
コーラス 04/16 コンスタンティン 04/23
Shall we Dance? 04/30
レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 05/07
海を飛ぶ夢 (2004) 05/14
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海を飛ぶ夢 (Mar adentro/Sea Inside, The)(スペイン)
U.S. Release Date: 12/17/04(限定)  

■監督:アレハンドロ・アメナーバル
■キャスト:ハビエル・バルデム/べレン・ルエダ/ロラ・ドゥエニャス/マベ
ル・リベラ/クララ・セグラ/タマル・ノバス/フランシス・ガリード
■音楽:アレハンドロ・アメナーバル
■字幕:松浦美奈
■お勧め度:★★(★)

注意:以下の筋書きは、(感想の)『後で』読んで下さい。

「海の事故で、首から下が不随となったラモン・サンペドロは、26年間をベッド
の上で過ごし、その年、自ら命を絶つ決断をする。人権支援団体で働くジェネは、
ラモンの死を合法にするため、弁護士のフリアの協力を仰ぐ。法廷へ出る準備を
進め、ラモンの話を聞くうちに、フリアは強く彼に惹かれていった。ある日フリ
アは、ラモンの家で発作に倒れる。不治の病に冒されたフリアは、やがて自らも
死を望み、ラモンの死を手伝う約束をする。 」(goo映画レビューより)

ラモン・サンペドロ:ハビエル・バルデム
フリア:べレン・ルエダ(弁護士、ラモンの恋人2)
ローザ:ロラ・ドゥエニャス(ラモンの恋人1)
ジェネ:クララ・セグラ(人権支援活動家)
マニュエラ:マベル・リベラ(ラモンの兄嫁)
「ハビ」:タマル・ノバス(ラモンの甥)
マーク:フランシス・ガリード(弁護士)

上の筋書は、かなり上っ面的であり、デタラメとは言わないまでも、実際に作品
を見た後で読むと、作品の内容とはぜんぜん違っている。これは「筋書き」と
「内容」の違いだろう。端的に言うと作品の主題が何なのか、あるいは意図が分
らない。筋書き的にはラモン・サンペドロの事故と悲劇、安楽死の決意、そして
その実行と、物語りは流れるが、ラモンの描き方、あるいはその家族のそれと、
安楽死との関係が、明確には描かれていないし、そもそも安楽死というものを問
題として取り上げているのかどうか、これも定かでない。以下、かなりネタバラ
シになってしまうので、見る予定のある方は「ご遠慮」ください。

ラモンというのはハッキリ言って「女たらし」ないしプレーボーイ以外のなにも
のでもない。彼は若いころ、「タダで世界旅行ができる」という魂胆から船乗り
になり、世界中に「女」を作り、首から下不随になった身(つまり作品中)でも、
弁護士のフリアに惚れるは、近所の女の子のローザに惚れられるはで、安楽死の
話しよりかラブストーリーの要素がはるかに強い。これよりさらに大きなことは、
作品での彼は、家族、特に兄嫁で彼の看病をするマニュエラその他に、半端じゃ
ないまでに愛されている。作品全体が「愛情物語り」と言っていい。この事と彼
の安楽死の決意を無理矢理むすびつけるならば、そうした愛情が彼の重荷になり、
死に追いやったと解釈できるが、これはもちろん作品が意図した事ではないだろ
う。それではこの愛情描写、あるいは女問題は、何を意図されたものだろうか。
はっきり言って、これだけ女遊びをし、家族に愛され、事故の問題にしても、近
くにいた美女に惹かれた状態で海に飛び込んだため、浅瀬に気付かず海底に頭を
打ちつけ首の骨を折ったというのは、自業自得、ザマー見ろとしか言えないよう
な描き方がされている。これももちろん、作品の意図ではないが。要するに、ラ
モンの悲劇性というものが全く伝わってこず、彼がどれだけ家族その他、沢山の
人に愛されたか、そのような人であったか、それが作品の内容であり、それにも
係わらず彼が安楽死の道を選んだというのが、上のこじつけ的解釈以外、全く分
らない、というか伝わってこない。むしろ、悪役として登場し、「命は神によっ
て与えられたものであり、それを自ら絶つ事は許されない」「手足が動かなくて
も、立派に生きている人はいくらでもいるではないか」といった、宗教的あるい
は社会的な決まり文句を押し付ける、同じ四肢不自由のカトリックの神父の言う
事の方が、はるかに現実感があるというような、変な、チグハグさを感じる。安
楽死の問題、あるいはその悲劇ではなく、ラモンというのはこういう人物であっ
たというような、むしろ伝記作品のような印象。そのようなものとして、プレー
ボーイのラモンには何の共感も感じ得ず、彼の苦しみもなんら伝わって来ない。
伝記作品、これが作品の意図したことなら悪口を言う筋合いでは無いが、そうだ
とすれば何ら観るに値しない、駄作としか言いようが無い。

さらに、これは伝記作品といえど、どう考えてもラモンの「誹謗中傷」にしかな
らないのでは、と思うが、彼が二人の女を恋人にした理由ないし動機と、安楽死
への願望が、完全に重なってしまっている。ラモンは頭が良く、文才もある。弁
護士のフリアとはちょうど良い仲と思われたが、フリアが不治の病で発作を起こ
すたびに体が損傷し、やがては脳機能を失い植物人間になる可能性があると知る
と、ラモンはフリアとは全く別なタイプの直情型の村娘のローザを「愛し」、そ
の愛にかこつけて、安楽死の共犯者として利用するに至る。これははっきり言っ
て「愛」に対する「冒涜」ではないだろうか。これに対して、ラモンの家族の彼
に対する家族愛が、素晴しいまでに描かれている。愛するがために彼の意志を尊
重する愛、愛する彼を失いたくないという愛、そしてどちらが正しいのか分らな
いがために悩み、何も言えないという父親の愛。こうした家族愛の3形態が作品
の大半を占め、これとラモンの安楽死の決意との関係は、観る者の邪推に委ねる
といった作品内容。元々、作品は悲劇性は意図していない事は分る。むしろ悲劇
の主人公はフリアで、彼女はラモンの本を出版し、その出版の当日、心中を約束
するが、発作に見舞われ記憶(脳機能)を失う。このクダリはおそらく作品が悲
劇性を意図していないことの証だろう。それでは作品はいったい何を描いたのだ
ろう。「プレーボーイ、ラモンの愛と死」というような副題がついていたら、そ
れなりに見れただろうが、gooの映画レビューを先に読んでしまったため、完
全にハズした見方になってしまった。作品のテーマは「愛」と「家族愛」なのだ。
安楽死は付け足しに過ぎない。

フリア役のべレン・ルエダがいい。1965年マドリード生まれ、モデル出身。「工
事」なしの歳相応で、この良さというのは、売れているハリウッド女優では見ら
れない事になるのだろう。


ヒアリング度:
感動度:★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオで見た方がいい度:
ムカつく度:★★★
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

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-今後楽しみな映画:

★「戦国自衛隊1549」(旧角川作品のリメイク)

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2004年分:
すべては愛のために 01/03 ミシェル・ヴァイヨン 01/10
ミスティック・リバー 01/17 タイムライン 01/24
シービスケット 01/31 ハリウッド的殺人事件 02/07
ラブ・アクチュアリー 02/14 ロード・オブ・ザ・リング3 02/21
(旧)バイ・バイ・バーディー 02/28 マスター・アンド・コマンダー 03/06
レジェンド・オブ・メキシコ 03/13 ペイチェック 03/20
イノセンス/INNOCENCE 03/27 恋愛適齢期 04/03
イン・ザ・カット 04/10 ディボース・ショウ 04/17
オーシャン・オブ・ファイアー 04/24 映画館、邦画について 05/01
キル・ビル Vol.2 05/08 コールド マウンテン 05/15
ビッグ・フィッシュ 05/22 トロイ 05/29 
レディ・キラーズ 06/05 デイ・アフター・トゥモロー 06/12
ロスト・イン・トランスレーション 06/19 21グラム 06/26
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 07/03 ブラザーフッド 07/10
スパイダーマン2 07/17 ウォルター少年と、夏の休日 07/24
キング・アーサー 07/31 マッハ! 08/07
リディック 08/14 サンダーバード 08/21
華氏9/11 08/28 LOVERS 09/04
ヴァン・ヘルシング 09/11 テイキング・ライブス 09/18
アイ・ロボット 09/25 バイオハザードII アポカリプス 10/02
アラモ 10/09 アラモ 10/16 『その2』
ツイステッド 10/23 シークレット・ウインドウ 10/30
コラテラル 11/06 キャットウーマン 11/13
80デイズ 11/20 2046 11/27
スカイキャプテン−ワールド・オブ・トゥモロー 12/04
ポーラー・エクスプレス 12/11 僕の彼女を紹介します 12/18
マイ・ボディガード 12/25

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