メルマガ:面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)
タイトル:[ROADSHOW REVIEW]209  2005/03/19


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==========================================ROADSHOW REVIEW=====

★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)★★★★★
     2005/03/19  No. 209 (週刊)            前回発行部数:3,059

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
毎週見ているロードショー映画の感想です。出来るだけタイムリーに(上映
期間中に)おとどけします。個人的な趣味で選んでいるので参考になるか分
かりませんが、見たまま、思ったままを書きます。

お断り:この「感想」は、通常、一週間ほどかけて書いています。その間、記
憶違い、想像力の逸脱等から、本来作品には無かったような事を書いてしまう
場合があります。その際は御了承ください。
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バックナンバーと発行日は下記のホームページにてご覧いただけます。
★2004年分は、「感想」の下に移しました。2001〜2003年分につ
いては、サイトを御覧下さい。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/syd/roadshowmm.html

ターミナル 01/01 エイリアン Vs. プレデター 01/08
カンフーハッスル 01/15 東京タワー 01/22
オーシャンズ12 01/29 レイ 02/05
アレキサンダー 02/12 ボーン・スプレマシー 02/19
運命を分けたザイル 02/26 オペラ座の怪人 03/05
ローレライ 03/12 大統領の理髪師 03/19
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大統領の理髪師 (Hyojadong ibalsa/The President's Barber)
U.S. Release Date: 未公開(2004年作品)

■監督:イム・チャンサン(Chan-sang Lim)(1969年生まれ)
■脚本:イム・チャンサン/Min-seok Jang 
■キャスト:ソン・ガンホ(床屋)/ムン・ソリ(女房)/イ・ジェウン(息子)
/チョ・ヨンジン(大統領)/他
■音楽:パク・キホン
■字幕:根本理恵
■お勧め度:★★(★)

「1960年代の韓国。軍事クーデターを経て、新しい政権が誕生する。大統領官邸
のお膝元の町で理髪店を営むソン・ハンモ(ソン・ガンホ)は、ある日、大統領
の理髪師という大役を仰せつかる。緊張を強いられながらも誠実に務めを果たし、
やがて、町でも一目置かれる存在になるが、北朝鮮武装ゲリラ侵入事件が起きて、
状況は一変する。彼らが下痢をしていたため、同じ症状の国民は「マルクス病」
とされ、スパイ容疑で次々と逮捕される破目に。運悪く、ハンモの長男・ナガン
(イ・ジェウン)も下痢を訴えて…。」(goo映画レビューより)

これ、見ようによっては物凄く難しい作品。「この作品はフィクションである」
と書いてあるが、60年代と70年代に韓国で起きた二つの政変、これの実態、
そして今の韓国の人々が、それをどう受け止めているのかが分らないと、それを
監督がどう映画化したのか、あるいは描こうとしたのか、という事が分らない。
あるいは、作品を見る限り、床屋というのは身分の低い職業ということになって
いて、これが笑いのネタになっているが、こうした価値観の違い、また、下痢と
いうのがジョークになっているが、上の「下痢」=「マルクス病」というのが、
事実に基づくことなのか、ジョークなのか、分らない。あるいはまた、「四捨五
入」という言葉が字幕で使われるが、これは日本語ということになっている。こ
の事を知らないソン・ハンモ(床屋)は、大統領官邸でマズい台詞をはいてしま
うが、これも原語なのか訳なのか分らない。「四捨五入」という韓国語が存在し
ないということは無いだろう。これに加え、筋書き的にも、かなり緻密なもの、
伏線がある。最初、ソン・ハンモが官邸に呼ばれて大統領の髭を剃る前に、側近
から「青龍に傷をつけるな」と注意され、「青龍」というのは大統領自身、ある
いはその顔のことだという説明を受けるが、この事を憶えておかないと、後半、
「マルクス病」と間違われて拘留され、結果として足の自由を奪われた息子を治
しに全国を旅するなか、とある漢方薬師の謎めいた言葉、「倒された青龍の目を
煎じて飲ませろ」(台詞、字幕ではこんなにはっきりと書いて無い)という言葉
の伏線になり、ラストで「青龍」=大統領の死、その遺影(看板)の目のペンキ
を削り取って飲ませるというような、マジだかジョークだか分らない展開となる。

この作品の良さは、まさにマジだかジョークだか分らない、微妙な線を、綱渡り
的に描き、この手法が終始徹底され、コメディー性は笑いを強いることなく、前
半、息子がナレーションで自分の家族のことを語り、これが後半からラストにか
けて、政治犯として捕えられ(これもマジかジョークだか分らない)、足の自由
を失い、父親がその足を治そうと、一見、(上に書いた)ヤブ医者っぽい漢方薬
師を訪れ、結果的には治ってしまうという人間ドラマに移行する。

「圧政」を行ったという大統領の描き方もまた「微妙」だ。彼は好人物、優秀な
指導者として描かれ、ソン・ハンモも彼を尊敬し、敬愛するにいたる。「圧政」
を行った大統領、不正選挙で当選した独裁者をこのように描くのは、批判の精神、
あるいはパロディーではなく、今日あるいは将来の指導者に対する期待の念の投
影かもしれない。というようにでも解釈しないと、意図がまったく分らない作品
でもある。たとえば、「列島改造論」でバブル経済を招き、結果として日本経済
を破滅に追いやった田中角栄を、このような好人物として描く作品は考えられな
い。韓国の人々は、こうした大統領像をどう見たのだろうか。

というように、はっきり言って分らないことだらけだが、1969年生まれのまだ
30半ばの監督の作品としては、きわめて出来の良さを感じた。韓国の60〜
70年代の実情が分っていれば、もっと楽しめたかもしれない。


ヒアリング度:
感動度:★
二度以上見たい度:
劇場で見たい度:★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオで見た方がいい度:★★★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

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★★最終更新:2005年01月15日
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2004年分:
すべては愛のために 01/03 ミシェル・ヴァイヨン 01/10
ミスティック・リバー 01/17 タイムライン 01/24
シービスケット 01/31 ハリウッド的殺人事件 02/07
ラブ・アクチュアリー 02/14 ロード・オブ・ザ・リング3 02/21
(旧)バイ・バイ・バーディー 02/28 マスター・アンド・コマンダー 03/06
レジェンド・オブ・メキシコ 03/13 ペイチェック 03/20
イノセンス/INNOCENCE 03/27 恋愛適齢期 04/03
イン・ザ・カット 04/10 ディボース・ショウ 04/17
オーシャン・オブ・ファイアー 04/24 映画館、邦画について 05/01
キル・ビル Vol.2 05/08 コールド マウンテン 05/15
ビッグ・フィッシュ 05/22 トロイ 05/29 
レディ・キラーズ 06/05 デイ・アフター・トゥモロー 06/12
ロスト・イン・トランスレーション 06/19 21グラム 06/26
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 07/03 ブラザーフッド 07/10
スパイダーマン2 07/17 ウォルター少年と、夏の休日 07/24
キング・アーサー 07/31 マッハ! 08/07
リディック 08/14 サンダーバード 08/21
華氏9/11 08/28 LOVERS 09/04
ヴァン・ヘルシング 09/11 テイキング・ライブス 09/18
アイ・ロボット 09/25 バイオハザードII アポカリプス 10/02
アラモ 10/09 アラモ 10/16 『その2』
ツイステッド 10/23 シークレット・ウインドウ 10/30
コラテラル 11/06 キャットウーマン 11/13
80デイズ 11/20 2046 11/27
スカイキャプテン−ワールド・オブ・トゥモロー 12/04
ポーラー・エクスプレス 12/11 僕の彼女を紹介します 12/18
マイ・ボディガード 12/25

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★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)★★★★★
                2005/03/19  No. 209 (週刊) 
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