メルマガ:面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)
タイトル:[ROADSHOW REVIEW]167  2004/05/29


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★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)★★★★★
     2004/05/29  No. 167 (週刊)            前回発行部数:2,912

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
毎週見ているロードショー映画の感想です。出来るだけタイムリーに(上映
期間中に)おとどけします。個人的な趣味で選んでいるので参考になるか分
かりませんが、見たまま、思ったままを書きます。

お断り:この「感想」は、通常、一週間ほどかけて書いています。その間、記
憶違い、想像力の逸脱等から、本来作品には無かったような事を書いてしまう
場合があります。その際は御了承ください。
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バックナンバーと発行日は下記のホームページにてご覧いただけます。
★2003年分は、「感想」の下に移しました。2001〜2002年分につ
いては、サイトを御覧下さい。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/syd/roadshowmm.html

すべては愛のために 01/03 ミシェル・ヴァイヨン 01/10
ミスティック・リバー 01/17 タイムライン 01/24
シービスケット 01/31 ハリウッド的殺人事件 02/07
ラブ・アクチュアリー 02/14 ロード・オブ・ザ・リング3 02/21
(旧)バイ・バイ・バーディー 02/28 マスター・アンド・コマンダー 03/06
レジェンド・オブ・メキシコ 03/13 ペイチェック 03/20
イノセンス/INNOCENCE 03/27 恋愛適齢期 04/03
イン・ザ・カット 04/10 ディボース・ショウ 04/17
オーシャン・オブ・ファイアー 04/24 映画館、邦画について 05/01
キル・ビル Vol.2 05/08 コールド マウンテン 05/15
ビッグ・フィッシュ 05/22 トロイ 05/29 
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トロイ (Troy)
U.S. Release Date: 5/14/04

■監督:ウォルフガング・ペーターゼン
■キャスト:ブラッド・ピット/エリック・バナ/オーランド・ブルーム/ブラ
イアン・コックス/ショーン・ビーン/ピーター・オトゥール/ディオンヌ・ク
ルーガー
■音楽:ジェームズ・ホーナー
■字幕:菊池浩司
■お勧め度:★★★

ギリシャの叙事詩人、ホーマー(ホメロス)の作とされる「イリアス」(神話、
トロイア戦争)を現代風に(つまり「神様」抜きで)アレンジした歴史ロマン。

トロイ(トロイア)の王子(弟)パリス(オーランド・ブルーム)は、停戦協定
を結びに行った先のスパルタで王妃ヘレナ(ヘレネ)(ディオンヌ/ダイアン・
クルーガー)と恋に落ち、トロイへ連れ帰る。これに怒ったスパルタ王は、かね
てからトロイ攻略を目論んでいたギリシャ王で兄のアガメムノン(ブライアン・
コックス)と結託し、「千隻」の船団と4万の兵力でトロイの海岸と城壁を攻め
る。最終的には、いわゆる「トロイの木馬」でギリシャ軍の勝利となるが、作品
は、パリスの兄でトロイの王子、後継者のヘクトル(エリック・バナ)、自由戦
士のアキレス(ブラッド・ピット)、トロイ王(ピーター・オトゥール)などを、
かなり人間的に描く。神話(オリジナル)ではこうした人々は神々(のお遊び)
に操られる形で描かれるが、本作品では人間が中心になる。

およそ二ヶ月振りの特撮大予算スペクタクル作品とあって楽しみだったが、いく
つかの意味で、これは大人向けの作品となっており、神話、あるいは「パイレー
ツ・オブ・カリビアン」といったディズニー作品とは趣きを異にしており、楽し
めた。

アキレスその他、英雄たちの「運命」というものが、かなりしんみりと描かれて
いる。アキレスは自由戦士であり君主を持たないが、それが故に何故戦うのか、
ある意味で悩み、己の名を歴史に残すこと、そのために、行けば死ぬと母親に予
言されたトロイア戦争に参加する。またトロイの王子ヘクトルにしても、弟がし
でかした過ちを憂いながらも、弟を庇い、負けると分かっているアキレスとの勝
負に挑む。また、老優ピーター・オトゥールがトロイ王を演じ、息子を亡くす悲
しみ、そして国を失う悲しみを印象深く演じ、これらの人物に、かなりな程度、
感情移入ができる。

キャストがいい、そして頑張った。アキレスを演じるブラッド・ピット、この作
品のためにかなり、見違えるほど筋肉をつけ、以前の軟弱者イメージとは全く違
った「新境地」のようなものを見せてくれ、見直した。ヘレナ役のディオンヌ/
ダイアン・クルーガー(ドイツ出身、最近では「ミシェル・ヴァイヨン」)も、
数キロ増量して役に臨んだ(基本的にモデル出身なので)。逆にパリス役のオー
ランド・ブルームは、「指輪」の金髪から黒髪になり、ウエイトも落としたよう
で頼り無さがつきまとうが、なんせこの戦争(と悲劇)を起こした張本人である
こと、そして誰もかなわなかったアキレスを倒すという伏兵的役割が待っている
ことを考えると、これも意図的な役作り、演出かもしれない。パリスはまだ実戦
の経験が無く、剣の腕も劣る。それが、「指輪」で使い慣れた弓矢で...というの
も、キャスティング上のサービスと見たい。

「大人向け」と書いたが、特撮その他、撮り方にも表れている。似たようなバト
ルシーンであっても、「指輪」あるいは「ハムナプトラ2」といった、奇をてら
った、ファンタジックなものではなく、圧倒的な軍勢の激突、真に迫った格闘シ
ーンなど、現実味に溢れている。アキレスの強さ、剣の速さを表現するのに「マ
トリックス」の手法を使うというオマケもある。決して派手な特撮ではないが、
ギリシャ軍がトロイの海岸に上陸し、トロイ軍と一戦を交えるシーンなどは、
(第二次大戦の)ノルマンディー上陸作戦のような壮絶感、悲愴感が漂う。いわ
ゆる神話的な作品、ファンタジー、あるいはシュワルツネッガーのデビュー当時
の「コナン」のような飛び抜けたヒーロー・イメージを期待すると失望するかも
しれないが、現実的なキャラクターは、むしろ遥かに印象に残る。内容的にも、
恋のために己の国を滅亡させるパリス、アキレスの強いが故の苦悩、一国をしょ
って立つ事を運命づけられたヘクトルの悲愴とも言える決断など、テーマ的にも
大人の目で見られる作品のように思われた。

難を言うと、そもそもが神話である作品から、神話的な要素を全て抜き取り、極
めて現実的な人間を主人公にした作品を作ることに意味があったのだろうかとい
う疑問が湧く。これなら、誰もが筋と結末を知っているトロイア戦争を、わざわ
ざ題材として選ぶ必要は無かったのではないだろうか。原作から神話的な要素を
排除した結果、物語りは単に筋を追い、人物描写は、登場人物がそもそも人格の
ほとんど無い「英雄」のため、余計な人物描写も出来ないといったジレンマも感
じられた。ともあれ、エリック・バナのヘクトルなどは、男が男に惚れるタイプ
で印象深い。ヘレナも綺麗だし、キャスティングの妙を感じた。

ロケ地はマルタ島とメキシコ。

ヒアリング度:★★★
感動度:★★★
二度以上見たい度:★★★★
劇場で見たい度:★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★★
ビデオで見た方がいい度:★★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

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-今後楽しみな映画:



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2003年分:
K−19 1/04/2003    (旧作)風の谷のナウシカ 1/11
ゴーストシップ 1/18 オールド・ルーキー 1/25
ボーン・アイデンティティー 2/01 トランスポーター 2/08
レッド・ドラゴン 2/15 戦場のピアニスト 2/22
ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔 3/01 007ダイアナザーデイ 3/15
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 3/29 ブラック・ダイアモンド 4/05
デアデビル 4/12 シカゴ 4/26
ドリームキャッチャー 5/03 X-Men2 5/10
あずみ 5/17 サラマンダー 5/24
トゥー・ウィークス・ノーティス 5/31 ハンテッド 6/07
ザ・コア 6/14 マトリックス・リローデッド 6/21
ソラリス 6/28 チャーリーズ・エンジェル フルスロットル 7/05
デッドコースター 7/12 ターミネーター3 7/19
マイ・ビッグ・ファット・ウェディング 7/26 トレジャー・プラネット 8/02
ハルク 8/09 パイレーツ・オブ・カリビアン 8/16
英雄 8/23 コンフェッション 8/30
ワイルド・スピードX2 9/06 座頭市 9/13
閉ざされた森 9/20 トゥームレイダー2 9/27
S.W.A.T. 10/04 ジョニー・イングリッシュ 10/11
リーグ・オブ・レジェンド 10/18 マッチスティックメン 10/25
キル・ビル 11/01 ティアーズ・オブ・ザ・サン 11/08
マトリックス レボリューションズ 11/15 ブルドッグ 11/22
フォーン・ブース 11/29  バッドボーイズ2バッド 12/06
ラスト サムライ 12/13 (旧作)ネイティブ・ハート 12/20
ブルース・オールマイティ 12/27

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆↓↓これより下は、毎回、同じです。
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★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)★★★★★
          2004/05/29  No. 167 (週刊) 
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