メルマガ:面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)
タイトル:[ROADSHOW REVIEW]161  2004/04/17


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==========================================ROADSHOW REVIEW=====

★★★★★面白かった映画、つまらなかった映画(ロードショー)★★★★★
     2004/04/17  No. 161 (週刊)            前回発行部数:2894

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
毎週見ているロードショー映画の感想です。出来るだけタイムリーに(上映
期間中に)おとどけします。個人的な趣味で選んでいるので参考になるか分
かりませんが、見たまま、思ったままを書きます。

お断り:この「感想」は、通常、一週間ほどかけて書いています。その間、記
憶違い、想像力の逸脱等から、本来作品には無かったような事を書いてしまう
場合があります。その際は御了承ください。
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バックナンバーと発行日は下記のホームページにてご覧いただけます。
★2003年分は、「感想」の下に移しました。2001〜2002年分につ
いては、サイトを御覧下さい。

http://www003.upp.so-net.ne.jp/syd/roadshowmm.html

すべては愛のために 01/03 ミシェル・ヴァイヨン 01/10
ミスティック・リバー 01/17 タイムライン 01/24
シービスケット 01/31 ハリウッド的殺人事件 02/07
ラブ・アクチュアリー 02/14 ロード・オブ・ザ・リング3 02/21
(旧)バイ・バイ・バーディー 02/28 マスター・アンド・コマンダー 03/06
レジェンド・オブ・メキシコ 03/13 ペイチェック 03/20
イノセンス/INNOCENCE 03/27 恋愛適齢期 04/03
イン・ザ・カット 04/10 ディボース・ショウ 04/17
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ディボース・ショウ (Intolerable Cruelty)
U.S. Release Date: 10/10/03

■監督:ジョエル・コーエン(+イーサン・コーエン)
■キャスト:ジョージ・クルーニー/キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
■音楽:カーター・バーウェル
■字幕:戸田奈津子
■お勧め度:★★

少しブラックな、少し(だけ)ラブ風なコメディー。
辣腕弁護士のマイルス(ジョージ・クルーニー)の信条は「破壊」、つまり裁判
で勝ちまくること。しかし最近、勝つことに空しさを感じる。そんなところに離
婚相談に来た男、その妻、マリリン(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)に一目惚
れ、ところがマリリンは「金」と「独立」と「自由」にあこがれる、結婚詐欺、
ではなくて財産目当てに適当な男と結婚してはその財産を合法的にまき上げる常
習犯だった(これ自体は何の罪にもならない)。最初の一件はマイルスが裁判で
勝つが、マイルスとマリリンのコミカルな確執と恋愛関係(?)は続き、遂には
マイルスまでもがマリリンの餌食になったかと思いきや、そこはコメディー、ハ
ッピーエンド。

この作品は面白いかどうか、あるいは笑えるかどうかと言うと、あまり面白くな
いし笑える場面も少ない。理由は幾つか考えられる。ただし、つまらない作品を
見た場合の筆者の常として理屈っぽくなるので、あまり書きたくないのだが、書
く事が無いので書いてしまうと、

元々硬派のジョージ・クルーニーをマイルス役に選んだのは、キャサリン・ゼタ
=ジョーンズにマリリン役をやらせたかったからだろう。クルーニーは色々と努
力はしているものの、役者としての守備範囲がコメディーにまで及ぶとは思えな
い。したがって「主演」を演じるまでには至ってないし、あまり笑えるような部
分が無い。

一方、ゼタ=ジョーンズの持ち味は、演技派あるいは個性派俳優(簡単に推測で
きる作品としてジュリア・ロバーツとかショーン・コネリー)の共演あるいは助
演として真価を発揮するタイプで、主役を演じて映画作品一本を持たせるタイプ
では無い。結果、本作品には主役が不在になり、ゼタ=ジョーンズを立てようと
するクルーニーと、例によって英国ウェールス出身の独特の華麗さ、貴婦人的な
雰囲気を捨てようとしないゼタ=ジョーンズが譲り合うような形で、両者ともが
中途半端な演技をしているかのような印象を受けてしまう。役者には持ち味があ
る。この二人では、どういう脚本を書いても、どんな映画を撮るにしても、本当
に笑えるようなコメディー作品は作れないだろう。芸風からしても、両者とも品
格を大事にするタイプなだけに、ドタバタ・タイプのコメディーにはできない。
台詞で笑わそうにも、ゼタ=ジョーンズの場合は下ネタが使えない。この二人の
共演は、魅力的ではあっても、各々の役者としての持ち味を考えると、最初から
コメディー作品を作れるような要素は無かったような気がする。

さて、ゼタ=ジョーンズの「大工事」(整形)の結果、これは一番最近の作品
「シカゴ」(本誌110号)と比べるまでもなく、上に書いたショーン・コネリー
と共演した「エントラップメント」(1999年)と比べれば一目瞭然だが、こうし
て見ると、ストーリー的に少し似たような部分があるこの2作品、コネリーとク
ルーニーの演技力、演技の幅、カリスマ性、個性、その差がゼタ=ジョーンズを
引き立て損っているとも言える。35歳、ちょうどお肌のなんとかで、旦那も稼
いでいることだし、工事のタイミングとしてはちょうどいいのだろうが、「曲り
角」の前ぐらいに若返ってしまって、そもそも主演が向かないタイプのゼタ=ジ
ョーンズが、これでまた中途半端な助演やら共演作品に出る機会が多くなるよう
な気がする。

作品中、「婚前契約」(prenuptial agreement / prenup)というものが鍵にな
って出てくるが、この契約を結ぶと離婚等の場合でも財産が保護される。しかし
これは現物契約で、契約書を破り捨てた瞬間、契約自体が無効となる。これはマ
リリンのような財産目当ての結婚(詐欺)防止のための契約だが、不信の証でも
ある。そのため法律のプロのはずのマイルス(クルーニー)さえもがマリリンと
結婚した瞬間、信頼の証としてこの契約書を破り捨て......。いくら契約社会のア
メリカでも、契約通りにはいかない部分があるものだという、変な事を感じさせ
られた。

若返ったゼタ=ジョーンズ、上記のことから、相手役さえ選べば、かなり楽しい
コメディー作品が作れるかもしれない。そんな表情がいくつか見られたという意
味では、見る価値のある作品だった。「シカゴ」の時は明らかにお肌の限界だっ
た。とてもコメディー作品に出るような可能性は想像できなかった。


ヒアリング度:★
感動度:★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★
ビデオで欲しい度:★★
ビデオで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:★
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)

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-今後楽しみな映画:

★トロイ

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2003年分:
K−19 1/04/2003    (旧作)風の谷のナウシカ 1/11
ゴーストシップ 1/18 オールド・ルーキー 1/25
ボーン・アイデンティティー 2/01 トランスポーター 2/08
レッド・ドラゴン 2/15 戦場のピアニスト 2/22
ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔 3/01 007ダイアナザーデイ 3/15
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン 3/29 ブラック・ダイアモンド 4/05
デアデビル 4/12 シカゴ 4/26
ドリームキャッチャー 5/03 X-Men2 5/10
あずみ 5/17 サラマンダー 5/24
トゥー・ウィークス・ノーティス 5/31 ハンテッド 6/07
ザ・コア 6/14 マトリックス・リローデッド 6/21
ソラリス 6/28 チャーリーズ・エンジェル フルスロットル 7/05
デッドコースター 7/12 ターミネーター3 7/19
マイ・ビッグ・ファット・ウェディング 7/26 トレジャー・プラネット 8/02
ハルク 8/09 パイレーツ・オブ・カリビアン 8/16
英雄 8/23 コンフェッション 8/30
ワイルド・スピードX2 9/06 座頭市 9/13
閉ざされた森 9/20 トゥームレイダー2 9/27
S.W.A.T. 10/04 ジョニー・イングリッシュ 10/11
リーグ・オブ・レジェンド 10/18 マッチスティックメン 10/25
キル・ビル 11/01 ティアーズ・オブ・ザ・サン 11/08
マトリックス レボリューションズ 11/15 ブルドッグ 11/22
フォーン・ブース 11/29  バッドボーイズ2バッド 12/06
ラスト サムライ 12/13 (旧作)ネイティブ・ハート 12/20
ブルース・オールマイティ 12/27

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