メルマガ:週刊フランスのWEB
タイトル:hebdofrance 22.03.2004  2004/03/22


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                              Davide Yoshi TANABE
                                 vous presente

              ≪週刊フランスのWEB≫
                    第202号
                                          Tokio, le 22 mars 2004

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Index (目次)
        1.ロビンソン・クルーソー
        2.ジギルとハイド
        3.ロビンフッド
        4.シャンソン ピアフ
        5.忘れられたフランス人  薄幸のリュック・ディートリシュ
        6.あとがき

フランス語のサイトの文字化けは
表示>エンコード>西ヨーロッパ言語の順で選択すれば修正することができま
す。

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1.Robinson Crusoe'
  http://users.swing.be/sw279057/jenny/index.htm

 ロビンソー・クルーソーといえば、孤島に流れ着き20余年後生還するまでの冒
険物語として有名であろう。しかし、デフォーDaniel Defoeの原作を読んだ人は
少ないかもしれない。児童用に要約されたものではない原作には、17世紀の英国
の問題、労働、宗教、経済、社会問題が内包されているそうだ(出版は1719だ
が、物語は1659年の航海から)。ルソーRousseauが「(本書こそ)最も優れた自
然教育論ある」と言ったとか。

 サイトの作者による「ロビンソン・クルーソー」の背景を語るコメントが面白
い。ロビンソン・クルーソーのモデルとなった実在の人物セルカークAlexandre
Selkirkが何故海に出たのか、その冒険の動機はなんであったのかを明かしてく
れた。僕には思いもよらなかったが、時代を考えてみれば当然かもしれない、当
時大金を手に入れる手段としてあったのは、海外に、それもアフリカ(ギニア海
岸)に出向いてアフリカ人を捕まえ、奴隷としてブラジルに送る商売をすること
だったのである。

 原書では、ロビンソンの従僕はフライデーFridayだが、フランス語訳は金曜日
Vendrediとしている。日本語版では、フライデーだろう、しかし、フランス語で
はVendrediとしなければならない。デフォーがアフリカ人従僕にフライデーと名
付けたのは、勿論偶然ではないからだ。キリスト者にとってキリストが処刑され
た金曜日は特別な日である。

 「ロビンソン・クルーソー」を冒険物語として読むか、ルソーのようにモラル
の書として読むか。岩波文庫で上下2巻。

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2.Dr Jekyll et M. Hyde
  http://home.nordnet.fr/~ihalko/rls/rlshome.html

 「ジギルとハイド」は二重人格の代名詞としてつとに知られている。原作はス
コットランドEcosseのスティヴンソンRobert-Louis Stevenson(1850-1894)の
「The strage case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde」。フランス題は「Le cas
etrange du Docteur Jekyll et de M. Hyde」。1886年作。

 しかし、この小説が世界中で有名になったのは、映画の所為だろう。なにしろ
これまでに100作以上映画化されているのである。

 フランスでは、ルノワール、あの印象派画家Pierre-Auguste Renoirの次男で
あるジャン・ルノワールJean Renoirが1959年に「Testament du Docteur
Cordelierコルドリエ博士の遺言」として映画化している。主演はバロ
Jean-Louis Barrault。ルノワールの映画としては、「大いなる幻影La grande
illusion(1937)」、「どん底Les bas-fonds」が日本でも古典になっていると思
われる。

 それはそれとして、スティヴンソンは「宝島L'ile au tresor」の作者でもあ
る。この時代、英国の上流階級はフランスが好きだった。流行であったともいえ
る。英国の圧倒的経済力という理由もある。コートダジュールも英国人で溢れて
いた。ニースやカンヌを今日たらしめたのは英国人であった。スティヴンソンも
何回もフランス旅行をしている。
http://users.skynet.be/sky42224/
スティヴンソンのようにロバの背にゆられてフランスの山歩きをするのも面白い
かもしれない。

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3.Robin des bois
  http://pages.infinit.net/mycroft/kathleen/robin_bois/

 ロビンソンで思い出したのが、Robin des bois(森のロビン)なので、ついで
にサイトを探した。日本では、ロビンフッドとして名高い。800年ほど前の民話
である。鼠小僧のような義賊だけれども、フランスでは「三銃士Les Trois
Mousquetaires  」(1844)の作家デュマAlexandre Dumasが小説に仕立てている。
英国の作家も多くのロビンフッドを書いている。

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4.Edith Piaf
  Je t'ai dans la peau
    Paroles: Edith Piaf. Musique: Gilbert Becaud   1952
  note: du film "Boum sur Paris"

Toi...
Toujours toi...
Rien que toi...
Partout toi...
Toi... toi... toi...
Toi...

あなた、、、
いつもあなた、、、
あなただけ、、、
どこでもあなた、、、
あなた、、、あなた、、、あなた、、、
あなた、、、

Je t'ai dans la peau,
'y a rien a faire.
Obstinement, tu es la.
J'ai beau chercher a m'en defaire,
Tu es toujours pres de moi.
Je t'ai dans la peau,
'y a rien a faire.
Tu es partout sur mon corps.
J'ai froid, j'ai chaud.
Je sens la fievre sur ma peau.

あなたにいかれてる
どうしようもなく
執拗に あなたがいる
ふりほどこうとするけど
あなたはいつもそばにいる
あなたにいかれてる
どうしようもない
あなたがわたしのいたるところにいる
寒い 暑い
熱にうかれている

avoir qqn dans la peauは、かなり性的な意味をもつようだ。

Apres tout, je m'en fous de ce qu'on peut penser.
Je n'peux pas m'empecher de crier.
Tu es tout pour moi, j' suis intoxiquee
Et je t'aime, je t'aime a en crever.

どのみち 人がどう思おうと知ったことじゃない
わたしの叫びを抑えようもない
あなたはわたしの全て わたしはラリっている
そしてあなたを愛している 死ぬほど愛してる

intoxiquerは「ラリる」、この言葉が適切か否か僕としては自問している。

Je t'ai dans la peau,
'y a rien a faire.
Obstinement, tu es la.
J'ai beau chercher a m'en defaire,
Tu es toujours pres de moi.
Je t'ai dans la peau,
'y a rien a faire.
Tu es partout sur mon corps.
J'ai froid, j'ai chaud.
Je sens tes levres sur ma peau.
...

'y a rien a faire, j' t'ai dans la peau...

あなたにいかれてる
どうしようもなく
執拗に あなたがいる
ふりほどこうとするけど
あなたはいつもそばにいる
あなたにいかれてる
どうしようもない
あなたがわたしのいたるところにいる
寒い 暑い
あなたの唇をわたしの肌に
、、、

あなたにいかれてる どうしようもなく


映画「Boum sur Paris」は、カノンジュMaurice de Canonge監督の作品(1953
年)。トレネCharles Trenet、ピアフ、グレコ等のオン・パレード。
http://www.allocine.fr/film/fichefilm_gen_cfilm=31082.html

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5.忘れられたフランス人
  Luc Dietrich 1913-1944
  http://www.letempsquilfait.com/Pages/Auteurs/Dietrich/dietrich.html
  http://univers.mylene-farmer.com/dietrich/biodiet.htm

 リュック・ディートリシュ(デートリッヒとドイツ語風に発音するのかもしれ
ない)が、再評価され始めたのは、フランスでも1990年代のことのようである。
僕はノトンAmelie Nothonの本を読んでいてその名を知った。

 その人生も短かったが、極めて薄幸(はっこう)な人で、何しろ付いていな
い。唯一の幸運は、稀有なる友人Lanza del Vastoとの出会いであろうか。

 サイトで紹介されている作品の抜粋を読むと、大変繊細で心温まる文章であ
る。是非とも全体を読みたくなった。フランスでも新しいファンを獲得しつつあ
るようである。翻訳が出ても良さそうなものである。

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6.あとがき

 ホーム・ページの統合について。infoseek、livedoor、geocitiesにあった本
誌のホーム・ページを僕のサーヴァーであるdtiに統合した。これで、広告は
ぽっぷ・アップ式も含めて一切ないことになった。201号まで全てここに移転さ
れた。
http://www.saturn.dti.ne.jp/~davidyt/
過去のページの校正は遅々として進まないが、今後も続ける所存。掲示板が極め
て簡略で愛想がないが、これはhtmlだけでなくプログラム言語を自分で書かなけ
ればいけないためで、徐々に改善できればと考えている。

 先週の土曜日、3月20日は「イラク占領に反対する」国際統一デーであった。
Attacのメンバーとしては欠かせないと思い参加した。それは1月以来、Attac
Japanの有志が街頭宣伝などをして来たことに対する敬意からでもあった。日比
谷公園に集った人々は約30.000人という。Attacメンバーは100人内外。春雨とは
いえない冷たい雨がしとしと降っていた。

 同日、欧州ではイタリアを除いて去年とは比べ物にならないほど少ないデモの
参加者であった。パリでは数千人に過ぎなかった。むしろ、日本、韓国、タイ等
軍隊をイラクに派遣した国々の人々が街頭に出たとはFrance2のニュースでのコ
メント。

 フランス語でデモはマニフmanif(manifesttionの略語)というが、もともと
文化・芸術行事や商業宣伝に用いられていたことばであるので、英語や日本語の
パフォーマンスの意味を含まないことはないが、近時の日本のデモは、特に
NGO/NPOを中心とするそれは、パフォーマンスが前面に出てきて、メディア受け
を狙い過ぎているのではないだろうか。もっとも僕は、その昔のデモについて
は、大学時代にのことしか知らない。60年安保の世代ではないので。しかし、い
ずれにせよ、メディアを批判する僕たちが、メディアによる報道に一喜一憂する
のは矛盾であるとしかいいようがない。
 各人がマニフの意味を考えて、自己の確信において参加するのでなければ、東
京で100万人規模のデモが出現することはないであろう。

 3月20日、僕がデモ行進をしていたころ、湘南藤沢では科学史懇談会が開かれ
ており安藤昌益、三浦梅園の自然観がテーマとりあげられた。講師の方が、どの
ような内容を語られたのか、現在のところ僕は知らない。ただ、本誌でとりあげ
た加藤周一の戯曲「富永仲基異聞」(181号、2003年7月21日)もあわせて、いわ
ば江戸期の異端的思想家たちが今日とりあげられることの意味は、相当に微妙で
ある。
 昌益、梅園が再発見されたのは戦前のことだ。昌益、梅園、仲基、尊徳、梅岩
等は、昌益や梅園は医者、仲基は大阪町人、尊徳や梅岩は農民であって、官の学
とは遠いところにあった。その故もあって独自の理論を打ち立てることが出来た
ようである。尊徳については、無教会派の内村鑑三が「日本を代表する人たち」
(英語)で書いているが、それとは別に昭和になってから国家が尊徳を利用し
た。同様の傾向が他の思想家たちの再発見にもありそうである。しかも恐らくは
曲解をもって体制化されたのではないかと推察する。従って、今日科学史として
この再発見を批判的にとらえなおすことには意味がある。これら思想家の現代的
再々評価も興味ある。
 しかし、日本の思想家たち、江戸期にせよ、以降にせよ、一人として汎世界的
思想家とはなりえなかった。言語だけの問題ではない。昌益や梅園、仲基(出定
後語)の著書は「漢文」で書かれているが、清(1616-1912)で話題になったと
も聞かない。何故なのか。僕はそれが知りたいと思う。ここでいう思想家とは哲
学者や宗教家のことである。


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発行者:田邊 好美(ヨシハル)
    〒 157-0073 東京都世田谷区
e-mail: davidyt@saturn.dti.ne.jp

「カンパ」よろしくお願い致します。
郵便振替口座 名称 HEBDOFRANCE 番号 00110-2-314176 成城学園前郵便局

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