メルマガ:週刊フランスのWEB
タイトル:hebdofrance 08-12-2003  2003/12/08


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

                              Davide Yoshi TANABE
                                 vous presente

              ≪週刊フランスのWEB≫
                    第196号
                                          Tokio, le 8 decembre 2003

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

Index (目次)
        1.猫の舌
        2.盲人図書館
        3.涙の色
        4.シャンソン ピアフ 「キオスク」
        5.あとがき

フランス語のサイトの文字化けは
表示>エンコード>西ヨーロッパ言語の順で選択すれば修正することができま
す。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
              
1.Langue au chat
  http://www.langueauchat.com/

 ラング・ド・シャ langue de chatはビスケットの一種で日本のコンビニでも
売っているようになったポピュラーな菓子である。バターの味がきいていて軽い
ので好きなビスケットである。作り方は次のサイトにある。
http://www.meilleurduchef.com/cgi/mdc/l/fr/recettes/mignardise/langues_c
hat.html

 さて、掲題のサイトはラング・オ・シャ langue au chatである
donner sa langue au chat」(猫に言葉を与える)というと「解決を見出すこと
が不可能であると認める」の意味である。
 
 サイトは二つに分かれていて、langue(言葉)とjeux(ゲーム)のページがあ
る。言葉の方は、フランス語の先生のサイトで、辞書的な使い方ができるかもし
れない。ゲームの方は、いかにもバイリンガルなカナダらしいユーモアがある。
 photo(写真)のページも面白いが、contrepetsが愉快である。contrepetrie
とも云う。辞書で誰がvulgaireを「卑語」と訳したか知らないが、その手の言葉
が多いので反発をくらいそうだが、言葉の遊びなのだから勘弁して欲しい。
historique(歴史)ページはもっと分かり易いかもしれない。ここら辺りから、
小説の巻頭に引用してくれる言葉を探してくれれば、先ずは、微笑ましく読み始
められるのだが。
 
====================================
2.INCA Institut National Canadien pour les Aveugles
  http://www.cnib.ca/bibliotheque/

 国立国会図書館のメイル・マガジンCurrent Awareness-E No.27(2003年12月
3日号)にこんな記事が載っていた。
 「カナダ盲人援護協会(CNIB,注)は,11月12日,昨年から開発してきたCNIB
電子図書館を公開した。1万タイトル以上の音声資料・墨字資料・点字資料と40
タイトル以上の新聞,雑誌,データベース等の一次資料がオンラインで利用でき
るほか,6万タイトルを超える資料の書誌情報検索や貸出申込みができる。ま
た,読むことに障害を持つ子どもたちのための世界初のポータルサイトである
「子どものための発見ポータル(Portail de decouverte pour les enfants de
l'INCA)」では,録音図書をオンラインで利用できるほか,ゲームを楽しんだ
り,宿題の手助けをしてもらったり,全国の子どもたちとチャットすることもで
きる。CNIBはこの電子図書館の構築のために「誰もが読める(Que tous
puissent lire …)」と名づけた全国キャンペーンを展開し,3,300万カナダド
ルの資金調達に取り組んでる。現在までに1,940万カナダドルの寄付を得たとい
う」(括弧内原文は英語、これを上記サイトはカナダであるからバイリンガルな
ので、フランス語を採用した)。

 点字については、本誌77号(2001年6月4日)にブライユBrailleの紹介ととも
に書いた。
http://members.at.infoseek.co.jp/davidyt/log077.htm

 点字は確かに視覚障害者に革命的コミュニケイションの手段を提供した。しか
し、僕たちはインターネットの時代に入っている。ディジタルの時代である。本
をスキャナーで撮って画像化し、それを本誌のようにテキスト化することが出来
る。たとえばe-typistというソフトが誰にでも手に入る。
http://pac.mediadrive.jp/et/
僕はここの「体験版」をダウンロードtelechagerして使ってみた。フランス語の
本をスキャナーーで読ませてテキスト化したのである。かなりの精度でテキスト
化できる。ここまで来れば、次はこのテキストを音声化することができれば、世
の中にある本の全てを目の不自由な人々に利用可能となる。そのひとつのソフト
がDaisyである。これは無料で配布されている。
http://www.inlb.qc.ca/productionbraille/livredaisy.php
日本も最初からDaisy計画に参与している。
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/index.html
けれども、日本の図書館に音声図書(テープやCD/DVD)はあるものの、インター
ネットで図書をダウンロードして、家で誰でもがRealplayerやLecteur Windows
Mediaなどで家庭のPCを利用して、気軽に音声再生が利用できる図書館はまだ出
来ていないようだ。音声化されれば、盲人や視聴覚障害者だけ出なく、子供た
ち、老人たち、入院患者たち、利用できる人々の範囲は広い。
 そこで立ち塞がる著作権問題もある。しかし、それは決して解決できない問題
ではない。

 要は予算、お金だけの問題と思える。技術がこれだけ進歩してしてきていると
いうのに歯がゆい話ではないか。

====================================
3.Couleur des larmes
  http://www.art-ww1.com/fr/visite.html

 サイトの副題は「第一時世界大戦を眼前にした画家たち Les peintres devant
la premiere guerre mondiale」である。反戦画家、厭戦画家たちばかりではな
くいわゆる戦争画家、軍隊に協力した画家たちの絵も取り上げられている。

 戦勝国の画家が、敗戦国の画家がどのようにこの戦争を見たのか。それぞれが
自国の大義のために戦った戦争が、現実にはどのようなものであったのか、戦争
というものに目覚めていく芸術家たちの軌跡をぼくたちはこのサイトで追うこと
ができる。105のタブローに描かれた様々な戦争の姿をぜひひとつひとつ見て欲
しい。行きついたのは、ドイツの画家 Otto Dixが描いた「しゃれこうべ」であ
る。

 Otto Dixの特集番組をNHK教育が放映していた。徐京植(ソ・キョンシク)が
解説していた。こうした番組、やはりNHKだから出来るのだろう。
 イラク派兵の今日、よくぞOtto Dixをとりあげたと思う。上記サイトではDix
の作品が11点あり、一番多くとりあげられている。

====================================
4.Edith Piaf
  KIOSQUE A JOURNAUX
  Paroles: Michel Rivgauche, musique: Claude Leveillee, enr. 1960

L'Humanite! Le Figaro! France-soir!
Les travailleurs ont le droit de savoir
Carreaux, lorets, phosphate, rio, dicto
La princesse portait un nouveau chapeau
Zizi place dix-sept, gagnant vingt-deux...

ユマニテ!フィガロ!フランス・ソワール! 労働者には知る権利がある 砂
利、lorets、燐酸、リオ、dicto 王妃が新しい帽子をかぶった ヂヂが17賭け
て 22儲けた、、、

carreauxは「メガネ」かもしれないしトランプの「ダイヤ」かもしれないし「縞
模様」かもしれない。lorets/rio/dictoに至っては何なのかまったく不明。

Venez chercher les mots
Puisqu'il vous faut des mots
Et puis soyez heureux...

言葉を探せ あなたには言葉が必要だから そして幸せになって、、、

On precisait hier dans les couloirs
Que l'Eminence grise serait pas noire
La France bat la Pologne par trois-zero
Grace a Lopez, Kobarsky et Aszlo
La Princesse va faire couper ses cheveux

昨日噂でははっきりとしていた 酔った枢機卿殿は泥酔じゃなかろうと フラン
スはポーランドに3対0で勝つと ロペス、コバルスキーやアスロのお蔭で 王妃
は髪型を買えるだろうと

Venez chercher des mots
Puisqu'il vous faut des mots
Et puis soyez heureux...

言葉を探せ あなたには言葉が必要だから そして幸せになって、、、

Eclaircie passagere et temps couvert
Trois pieces: cuisine, moquette, tres bonne affaire
Et la poitrine sera plus haute au printemps
Mon linge a vraiment la blancheur du blanc
Ma foi ce sera un evenement heureux...

束の間の晴れ間と曇空 三部屋有:台所、カーペット敷、お徳です それから春
にはバストがもっとアップするだろう 私の下着は洗濯屋さんように真っ白に 
本当にそれは幸せなことだろう、、

Venez chercher des mots
Puisqu'il vous faut des mots
Et puis soyez heureux...

言葉を探せ あなたには言葉が必要だから そして幸せになって、、、

上記は、ピアフ演出になるバレー劇comedie-ballet「声la voix」のテーマ曲で
あるようだ。このバレーには他に「le metro de Paris」、「Non la vie n'est
pas triste」が歌われている。作曲家Claude Leveilleeはカナダ出身、自ら歌手
でもあり現在も世界中で活躍している。
http://www.chansonduquebec.com/bio/leveille.htm

====================================
6.あとがき

 先週号の誤り。先ず、item4(ピアフ)の最後にマタイ伝18章を上げた。その
中で「使徒パオロが」とあるのは、「使徒ペトロ」の誤りである。読者からご指
摘戴いた。PierreはPietro/Pedro/Peterであり、PaulがPablo/Paoloである。ま
た同じitemのマタイ伝の訳として「77度許せ」と書いた。それは、引用したフラ
ンス語聖書に「soixante-dix-sept fois」とあるのでそうしたのだが、他のフラ
ンス語聖書では「septante fois sept fois」、即ち70x7回=490回という表現
もあることを付記する。いずれにせよ「限りなく」とと僕は解釈する。
http://www.ebible.free.fr/livre.php?_id=mt&_chap=18

 志ん生の「猫の恩返し」を聞いた。落語は日本語の勉強になる。「猫の恩返
し」にはオチがない。人情噺の方である。モラルの面もあるが、きいていて嫌味
にならない。そこが、談志などと芸の奥行きがまるで違うところだ。
 枕(まくら)に「金閣寺の桜の木に雪姫がくくりつけられて、、、」の歌。そ
のいささか尾篭(びろう)な替歌。賭博というのは「場で朽ちる」とか、病んだ
お婆さんに猫が不忍の池で鴈をとって来た話など取り混ぜて、魚屋の金さんとそ
の猫「こま」の話を始める。猫が恩返しで、鼠小僧次郎吉の真似事をする。江戸
末期から明治初期の町民の生活が目に見えるようである。
 今月18日に清談会という僕の先輩で弁護士の方が主催する談話会の忘年会が両
国である。出席予定なので、忘年会の前に回向院に寄ろうと思う。鼠小僧の墓の
隣に猫塚があるそうである。

 AttacJapanからまたクレームを受けた。イラクからきた民主化運動の主導者ア
ブデル=アミール・アル=レカビAbdel-Amir Al-Rekabi(Rekaby)が小泉に面会し
たとのニュースがNHKなどに流れて、その報道が小泉寄りで事実を伝えていない
というので抗議するというので、次のように投稿したのである。
「日本のメディアはAbdel-Amir Al-Rekabiが「部族長の家系」とかそういう紹介
の仕方をするのでしょうか。Abdel-Amir Al-Rekabiは1947年生まれで、なんと14
歳からイラク共産党(ICP)の党員で、イラク南部は故郷に違いないがそこで武
力闘争を、ゲバラを理想として、共産党を除名されても武力闘争を貫いてきた人
物です。負傷して投獄され、1975年にクエート等を経てフランスに亡命した。イ
ラク共産党はサダム・フセインのバース党独裁で、解党させられ、Abdel-Amir
Al-Rekabiは、外で共産党とも和解したようですが、現在も共産党員かどうかは
しりません。主張からみると、むしろアナキスト的で中央政府による国家を否定
している(それがプロ・アメリカだろうと反アメリカだろうと)ようです。生活
はアラブ諸国の新聞に記事を投稿してたてているかに見える。

Abdel-Amir Al-Rekabiは子供ではないから、小泉およびその一派(東京財団等)
に利用されていることは百も承知でしょう。Abdel-Amir Al-Rekabiの本心はむし
ろ小泉を利用することにあると思われる。それくらいのしたたかさは、イラクな
いしアラブの政治家として当然。日本の報道なんて、鼻であしらうでしょう。
Abdel-Amir al-Rekabiの言動は、かなりナショナリスト的でもあります。ナショ
ナリストといっても、夢見る体制は、先に書いたように中央集権国家を嫌うので
すが、その観点から、反米、反自衛隊派遣は自然だけれど、ここは化かし合い。

自衛隊が派遣されれば、Abdel-Amir Al-Rekabiは先頭に立って、爆弾を、ロケッ
ト砲を自衛隊に投げ込むことでありましょう。まだ、イラクに帰っていない様子
ですが。(同氏の経歴等はエジプトのフランス語週刊誌Al-Aharamから)」
「自衛隊が派遣されれば、、、」のところが特に気に入らなかった様子。日本の
警察(公安)がこのメイルを見たらどのような判断をされるか分からないという
のだ。僕は警察なんか気にもとめないが、Attacとしては過敏に反応しているよ
うだ。

 イラクで命を落とした外務省の役人の葬儀が東京青山墓地で先週土曜日にとり
おこなわれた。いささか仰々しい儀式である。政治色がぷんぷんとする。戦前な
らきっと木口小平並に軍神として、いや軍人ではないから平和の使者として教科
書に載りかねない。天皇の花輪があり、小泉が弔辞(ちょうじ)を述べた。常軌
を逸している。そうまでして自衛隊を派遣しなければならないとは。
 外務省の奥・井ノ上、両名ともに外務省の方針に反対する見識はなかったの
か。命令だからイラクに赴いたのか。外務省の海外安全情報(実はあまり当てに
ならない)によれば、イラクは「退避勧告」地域になっている。「国益」のため
に、「我が国」のために職員はイラクに滞在していたわけだ。フランスの大使館
は現在イラクにない。駐イラク・ルーマニア大使館が代行している様子である。
国連に先頃加盟したスイスは、アメリカの要求にもかかわらず、ベルンのイラク
大使館を閉鎖しなかったし、勿論イラク派兵など論外で、中立を宣言している。
日本が取るべき道を誤っても、命令だからイラクに赴任では民主主義はない。
 自衛官の諸姉諸兄よ、自らの正しい方向を選び給え、「世間」がなんといおう
と。

 小津安二郎生誕100年で、小津の映画が再放送されている。小津を祭り上げる
ばかりで、これも気持ち悪い。僕が小津作品に出遭ったのは、パリのシネマテー
クがはじめてであった。フランスでの小津の評価は高かった。日本で小津作品を
再上映する映画館は皆無であった。僕は、つまらぬ映画だと思った。今、TVや
videoでみても、つまらない。小津のアンチ・テーゼとして日本のヌヴェル・
ヴァーグnouvelle vagueがあった。確かに小津はそのカメラ・アングル、その簡
潔な科白、その懐古趣味的日本情緒で特異であるだろう。一般的フランス映画の
対極にある。しかし、小津を否定した多くの当時若手監督がいた筈である。彼等
は全く今回登場しない。多分招待されないのだろう。それでは、小津を正しく位
置付けることはできない。芸術的価値は別として、僕は小津に期待するものは何
もない。むしろ小津の無思想を嫌うのである。しかし、反面教師として小津がい
なければ、大島渚や吉田喜重たちはいなかったのかもしれない。

 来年201号を始めるとすれば、ひとつのアイテムとしてフランス語講座をもう
けようと思う。メモ的なものだが、ネットで実際どのようにある言葉なり、フ
レーズが使われているかを実証的にみるのである。決して初級中級になじまない
かもしれないが、フランス語を知らない人でも「ヘー、そんな言い回しがある
の」、「ふんふん、フランス語って面白いね」と思われるような題材を選びた
い。

====================================
発行者:田邊 好美(ヨシハル)
    〒 157-0073 東京都世田谷区
e-mail: davidyt@saturn.dti.ne.jp

「カンパ」よろしくお願い致します。
郵便振替口座 名称 HEBDOFRANCE 番号 00110-2-314176 成城学園前郵便局

当MMのホーム・ページは
http://members.at.infoseek.co.jp/davidyt/hebdofrance.index.html
次ぎの2サイトをミラーとします。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ryunosuke/9981/
http://davidyt.infoseek.livedoor.com/hebdofrance.index.html
ここからMM発行所にリンクし、解除手続きができます。解除は各人が購読を
申し込んだ発行所、まぐまぐ、Pubzine等から行ってください。eGroupを除い
ては僕が管理人ではないため、解除手続きが出来ません。悪しからずご了承
お願いいたします。
過去ログ(archive)も上記ホーム・ページで全てご覧になることができます。

===================================

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。