メルマガ:週刊フランスのWEB
タイトル:hebdofrance 03112003  2003/11/03


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                              Davide Yoshi TANABE
                                 vous presente

              ≪週刊フランスのWEB≫
                    第193号
                                          Tokio, le 3 novembre 2003

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Index (目次)
        1.歯医者
        2.マニフェスト
        3.聖バルテルミー
        4.シャンソン ピアフ  「ジェゼベル」
        5.あとがき

フランス語のサイトの文字化けは
表示>エンコード>西ヨーロッパ言語の順で選択すれば修正することができま
す。

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1.dentiste
  http://www.medent.umontreal.ca/patients/Aines/histoire.htm

 先週マグレブの歯医者についてちょっと触れたので、では歯医者にはどんな歴
史があるのであろうかと調べた。

 上記のサイトでは、ギリシャ・ローマ時代は語られていない。近代歯学の夜明
けであろう17世紀からの歴史である。
 「セビリアの理髪師Le barbier de Seville」に出てくるような理髪師は、外
科医や歯医者を兼ね備えた職業であったことは良く知られているだろう。1425年
になって初めて理髪師が歯医者を兼ねることが禁じられたとある。17世紀のフォ
シャールPierre Fauchardをもって近代歯学の父とする。
 このフォシャールについて調べたい方は、フォシャール記念館がパリにある。
http://www.arts-programme.com/musee.php?code=421
また、その著作は国立図書館BNFのサイトで閲覧することが出来る。
http://gallica.bnf.fr/anthologie/notices/01197.htm

 1755年の法では女性が歯医者となることを禁じた。しかし、不思議なことにこ
の法律にも関らず、優秀な女医さんがいたそうである。いずれにせよ、今日でも
歯医者が好きな人はあまりいないと思うが、あのやはり床屋さんに似ている椅子
も19世紀半ばになって完成するように、歯医者が職業として認められ、治療から
予防まで歯学が発達するのは20世紀である。

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2.Manifeste
  http://sami.is.free.fr/Oeuvres/marx_manifeste.html

 民主党の管が言い出したのか、今回の選挙は「マニフェスト」選挙だそうだ。
このマニフェストという言葉を共産党は拒否したそうな。少しおかしな話しだ
な、と思う。僕はマニフェストと言われると、1848年のマルクスとエンゲルスの
「共産党宣言 Manifeste du Parti Communiste」を思い出すからである。これが
ほぼ近代になって使われているマニフェストという言葉の意味である。ほかに芸
術家たちがシュールレアリスムのマニフェストなどを発表している。

 ところで、辞書によるとManifesteとは1574年ナヴァラの王による大義の告発
denonciation publique pour la justice de sa causeに始まるイタリア語
manifestoを語源とするとある。それしか辞書には説明がない。英語では、イタ
リア語そのままに「manifesto」として使用している。

 当時のナヴァラの王といえば、アンリ王Henri de Navarreである。プロテスタ
ントとカトリックが激しく争っていたころの王で、カルヴァン派に改宗したナ
ヴァラ王アンリとパリのアンリ3世が、宗教と権力を争っていた時代である。と
うsると、上記の大義sa causeは、1872年パリで投獄されたナヴァラ王アンリの
宗教上の大義を宣言したもので、その起源からマニフェストとは政治的主題を持
ち、権力の手段であったといえる。

 ナヴァラ王アンリは後のアンリ4世で、ブルボン王朝の初代フランス王になる
のだから、この当時の歴史は複雑でまた波瀾に富んでいた。アンリ4世の妻は、
例のヴァロワのマルグイットMarguerite de Valoisこと王妃マルゴReine Margot
である。
http://www.publius-historicus.com/henri4.htm
 アンリ2世とメディチ家のカテリーヌCatherine de Medicisの間の子であるア
ンリ3世というのは、かなり変わった王であったようだが、これは日を改めて取
り上げることにする。

 なお、ナヴァラとは現在のスペインの北西、バスク近くの王国であろうと思わ
れる。首都はパンプロナPamplona(フランス語ではPampelune)。何故ナヴァラ
王Navarrae RexエンリケEnrique(フランス名Henri)がラテン語ではなくイタリ
ア語でマニフェストを書いたのか不思議である。民衆publiqueに対するマニフェ
ストとしても、ではナヴァラで話されていた言葉は何であったのか。カタランや
カスティヤーノではないかもしれないが。

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3.Saint Barthelemy
  http://www.publius-historicus.com/st-bart2.htm

 上記item2に関連して。1572年に聖バルテルミーの虐殺事件が起きている。フ
ランスの歴史を通じて最も悲惨な事件ともいえるこの虐殺で数千のプロテスタン
トが命を失った。聖バルテルミーの祭日、即ち8月24日に起こった事件である。
 サイトにある絵はプロテスタントの画家でスイスに亡命したデュボワFrancois
Duboisの手になる。

 聖バルテルミーというと、僕が思い浮かべるのは、カリブの島グアダループの
町であるが、これは虐殺とは関係がない。単に聖バルテルミーからとった名前で
あろう。

 聖バルテルミーはキリストの十二使徒の一人である。聖トマがアレキサンドリ
アに布教にでかけたように、聖バルテルミーはインドやアルメニアの方に布教に
出た。聖ルカLucや聖ヨハネJeanのように名前prenomとして採用されていないの
で有名な使徒ではない。Lemyなど派生の名前を考えてみてもマイナーな名前であ
る。あるいは、1572年の事件が暗いイメージをもたせるからであろうか。

 十二使徒のそれぞれについて簡単な紹介が次のサイトにある。
http://perso.wanadoo.fr/revue.shakti/apotres.htm
ここには、余り詳しく聖バルテルミーについて書かれていないが、次のサイトに
よると、
http://magnificat.qc.ca/cal/fran/08-24.htm
聖バルテルミーは、アルメニアで殉教する、悲惨な最期を遂げるのである。その
後のストーリーは神話めいているが、ともかく骨はローマに、頭部はフランスの
トゥルーズに安置されることになる。

 上記のサイトに聖バルテルミーのイメージがある。僕が多くの宗教画に登場す
るキリストや使徒たち、また聖母マリアを見るときにいつも思うのは、これは中
東の人間ではないなということである。ブロンドのキリスト、碧眼のマリア、白
すぎる肌のマルコ。それは、釈迦の顔がアフガニスタン、チベット、中国と渡っ
て日本まで来た時にとてもインドの人とは思えない顔に変わっていると同じよう
に、アラブやユダヤの相貌ではなくなって、完全にユーロピアンになってしまっ
ていることである。ローマがパレスチナやアレキサンドリアを植民地としていた
としても不思議だなぁと思うのである。

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4.Edith Piaf / Charles Aznavour
  Jezebel

  Paroles: Charles Aznavour. Musique: W.Shanklin   1951
  autres interpretes: Les Chaussettes Noires

 さわりをアズナブールのアルバムで聞くことが出来る。
http://www.bluenote.de/xml/3/140/8371782.html

Jezebel... Jezebel...
Ce demon qui brulait mon coeur
Cet ange qui sechait mes pleurs
C'etait toi, Jezebel, c'etait toi.
Ces larmes transpercees de joie,
Jezebel, c'etait toi... Jezebel, c'etait toi...

ジェゼベル、、、ジェゼベル 僕の心を焦がすこの悪魔 僕の涙を乾かすこの天
使 それがお前だった ジェゼベル それがお前だった 歓喜の突き刺さった涙
 ジェゼベル それがお前だった、、、ジェゼベル それがお前だった、、、

Mais l'amour s'est aneanti.
Tout s'est ecroule sur ma vie,
Ecrasant, pietinant, emportant mon coeur,
Jezebel... Mais pour toi,
Je ferais le tour de la terre,
J'irais jusqu'au fond des enfers.
Ou es-tu ? Jezebel, ou es-tu ?

だが恋は完全に失せた 全てが僕の人生の上を流れた 僕の心を押し潰し、踏み
つけ 奪い取って ジェゼベル、、、だがお前のために 僕は地上を巡るだろう
 地獄の果てまでも行くだろう お前は何処に? ジェゼベル お前は何処にい
る?

Les souvenirs que l'on croit fanes
Sont des etres vivants
Avec des yeux de morts vibrants encore de passe
Mais mon coeur est creve d'obsession.
Il bat en repetant
Tout au fond de moi-meme
Ce mot que j'aime,
Ton nom...
Jezebel... Jezebel...

色褪せたと思われた思い出は 生き生きとした存在だ なお過去に震える死者の
目をもった 僕の心は妄想に引き裂かれる 僕の心臓は繰返し打つ 僕自身の奥
深くで 僕の好きな言葉 お前の名前、、、ジェゼベル、、、ジェゼベル、、、

Mais l'amour s'est aneanti.
Tout s'est ecroule sur ma vie,
Ecrasant, pietinant, emportant mon coeur
Jezebel... Mais pour toi,
Je ferais le tour de la terre,
J'irais jusqu'au fond des enfers
En criant sans repit,
Jour et nuit,
Jezebel... Jezebel...
JEZEBEL...

だが恋は完全に失せた 全てが僕の人生の上を流れた 僕の心を押し潰し、踏み
つけ 奪い取って ジェゼベル、、、だがお前のために 僕は地上を巡るだろう
 地獄の果てまでも行くだろう 休まず叫び続けながら 昼も夜も ジェゼベル
と、、、ジェゼベルと、、、ジェゼベルと

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5.あとがき

 今日は「文化の日」である。叙勲がある。若い人にも叙勲の道が拓かれたとい
う。水泳の北島康介さんや体操の鹿島丈博さんが紫綬褒章を受ける。ま、いいこ
とといえばいいことなのだろう。しかし、勲章を唯々諾々といただく若者たちは
感心しない。ブラッサンスGeorges Brassensのレジオン・ドヌールの歌でもきい
てみるんだなぁ。妙に若者が大人しくてつまらない。

 アタック・ジャパンで最近、アジアや南米の農民と連帯連帯という。しかも日
本の農民とかの地の農民との連帯を標榜する。僕が、メキシコとのFTA(自由貿
易協定)が決裂したとき、メキシコの農民の期待を日本が裏切ったというような
ことをアッタクのMLでいったら、メキシコの養豚はアメリカ(USA)資本が牛耳っ
ているから、日本は豚肉の輸入制限をしても正当だと宣わった。愚かしいことを
いう。メキシコの人口構成を知っているのかな。20%以上が農民だ。農業生産の
GNP比率も日本より遥かに高い。養豚といっても、豚1000頭以下の零歳酪農家が
大多数を占める。確かに国内流通、輸出業者には大資本が入っているに違いな
い。しかし、一概にメキシコ養豚をアメリカの傀儡呼ばわりするのはどうみても
間違っている。

 日本の閉鎖的養豚(酪農も)は、消費者にとっては全く許容できない代物と僕
は考えている。畜産業者もおかしい。異常に高いハムやソーセージ、しかも殆ど
インチキな製品を作って販売しているのである。まるで貴重品のようにして。ス
ペインのパダ・デ・セルドやハモン・セラーノ、フランスのジャンボン、イタリ
アのプロシウット・ディ・パルマを食して欲しい。セラーノやパルマは安くな
い。けれど、海上運送費を考えても日本では高すぎる。似た日本製品は、まるで
偽物だ。
 じゃ、日本の養豚が壊滅的打撃を輸入によって被っても良いのか。日本の食糧
防衛だという。平和主義者、反戦主義者を自認している連中がとたんにナショナ
リストになる。それでいいのだろうか。何処かで折り合いがつくはずである。日
本側は国際競争できるように構造改革しなければならない。競争に敗れることも
あるだろう。その受け皿を用意しなければならない。
 ただマクロ経済的に日本に利益が上がれば、少数者(生産者)やある産業が消
滅するのを見過ごせというのでもない。しかし、WTOにせよFTAにせよ、それを頭
から否定するのは、一見少数者の味方のようでいて、現状維持の保守派、つま
り、農村部を選挙母体として、選挙の票としか考えないこれまでの自民党となん
ら変わらない態度といえる。WTO交渉やFTA締結交渉にあたって不透明な密室交渉
をする外務省や関係各省の態度は糾弾されるべきとして、国際協調、国際協力と
はODAを出し、NPOが「ODAの金をつかって援助」の手を差し伸べれば良いという
ものではない。ましてや海外派兵を構造化しようという今こそ、何でも反対では
なく、実態を見て貧しい国々と共存の道を探らなければならないのではないか。
 その原資としてスペキュラティヴな金融取引に課税しようとするアタック運動
が、課税法案にむけての運動を辞めて、ただ正義のためのデモだけを組織しよう
とするのは解せない。正義もタイ、フィリピン、インドネシアそしてメキシコの
零細農民と連帯といっても、相対主義に走らなくても、その正義が結局日の丸ナ
ショナリスムに行きつくなら、それは相手から歓迎されない押し付けの連帯にな
るであろう。

 アッタクが参加している「脱WTO草の根キャンペーン」のHPは僕がつくったの
だが、その中の「関係資料」ページに載せた朝日新聞記事について僕が書いたコ
メントにクレームがつき、その狭隘さに呆れまたその威圧的態度に恐れをなすの
である。これでは、ヨーロッパで大きく成長したアッタク運動も、日本ではいつ
までたっても人々を引きつけることが出来ないだろう。
http://members.at.infoseek.co.jp/davidyt/grassroot/doc1.htm

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発行者:田邊 好美(ヨシハル)
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