メルマガ:週刊フランスのWEB
タイトル:hebdofrance 02062003  2003/06/02


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                              Davide Yoshi TANABE
                                 vous presente

              ≪週刊フランスのWEB≫
                    第174号
                                          Tokio, le 2 juin 2003

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Index (目次)
        1.肺炎
        2.子供の遊び
        3.エヴィアン
        4.シャンソン ピアフ
        5.忘れられたフランス人 ソフィー・ジェルマン 
        6.あとがき

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す。

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1.Pneumonie

 新型肺炎については少し前に本誌で触れた。今日はそのことではない。
実は、Ma maman est maladeなのである。精神が異常だというようなときにも
maladeという言葉を使うけれども、先週の水曜日夕方、母が入院hospitaliseeし
たのである。

 高齢といえば高齢で、今年の憲法記念日で80歳となった。5月3日は、チカちゃ
んの誕生日であり、有名どころではムスタキGeorges Moustaki(歌手、詩人)が
ギリシャで生まれた日でもある。最初風邪をひいたとのだが、近所の医者が抗生
物質を処方した。この薬が嫌いな母は、怪しげな市販の漢方系風邪薬で我慢をし
ていた。ところが、食欲がなくついに倒れた。近所の開業医に電話で与えられた
薬のそれぞれの特性を聞出し、再度その医者に母を連れて行っても意味がなさそ
うだと判断、これもわりと近い関東中央病院に運んだ。レントゲン検査の結果、
重症肺炎だといわれ、即入院となったわけである。

 肺炎というのは、原因がいろいろとある。細菌性、ヴィルスvirus性等々。高
齢者が体力が弱ると、健康なヒトならなんでもない細菌が肺に巣くう。どうもこ
れは抗生物質を用いないと治らない。

 母は30代の時に、ペニシリン・ショック体験があるから、非ペニシリン系の抗
生物質を採用するように医者に頼んだ。

 何の用意もなく入院したから、それからが大変だ。翌朝、タオル、ピジャマの
着替え、下着等々を病室に運び、さらに家に帰っては洗濯、掃除、母の飼ってい
る小鳥(まだ殆ど雛)と僕のチカ(ペルシャ)の世話をしなければならない。通
訳の仕事を二つほど落とした。仕方ない。

 普段60代にしか見えない母が急に歳をとったように思えた。翌日担当医師と話
をした。インフォームド・コンセントというのだろう。病状、治療方法について
説明を受けた。大体僕が調べたことと一致していた。とくに彼等を信頼はしない
が、高齢なので万一のことを考えろと釘をさされた。

 金曜日、入院して三日目、頬に赤みがさし、口がきけるようになった。土曜日
には、アイス・クリームが食べたいと言い出した。日曜日には、もう小うるさく
病院の食事が不味いこと、眠れないのに医者が睡眠薬をくれないこと等々をもら
すようになった。月曜日には無花果(イチジク)を買って来い、イチジクの選び
方はこうこうだと注文をつける。僕はかなり回復したな、と安心した。

 関東中央病院というのは、父が最初に運び込まれた病院である。ところがベッ
ドが空いていないと、国立大蔵病院に移された。この病院は先ごろ解体されても
うない。それから2週間ほどして父は他界した。母は国立大蔵に移されたから殺
されたと信じている。僕は当時ルガノにいて、父が入院したことも知らなかっ
た。

 母が入院した翌日、正式な入院手続きのため、関東中央病院の窓口に行った。
窓口のある場所は、まるで空港のロビーのようなところで畏れ入った。病院と刑
務所はスイスがいい。

 僕はテニスで怪我をしてアルジェのムスタファ病院で数針縫ったが、別段院内
感染の危険など感じなかった。プリミティヴな施設しかないけれども最低限の器
具は揃っていた。イエロー・カードを持たずにニジェールに行った時には、黄熱
病の予防接種をニアメイの病院で強制的にされた。しかし、注射針ではなく圧搾
空気をつかう注射で、そんなものはスイスでもみたことがない。アルジェ時代の
終わりに、肩の良性腫瘍を切除するために、これはパリのアメリカン・ホスピタ
ルで手術を受けた。パリのアメリカン・ホスピタルは、恐らく世界でトップの医
療を提供する病院だろう。ともかく有名人がそこで死んでいる。ともかく全てが
高い。普通なら、僕がいけるところではないが、米系保健会社が全てを払うとい
うので利用した病院である。あたかも一流銀行本店に入った如く、いちいち検査
毎にカードで支払いを求められた。

 サイトはルーアン大学病院が提供している肺炎に関する情報のページである。
アドレスにCHUの文字が見えるが、これはCentre Hospitalirer
Universitaireの略で、普通、大学病院のことをCHUセアッシュユといっている。
肺炎pneumonieは、発音が難しいかもしれない。pneuといえば車のタイアである
が、これはpneumatiqueの省略形。肺はプモンpoumon。

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2.Jeu d'enfant
  http://www.petitmonde.com/accueil.asp

 子供たちの世界、といっても母親ないし父親のためのサイトであるが、このメ
イン・ページの末尾にapprentissage par le leu(遊びで習うこと)という項目
がある。そこを巡って行くと(クリックしていくと)、フランスの子供たちがど
んな遊びをしているか、伝統的な遊び(例えば、かくれんぼcache-cache)、家
族でする遊び等の解説があって面白い。

 フランスでも、古くからある子供たちの遊びがだんだん消えて行く傾向にある
ようだ。荷風がリヨン地方で見た20世紀初めの遊びディアボロdiabolo(本誌158
号)は流行性の遊びであったが、石蹴りmarelle、馬とびsaute-mouton(なぜか
馬chevalではなく羊mouton)、ドッジ・ボールballon chasseur等伝統的な子供
の遊びには国境のないものが多い。
 是非伝統として伝えて行きたいものである。

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3.Evian
  http://www.eviantourism.com/

 なかなか綺麗なサイトである。町全体が公園のようである。ミネラルウォー
ターで有名だが、勿論湯治温泉である。温泉の雰囲気としては大分日本とは違
う。もっとも僕は日本の温泉を殆ど知らないので、比較を語る資格がないかもし
れないけれども。数十年前の有馬、城崎、スイスからフリブールの姉妹都市の話
で行った花巻、今回の帰国で日光、この間友人に連れられて訪れた箱根くらいし
か知らない。もっとも、今いるところの近くに祖師谷温泉などという銭湯があっ
てここにはしばしば行く。本当の温泉だそうである。

 エヴィアンはジュネーヴに近く、週末にお茶を飲みによく出かけた。瀟洒な町
である。

 ミネラル・ウォーター「エヴィアン」は、現在ヨーグルトで知られているダノ
ンDanoneグループの一部門である。フランスのミネラル・ウォター業界は、既に
寡占化が進んでいて、現在三つの主要なグループで90%の市場を占有している。
即ちダノン(エヴィアン、ヴォルヴィック)、ネスレ(本社はスイスのヴヴェ
イ、マークはペリエ、ヴィテル)そしてカステル(サン・ティヨールなど10マー
ク)である。エヴィアンの隣町(ジュネーヴ寄り)トノンThononの湧き水はダノ
ン・グループではなく、カステル・グループの傘下に入っている。

 ここエヴィアンで昨日からG8が開催されている。
http://www.g8.fr/evian/english/
これに対する反対マニフは「あとがき」に。

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4.Edith Piaf
  Heureuse
    Paroles: Rene Rouzaud. Musique: Marguerite Monnot   1953


Heureuse comme tout,
Heureuse malgre tout,
Heureuse, heureuse, heureuse...
Il le faut !
Je le veux !
Mon amour, pour nous deux...

幸せいっぱい、ともかく幸せ 幸せ 幸せ 幸せよ、、、幸せが欲しい 幸せに
なりたい!そうよあなた わたしたち二人のために、、、

Heureuse d'avoir
Enfin une part
De ciel, d'amour, de joie.
Dans tes yeux,
Dans tes bras,
Heureuse comme tout,
Heureuse n'importe ou
Par toi !

幸せ 喜び、恋、天の一角を知る幸せ あなたの瞳のなかで あなたの腕の中で
 幸せいっぱい 何処にいても幸せ あなたのおかげで

Le meilleur et le pire, nous le partageons.
C'est ce qu'on appelle s'aimer pour de bon,
Mais pour moi, desormais le pire
Serait de perdre le meilleur,
D'etre la pres de toi
Et d'en pleurer de joie.

いい時も悪い時も 二人でわかちあう それがいいことのために愛し合うってこ
とね でもわたしにとって これからは もっと悪いことはもっといいことを望
むこと あなたの側にいること そして喜びの涙を流すこと

Heureuse comme tout,
Heureuse malgre tout,
Heureuse, heureuse, heureuse...
Il le faut !
Je le veux !
Mon amour, pour nous deux...

幸せいっぱい、どもかく幸せ 幸せ 幸せ 幸せよ、、、幸せが欲しい 幸せに
なりたい!そうよあなた わたしたち二人のために、、、

Heureuse demain
De tout et de rien,
Pourvu que tu sois la.
Tu verras, tu verras...
Heureuse comme tout,
Heureuse jusqu'au bout
Pour toi...

明日幸せ  あなたがそこにいてさえくれたら、、、幸せいっぱい どこまでも
幸せ あなたのために、、、

de tout et de rienはpeu importeということか。


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5.忘れられたフランス人
  Marie-Sophie Germain  1776 - 1831
  http://www.infoscience.fr/histoire/portrait/germain.html
 
 女性は科学、とくに数学に弱いという。本当に弱いかどうか、それはその性に
よるのではなく、作られた性によるのであろう。ソフィー・ジェッルマンは数学
者である。しかも19世紀初めの、フランスにあっても女性が科学に興味を抱き、
研究者となるのは容易なことではなかった。

 フランス革命が勃発した時、少女であったソフィー・ジェルマンは図書館で
「数学の歴史」(J-E Montucla著)を読み、雷に打たれたようなショックを受け
る。そしてアルキメデスArchimedeを読み、独学でニュートンやオイラー(スイ
スの数学者)の理論を知ろうとする。凄い少女ですね。
 代々の商家の生まれで、父親は国民議会の第三身分の議員でもあったが、学者
の家ではない。写真を見るとなかなか美しいお嬢さんであるソフィーが、数学な
どを勉強したいというのが信じられなかったようだ。勉強のための蝋燭を娘から
取り上げたりして邪魔までしている。

 19歳で出来たばかりのポリテクEcole Plytechniqueに入学するが、そこは女性
が行ける大学ではなかったので、Monsieurとして偽名を用いたという。数学の教
授に議論を持ちかけ、余りに優秀なので教授が会ってみると、うら若き女性だ。
さぞ先生もおどろいたろう。しかしこのラグランジュJoseph Louis Lagrange先
生、才能を見抜いてくれた。

 ドイツの数学者ガウスとも親しくなり、先々週本誌に書いた「フレマの最終定
理」にソフィーは挑戦するのである。全ては解けなかったが、nが100以上の場
合を証明したというから並ではない。

 こればかりでなく弾性の数学にも多大な貢献をしたソフィーは、数学と結婚し
てしまったのか、独身をつらぬいた。

 1822年には、女性としてはじめて科学アカデミーの講義を聴くことができた。
しかし、数学とさらに哲学の研究を終生続けたソフィーは1831年乳癌に倒れた。

 波瀾の生涯だなぁ。

 日本の女性初の数学学士となった牧田らくが東北帝大に入学を許されたのは
1913年であった。
 
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6.あとがき

 匿名希望の方の第2回カンパ、いただきました。誌上をもって御礼申し上げま
す。

 宗教団体の事務局で働く18名、うち半数がアルバイトや嘱託職員で組織してい
る組合、日本基督教団労働組合が毎日新聞(僕はとっていない)に、有事法制反
対の立場から意見広告を出した。小さな小さな組合からの呼びかけに全国から支
援カンパが寄せられた。もって快挙とすべし。大組織は反省したらいい。
http://www.iya-ten.net/

 土曜日夜半と突然インターネットにアクセス出来なくなってしまった。ルー
ターの設定などを見てもなんら問題がなかった。翌日サーヴァーに早速コンタク
トしてみると、担当者が暫く考えて「ルーターとNTTのモデムの電源を一度切っ
てみてください」。なんとあっさりと問題解決してしまった。ルーターがフリー
ズしてしまうことがあるのだという。今回のMM発行は、母の入院事件などあり、
無事発行が一時危ぶまれた。

 日曜日昼には、Attac Japonが共催する反G8マニフが東京渋谷宮下公園であ
り、それに参加したのだが、そのAttac Japonの年次総会から1ヶ月が経過する
が、僕が提案した「組織の民主化」提案は遅々として受け入れられていない。
Attac Franceは、その設立趣旨である「金融取引に対する課税を財源とした南北
問題の解決」、トービン博士が提案した「金融不安の解決」を修正したこのアイ
デアを既にフランス、ベルギー等の国会で法律化することに成功している。法律
は実施されなければ意味がないけれども、留保つきの法律なので課税は実施され
ていないが、少なくとも運動としてはこれを梃子に新しい社会運動として大きく
育っている。かたや日本のAttacはG8、カンクンWTO閣僚会議反対を唱えているも
のの、本来の設立趣旨を置き去りにしてきているといえよう。ぼくはAttacにメ
ンバーとして参加し、理論を固めることを重要事項と考え、学術チーム、それは
Attac Franceの最大の強みであるが、学術チーム設立を訴えている。

 Attac Internationalが「Grain de sable」というメイルマガジンを出してい
る。grain de sableとは直訳すれば「砂粒」であるが、成語として「プロセスに
障害を起こす小さな事件や行為」を意味し、それが英語のSand in the Wheelに
なっているもよう。「敢えて獅子身中の虫たらん」とする意味合いかとおもう。
ここで獅子はグローバリスム。講読は次のアドレスから出来る。
http://attac.org/indexfr/index.html
今一度、基本に戻って「金融取引に対する課税」を訴えていきたい。

 日本の金融市場(株式、債券とそれらのデリヴァティヴ)、とくに株式市場は
まだまだ回復しないだろう。りそな銀行にいくら税金をつぎこんでも浮かばれな
い。りそな銀行はリストラの一環として、保有株を売らなければならない。その
他の銀行、企業も保有株を売る。圧倒的に買い手より売り手が多いのだから株が
値上りする訳がない。明白な理由である。買いが入るためには、株式配当が極端
に低い日本の場合、経済成長がなければならない。つまり将来の株価高騰が期待
されないことには話にならない。
 Attacが主張する金融取引は、しかし主として為替取引である。円を売ってド
ルを買うというような取引change(transaction)である。日銀は近頃の対米ド
ルの円高を抑えるために数兆円のオペレーションを行った。市場がスペキュラ
ティヴ(投機的)であると判断し、為替安定を意図したと報道された。日銀はこ
うしたオペで損はしないだろう。一般投資家と違って長期保有ができるからで、
逆に将来ドルが高騰すれば、その時に保有ドルを売ったり、日本が保有する膨大
なアメリカ国債を売りに出せば収支は大幅な黒字となる。本当の為替安定が問題
ならば、固定為替制度にするべきなのである。そして、各国の経済成長、国際収
支などを勘案して国際機関がレート見直しを定期的に行えば良い。ところがそう
はいかない。金融の規制緩和、自由化はグローバリスムの要でもある。このグ
ローバリスムを誰が求めるか。新自由主義の幻想がここにある。市場メカニスム
にまかせれば、時々の正しい答えが、即ち経済活動の適正な反映がなされるとい
う、一見合理的な、しかし実は真に自由がないメカニスムのために、一方的に強
者に有利な市場で徒に敗者を生み出すのである。

 上記でAttac Japon批判をしたが、「そんならお前がやればいいじゃないか」
ということになって、僕が政治家(区議、都議、国会議員)をくどきおとす役割
をしなければならない状況になってきた。議員なんて個人的には誰も知らない。
ま、いいか。宣伝に行って会わないというならそれまでだ。

 しかし、先週は疲れました。 

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発行者:田邊 好美(ヨシハル)
    〒 157-0073 東京都世田谷区
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