hebdofrance 28042003 2003/04/28

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タイトル：hebdofrance 28042003 2003/04/28

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ Davide Yoshi TANABE vous presente 　　　　　　　　　　　　　　≪週刊フランスのＷＥＢ≫ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　第169号 Tokio, le 28 avril 2003 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ Index (目次）１．エルゴロジー（仕事学）とは何か２．新たに浮上したスカーフ問題３．法輪功４．シャンソン　ピアフ　「そして私」５．忘れられたフランス人６．あとがきフランス語のサイトの文字化けは表示＞エンコード＞西ヨーロッパ言語の順で選択すれば修正することができます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 　　　　　　　　　　　　　　１．ergologie 　　http://www.ergologie.com/ 　エルゴロジー、馴染みのない言葉であろう。僕も初めてきいた。ergoはギリシャ語のergon即ち「仕事」とか「力」という言葉から来ている。それは辞書でわかる。ergologieとなると、仏和辞書には出ていない。我がPR（Petit Robert) では、「筋肉運動を扱う生理学」とある。　しかし、ここでとりあげたのはエクサン・プロヴァンス大学の哲学者シュヴァルツ Yves Schwartz氏が80年代初めに言い出した、労働の概念conceptionと生la vieの新たな関係を労働という観点から分析する方法のようである。だが、こう書いてみてもよくわからない。　丁度フランスから当のシュヴァルツ氏が来日したので、話を聞きに行った。だが、益々解らなくなった。技術や科学が生の変化を齎し、労働の変化をきたした。それは汎世界的均一性を要求したが、現実はそれぞれの国・社会で修正がなされ、技術や科学にフィードバックされた。凡そそんな意味のことを語られた気がしたが、これはあまりにも当たり前で、この学者に云われなくてもわかっている。たとえば、自動車を作る技術を日本は西欧から学んだが（技術移転）、トヨタのカンバン方式にみられるように、日本という西欧とは異質な文化のなかで、新しい規範renormalisationが作られ、これがさらに西欧に影響を与えるようになったという。それがどうしたの、と僕は思う。　僕の知っている例を書けば、コカコーラがある。コーラは国によって味が違う。日本では甘味を押さえている。アラブ諸国では甘味が強い。フランスでは炭酸の量が多い。とはいえこれは技術の変化というよりは、ローカルの嗜好にあわせただけである。たしかに国毎のイノヴェーションはあるに違いない。しかし、コーラがいわばアメリカの均一的価値を輸出したことに変化はないのである。自動車にしたところで同じことである。　今回のシュヴァルツ氏のテーマは「普遍性をめぐる哲学の伝統的な問いにエルゴロジーがどう答えるか」というものであったが、普遍性なる主題に限ったためにエルゴロジーがわからなくなってしまったのではないかと思った。シュヴァルツ氏がなしたというフィールド・スタディーは、アルザスの町ミュルーズ Mulhouseが如何にしてマンチェスターと並ぶ繊維工業都市となったかである。そう云うことを「哲学的」に研究するのか。なにやら本誌112号（2002年2月18日号）で扱ったメディオロジーに似てつまらぬ哲学である。　　「哲学の貧困」でも読むか。　なお、上記のエルゴロジーは、エコロジーと結びついた人間工学ergonomicsの修正としての人類働態学 human ergologyとは別の言葉である。人間（人類）働態学の方は日本で流行りの学問のようである。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝２．foulard 　　http://www.rajf.org/article.php3?id_article=136 　スカーフ事件というのがあった。学校にイスラム教の女子生徒がスカーフをつけて登校した。学校は政教分離・非宗教性をうたった校則をたてに、頑（がん）としてスカーフをとらない生徒を退学させた(1990年12月14日）。親たちがこの学校の決定を不服として取り消しを求める行政裁判を起こした。　行政裁判は、下の「あとがき」でも書いた国務院Conseil d'Etatの一機能である。下級審の判決では学校側が勝った。行政最高裁においてその判決が覆された（1992年11月2日）。いわく、1789年8月25日の「人権宣言」、1958年憲法第２条、1989年の「教育指針」法第10条に鑑み、下級審の判決を破棄、学校の決定を取消したのである。生徒の信仰の自由、またその表現の自由を学校の場でも認めた。　しかし、これはかなり重要な問題を含んでいる。勿論下級審も上記の人権宣言等を検討しているに違いない。しかも国務院が1989年11月27日には、時の政府に対して、スカーフ問題の諮問を受けて意見を出している。 http://www.conseil-etat.fr/ce/missio/index_mi_cg03_01.shtml この意見avisでは、スカーフ着用の自由を認めてはいるものの、それが「学校の秩序を乱さないこと」および「教育業務の通常の機能に対し脅威とならない」を条件としている。　とすれば、一団の回教徒の女子生徒が授業中スカーフを着用することは一つの示威であり、単なる表現以上のものであると考えられる。生徒間に差別を助長する虞が充分にあろう。共和国の政教分離を維持するにあたって、国務院判断は重大な譲歩であり、危険を孕んでいるといわざるをえない。　さて、今度は身分証明証の写真の問題が出てきた。内務大臣Nicolas Sarcozy は、今月19日ブルジェで開かれたフランス回教徒組織同盟Union des organisations islamiques de France (UOIF) に出席して、勿論信教の自由は認めるが、政教分離の原則をあげ、身分証明証carte d'identite'に貼る写真についてスカーフを認めないと宣言した。ラファラン首相は一方で学校でのスカーフ着用禁止する法律を用意していると個人的に語ったようだ。こんな法律ができれば違憲であるか否かがすぐに争われることになろうが、Sarcozyの言には理由があろう。　カトリックの修道女がTVに出てきて、私の身分証明証にはベールをつけた写真があると回教徒を支援する証言をしていた。回教徒がスカーフをした写真で身分証明証をつくってもいいでしょ、というのである。一理あるようである。しかし、これはおかしい。カトリックの修道女にとってベールは普段の生活上欠かせない。ところが、カトリック信者の女性が全てベールを被るわけではない。回教の女性は家の中ではスカーフをしていない。　全てのフランス国民は身分証明証を持っている。このカードには職業欄もなければ宗教欄もない。後で取得した国籍でも元の国籍はカードに載せない。これらは禁止事項である。写真から宗教が判断できるようになるのは問題である。政教分離の国是に反するのである。本来なら修道女もベールを取らなければならないだろう。信教の自由を犯すことになりかねない。　このことは逆に考えてみるとよくわかる。もし国が回教徒の女性はスカーフをした写真を身分証明証に貼らなければならないと規定したらどうなるだろうか。かつてユダヤ人にダヴィデの星を外出時につけろと強制したように、回教徒を差別することはできない。明らかに憲法違反の規定となる。（ordonnace du 29 mai 1942を参照） http://perso.wanadoo.fr/d-d.natanson/etoile_juive.htm 　スカーフをした写真を認めないこと、学校の授業中にスカーフをしたままでいることも認めないことの方が、政教分離 laicite'に叶い、ひいては信教の自由を保証することである。　行政最高裁判所の1992年の判決は、ミッテラン（1981-1995）の色濃い政治的判断と思われる。　フランスが400万に達するといわれる回教徒フランス人を無視できないとはいえ、数の為に、結局は選挙の票のためにその政教分離を譲るなら共和国は再び宗教戦争に巻きこまれるであろう。　Sarkozyの内務大臣就任以来、麻薬取締り、交通事故取締りに実効をあげ、特に先の復活祭のヴァカンス中の交通事故死が40年来の低さにとどまるなど成績がいいが、一方その強面（こわもて）は警戒もされている。個人的に僕はニコラ・サルコジィの台頭を快く思わないけれども、こと本件に関する限り人権の universalite'の観点から、イスラムの主張に賛成できない。　上記は先々週紹介してまだUpできていない樋口先生の學士院論文ではやや曖昧で、国務院批判をあからさまにはしていない。今回の身分証明証問題で、樋口さんはどう答えるであろうか。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝３．Falun Gong 　　http://falundafa.free.fr/ 　法輪功 Falung GongまたはFalun Dafaは、新興宗教か。実のところあまり僕には分からない。　サイトからindtroduction > 右手の欄 exercice de Falun Dafa > 各写真右下 view on lineとクリックしていくと映像で動作を見ることができる。よく中国でみかけると思われる気功と変わらない。なにやらミステリアスに仕立てられてはいるが、背筋を伸ばして姿勢がいいな、動きは緩慢で空手のようじゃないなと思うだけである。　パリではモンソー公園やリュクサンブール公園等で毎週デモンストレイションが行われているらしい。　李洪志 Li Hongzhi が1992年に創設したそうだが、気功自体はずっと古い。 Liはタイランドの舞踏の振りも取りいれたらしい。　座禅や瞑想に慣れた日本人にとって、Falun Gongは珍しくもないだろう。フランス人にとってはエキゾチックである。　では、何故中国で爆発的にparcticeする人が増えたのか。それは「開放欲求」にあるのではないだろうか。中国共産党の独裁、それはまぎれもなく独裁そのもので、そのに民主主義はない。共産党綱領でそのように謳われていようとも、現実に共産党以外の政党結社の自由がないのだ。法輪功の弾圧は、オウム真理教に似せることによって信教の自由を奪ったのである。僕自身が法輪功に摂受（しょうじゅ、折伏）されることはない。仏教、道教、儒教を「ないまぜ」にした教理ともいえないまやかしを信ずるほど愚かではない。しかし、これを敵視するいわれもない。法輪功は宗教ではないというが、中国共産主義が宗教であると同じくらいには少なくとも宗教である認識してもいい。　法輪功弾圧に日本がなにもいわないのはおかしい。それは信教の自由が宗教法人への非課税くらいにしか意識されていない、政教分離が原則のなかで小泉が靖国神社参拝をしても近隣外国からの抗議の問題としかとらえられず、自国の laiciteの問題とは考えない「曖昧な国民的許容」なのである。それを文化というなら歴史のない「盲（めし）いた文化」である。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝４．Edith Piaf 　　Et moi Paroles et Musique: Michel Emer 1953 Je ne savais pas prier. Je n'avais pas la maniere. Si quelquefois, je l'ai fait, C'etait lorsque j'avais faim. Maintenant, chaque matin, Je fais la meme priere. Donnez-moi aujourd'hui Son amour quotidien. Les arbres ne peuvent pas vivre sans la pluie. Les fleurs ne peuvent eclore dans la nuit. Sans eau, les poissons d'or ne respireraient plus Et moi... sans toi je suis perdue... Sans brise, le voilier ne pourrait jamais avancer. Sans la musique, personne ne pourrait plus danser. Sans le soleil, les oiseaux ne chanteraient plus Et moi... sans toi je suis perdue... 祈りを知らなかった　祈ろうともしなかった　もし何かの折り　祈ったとすれば　お腹がすいていたときでしょう　いま　毎朝　何時も同じ祈りをささげる　今日も　あなたの愛をくださいと　木々は雨がなければ枯れてしまう　花々は夜咲かないわ　水なしに　金魚は息ができない　そして私は　あなた無くてわたしはないの、、、風がなければ　船は進めない　音楽がなければダンスもできない　太陽無しに　鳥たちは歌を歌えないのよ　そして私は、、、あなた無くてわたしはないの、、、 Je n'ai ni foi ni loi. Quand tu es loin de moi, Tout est sombre et sans joie, ...Sans toi... Sans toi, tout semble amer. La terre est un enfer. Tu m'es plus necessaire que l'air. Les bles, pour se dorer, ont besoin de lumiere. Dieu, pour etre adore, a besoin de mysteres. Le coeur des hommes, sans amour, ne battrait plus Et moi... sans toi je suis perdue... Le coeur des hommes, sans amour, ne battrait plus Et moi... sans toi, je suis perdue... 私は信仰も掟もない　あなたが遠くにいるとき　全てが暗く味気ない、、、あなたなくして、、、あなた無しに　全てが苦（にが）い　この世は地獄　あなたはわたしにとって息する空気より大切なの　麦は実るために光がいる　神さまは崇（あが）められるために秘儀がいる　愛がなければ人の心は鼓動をとめるでしょ　そして私は、、、あなた無くてわたしはないの、、、愛がなければ人の心は鼓動をとめるでしょ　そして私は、、、あなた無くてわたしはないの、、、＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝５．忘れられたフランス人　　Pierre-Joseph Proudhon 1809 -1865 　　http://perso.wanadoo.fr/jean-pierre.proudhon/ 　先ず、このサイトにアクセスする前に、Windowsを使用している方は、右下のスピーカーのアイコンをクリックして「ミュート」にチェック・マークをいれてください。サイトの初めに音の割れた音楽がでてきて非常に邪魔だからです。　さて、プルードンといえば、「財産とは何か Qu'est-ce que la propriete」を著わして無政府主義を唱えたフランス人である。マルクスが「哲学の貧困」で、痛罵した相手である。日本では正に「忘れられたフランス人」となって、その著書「貧困の哲学 Philosophie de la misere」の翻訳もでていないらしい。権威マルクスからこてんぱてんに批判されたから、もう用はないとばかりである。当サイトで「財産とは何か」及び「貧困の哲学」、その他多くの原文を読むことができる。　　このサイトはジャン・ピエール・プルードンが作成したものであるが、ピエール・ジョゼフとの関連が良くわからない。ピエール・ジョセフには4人の娘がいたが、サイトに出ている系譜をみてもその繋がりがわからなかった。　P.J.プルードンはブザンソンに生まれた。父はブラッスリーのボーイ、母は料理人というから、本当に庶民の出といってよい。小さい時から頭が良く、学業を続けたかったろうが、家が貧しくて高等教育を受けることが出来なった。しかし、勉強家でその文章は素晴らしい。叩き上げの人生である。社会主義者や共産主義者によくある有閑階級の出てはない。権威を最も嫌い、個人の自由を重んじた。個人の自由を追求していけば、必然的に無政府主義的になるのではないか。人の上に人の権威を認めず、従って人による人の搾取を認めない、人による人の支配を認めないのである。　　プルードン的個人主義はマルクス主義者には受け入れられないだろう。しかし、中央集権的フランスの民主主義が修正されてミッテランもシラクも地方に権力を分割しようとしている。スイスの民主主義は、連邦主義に根ざしており、よりプルードンの考えに近いと思う。　無政府主義は、単なる混乱状態を指しているのでは決してない。今一度、プルードンは読まれてもいいし、日本で再評価されてもいいのではないか。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝６．あとがき　チカちゃんは元気を回復しました。ご心配ありがとうございました。　イラク体制についてアメリカが根本的に誤っていたのは、フセイン体制がアフガニスタンにあったタリバン政権とは全く異なる性質のものであるという認識を欠いていたことである。フセインを倒せば民主化が可能であると踏んだ。しかし、フセイン体制はライックlaique（非宗教）であった。隣国イランともこの点で雲泥の差がある。サダムも最後にはモスケに行って宗教人を取りこもうとしたが、サダムの本質はいわば軍事独裁だが、そのlaicite'にある。これからイラクは回教勢力を向うに廻して混乱を極めるであろう。アメリカが回教をそれが chiiteだろうとsunniteだろうと利用しようとすれば、更なる過ちを犯すにちがいない。国家が宗教と結びつく時、それは中世の悪しき復活なのである。もっともブッシュが既に極右キリスト教と一体であるという分析をする解説者もある。それだけに宗教は事態を徒に複雑化する。国家の非宗教性を守らなければならない。　4月22日、国立行政大学院（ENA）改革委員会から答申が出た。本誌141号（2002年9月23日号）の「国務院」の項等で、このグラン・ゼコールには触れてきた。超エリート主義に守られたENAを廃止してしまえという国会議員があらわれたことも記した。今回の答申ではENA廃止は問題とならなかったようだが、いわゆるENAの中でも成績上位者の優遇格付け主義classementを廃止して全てのENA の学生が省庁との話し合いで採用の可否を決めることが出来る（別段の国家試験は不要という意味で、なおENAの学生に特権を与えている）、カリキュラムの変更で専門コース（外交、財政、経済）を設ける、その他の大学の学生にも国家公務員上級職採用試験（日本は上級職という呼び名をⅠ種と変えたが実質は同じ）の導入をはかることで上級職への道を拓く等の改革である。ま、甘い改革答申である。すっきりしない。僕は国務院の廃止、ENAの廃校こそが真の改革であると思う。　4月19日（土曜日）代々木公園、アースデー（4月22日）を前にして「地球の環境問題を考える」ということで多くのブースが立ち並んだ。なかにはAmnesty Internationalから自然食、草木染め、太陽電池まであって「賑やか」であった。賑やかなのはいいが、「環境」といえばなんでもござれで、つまりが、スーク。　僕は無農薬、無添加の表示の大部分を信じない。太陽電池だって、たしかに排気ガスはないが、材料となるシリコン結晶、アモルファスシリコンの製造過程はどうなっているのだろう。また電池寿命が20年としてその後の電池の廃棄はどう解決をつけているのだろう。太陽電池展示している人に訊いても具体的な回答が得られない。　無農薬というが、雀なら案山子（かかし）で脅せるかもしれない。けれど病害虫対策はどうしているのだろう。アイガモに害虫や雑草を食べさせる、フェロモン・テープをつかう、病害虫に強い品種を植えるなどという。しかし、これら対策がコスト的にも有効で労働力も省けるなら、全ての農作物が有機無農薬栽培になっている筈だ。どうも何処か誤魔化されている。　そして高いものを買わされている気がする。べらぼうに高い無農薬作物を買うのは余裕のある人達で、貧乏人は手がとどかない。なにかおかしいなぁ。　ブースで売っている商品を包装するのに新聞紙なんて使わず、ビニールやプラスチックの袋を用意していた。有機野菜をつかったサラダの入れ物はプラスチック、更に割箸だ。これが環境を考えたフェスティヴァルのブースとはね。　さらにShare International Foudationなるブースがあって、そこでは Benjamin Cremeの講演会の宣伝をしていた。国連の認めたNPOという触れこみだが、直感として怪しいと思ったので調べてみると、新興宗教団体ではないか。人道援助のベールを被っているが騙しのメシア宗教としか考えられない。実にくだらない。 http://www.shareintl.org/ 　お祭り騒ぎも結構だが、うかれていると甘い言葉、「平和・環境」に押しつぶされる。「Quelle salade ! 　なんてサラダなんだ」ということになる。真なるものを見極める目を持たないと、言葉は悪いが「糞も味噌も一緒」。ま、フランス語の表現の方が多少上品か。　バグダッドの略奪について本誌167号に書いた。そのとき、僕でもpillageに加担したかもしれないといった。しかし、それは大統領官邸やサダム一族の豪邸のことで、決して国の、また世界の遺産に関することではない。500万都市バグダッドには少なくとも7つの博物館があるそうで、その15万点の展示物のうち80 ％が盗難されたという。これにはどうも「職業的美術品窃盗団」が関与していると報告されている。コピー（模造品）はそのままに、本物だけをかっさらっていったというのだから、たんなる民衆の反逆ではない。バグダッドで略奪が始まった時、米軍が守ったのは石油エネルギー省だけだったらしい。これは、米国の指導に瑕疵がある。日本中を空襲した米軍が京都・奈良を見逃したというのとは大違いである。窃盗団は、イラク人ばかりではなく外国人も含まれていた、いやそれどころか外国人が指揮をした形跡がある。コンピュータ・システムも壊されているので、盗品が市場（しじょう）に出るのを防ぐ詳細な展示品リストも作れない。パーフェクトな窃盗である。この略奪に、パリに本部を置くUNESCOの松浦晃一事務局長が素早いリアクションを見せた。このひとの事務局長就任には異議があるが、ここはそれを別として、多いに原状回復に努力をしてもらいたい。　フランスでも教会などの美術品が組織的に盗難にあっている。盗品でも購入したいという需要が背景にある。貧乏人には望むらくもないエゴイスティックな所有欲である。しかし、ルーブル博物館に展示された多くの作品は略奪の結果であり、ルーブルは「盗賊の館」といえないこともない。　今回の原稿は27日（日曜日）、東京でATTAC Japon総会がひらかれる為、前日土曜日までに用意されたものである。Attac Japonについては、本誌で紹介し、批判も書いた。したがい、些かの思いが僕にある。僕は活動家militantではない。とくに日本の左翼が、といって悪ければ日本の民主勢力が分裂・抗争を繰返した時、既に僕は日本にいなかった。市民ということについてはその後アフリカで、また西欧で「実生活」として体験してきた。それが、このMMで記述してきた種々の見解に現れていると思う。Attac Japonは僕の日本における実験と実践の場と心得ている。日本で「対話」というのを可能にしたいと考えている。「対話」というのは、対話を通じて新しいtheseを導くことである。これが苦手というか、不存在なのが日本である。平行線か裏工作が対話と誤解している。最たるは国会審議である。村会だっておなじことだ。そればかりではない、組合、取締役会、何々理事会、みんなそうだ。はたしてどうなるか。報告は来週号に述べる。　＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝発行者：田邊　好美（ヨシハル）　　　　〒　157-0073　東京都世田谷区 e-mail: davidyt@m2.ffn.ne.jp 郵便振替口座　名称　HEBDOFRANCE　番号　00110-2-314176 成城学園前郵便局当ＭＭのホーム・ページは http://members.tripod.co.jp/davidyt/hebdofrance.index.html 次ぎの２サイトをミラーとします。 http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ryunosuke/9981/ http://davidyt.infoseek.livedoor.com/hebdofrance.index.html ここからＭＭ発行所にリンクし、解除手続きができます。解除は各人が購読を申し込んだ発行所、まぐまぐ、Pubzine等から行ってください。eGroupを除いては僕が管理人ではないため、解除手続きが出来ません。悪しからずご了承お願いいたします。過去ログ(archive)も上記ホーム・ページで全てご覧になることができます。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

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