メルマガ:週刊フランスのWEB
タイトル:hebdofrance 31032003  2003/03/31


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                              Davide Yoshi TANABE
                                 vous presente

              ≪週刊フランスのWEB≫
                    第165号
                                          Tokio, le 31 mars 2003

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Index (目次)
        1.フーコーの振り子
        2.オリエントと西洋
        3.国立自然史博物館
        4.シャンソン ピアフ 「漸(ようや)く春が」
        5.忘れられたフランス人 キュヴィエ 「古生物学」
        6.あとがき

フランス語のサイトの文字化けは
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す。

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1.Pendule de Foucault
  http://membres.lycos.fr/lyceejeanzay/pendule_foucault.htm

 サイトはリヨンの西100km、ティエール市にあるジャン・ゼイJean Zay高校
( http://membres.lycos.fr/lyceejeanzay/ )の生徒たちがフーコーの振り子を
作った時の様子である。
 高校の名前になっているジャン・ゼイとは、1936年の人民内閣の時に、若干27
歳で文部大臣となった政治家である。数々の教育改革を行うが、ドイツによるフ
ランス占領、そしてペタン将軍によって捕らえられ、獄中で暗殺される。レジス
タンスの英雄。が、隣国ナチに対して結束したフランスの感動的叡智でもあった
人民政府、またその若き闘士ジャン・ゼイについては次の機会に語ろう。

 ここではフーコーである。レオン・フーコーLeon Foucault (1819-1868) は、
1851年パリのパンテオンで地球の自転を証明する実験をした。振り子をあの高い
天井からぶら下げて揺らし、地球が自転しているために振り子が振れる方向が
ちっとも変わらないのに、振り子の軌道がずれるという不思議な現象をみせてく
れたのだ。このフーコーの振り子は日本でも随分と人気があって、各地で同様な
デモンストレイションがなされている。東京では上野の国立科学博物館他数カ所
にある。
http://www.sci-museum.jp/~yoshiya/foucault/list2.html
振り子の前に立っていても、かなり長い間みていないと地球の自転がわかるほど
のズレは生じないようにおもう。僕は過日国立科学博物館で暫く見ていたが、良
く分からなかった。数10分後に振り子のところに戻ってきてみて「あゝ、そう
かぁ」と思った次第である。1時間に地球は15度回転する。15度も位置がずれて
いれば、誰にでもわかる。しかし、不思議で仕方がない。ふむふむ、フーコーさ
んて面白いことを考えたんだなぁと感心してしまう。

 フーコーはスタニスラス高校をでている。このエリート校については本誌159
号で書いた。だが、フーコーの成績は中位で、とくに目立つ生徒ではなかったら
しい。バカロレアをやっとこさっとこ通って医学の勉強を始めるが、途中で諦め
て顕微鏡観察の仕事につく。実験が大好きで、「好きこそものの上手なれ」を地
で行くことになる。顕微鏡写真撮影を考案したり、この振り子をつくったりと。
科学評論家のようなこともしている。しかし、他人の受け売りではなく、常に独
創的であったようだ。

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2.L'Orient et L'Occident
  http://jm.saliege.com/sommaire.htm

 オリエントとしたのは、東洋とすると誤るからである。東洋とか西洋というと
き、僕はいつも混乱する。日本から見て、中国は西の国であり、アメリカは東の
l国である。西方(さいほう)浄土というけれども、西洋がその浄土とは思えな
い。地球は丸い。どうも東西は相対なのである。

 このサイトの運営者、Jean MoncelonはサリエージュSaliege高校の現校長であ
る。またサリエージュ高校はフランスに珍しい私立のカトリック系であるが神学
校ではない。専門技術家養成とグラン・ゼコール入学補習校であり、バカロレア
を通過した生徒が入学許可される。だから、程度は普通の大学と同じといえる。
フランスでは私立大学設立が見とめられていないので、いわばNPOとしてこの学
校が存在を認められているようである。サリエージュは先の大戦でユダヤ人のた
めに立ち上がったトゥールーズの枢機卿の名。Jean Moncelonはイエーメンのフ
ランス語学校やモロッコでの教師経験豊富な先生。回教学の専門家。
http://www.saliege.com/

 西洋、ヨーロッパにとってオリエントとは通常中東を指すとおもってよい。ス
ンニ派sunnite、シイット派chiiteをネットで探していてこのサイトにであっ
た。このサイトはオリエントに魅せられたフランス、ドイツ等の詩人、作家、冒
険家たちについて書いている。その中で、回教理解のための解説記事がのってい
る。grand themeのところにislam et islamiqueをクリックすると、イスラムに
ついて詳しい解説が読める。

 本誌93号(2001年10月1日)でコーランのフランス語訳のサイトを紹介した。
そのとき、コーランはアラブ語で声明されねばならないと言った。僕がアラブ世
界以外で聞いたコーラン、タイ(マレーシアの近くには回教村もある)やインド
ネシアのモスケから流れてきたコーランは、やはりアラー、イクバルから始まる
アラブ語であった。スンニやシイットといっても、キリスト教におけるオルト
ドックスとカトリック、またはプロテスタントの差異のようなもので、現在進行
中のイラク戦争でイラク国内の宗派間の争いをアメリカが利用しようとして、今
のところ失敗しているようだが、僕はむしろ今回の場合、イランが場合によって
はイラクを軍事的に助けることもないとは言えないと考えている。

 オリエントに神秘を見出したヨーロッパ人たちは、今、なんというのだろう
か。

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3.Museun National d'Histoire Naturelle (MNHN)
  http://membres.lycos.fr/gotier6/museum.html

 このサイトだけをみるとパリの植物園にある博物館だけを想像するが、MNHNは
それだけではない。歴史的には1635年ルイ13世が薬草研究の為に創設したとある
が、1793年来自然史博物館となっている。ルーブルはミュゼmuseeであるが、こ
こはmuseumと呼称がちがう。 museumは自然科学に関するmuseeと規定されてい
る。次のサイトをみるとMNHNの全容がわかる。
http://www.mnhn.fr/
写真がなくてつまらにサイトであるが、MNHNは先ずもって研究機関である。さら
に、大学院レベルの教育機関、生涯教育、公開講座、展示会、データ・ベース、
出版、そして植物園、動物園、人類博物館(Musee de l'Homme)を内包する。
item5でキュヴィエが比較解剖学助手となったのはこの機関である。

 非常に大きいサイトなので、全てを訪れることは不可能であろう。動物園、植
物園等興味ある所だけをたどっていっては如何だろうか。

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4.Edith Piaf
  Enfin le printemps
    Paroles: Rene Rouzaud. Musique: Marguerite Monnot   1954


Vises, mon Jules,
Cette crapule
Qui nous tombe sur les bras.
Depuis le temps
Qu'on l'attend,
Comme une bombe, le voila.
Le voila, le printemps,
Tout fleuri de lilas
Qui rapplique en dansant,
En dansant la java.
Le voila, ce voyou,
Au son d' l'accordeon
Qui court le guilledou
En poussant la chanson.
Entend comme ca chahute
Dans tous les palpitants.
L'hiver se tire des flutes.
Enfin le printemps...

見よ ジュールよ わたしたちを参らせるこの悪党 あなたを待ってからという
もの まるで爆弾のように ほらね ほら リラの花咲き乱れる春が 踊りなが
ら巡ってくる ジャヴァを踊りながら ほらね このやくざ アコーデオンの音
(ね)に 女をつけまわす 唄をうたいながら その唄は娘たちみんなの心をく
すぐる 冬は逃げ出し 漸く春が、、、

Ne fais pas la tete.
Tu serais bien bete
De te faire du mouron
Quand sur toute la terre
Flotte un petit air
De revolution.
J'ai sorti pour toi
Ma robe de soie,
Mes colifichets
Pour dormir sur l'herbe
En ecoutant tinter les muguets...

そんな顔しないで お馬鹿さんね 心配するなんて 世界中に革命の風が吹くと
き わたしは絹の服を ガラクタをあなたのためにとりだした 草の上で眠るた
めに 鈴蘭の音を聞きながら

Vises, mon Jules,
Cette crapule
Qui nous tombe sur les bras.
Depuis le temps
Qu'on l'attend
Comme une bombe, le voila.
Le revoila, le printemps
Tout fleuri de lilas
Qui rapplique en dansant,
En dansant la java.
'y a la foule dans les rues
Qui suit les orpheons,
Des epaules toutes nues
Et du monde au balcon.
C'est la fete aux poetes
Et je t'aime eperduement
Et ca tourne dans ma tete.
Enfin le printemps...

見よ ジュールよ わたしたちを参らせるこの悪党 あなたを待ってからという
もの まるで爆弾のように ほらね ほら リラの花咲き乱れる春がまた 踊り
ながら巡ってくる ジャヴァを踊りながら 街にはひとがいっぱい 楽隊に続く
 肩をはだけて テラスにも人々が 詩人の祭 あなたが好きで好きで たまら
ない 漸く春が、、、

J'ai le vertige dans tes yeux.
Je voltige dans du bleu.
Je vois double et c'est mieux.
Vise mon coeur tout la-haut...
Qui fait du cerf-volant.
Rattrape-le si tu peux,
Mon amour, mon amour
Qui fout le camp...
Enfin le printemps !!!

あなたの目の中で眩暈(めまい)がするわ 青空にひらひらと舞う 二重にみえ
る そのほうがいい わたしの心は天たかく 凧をあげる つかまえてちょうだ
い できるなら モナムール 恋人よ つかまえられないわ、、、漸く春が!!


foutre le campは「去る」という意味。
この詩は、スラングが多くまいりました。
ヤクザな男に惚れた女心の詩(うた)なんでしょうが。

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5.忘れられたフランス人
  Georges Cuvier  1769-1832
  http://www.chez.com/mammouth/cuvier.htm

 キュヴィエは古生物学paleontologieの創始者である。paleoとはギリシャ語で
「古い、昔の」という意味。ontologieとは「存在論」なのだけれども、paleoと
合わせてと地質学的時代に、あのカンブリア期とかジュラ期とかいった大昔に存
在していた生物を研究する学問が古生物学である。

 キュヴィエの生まれたモンベリアールMontbeliardはドイツ/スイス国境に近い
町である。キュヴィエの当時はドイツのLandであるWurtembergに組込まれてい
た。従って、大学教育はドイツでうけている。モンベリアールがフランス語文化
圏であるとしても、キュヴィエがドイツで教育を受けたのは重大なポイントでは
なかろうか。大学で行政学、法律学、経済学、自然科学および比較解剖学を修め
ている。19歳でノルマンジーの貴族の息子の家庭教師となる。家庭教師といって
も、今時のアルバイト学生のそれではない。貴族の子弟は、町の学校などに行か
なかったのだから。そこでチャンスを得てパリの博物館(MNHN)の比較解剖学の
助手として採用された。輝ける経歴の始まりである。学問的にも活躍するが、行
政手腕も発揮して、晩年には内務大臣にまで上り詰めるのである。

 1812年「四足獣の化石骨に関する研究」を著わしてこの分野の泰斗となる。そ
の後さらに、化石の研究を通して、いわゆるダーウィン的進化論transformisme
を否定して種の絶滅を天変地異によると説明する。当時でいえばラマルク
LamarckやサンティレールSaint-Hilaireと真っ向から対立するのである。たしか
に、ダーウィン説が突然変異説で修正された今日でも、キュヴィエの天変地異説
はある適度の説得力をもっているようである。 ただ、キュヴィエは権威となっ
てそうとう頑迷な主張を繰返していたようで、性格的にか宗教信条か問題のある
人物と思え、キュヴィエ礼賛はしたくない、けれども正当な評価をしてもいいの
ではないか。

 サイトはキュヴィエの生地に近いロマン・ラ・ロシュ遺跡のサイトの中にある
キュヴィエの伝記である。この遺跡は、アヴェンAvenとあるように天然の竪穴の
鍾乳洞である。そこで25、000もの実に様々な古代生物の骨が見付かっている。
この鍾乳洞が発見されたのは1980年だそうだから、勿論キュヴィエの死後約150
年経ってのことである。

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6.あとがき

 埼玉県吉川市のHMさん、また大分市のMさん、多額のカンパありがとうござい
ました。大変な励みです。
 一方、アフリカ在住のKさんは、翻訳の仕事をくれました。これもありがたい
ことです。近時、翻訳通訳の末端価格が暴落しているようです。インターネット
の普及で、最終顧客が注文を出してくれることも多いのですが、フランス語にせ
よスペイン語にせよ、翻訳通訳をしようという人もその質は別として増えていま
す。一方、中間にはいる業者も数多あり競争が激しいと聞いています。営業力の
ない個人は勢い価格を引き下げざるをえないのでしょう。一二度仕事を断ると、
その後業者は全く仕事をまわさなくなる傾向があります。だから、こうして直接
仕事をいただけるのは、カンパ同様大変ありがたいことなのです。

 金曜日28日、新宿区若松町でAttac Japonの例会があった。若松町は都営大江
戸線の駅。この地下鉄は何故東京都が建設したのか知らないが、料金が高い。そ
こで僕は新宿から雨が降っていなかったので20分程歩いた。会場は警視庁の機動
隊の屯所(機動隊は兵隊のようなものだから屯所でいいだろう)がある近くで
あった。区の施設。入れ物はともかく立派。運営は赤字だろう。樋口恵子さんが
知事になったら、都立高校等学校を市民に開放するそうだから、そうしたら新宿
高校など便利な所で会合が出来るようになるかもしれない。総会は来月27日。年
度内に総会がないのは規約違反。今回の例会で僕からは10項目にわたる改善案を
提出した。果たしてそれがどう取扱われるか、この組織の民主主義があるのかな
いのかが問われる。なにしろ190名前後しかいない小さな組織なのである。その
うち40名ほどがメイリング・リスト(ML)に加入していないそうである。PCを
持っていないなら致し方ないが、講読しているメイルの数が多いからMLに入らな
いひともいるという運営委員の説明には納得できない。メンバーでいながら、発
言、意見交換の場を自ら放棄するなら、既にメンバーとは言えないからである。

 イラク戦争が日常に組込まれて、既に食傷気味になっているのではないか。既
にアフガニスタンのことを語る人は極端に少なくなってきている。政府はイラク
難民救済で政府専用機を飛ばした。で、どこに? アンマンへ。またぞろテント
を持って行った。なにか貧困な考えだなぁ。僕は、これは自衛隊の人間を派遣す
ることに意味を置いているのではないかと考える。しかし、無駄な派遣だ。
UNHCRの要請だと言うが、UNHCRなんていつもテントや毛布が必要だというだけで
はないか。日本に亡命されちゃこまるから、国境の近くのテントで寝ていろとい
うことか。フセイン反対派の応援がしたいなら、日本に反対派を呼んで亡命を許
したらどうなのか。一般市民が可哀想だというなら、客船でも派遣して、大勢の
市民を日本に非難させたらいいではないか。そんなことは考えもしないのだろ
う。えらい「人道」に目覚めた政府よ、それでは、忘れられたソマリアはどうし
ているの? クーデタの所為で「難民」が急増している中央アフリカの人々は
放っておくの? アフリカは遠いから、、、。じゃ、ミャンマー(ビルマ)は独
裁。いや、もっと近くに北朝鮮がある。ここも「悪の枢軸」の一部。アメリカと
一緒に攻め落とす? 平和憲法だから戦争は出来ないって? では中国と北朝鮮
の国境にテントを送れば良いではないか。イラク反戦は大切。しかし、メディア
に踊らされず、パレスティナもチェチェンも見落とさない、見放さないで欲し
い。世界は広く、荒れすさんでいる。

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