メルマガ:週刊フランスのWEB
タイトル:hebdofrance 20012003  2003/01/20


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                              Davide Yoshi TANABE
                                 vous presente

              ≪週刊フランスのWEB≫
                    第155号
                                          Tokio, le 20 janvier 2003

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Index (目次)
        1.デカルコマニー
        2.メビウスの輪
        3.MEDEF フランスの経団連
        4.シャンソン アダモ 「君なくて 愛しき君よ」
        5.忘れられたフランス人
        6.あとがき

フランス語のサイトの文字化けは
表示>エンコード>西ヨーロッパ言語の順で選択すれば修正することができます。

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1.Decalcomanie et Max Ernst
  http://www.geocities.com/Paris/2651/ernst.html

 デカルコマニーは、スペインのドミンゲスOscar Dominguezが考え出したといわれ、
その後Surrealismeの画家エルンストMax Ernstが好んで使った画法である。現代では
よくプラモデルなどに同様の技法が使われている。陶器、ガラス、紙などに絵を写
す。紙を二つ折りなどにすると丁度精神分析でつかうロールシャッハ法の絵のような
不思議なイメージをうることができる。

 サイトはMax Ernstのデカルコマニーについて詳しく説明してくれているが、残念
ながら英語である。フランスにこれほど詳細に技法を述べたところがなかったのであ
る。USAに亡命しているものの、フランスに帰って国籍もフランスを取得している画
家に対してフランス人のファンが少ないのかサイトの数がさほど多くない。Ernstの
生まれはケルン(Cologne)近くのBruehlというところだからドイツである(1891年)。

 南フランスのユダヤ人キャンプに収容されていたころのErnstについて多少の記事
があったのは
 http://perso.wanadoo.fr/d-d.natanson/artistes_milles.htm

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2.Anneau de Moebius / Ruban de Moebius
  
http://perso.club-internet.fr/rferreol/encyclopedie/surfaces/mobius/mobius.s
html

 メビウスというのはドイツの数学者である(1790-1868)。この人の発見した輪が
メビススの輪と呼ばれるのだが、ともかく実験してみるとよい。僕も実際A4の紙を二
つ折りにして、5cm幅くらいのリボンを二つ切り、その端と端をテープでつけてみ
た。輪にする時、リボンを半分ひねって貼り合わせる。これでできあがり。輪は、こ
のままではなんと言うこともないが、このリボンの真中(2.5cm幅になる)をお仕舞
いまで切ってみる(1)。それから、もう一つのメビウスの輪を作って今度は1/3幅で
切ってみる(2)。
 頭の中で考えても分からない(少なくとも僕は想像もできなかった)。まるで手品
である。手品だがインチキな種があるわけではない。位相幾何学topologieなのだそ
うである。

 自分で作れないのだが、クラインの壷bouteille de Kleinという、上のメビウスの
輪を4次元にしたような不思議な壜(壷)がある。それを3次元の立体に「射影」させ
て見せてくれるのが次のサイトである。
http://gianpf.free.fr/galerie/BouteilleDeKlein/BouteilleDeKlein.htm
見るためにはviewpoint media playerをダウンロードしなければならないが、そう時
間はかからないのでinstallしてみて欲しい。右クリックしたり、左クリックしたり
して図を動かすのである。
 外にカラーで工夫してなんとか形状を見せようとするサイトもある。
http://perso.club-internet.fr/rferreol/encyclopedie/surfaces/klein/klein.sht
ml
次のサイトはずっと芸術的である。
http://melusine.eu.org/syracuse/mesa/klein01/?arg=imagettes

メビウスの輪及びクラインの壷のアイデアは、あとがきに書いた読者からいただい
た。
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3.MEDEF, Mouvement des Entreprises de France
  http://www.medef.fr/staging/site/page.php

 MEDEFを日本の経団連と解すると違うかもしれない。中小企業からの参加も多いか
らである。しかし、フランスの企業団体(各種union/federation)のなかで近年とみ
に力をつけてきた一大圧力団体といえるだろう。フランス経済の「構造改革」を看板
に掲げ、積極的に政府に働きかけている。ラファラン首相が出席したことでこの1月
14日にトゥールToursで開催されたMEDEFの総会は物議を醸した。首相側からのいい訳
が政府のページにあった。
http://www.premier-ministre.gouv.fr/
 その総会で二期目に入ったのがErnest-Antoine Seilliere総裁。男爵家の生まれ。
1965年のENAの出身であるだけに出発は外務省であるが70年代半ばに自分のファミ
リー企業転じている。ENA時代は先の首相ジョスパンとジャズ楽団の仲間だった。左
右を問わず知友が多い。ファミリー企業とはいえかなりの資本家である。支配する企
業数も多い。この人物の閨閥をみていると、フランスの資本主義勢力の根が深いこと
を思い知るのである。Baron Seilliereに関する記事は次のサイトに詳しい。
http://www.sources-ouvertes.net/article1903.html

 MEDFは各地に支部を持っている。それぞれサイトもある。パリ支部のサイトを覗い
てみたが、本部よりも説明がはっきりとしているので次に揚げる。
http://www.medefparis.fr/medeff/mission/hautmiss.html
五つの目標を掲げるが、要は企業側の利益の確保そのためのあらゆる運動を行う団体
である。全国75万企業が参加しているというのだ。極右ルペンとは一線を画している
とはいうものの、政治色を強めているパトロンたちに対する労働者側はどうなのか。
CFDT、CGTまたSUDなどの動きを既に述べたが、更なる統一が必要なのではあるまい
か。しかも国境を越えて。

 UEが官僚主導で出来あがって来ている中で、MEDEFは国際競争力という面でナショ
ナリスムも強い。労働者側がむしろ国際連帯で戦わなければならないときだろう。

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4.Salvatore Adamo
  Sans toi, ma mie
    Paroles et Musique: Salvatore Adamo   1963
  c 1963 - Disque Pathe

 リクエストをいただきましたので、今週は2001年5月の「雪が降る」に続いてアダ
モの「サン・トワ・マミー」を訳出してみます。
 ma mieとはmon amie と言いかえられる。ma femme aimeeです。古い言い方。mieの
語源はamie(女友達)ということです。m'amie及びmamieとも書けます。

Je sais tout est fini
J'ai perdu ta confiance
Neanmoins je te prie
De m'accorder ma chance

全てが終わったんだね 君は僕を信じてくれない だけどお願いだ 僕にチャンスを
くれないか

Si devant mon remords
Tu restes indifferente
On ne peut te donner tort
Mais soit donc indulgente
Au nom des joies
Que nous avons vecues
Au nom de l'amour
Que nous croyons perdu

もしも僕の後悔なんて どうでもいいというなら 君が間違っている だから受けと
めて欲しい 僕らが過ごした歓びをおもって 僕らが失ったと思っている愛をおもっ


Sans toi ma mie
Le temps est si lourd
Les heures et les jours
Sombrent sans espoir
Sans toi, ma mie

君なくて 愛しの君よ 時はかくも重い 毎日が時間が 希望もなく掻き消える 君
なくて 愛しの君よ

Sans toi, ma mie
Je vogue sans but
Je vogue perdu
Sous un ciel tout noir
Comprends que dans les rues
Tant de filles nous tentent
Et leur air ingenu
Nous torture et nous hante

君なくて 愛しの君よ 目的もなく進めない 漂うばかり 真っ黒な空の下(もと)
 外ではたくさんの娘たちが僕らをそそのかす そんな無知な態度が 僕らをさいな
み僕らにつきまとう

Aussi je viens vers toi
Pour te confier ma voile
Toi tu me guideras
Tu es ma bonne etoile
Sans toi, ma mie
Le temps est si lourd
Les heures et les jours
Sombrent sans espoir
Sans toi, ma mie

そして僕は君のもとにやってくる 君に僕の帆をゆだねるために 君が僕を導くだろ
う 君は僕の明星(みょうじょう) 君なくて 愛しの君よ 時はかくも重い 毎日
が時間が 希望もなく掻き消える 君なくて

 基本的には男性が歌う詩である。


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5.忘れられたフランス人
  Pierre-Augustin Caron de Beaumarchais 1732 - 1799
  http://www.beaumarchais.asso.fr/

 「セビリアの理髪師」、「フィガロの結婚」の作者として知られているとはいうも
のの、オペラ化されたからとりわけ日本でその名前がしられているのだろう。ロッ
シーニ、モーツァルトのおかげである。
 三部作目になる「邪(よこしま)な母(罪ある母)Mere copable」は殆ど知れれて
いない。何れの戯曲ともコメディー・フランセーズに認められており、フランスでは
オペラではなく演劇として上演されて続けている。
 「Mere Coupable」にしても、駄作だからオペラ化されなかったとの評が日本にあ
るようだが疑問である。ドタバタともいえる筋の複雑・錯綜は3作に共通している
し、当時の演劇の特徴でもあろう。ボマルシェ自身がいうように「セビリア」、
「フィガロ」の集大成として「母」があるのだから。

 Beaumarchaisの生涯というのがなかなか興味あるものである。
http://membres.lycos.fr/messiaen/figaro1.html
 時計職人の息子として生まれ、先ずは父親の仕事の跡を継いでいる。時計職人は、
しかし、当時はハイテクのエンジニアであった。だから王家とも繋がりができている
のであろう。時計の技術もさることながら、財テクにも優れていたようだ。一筋縄で
はいかないBeaumarchaisである。そのボマルシェという名前だって、妻の相続した土
地の名前であるし、お陰で貴族の称号まで手に入れている。貴族になりながら、革命
でも、困難な場面はあったが乗り切っている。少なくともギロチンにはかけられな
かった。それどころか、武器商人まがいのことをしているのだから世渡りが下手だっ
たわけではない。
 「セビリアの理髪師」も、ボマルシェが、なんと大使として赴任したマドリッドの
経験がなければ書かれなかったことだろう。ともかく相当の俗物なのである。その生
涯自体がもう十分に劇的である。

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6.あとがき

 先週デザルグのgeometire projectiveを投影幾何学と訳したが、読者から「射影幾
何学」ではないかと指摘をいただいた。調べてみると後者の方、即ち「射影幾何学」
が定訳である。最近、この射影幾何学は高校までの学校では教えなくなっているそう
だ。数学IIIが既に難しくて理解を超えていた僕には苦手の分野である。

 フランスのインターネット・ライヴTV、iTelevisoinのアドレスが変わった。新し
いデザインになっていた。勝手はよくなったかもしれない。画像をx2で見ることが出
来るようになった(選択制)。画質は落ちるが我慢できる範囲かな?
http://www.itele.fr/ledirect.asp

 対イラク制裁、武力行使にたいしてフランスが国連の安保理で拒否権を発動する可
能性が話し合われている。反米色を少しづつ鮮明にしつつあるようだ。

 土曜日日比谷公園で集会があり、World Peace Now 1.18のデモ(manif)に参加して
きた。かなり一般の人々、つまり組合とか政党などとは直接関係のない人々が来てい
た。6000人位参加したのでなかろうか。僕はAttac Japonの旗の下で行進した。銀座
通りにでるのかと思ったら、より国鉄沿線に近い西銀座通り(多分その昔、電通どお
りといったのではないかなぁ)を通って数寄屋橋を折れ、また裏通りをとおって日比
谷までの1時間ほどのコースであった。アメリカによるイラク攻撃がほとんど秒読み
といっていいほどのときでもあり、やはり大海の一滴でもいいからと思って参加し
た。先週号で読者の方々にも呼びかけるべきだった。

 正田家の建物を国が解体するについて住民がもめているという。ま、文化的価値が
あるとは思えない。第一、「皇后陛下の生家ですよ、バチがあたる」などという住民
の声がまともであるとはいえない。速やかに解体してしまうにこしたことはないが、
問題は実はこの解体にたいして反対が起こることを予想しながら国が世論を操作して
いるのではないかということである。そこには北朝鮮による日本人拉致事件と同じ構
造がると思えるからである。

 田中長野知事の顔を久しぶりにTVでみた。いい顔になってきた。まえはずっとだら
けていたのに、地方行政がいかなる現状にあるか本当に勉強している。田中はド素人
であった。これでいいのだ。誰だって地方自治体の長や議員になれなければならな
い。選挙だけが民主主義ではない。抽選だっていいと僕は考えている。ま、田中氏は
選挙を二回くぐったのだし長野の人々が賢明だったのだ。小説よりもよほどましな自
治体の絵を描いている。情けないのは東京都だ。都民は今年その権利を行使できるの
だが、見たくれで老いた獅子を選ぶのだろうか。パン屋とか豆腐屋が対抗馬にでてく
れないかな。

 ゴダールの「気狂いピエロ」のヴィデオを借りてきた。ところでこの「気狂い」の
漢字変換がPCで出来ない。不思議におもったら、「気狂い」とは差別用語で、ソフト
メーカーが「自主的に」変換を意図して拒んでいる所為とわかった。実に愚かしい。
メーカーがすることではない。どうしてもというなら、スペルチェック機能があるの
だから、そこで「差別用語ですよ」と警告を発すればよい。その警告も馬鹿らしいと
おもうが。フランス語でfouフ(folleフォル)という言葉がなくなるとはとても考え
られない。idiot(白痴)にしても動揺である。その言葉を隣人に向ける時、「馬鹿
野郎!」というのと意味は変わらない。実際にautisme(自閉症)や神経障害のある
人に向けた時に差別というよりはいわれのない蔑視や侮辱になるのである。僕はここ
に異常なアメリカの影響を嗅ぎ取るのだが、この問題に入りこむのはタッチーなので
別の機会にゆずる。

 先週予告申し上げましたように郵便振替口座を開設しました。下の欄に口座番号が
あります。ご協力いただける方はどうか事情をお汲みいただき「カンパ」をお願いい
たします。

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e-mail: davidyt@m2.ffn.ne.jp
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