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タイトル:シリーズ「竹取物語の故郷」京田辺  2003/06/12


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☆★ 総編集長:竹取の翁・かぐや姫 ●発行部数600部突破! ★ Vol..65 
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今回は久し振りに「竹取物語の故郷」京田辺をとりあげる。最近色々な方達から問合せが舞い込んでいるからである。興味のある方は最後まで読んで下さいね。
 その一つを紹介しよう!!以前からメールで交流していた「かぐや姫美術館」かぐや姫文庫の山口真一館長が現地を訪れ「ここは凄い場所で”かぐや姫に関係している・・竹取物語ゆかりの根拠が見られる・・・”と話され、仲間を連れて後日ビデオ撮影し紹介したい」と帰られた。

■ もくじ 
  ・シリーズ「竹取物語の故郷」京田辺
    1.まず、シンポジウムから
    2.「研究ノート」『竹取物語』"かぐや姫の里"京田辺
       3.京田辺市郷土史会の取り組み・・・
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シリーズ「竹取物語の故郷」京田辺
1.まず、シンポジウムから

『竹取物語』”かぐや姫の里”京田辺”竹取物語シンポ「物語のモデル地」強調!
                    京田辺市郷土史会主催

 京田辺市と竹取物語のかかわりを探るシンポシウムが、平成13年9月22日(土)に京都府京田辺市の京田辺市中央公民館大ホールで開催され京田辺は「竹取物語のモデル地」と強調された。
花園大学の曽根誠一教授(専門:国文)
 「竹取物語の作者が、古事記の系図を参考に迦具夜比売命(かぐやひめのみこと)と名付けたのは明らかで、この地域を頭に描いたのは間違いない」と述べられた。そして、京田辺市とのかかわりについて物語の中味を解り易く解説しながら京田辺市とのかかわりの深さを強調された。
岐阜経済大学の梅山秀幸教授(専門:日本文化)「かぐや姫の光と影」の著者
 「私は今まで京都と奈良を研究し京田辺市は何時も通過地であった、今回のシンポで京田辺が物語のモデル地であるという実感を強くした」と述べられた。
竹資源活用フォーラムの内村悦三会長(専門:農林)
 「かぐや姫の竹は、真竹(直径9センチ程)で、物語の竹から生まれた女性の昔話はソロモン群島や中国四川省で語り継がれている」と紹介された。

 このシンポジウムで、各パネラーの先生方は、「物語を書いた作者は、古事記に書かれている迦具夜比売命の父である大筒木垂根王などを読んでいて、この地域を強く意識し描いたことが明らかであると述べられた」、そして作者として紀長谷雄の名前をあげられていた。会場にはおよそ250名の古代史ファンや竹取物語の研究者それに竹製品を作っている業者などが訪れ熱心に聞き入っていた。


2.「研究ノート」『竹取物語』"かぐや姫の里"京田辺 その1

(今回から数回にわたって京都地名研究会に投稿した「研究ノート」を紹介する。)

 『竹取物語』"かぐや姫の里"京田辺   小泉芳孝 


一、『竹取物語』の発祥地について

 

『竹取物語』は、平安時代初期にできた日本最古の物語で、作者不詳。物語は、ある日竹取の翁が竹の中にいた光り輝く一寸余りの少女を授かり「かぐや姫」と名づけて育て成人する。そして五人の貴公子から求婚を受けるが無理難題を出して次々にしりぞけ、時の帝の求めにも応じず八月十五日の夜に月から迎えが来て昇天するという求婚・昇天説話である。 

『竹取物語』の話は、今まで架空のものであり、きわめて伝説的・浪漫的に構成された虚構の物語であるとされてきた。しかし 私は、竹取の翁がいたのは、京田辺市ではないかと考えるうち、『古事記』垂仁記に「大筒木(おおつつき)垂根(たりね)王之女(おうのむすめ)、迦具夜(かぐや)比売(ひめの)命(みこと)」が記されていて「かぐや姫」は実在の人物であったことがわかり、その「大筒木垂根王」の墳と伝えられる古文書も地元で見つかった。そこで、この田辺が『竹取物語』発祥の地であり「かぐや姫」伝説地という結論に達した。
  京田辺市普賢寺の「大筒木垂根王」か山本駅の駅長それに延喜式内佐牙神社の太夫が、『竹取物語』に登場する翁であり山本駅一帯が“竹取物語の里”と考えている。                    

二、「竹取の翁」の家は、「山もと」の近く

大阪府と奈良県とに境を接する京都府京田辺市は、東に木津川が流れ、西に生駒山系が連なるなだらかな丘陵地となっている。ここは京都市と奈良市の中間にあたり、古代から交通の要衝として数々の歴史を物語る多くの文化遺産が点在している。

奈良時代以前には、京田辺市を大和から丹波に至る古山陰道が南北に通じていた。また和銅四年には、現在の近鉄三山木駅周辺に平城京と太宰府を結ぶ古山陰・山陽道の宿所として山本駅が設置された。
 平城京に都が置かれた翌年の和銅四年正月、『続日本紀』巻五には、
 四年春正月丁未 始置都亭驛 山背國相楽郡岡田驛 綴喜郡山本驛 河内國交野郡樟葉驛(以下略)
と記され、平城京に通じる主要官道の都亭驛として綴喜郡山本驛を新設されたことを明言している。
 京田辺市三山木の山本周辺には、『竹取物語』にちなむ地名として前記の「山本」の他「山崎」「筒城」「筒城宮」「多々羅」「甘南備山」「月読神社」が存在し、神仙思想が溢れていて天女伝説を兼ね備えた地域である。京都に平安京が遷都するはるか以前、京田辺市内には、かつて筒城宮といわれる都があった。この筒城宮は、河内の国「楠葉」で即位した継体天皇が五年後(511)に多々羅の「都谷」に遷都された所である。

『竹取物語』の原文では。
みかどおほせたまはく「みやつこまろがいへは、山もとちかくなり。

とあり。

帝がいうのには、竹取の翁(造麻呂)の家は、「山もと」の近くにあるとしていて、狩の行幸に行くような振りをして「かぐや姫」を見に行こうか、と記されている。
 私は、『竹取物語』の出来た頃の「山もと」と言う地名は、和銅四年(711)に古代駅制の「山本駅」と言う駅家が存在していたことから有力であると考えた。日本全国に沢山存在している「山もと」というのは、今まで「山の麓(ふもと)」という意味であるとされてきました。しかし、京田辺市三山木の山本集落は、固有名詞として『竹取物語』が出来た以前からあり、現在も存在している歴史上重要な地名であることからも重要視せねばならない。

 最近の京都府埋蔵文化財調査研究センターの発掘成果によると近鉄三山木駅周辺から飛鳥時代から中世にかけての溝・土坑・柱穴がみつかり、井戸からは須恵器・円形硯や斎串、弥生時代から古墳時代前期と見られる翡翠製の勾玉が出土した。これは、以前の調査でも、山崎付近の地層から弥生時代前期の土器片や石包丁・石鏃・石鋸・管玉の未製品や未完成の原石が出土していて、丘陵上に玉造り関連遺構が存在した可能性があると報告されているのと関係している。またここは、弥生時代前期から近世にかけての遺構、縄文時代晩期の土器や石器などの遺物も見つかっていることから南山城地域でも最も早く成立した縄文・弥生集落遺跡のひとつであることが判明した。

このように近鉄三山木駅へかけての丘陵地には、古代の条里制に沿って南東方向に延びる奈良時代の掘立柱建物跡(三間×三間の総柱建物)や奈良時代後半の瓦二十点それに井戸の遺構が発見され、さらに東西方向で先の建物と重複して出土した平安時代の掘立柱建物跡(一間×二間)や鎌倉時代の遺物も発掘された。また、二又付近の地層からは、飛鳥時代や平安時代の井戸、それに平安時代の掘立柱建物跡の柱も出土している。これらのことから長い時代に渡って栄えていたことが考古学の分野からも実証された。

そしてこの調査地付近には、奈良時代に平城京と山陽・山陰を結ぶ官道が敷設され、平城京から最初の駅である古代駅制の「山本駅」があったと推定され今までの数度にわたる周辺の発掘調査で奈良から平安時代にかけての掘立柱建物跡が発掘されているところから推定して「山本駅」に関連する施設があったのではないかとも考えられている。

地元に保存されている『山城国綴喜郡筒城郷朱智庄佐賀庄両惣図』と『筒城郷佐賀荘全図』には、近鉄三山木駅の南に「大筒城佐賀冠者殿旧館地」と記されている場所がある。「大筒城」は京都府綴喜郡の「綴喜」であり、「冠者殿」は元服して冠をつけた男子で宮仕えした人である。この大筒城佐賀冠者殿旧館地は、翁の家が存在していた場所と考えている。
 京田辺市にある甘南備山は、「かぐや姫」の名付け親としての伝承地であると考えられる。物語の中で
 この子、いとおほきになりぬれば、名を、みむろどいむべのあきたをよびてつけさす。

なよ竹のかぐやひめとつけつ。
とある。

この三室とは「神の宿るところ」という意味で、神社のある処を言ったものであり「ミムロ」「ミモロ」といわれるところは京田辺の甘南備山ではないだろうか。

次号に続く・・・

3.京田辺市郷土史会の『竹取物語』”かぐや姫の里”京田辺”の取り組み・・・

◎京田辺は『竹取物語』が熟成した場所 同大名誉教授の森浩一氏「歴史シンポジウム」で発表!
◎第36回京田辺市民文化祭で成果発表 平成13年11月3日(土)〜4日(日) 展示
6回京田辺市民文化祭で成果発表 平成13年11月3日(土)〜4日(日) 展示
    『竹取物語』絵巻物の展示 京田辺市薪の手書き染色作家 玉井芳泉さんの作品
                      (絵巻物提供者:「京鹿ノ子絞館」吉岡健治氏)
    会員らの竹に関する珍品を展示。
      竹の道具 茶・花道具 「茶せん・茶杓・花器・蓋置き・結界・など」  
      その他会員から 竹の楽器 中口ひとみさん インドネシアの竹の楽器「アンクルン」 1.8mX1.7メートル
                ベトナムの(竹の木琴)チャルン、ペルー・メキシコ・チリの楽器 
     竹工芸 岩本俊彦さん 作品名「かぐや姫の誕生」 畳一畳の大きさ
     ミュージカル「竹取物語」上演 京田辺市中央公民館大ホール
マスメディアなど・・・
◎KBS京都ラジオ 「笑福亭晃瓶のほっかほっかラジオ」日産フラッシュジャーナルに(2001年9月14日AM11時30分頃)
   京田辺市郷土史会理事  小泉芳孝氏が出演! (AM7時25分頃10分間)
   《内容》京田辺が「かぐや姫」伝承地であり『竹取物語』発祥地であること紹介、シンポ開催日パネラーの紹介など。
◎KBS京都TV 「田淵岩夫の特ダネ!」(2001年9月17日AM7時25分頃10分間)
   《内容》『竹取物語』「かぐや姫」発祥地のシンポ開催日とパネラー紹介、申し込み問合せ先など紹介。
◎「竹取物語シンポジウム」『竹取物語』かぐや姫の里は、やはり”京田辺”だった! 平成13年9月22日開催!
 パネリスト花園大学の曽根誠一教授(専門:国文)
       岐阜経済大学の梅山秀幸教授(専門:日本文化)
        竹資源活用フォーラムの内村悦三会長(専門:農林)
         シンポ司会  京田辺市郷土史会理事 小泉芳孝氏(専門分野:民俗・郷土史)
      主催 京田辺市郷土史会 
      後援 京田辺市教育委員会 京都新聞社竹資源活用フォーラム
      一般広報  『広報京田辺』  市広報掲示板 新聞各社   KBS京都 
  【新聞記事】『京都新聞』9月23日 『読売新聞』9月23日 『広報 きようたなべ』10月15日 『洛南タイムス』9月23日
  NHKニュース「かぐや姫」竹取物語シンポジウム 京田辺市(9月22日放送)
  『竹取物語』の舞台は、一般的に言われている奈良県広陵町ではなく、京都府南部の京田辺市ではないか」説を考えるシンポジウム京田辺市で開催!
 『竹取物語』発祥の地は "京田辺"小冊子の発行 京田辺市郷土史会 文化部会(イラスト画:染色作家 玉井芳泉)
◎『京都新聞』『朝日新聞』記事  左をクリックして下さい!
◎『京都新聞』”京田辺はかぐや姫の里”京田辺市郷土史会が『竹取物語冊子』発行」 
◎ 『京都新聞』”かぐや姫の里” 郷土史会がシンポ
◎NHKテレビ3月13日PM6時「ニュースパーク関西」でもかぐや姫の里”京田辺と放映!NHKニュース「かぐや姫」
◎人形劇(ペープサート)『竹取物語』上演。『竹取物語』の台本作成、劇に使う絵を手作りして発表。
   上演10月3日 4日 脚本・制作・出演・・人形劇団「ぷくぷく」、朗読の会「萌え」
◎京田辺は、かぐや姫の里!「絵巻物 竹取物語」京鹿の子染色絞絵本展、京田辺市で開催!
  日本最古の物語を日本最古の染色「絞」で表現 玉井芳泉氏
    平成14年5月 7日〜5月12日10時〜16 時 場所:京都府京田辺市立中央図書館ギャラリー「かんなび」
◎アンクルンとインドネシア ミニミニ展天女のお話しとかぐや姫に似た民話などを紹介。京田辺市中央図書館ギャラリー「かんなび」
       7月21日午後1時〜講演「第二のふるさと」。講師:スゲン・サントス先生(インドネシア・ボゴール農家大学)
◎『竹取物語』”かぐや姫の里”を京都信用金庫三山木支店 ロビーで展示!平成14年4月11日(木)〜
◎竹取物語のスタンプ押して  京田辺、郷土史会が作成 Kyoto Shimbun 2002.11.28 News
◎竹原市の「かぐや姫文庫」山口真一館長が京田辺市へ訪れ、竹取物語ゆかりの地を見学2003.5.24
◎『筒城48輯』から 2003.3.30
  『竹取物語』”かぐや姫”の里京田辺 インドネシアの民話、中国『後漢書』、『斑竹姑娘』から 小泉芳孝 
  継体天皇の「筒木」は、竹から生まれた「かぐや姫」の生誕地 語源研究会 石田天佑 
  かぐや姫コンテストとサミットの開催を 京田辺市 市会議員 羽原 豊  
◎講演会−甦った大筒木(綴喜)「王女かぐや姫」−」開催!平成15年5月25日午後2時30分〜京田辺市社会福祉センター 
    演題 『山代の古代史と民族(的)文化 −甦った大筒木(綴喜) 「王女かぐや姫」ー』
    講師 元京都府立大学長 門脇禎二氏 主催 京田辺市郷土史会 京田辺市社会教育課内
◎奈良のミニコミ誌から「小冊子(『竹取物語』"かぐや姫の里"京田辺)を取り上げさせてほしい・・・と、電話あり。2003.6.11

京都の行事
■20日(金)竹伐り会式 鞍馬寺(京都市)
 水への感謝と祈りを込めて行う行事。14時から大蛇に見立て青竹を、近江座と丹波座の2組に分かれた僧兵が導師の合図で一斉に5段にたち伐る。その早さの結果で豊
凶を占う。
■30日(月)夏越祓 上賀茂神社(京都市)
 参拝者は茅の輪をくぐって罪穢れを祓う。20時、雅楽が奏でられ祈願者の罪が祓い清められる。

■ 編集後記
 心配されたサーズも一段落しました。現在は北朝鮮の話題で持ちきりです。今回は、
以前にもこのメルマガで数回ご紹介した『竹取物語』"かぐや姫の里"京田辺
を取り上げさせていただいた。今回からシリーズで取り上げようと考えている。動機は、
最近やっと注目されだしたのか各地から問合せが殺到しているからである。つい先日も
地元の学校から竹取物語の劇をPTAでしたいので「資料化がほしい」という連絡が京田
辺市郷土史会の会長さんにあった。また、このメルマガ愛読者からも「竹取物語を注目し
読ませて頂いています」という嬉しいメールも届いている。
次回も皆さんに少しでもお役に立つ内容にして行きたく考えています。
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 発行者:小泉芳孝(日本民俗学・郷土史家) kyoto japan
      「竹取物語研究所」から発信しています。
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