メルマガ:日刊ドラマ速報
タイトル:Daily Drama Express 2011/01/16 スクール!! (1)  2011/01/21


===================================================== 発行部数   35 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2010/01/16 (Sun) ☆☆
======================================================================

== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
======================================================================

----------------------------------------------------------------------
1. 日曜日の連続ドラマ
----------------------------------------------------------------------
タイトル スクール!!
局  名 フジテレビ系
放映日時 日曜21時00分
キャスト 成瀬誠一郎(江口洋介)
 桐原伊織(西島秀俊)
 武市かの子(北乃きい)
 大橋 仁(塚本高史)
 岡本幸恵(市川実和子)
 本木友一(三浦翔平)
 村上美香子(ふせえり)
 柏葉太一(田窪一世)
 西園寺綾(吉井有子)
 脇谷九十郎(塩見三省)
 吉村百合子(堀内敬子)
 武市幹城(岸部一徳)
脚  本 秦建日子 他
主題歌  サンボマスター「希望の道」

あらすじ 第1話「本気で怒れ笑え泣けガテン系の熱血民間人校長がやって来
た!!」

 新宮小学校では職員会議が開かれていた。室内の空気は緊迫してい
て、居並ぶ教職員達の表情は一様に硬い。プレゼンをしているのは桐
原伊織(西島秀俊)。冷徹に「ゆとり教育は失敗。小学校の段階から
詰め込み教育をしていかなければ、いずれ日本企業は外国に乗っ取ら
れ、日本人はこき使われることになるだろう」と語っていた。

 会議後、話題は新しく来る民間人校長のことに移った。すでに2学
期が始まっているが、トンネル工事が終わるまで待ってくれと言って
来るのが遅れていると言う。
「素人に何ができる。教育をなめてますよ」
 教職員からは口々に否定的な意見が出た。しかし桐島は「意外と面
白いんじゃないでしょうか」と不敵に笑った。

 数日後、警備員が1人の男を引っ立てて職員室に入ってきた。
「こいつは女子児童の下腹部に触れようとしてました」
「おい、放せ。俺はこの学校の校長だぞ!」
 副校長の脇谷(塩見三省)は唖然とした。その男こそ校長と赴任す
る成瀬誠一郎(江口洋介)だった。
「最低です!」
 武市かの子(北乃きい)は軽蔑しきった口調で成瀬を睨みつけた。
しかし成瀬はかの子の祖父で元教育長の武市幹城(岸部一徳)の推薦
で校長になったと脇谷から聞かされて、愕然としてしまった。
「誤解です。俺ほど平凡でストレートな人間はいませんよ」
 成瀬は教職員達を見回した。しかし教職員達は信用せず、疑惑の眼
差しを向けた。
「それよりもいじめですよ。5年の田中勇気、彼は女子1人と男子
2人にいじめられていた」
 するとあるベテラン教員が言った。
「児童の名前はさんづけにしてください」
「はぁ?」
 成瀬には理解しかねる話だったが、呼び捨てはその児童に必要以上
の感情を持ち、それが過度な指導、すなわち体罰につながる恐れがあ
るので、一定の距離を保つ必要があるのだと言う。
「そもそもいじめなんてあったんですか?子ども同士の間ではいじめ
に見えるようなじゃれ合いがあります」
 脇屋が口を挟んだ。みな一様にうなずいている。成瀬はらちが明か
ないと思い一気にまくしたてた。
「どうやら学校はトンネル工事と同じだな。肩書きだけじゃどうにも
ならんし、おとなしくしていてもまとまらない。こうなら俺もガンガ
ンやらせてもらうぞ」
 成瀬の前職はトンネル工事の現場監督、バリバリの体育会系だった。

 かの子は不機嫌だった。成瀬が自分の自宅に下宿することになって
いると言うのだ。幹城が勝手に決めてしまったらしい。成瀬は幹城の
教え子だった。
「今の小学校は俺がいたころと変わっちまっているんだなぁ」
 かの子は学校の現状をあまりにもわかってないことにあきれ果てた。

 その夜、成瀬はトンネル工事で世話したパキスタン人社員に習った
パキスタン料理を作ってふるまっていたが、かの子はとにかくうざい。
幹城に食ってかかった。
「おじいちゃん!何でこんな人を推薦したの!」
「成瀬くんはすぐれたリーダーシップを持っている。工事現場の監督
しても立派な手腕だった。ちょうど会社が倒産すると聞いてね、迷わ
ず推薦したよ」
 かの子は呆れた。いまどき熱血教師なんて通用しっこないのに。だ
が幹城は今の小学校は気持ち悪くて仕方なかった。しかしそこに浸っ
ている教員たちはそういう感覚が鈍くなっている。成瀬のような外部
の人間に期待せざるを得ない、幹城は成瀬に大きな期待を持っていた。

 翌日、成瀬は全校児童の前で紹介された。
「みなさん、おはようございます!」
 成瀬は元気よく声をかけたが、児童は誰ひとり口を開かない。思わ
ず顔が引きつったが、気を取り直して宣言した。
「今日から新宮小学校はチーム成瀬です。チームには決まりごとがあ
ります。1つ、ケンカは次の日まで持ち越さない。2つ、ケンカに武
器は使わない。3つ、悪口は面と向かって言う。4つ、出されたもの
は残さず食べる!」
 すると児童の1人が急に座りだした。
「どうした?」
「ちょっと、疲れたんです」
「何だって?」
 成瀬は驚いた。連鎖するように児童たちが次々と座っていく。しか
し他の教員は何も言わない。疲れたら座ってもいい、立たせることを
強要するのは体罰に当たるからと。成瀬は理解できないと言う顔つき
で「立て立て!」と手を叩いた。
「本当に辛いものだけ座れ!」
 冷めた声が響いた。桐島だ。すると児童たちは立ち始めた。
「副校長、先に進めてください」
 桐島は脇谷に指示した。

 朝礼後、成瀬は桐原を呼び止め、話をしたいと切り出した。しかし
桐島はその前にこの学校の現状についてよく学んでからにしましょう
と言って断ってきた。なおも声をかけようとする成瀬を脇屋が制し、
かの子に学校案内させるように指示した。

 かの子の話によれば桐原は私立中学校への進学実績も抜群で学校内
でも発言権が強いのだと言う。そして自由選択制が導入されてから、
新宮小学校は入学者数が減り、1学年1学級状態になっているとも。

「おい、田中。教室はこっちだろ」
 成瀬は教室に入ろうとしない田中勇気を見て声をかけた。
「僕は、特別にみんなと違う教室にしてもらってます。誰にも邪魔さ
れずに自分のペースで勉強するんです」
「なんだって?」
 成瀬はすぐさま5年の担任の大橋仁(塚本高史)のところに飛んで
行って事情を聞いた。
「勉強ができるからって1人だけ特別扱いするから、いじめられるん
じゃないんですか?」
「成瀬先生、いじめはありません。田中さんの隔離学級といじめは関
係ありません!」
 脇谷は否定した。
「隔離学級?」
「隔離学級は現実的な対処です」
 桐島が口を挟んだ。
「そんなことじゃいじめは解決しないだろう?」
「いじめは解決できませんよ。人間は弱者をいじめる動物ですから」
「教師がそんなこと言うのか?」
「事実は事実ですよ」
 桐島はどこまでも冷めていた。
「校長は勘違いしてますよ。田中さんは勉強ができるんじゃなくて、
勉強ができないから別教室なんです」
 田中勇気は九九すらできないと言う。
「いじめと向き合うつもりなら、理想論を振りかざす前にきちんと現
実をご覧になることです」
 桐島の一言に成瀬は返す言葉がなかった。

 お昼時、かの子が給食を運んできた。校長が検食をすることになっ
ているのだと言う。
「毒見ってやつね」
 成瀬は面食らったが、思いついたようにかの子を連れて、田中勇気
の隔離教室に出向いた。
「よっ、一緒に食うぞ」
 3人で机を並べ、給食を食べる。
「田中、お前はバカなんだってな!」
「ちょっと、いくらなんでもストレートすぎます!」
 かの子はびっくりして注意した。
「僕はバカなんかじゃありません!」
「九九できないんだろ」
「できるけどやらないだけです。九九なんてくだらない」
「屁理屈言うな。このやろ!」
 成瀬は田中勇気のこめかみに拳をあてて梅干しを喰らわせた。
「ちょっと!体罰になりますよ!」
「あぁ?俺がガキの頃はこの100倍キツイことされたぞ。体罰なこ
とあるもんか!これは愛のムチだっ!」
 何て時代錯誤なんだろう、かの子は唖然となった。

 翌日、成瀬は授業中の5年の教室に入りこみ、田中勇気をいじめて
いた、上妻成吾、清水俊哉、松下頼の3人に「田中勇気はこれから九
九を覚える。できたらもうバカにしていじめたりするな」と宣言した。
頼は言った。「バカでなくなればバカということはないでしょう」。
それを聞いて成瀬はニヤリとした。

 成瀬は田中勇気、かの子とともに校庭を走りながら、九九を叫んで
覚えることにした。昔自分がやらされたやり方だったから、と。「こ
んなことしたらクレーム殺到」と言うかの子の言葉も聞き入れず、今
日は最低でも4の段まで覚えようと息巻いた。最初のうち苦しそうに
呻きながら走っていた田中勇気だったが、何度も繰り返していくうち
に自然と覚えて行った。

 田中勇気は喜んで、家に帰ると母親に1日で4の段まで覚えた!と
話した。しかし母親は怒りだした。
「うそついてたの?約束したでしょ。お母さん頑張って仕事するから、
あなたも勉強をがんばるって。何それ、5年にもなって!」
 母親に罵声を浴びせられ、田中勇気は翌日学校に来なかった。成瀬
は母親の職場に電話をしたが、忙しいと相手にされなかった。そこで
成瀬はかの子と一緒に田中勇気の家に向かった。

 ドア越しに声をかけると、か細い声で「僕はいない方がいいんだ…
…」と聞こえて来た。「非常事態だ!」と成瀬はかの子が止めるのも
無視して、窓から中に入った。田中勇気は果物ナイフを握っていた。
「バカな子は存在しない方がいい」
 クラスの子からいじめられ、母親に冷たい言葉を浴びせられた田中
勇気は惨めな思いにとらわれていた。
「来るな!」
 しかし成瀬は近寄り、果物ナイフを刃の部分から取り上げた。
「いいか、こんな傷いたくないぞ。途中で投げ出すことの痛みに比べ
ればな!」
 田中勇気は泣き出した。2年の時骨折で長期入院したせいで、九九
の授業が終わってしまっていた。遅れを取り戻そうと先生に相談する
と塾にでも行けと言われ、母親は忙しくて相手にしてくれなかった。
「そうか、よし、一緒にやるぞ。だけど死んだ方がましなんてことは
ないぞ!」

 校庭で九九を叫びながら走る田中勇気と成瀬、かの子を見て、
PTAが騒ぎ出した。役員会が開かれる日だったのだ。
「校長、役員会に出てください!」
 脇谷がおろおろしていた。
「ダメだ。今はこっちを優先する!それが俺のやり方だ!」
「なら30分待ちます」
 桐原が言った。

 25分後、田中勇気は無事九九を全部暗唱しきった。様子を見に来
た母親も一生懸命九九をマスターしようとする我が子の姿に打たれて、
謝った。それを見届けて成瀬は役員会へと向かった。

 正太郎、元気か?俺は元気だ。今日俺は知らん顔して走ってたけど、
実は7の段や8の段が怪しかったよ。お前は母親とちゃんとやってる
か?お前の通えなかった小学校、今俺が通っているぞ。

 成瀬は充実感を噛みしめていたが、桐島は険しい顔で言った。「こ
ういうパフォーマンスは逆効果だ。より深い傷を生むことになる……
あなたは何もわかってない」
 桐島の言葉には凄味があった。成瀬は言い知れない不気味さに戸惑
いを覚えずにはいられなかった。



寸  評  ベタな展開で、それはそれで構わないのですが、民間人校長らし
さというのが感じられず、ただの熱血教師物語のような気がしました。
一般に民間人校長はすぐれた経営感覚で学校を変革する役目を担いま
すが、そういう話ではなさそうなので、このままだと退屈してしまう
かもしれません。何か斬新なアイデアを出して新しい学校モデルを提
起してほしいと思いますが、期待しすぎでしょうか。

執 筆 者 けん()

----------------------------------------------------------------------
2. 編集後記
----------------------------------------------------------------------
 年が明けてから急に寒くなってきました。朝晩の冷え込みは特にこたえます。
これが2月も続くのかと思うとちょっと憂鬱です。(けん)

======================================================================
発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。
(http://www.mailux.com/)
======================================================================

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。