メルマガ:日刊ドラマ速報
タイトル:Daily Drama Express 2010/04/18 新参者 (1)  2010/05/06


===================================================== 発行部数   27 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2010/04/18 (Sun) ☆☆
======================================================================

== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
======================================================================

----------------------------------------------------------------------
1. 日曜日の連続ドラマ
----------------------------------------------------------------------
タイトル 新参者
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 日本橋署刑事        加賀恭一郎(阿部 寛)
 人形町タウン誌「ドールタウン」編集部記者 青山亜美(黒木メイ
                      サ)
 清瀬直弘の息子 劇団員   清瀬弘毅(向井 理)
 警視庁捜査一課殺人班 刑事 松宮脩平(溝端淳平)
 警視庁捜査一課殺人班 主任 小嶋一道(木村祐一)
 警視庁捜査一課殺人班 刑事 上杉博史(泉谷しげる)
 税理士           岸田要作(笹野高史)
 清瀬直弘の元妻       三井峯子(原田美枝子)
 清掃会社社長        清瀬直弘 (三浦友和)
 料亭「まつ矢」主人     枝川泰治(寺島進)
 同 女将          枝川頼子(夏川結衣)
 同 小僧          佐々木修平(石黒英雄)
原作   『新参者』東野圭吾 講談社刊
脚  本 牧野圭祐、真野勝成
主題歌  『街物語(まちものがたり)』山下達郎

あらすじ 第一話「煎餅屋の娘」

 人形町の町に、一人の刑事がやってきた。
 練馬署から転属になった日本橋署刑事の加賀恭一郎(阿部 寛)だ。
 大きな瞳で、じっとなにかを見つめる表情が特徴の背の高い男。
 町をぶらぶらと歩きながら、あちこちで大きな瞳にとまった光景を
考えるようにして、加賀は歩いていく。
「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ! 人形町名物、鯛焼きだ
よ!」
 人だかりが出来ている軒先に、景気のいい声が響いている。
 鯛焼き屋の前を通りかかり、ふと笑みを漏らした加賀。
 と、突然、大きな物音がする。一斉に人々が振り返ると交通事故。
軽トラックがガードレールに激しく衝突、大破、搭乗者の老婆が血を
流していた。
 野次馬に混じって、大きな瞳でじっと現場を見つめる加賀、何かに
気がついた様子。

 ──翌日、老婆の家・創業百五十年を数える富田人形店に、に日本
橋署の刑事と、加賀がやってくる。
 老婆は一命を取り留めたが、老婆がかわいがっていた猫が亡くなっ
た。
 身代わりになったのかもしれないねぇ、などと刑事は主人らと穏や
かに話す。
 と、加賀が死んだ猫が食べていたキャットフードをつまみ食いして
いる。
「意外といけますよ」
 と、とぼけたことを言っている。
 あっけにとられた一同だが、刑事が事故の話を整理する。
 事故現場にはスリップ痕がなかった。ブレーキをかけることも、ハ
ンドルを切ることもしなかった。つまり、居眠り運転が原因だという
のだ。
 加賀が唐突に話の腰を折る。
「ちなみに、お婆さんには妙なクセがあったそうです。猫のえさをつ
まみ食いするというクセが」
 何の話をしているのかと、怪訝な表情を浮かべる一同。
 そのクセを、人形屋の妻は知っていたはずだと指摘する。病院の常
連が、お婆さんが猫のえさを食べるのを、妻が気味悪そうに見ていた
と言っていたそうだ。
 妻は否定する。
 が、加賀は空になった猫の餌の缶を突き付ける。缶の底には穴が開
けられていて、何かを混入した跡が……。
「……人間があれほどまでに眠くなる量の睡眠薬です。猫には致死量
だった」
 どういうことだ! と、立ちあがる主人に、刑事が説明する。
 実は、人形店は経営が思わしくなかった。そこで、店を畳んで跡地
にマンションを建てるという計画があったのだ。しかし、お婆さんが
頑として認めなかった。
 そこまで言うと、主人の顔色が変わり、妻をじっと見つめた。
 ……お前、まさか……。
 妻はヒステリックに叫ぶ。
「あなただって、こんな店、もう子どもにも継がせられないって、店
は畳まなくちゃダメだって! でも、でも、私は私に懐かなかった猫
を殺したかっただけなの。お婆さんが、猫の餌を食べるクセなんて知
らなかったから……」
 それを聞いて、加賀は小さくため息をつきながら言う。
 お婆さんは、全てを察して、息子夫婦を庇うために「自分は猫の餌
をやっていない」と言い張っているというのだ。
 妻は泣きながら、全てを白状するのだった。

 連行されていく妻を見送りながら、刑事は加賀に聞く。
「……着任早々お手柄だが……なぜわかった?」
 加賀はいう。
 猫は人目を避けて死ぬもの。それなのに、あの猫はそうではなかっ
た。だから、毒殺されたのだと思ったのだ。
 感心した刑事と一緒に歩き出す加賀。
 が、突然、鯛焼きやに寄りたいと言い出す。なぜ、あの鯛焼き屋に
行列ができるのかが、気になって仕方がないから、と。
 刑事は、笑って加賀の肩を叩く。
「キミ、食べたことないの?」
「はい、新参者、ですから……」

 甘酒横町にある煎餅や「あまから」の一人娘・菜穂(杏)は、パリ
へ美容師研修の留学が決まってはしゃいでいた。喜び勇んで家に戻っ
てくると、退院したばかりの祖母・聡子(市原悦子)が、もう店先で
働いている。
 無理をするなと止める菜穂。だが、頑固な聡子はヘリクツをこねて
口げんかをする。
 と、そこへふらふらとあちこちの様子を見て回っていた加賀が入っ
て煎餅を買っていく。

 マンションの一室で、女が殺される。
 警視庁捜査一課殺人班主任の小嶋一道(木村祐一)らが、現場に駆
けつけて警視庁の捜査一課の指揮で捜査が始まる。刑事の上杉博史
(泉谷しげる)、同じく松宮脩平(溝端淳平)もかけつける。
 被害者は三井峯子(原田美枝子)。二ヶ月前に小伝馬町に引っ越し
てきた。死因は絞殺。
 現場の検証が始まる。現場からは被害者の物でないボタンがひとつ
発見された。
 現場に置いてあった名刺、さらに被害者宅から出てきた男、人形町
を担当する保険営業マンの田倉慎一(香川照之)が参考人に指定され
る。
 松宮は、従兄弟の加賀とコンビを組んで回ることになる。

 さっそく、田倉のもとを訪ねた加賀と松宮。
 保険営業マンの田宮は警察署で事情徴収に応じる。
 事件当日……五時半には、峰子のマンションを出て、そのあと煎餅
やの「あまから」で、祖母・聡子の入院給付金の申請書類を受け取っ
た。その書類を、会社の事務の女の子に渡してから六時半前には退社。
それから、趣味の剣道をやりに道場へ行った……。
 しかし、会社の事務の女の子は、田倉が出ていったのは六時前だと
証言をしていた。
 死亡推定時刻は、六時から六時半の間。田倉には、その三十分の間
の証明がなにもない……。
 さらに、加賀は田倉に尋ねる。
「あまから」で入院給付金の申請を受け取ったと言うが、祖母・聡子
は元気そうにしていた。本当に祖母の物だったのか?

 峰子の元夫だった清掃会社社長の清瀬直弘(三浦友和)の元にも刑
事が訪ねていく。
 清瀬は、離婚後の峰子のことはほとんど何も知らない清瀬。峯子が
どこに住んでいて、どこで死んだかもしらなかった。
 息子はどこに行ったからしらないか、と訊ねる刑事に、音信不通で
幾重不明だと答える清瀬。
 清瀬は、秘書の証言でアリバイも証明された。

 鯛焼き屋に並んだ加賀と松宮。
 そこへ、鯛焼きやから出てきた人形町タウン誌「ドールタウン」編
集部記者・青山亜美(黒木メイサ)が、加賀に声をかける。
 大学の茶道部の先輩、後輩の間柄だった。が、亜美は加賀になにか
含むところがありそうだ。

 次に、煎餅やの「あまから」を訪れた、加賀と松宮。
 田倉が、入金給付金の申請書を受け取りにやってきた時間を訊ねに
来たのだ。
 たしかにその日、田倉はやってきていて、五時半から六時の間に会
っている。
 ほかに、何か変わったことがないかを訊ねる松宮。
 そういえば……と、菜穂は、田倉のコートの袖のボタンが取れてい
たことを思い出した。 しかし、松宮が現場に残されていたボタンの
件を先にバラしてしまった。
 菜穂は田倉をかばって、「別にボタンは取れていなかった」とウソ
をつく。
「あまから」は長い間、ずっと出入りをしていた田倉と家族のような
付き合いをしてきた。町内会の餅つきにも参加し、菜穂の進学や進級
のお祝いをしてくれたり……。
 だからこそ、祖母の聡子も、娘の菜穂も田倉を信じていた。

 加賀は、「あまから」と田倉のつながりに、なにか腑に落ちないも
のを感じていた。
 なにかをかばっているような、ウソをついているような。
 加賀の信条に「ウソは真実の鑑」という言葉があった。ウソをつく
ということは、その裏に隠したい真実がある。そのウソを、加賀の瞳
は見付けていたのだ。
 加賀は「あまから」をひとりで訪問する。
 店で、煎餅を焼いていた祖母の聡子と話し込む。人なつこい聡子は、
売り切れてしまった「あまから煎餅」の代わりにと、別の煎餅を勧め
たり、新しく焼いてやろうとする。が、加賀が田倉を疑っていると知
って、急に不機嫌になる。
 そこへ、菜穂が帰ってきて、身体が悪いのに働いている聡子を、
「とっとと休んでろ」と店先から追い払う。

 加賀は「あまから」を向かいの喫茶店から監視していた。
 それを見付けた菜穂は、カッとなって喫茶店に入って加賀を問い詰
める。
 しかし、加賀は別に「あまから」を見張っていたわけじゃない、と
言う。
「あまから」の前を通り過ぎていくサラリーマンたちだが、左から歩
いてくるサラリーマンたちはコートを手に持っている。右から歩いて
くるサラリーマンたちはコートを着ている。同じところを歩いている
のに、どうしてそうなのか?
 何を言っているのかよくわからない菜穂に、加賀は種明かしをする。
 右手には、オフィス街がある。
 オフィスから出てきた人たちは、暖房の効いた部屋から外へ出るの
で寒いのでコートを着る。反対に、オフィスに戻っていく人たちは、
外を歩き回って暑くなってコートを脱いで戻っていく。
 加賀は、笑みを浮かべて菜穂を残して喫茶店を去っていった。

 田倉は仕事を終えてから、趣味の剣道をするために道場で着替えを
していた。
 と、隣に座る男が居る。
 みると、それは剣道着姿の加賀。驚く田倉に「勝負しませんか」と
加賀は持ちかける。
 こんなところまで追いかけられて、その上、絡むのはごめんだ。田
倉は断る。
「また、逃げるんですか?」
 加賀は田倉を挑発する。田倉は応じ、二人は竹刀を交える。
 田倉の攻撃はことごとく外され、加賀にしたたかに打ち据えられる。
 加賀が誘うように両手を大きく振り上げて上段に構えた。田倉は捨
て身で、加賀ののど元に突きを入れる。決まったか──。
 が、加賀はするりと交わし、態勢の崩れた田倉に厳しい面打ちを決
める。
 肩で息をする田倉が、加賀に問う。
「……剣道は何段ですか?」
「六段です。……ちなみに、全日本学生チャンピオンでした」
 涼しい顔で言って去っていく加賀。田倉は呆然と見守る。

 翌日、田倉を尾行していた松宮は、田倉のコートからボタンが取れ
ていて、新しいボタンを雑貨屋で購入しているところを目撃する。
 現場に落ちていた犯人のボタンと、田倉のコートのボタン。
 松宮は田倉への疑いを濃くし、菜穂に餞別を渡すために「あまから」
を訪れていた田倉に任意同行を求める。
 そこへ現れた加賀。
「田倉さん。あなた、ウソをついていますね……」
 加賀は田倉がついていたウソを、解き明かしていく。

 田倉は「あまから」で申請書を受け取って、六時過ぎに会社に戻り、
六時半に剣道場へ行ったと証言していた。が、会社についていたのは
六時。剣道場にやってきたのは六時半。その三十分の間に殺人事件が
起こっていた。だからこそ、アリバイが証明できずに疑われていた。
 しかし、田倉は「あまから」についたとき、コートを着ていた。
 店の前を通るサラリーマンたちと一緒で、田倉はオフィスから出て
きた後だったのだ。
 田倉は一度会社に行って、申請書を提出。そのあとで、「あまから」
によってもう一枚の申請書を受け取っていたのだ。
 ……どういうこと?
 田倉を見つめる菜穂。
 加賀は言葉を続ける。
 実は、祖母の聡子の病気は治っていなかった。それどころか、末期
の胆のうガン。余命はあと数カ月だったのだ。
 しかし、これからパリへと留学する菜穂に心配をかけたくなかった。
だから、ウソの診断書を作り、田倉に渡すことで菜穂に「もう治った
んだ」と安心させようとした。
 外回りから戻ってきた途中で「あまから」へより聡子の息子・文隆
(小林隆)から本物の診断書を受け取る。会社で申請の手続きをして、
帰りにもういちど「あまから」へ寄って、ウソの診断書を菜穂から受
け取った。だから、会社を出た時間と、剣道場へついた時間に三〇分
のタイムラグができてしまったのだ。
 医者からの証言と、聡子の息子・文隆(小林隆)から受け取るため
にからの証言でそれはハッキリした。
 聡子はパリから戻ってきたら、いないかもしれない──。
 菜穂は泣きながら、パリ行きを辞めると言い出す。が、聡子が憎ま
れ口をたたきながらも本心では菜穂を応援していた。子どものころ、
ずーっと「頭がよくなる」とおまじないのように作っていたザラメを
つけた煎餅「あまあま」を、パリへ行く菜穂のために、無理を押して
作っていたのだ。
 きちんと修行をして、必ず一人前になって帰ってくるから……。
 泣きながら、菜穂は聡子と抱き合うのだった。

 ──田倉の容疑は晴れた。
「いったい、どうして自分が犯人じゃないとわかったんですか?」
 怪訝な表情で訊ねる田倉に、加賀は苦笑しながら言う。
 剣道の試合のときに、田倉は最後、加賀の首を狙って突きを出した。
 もし、首を絞めて殺したという犯人であったならば、犯罪者心理と
しては、首を狙うのをためらうものだ。だから、田倉は犯人じゃない
と確信したのだ、と。
 呆れると同時に、加賀の真実を見抜く目を信用した田倉は、被害者
の峯子との契約内容について打ち明ける。
 それは、自分が死んだら、全く赤の他人に保険金が下りるという内
容だった──。



寸  評  予想をしっかり裏切る展開と、わかりやすい解説、なるほどとう
ならせる伏線。
 ああ、東野圭吾っぽい、と感心してしまいました。一番最初の、鯛
焼きのシーンが、あとで絡んでくると言うのも、憎い伏線です。
 それに、今回出てきた役者さんがとてもいいですね。主人公役の阿
部寛はもう定評のあるところで、さらに田倉役の香川照之がすごくい
い演技でした。
 次回も楽しみです。

執 筆 者 畑中ヒロ()

----------------------------------------------------------------------
2. 編集後記
----------------------------------------------------------------------
 『放課後』『秘密』『さまよう刃』『容疑者Xの献身』……。東野圭吾の作
品って、何気にけっこう読んでいたりします。話題になる本が多いですし、な
んといってもミステリの第一人者。
 今回、『新参者』が原作のドラマを担当させていただき、実に楽しみです。
(畑中ヒロ)

======================================================================
発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。
(http://www.mailux.com/)
======================================================================

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。