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タイトル:Daily Drama Express 2010/02/08 コードブルー2 (5)  2010/02/16


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2010/02/08 (Mon) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.月曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 月曜日の連続ドラマ
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タイトル コード・ブルー −ドクタヘリ緊急救命− 2nd season
局  名 フジテレビ系
放映日時 月曜21時
キャスト 藍沢耕作(山下智久)  (フライトドクター候補生)
 白石 恵(新垣結衣)  (フライトドクター候補生)
 緋山美帆子(戸田恵梨香)(フライトドクター候補生)
 冴島はるか(比嘉愛未) (フライトナース)
 藤川一男(浅利陽介)  (フライトドクター候補生)
 田所良昭(児玉 清)  (救命センター部長)
 森本忠士(勝村政信)  (フライトドクター)
 梶 寿志(寺島進)   (パイロット)
 西条 章(杉本哲太)  (脳外科医)
 三井環奈(りょう)   (フライトドクター)
     橘 啓輔(椎名桔平)  (フライトドクター)
脚  本 林宏司
主題歌  Mr.Children「HANABI」

あらすじ 第5話「愛する人」

 医者は患者を治すために、あらゆる知識と経験を尽くす。患者を死
の淵から救い出そうとして。それでも知る、助けられないことがある、
と。

 悟史(平山浩行)の衰弱が激しくなってきて、しゃべるのも苦しげ
になった。
「今、SPO2(血中酸素濃度)は、いくつ……だ」
 切れ切れと悟史ははるか(比嘉愛未)に聞いた。
「89よ」
 はるかは静かに答えた。
「そうか……そろそろか」
 医者である悟史には自分の病状を理解できている。90を切れば意
識がなくなり、死に至る。
「運ぶわ、個室に……」
 はるか悟史の動かなくなった手をしっかりと握りしめた。個室に移
すということは、家族を呼んで最期の別れをすることに他ならなかっ
た。

 悟史が個室に移ったと知って、耕作(山下智久)、恵(新垣結衣)、
美帆子(戸田恵梨香)、一男(浅利陽介)はみな駆けつけてきた。す
でに橘(椎名桔平)とはるかが医療器具を備え付け始めていた。当直
は耕作と恵だった。明日の出動要請を考えて、橘は美帆子と一男に帰
るよう指示したが、2人とも最後まで立ち会いたいと申し出た。

 連絡を受けて悟史の両親がやって来た。橘は朝まで持つかどうかの
状態であることを説明し、延命治療もしないことをしないことを改め
て伝えた。

 そこへ上野未来(杉山優奈)という7歳の女の子が重傷を負って搬
送され、耕作が対応に走った。女の子は意識がはっきりしており、犬
のぬいぐるみを大事そうに抱えていた。看護師が放させようとすると
頑なに拒んだ。
「いい、後で話を聞くから」
 耕作は無理に取り上げるのを止めた。
 西条(杉本哲太)に来てもらい、脳を診てもらったところ、硬膜外
血腫が見られた。西条は経過観察でいいだろうと言ったので、様子を
見ることにした。報告を受けたところ、未来は児童養護施設に預けら
れているという。

 未来の処置が終わり、容態も落ち着いてきたので、耕作は声をかけ
た。
「いくつだ?」
「さっき言った。7歳」
「違う、その子だ」
 耕作は犬のぬいぐるみを指差した。
「……4歳」
 未来は耕作をぱちくりとした目で見た。

 悟史の個室には学生時代の仲間が次々と訪れ、人望の大きさをうか
がわせていた。そんな様子に悟史の両親は悟史が自分たちの誇りだと
感じていた。

 未来が犬のぬいぐるみを抱えて当直の耕作のもとにやって来た。
「3分だぞ」
 そう言って耕作は座らせた。
「先生はどうしてジョンを取り上げないの?」
「だって大事なものだろ」
 すると未来はケガした理由を話し始めた。友達とケンカして、ぬい
ぐるみをバスから投げ捨てられてしまったこと。そしてそれを探しに
施設を飛び出して転んでしまったこと。
「なんでジョンて言うんだ?」
 耕作は差し障りのない話を続けた。
「飼ってた犬。死んじゃった……」
 未来は寂しそうだったが、時折笑顔も見せはじめた。耕作も両親が
いないと話すとジョンを貸してあげると言った。
「もう3分たったぞ」
 耕作は未来の頭をなでて、ベッドに戻らせた。

 朝が明けた。悟史の意識ははっきりしていて、はるかにSPO2の
数値を尋ね、はるかはその都度答えた。医者としての自負が悟史に自
分で自分を処置させる態度に向けさせるのだろう。
「母さん、父さん、俺、親孝行、何も、できなかった……ありがとう」
 悟史は虚ろな目で言った。SPO2が80を切った。悟史は苦しげ
にうめいた。酸素を増やしてやれば楽になるが、息を吐く力が弱まっ
ているので、体内に二酸化炭素がたまってしまい死期を早めることに
なる、と橘は説明した。

 悟史がはるかを呼んだ。はるかがそばに寄ろうとしたところ、ドク
ターヘリ要請が入った。はるかは迷いを見せたが、心を鬼にして出動
した。

 悟史のSPO2はみるみる下がっていき、30を切った。恵は管制
室に行きはるかが戻って来る時間を聞いた。あと5分という回答に恵
はいても立ってもいられなかった。そこへ耕作がやって来て、マイク
を手にした。
「冴島、聞こえるか?田沢さんが亡くなった、たった今……。残念だ」
「……わかり、ました」
 はるかはそう答えるのが精いっぱいだった。

 戻って来たはるかは、悟史の遺体と面会したが、涙は見せなかった。
看護師として両親に一礼し、悟史の手をそっと握ると、またすぐに仕
事へと戻った。

 恵はデスクに戻り、病理解剖の同意書の作成にかかったが、はるか
や両親のことを思うと決断がつかない。
「何ためらっている。ALSは特定疾患、病理解剖をすすめるのは大
学病院の義務だ」
「それはわかっている」
「もし俺なら、解剖を希望する」
 悟史も同じ思いだろう、そんな風に言っていた。

 未来の硬膜外血腫が大きくなり身体に麻痺症状も出始めたため緊急
オペを行うことになった。未来はジョンを放そうとせず、看護師の手
を焼かせた。
「これからしばらく眠ってもらう。その間ジョンは一人ぼっちだから
先生が見ているよ」
 口調はぶっきらぼうだったが、未来はジョンを放した。耕作は手術
室の傍らにジョンを置いてオペに入った。

 悟史の病理解剖が行われ、恵は両親の前で説明した。脊髄、横隔膜、
脳などあらゆる部位に委縮が見られたことを数値で説明した。両親は
すすり泣きながら聞いていた。
「これはただの数値ではありません。田沢さんの生きた姿です。入院
中は隣の患者に週手術を受けさせることを決心させ、最後まで冷静に
SPO2を聞いて、医師として死んでいった。立派な方です」
 恵はゆっくりと丁寧に話した。
「そんな、立派な人生でなくてよかった。ただ元気で生きてさえいて
くれれば」
と父親は言った。しかし少し穏やかな口調になっていた。

 オペが終わって、未来の意識が戻った。
「ジョンは?」
 耕作はジョンを手渡した。とれそうになっていた腕の部分には包帯
が巻かれていた。
「一緒に治しておいた。じっとしていれば治るのも早い」
 未来は嬉しそうにジョンを抱きかかえた。
「よかったね」
 耕作はその様子を優しい眼差しで見つめた。

 悟史のお別れ会が病院内で開かれ、はるか、恵、美帆子が参加した。
両親に思い出を語ってほしいと請われ、はるかは壇上に立った。白衣
姿で微笑む元気なころの悟史の写真が掲げられているのが目に入った。
「あの、冴島と言います。看護師をしています」
 気持ちの整理がつかない様子のはるかはたどたどしくしゃべり始め
た。受験に失敗したときに親身に励ましてくれたこと、ケンカをした
こともあったけどいつも笑顔でいてくれて、いつもその背中を見て追
いかけている自分がいた、そんな思い出がはるかの脳裏に鮮やかに想
起された。
「彼はあたしの光でした。大好きでした。本当にありがとう。安らか
に眠ってください」
 はるかはそう言うとあふれる涙を抑えることができなかった。

 帰り道、放心状態でよろよろ歩くはるかを、美帆子はヘリに連れて
行って、いつも自分が座るところに座らせた。
「そこに座ると、いつもあんたの顔が見えるの。そうするとすごく安
心する。あたしがフライトでいい成績を上げるためにいてくれなきゃ
困るの」
 恵も言った。
「必要なの。あなたもあたしたちの光なの」
 そう言われて、はるかの表情に少しだけ笑顔が戻った。

 一方一男は悟史の人望の厚さに打ちのめされてしまっていた。
「夜中に大勢人が来て、お別れ会も開かれて、おまけに死んじゃって
さ、俺太刀打ちできねえよ。俺が死んでも誰も来やしないし」
 愚痴をこぼすのを聞いて耕作は言った。
「そんなことない、お前は好かれている。少なくとも俺は行く」

 未来は順調に回復し、脳外科へと移されることになった。
「ジョンがケガしたらいつでもおいで。この先生が包帯してくれるか
ら」
 環奈(りょう)が言った。
「先生は?先生は誰に包帯巻いてもらえるの?」
 すると耕作はしゃがんで未来に目線を合わせて言った。
「先生は、必要ないんだ」
「そう……」
 未来はよくわからない面持ちだったが、すぐ笑顔になって耕作に別
れを告げた。

 恵のもとにまた父親から電話が入った。会いたいという。恵が救命
を続けていることに父親は不満だった。恵はイライラしてきた。
「お父さん、あたし本物の医者を見た。お父さんのようにろくに臨床
もしないのとは大違いだわ」
 そう言うと電話を一方的に切った。

 あらゆる手を尽くしてもどうしようもないときに、その時最後にで
きることは、そうそばにいること。そばに寄り添い、その息遣いを感
じることに人は癒されることもある……。でもどうしたらいいんだろ
う、寄り添える相手がいないときは……

 耕作はとあるマンションへやって来た。絹江(島かおり)は相変わ
らず多くを語ろうとしなかった。
「あたしは今でも後悔している。なんでもっと近くにいてやらなかっ
たのだろうと……」
「わかった後はあの人に聞く」
 耕作は階段を上り、ある扉の前に立った。表札には「藍沢誠次」と
書かれていた。



寸  評  悟史の死にも淡々としたはるかを見ていて、医療関係に従事して
いると、自然と感情がロックされてしまうのだろうかとなんだか息苦
しくなりました。それなので、お別れ会で思いの丈を吐き出して、泣
けたときは正直ホッとしました。ただやはりこのエピソードははるか
にとってはひとつの転機となるところですので、はるかの大きく変わ
った姿、悲しみを乗り越えた姿を印象的に見えればよかったかなとい
う気がします。
 一方、耕作の変化は鮮烈でした。女の子に対する気遣い、技術を身
につけることだけしか頭になかった前作とは明らかに違って成長して
いる姿がよくわかりました。自分に包帯を巻く人はいらないと相変わ
らずストイックですが、このあたりもまた考えが変わって、寄り添い、
助けあうことの大切さを知っていくのでしょうか?

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 最近ショスタコーヴィチという旧ソ連の作曲家の初期の曲をよく聴きます。
ピアノ協奏曲第1番を聴いていると、これ、のだめが弾いたら面白いんじゃな
いかなと思えるようなテンポやリズムのキレを感じます。その後社会主義リア
リズムという政治的な干渉が加えられて作風がおとなしくなってしまったわけ
ですが、初期の曲を聴いているとかえすがえすも惜しまれることのように思い
ます。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
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