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タイトル:Daily Drama Express 2009/09/06 官僚たちの夏 (8)  2009/09/08


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2009/09/06 (Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル 官僚たちの夏
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 風越信吾(佐藤浩市)
 庭野貴久(堺 雅人)
 鮎川光太郎(高橋克実)
 西丸賢治(佐野史郎)
 丸尾 要(西村雅彦)
 牧 順三(杉本哲太)
 山本 真(吹石一恵)
 御影大樹(田中 圭)
 風越道子(床嶋佳子)
 風越貴子(村川絵梨)
 片山泰介(高橋克典)
 玉木博文(船越英一郎)
 池内信人(北大路欣也)
原作   『官僚たちの夏』城山三郎著(新潮文庫刊)
脚  本 橋本裕志
主題歌  コブクロ『STAY』(ワーナーミュージック・ジャパン)

あらすじ 第8話「総理の死」

 昭和38年夏。オリンピックまであと1年。池内(北大路欣也)は
国産旅客機が聖火を運ぶ姿を全国民に見せるとともに、先進国への仲
間入りへ加速させるようと玉木に指示した。太平洋ベルトライン構想
も軌道に乗り、前途洋々だった。

 事務次官についた玉木(船越英一郎)は片山(高橋克典)を重工業
局長、牧(杉本哲太)を企業局長、御影(田中圭)を電子工業課長と
して側近を固め、一層の国際化推進を掲げた。一方鮎川(高橋克実)、
庭野(堺雅人)は鉱山保安局長、鉱山保安局管理課長という閑職に追
われ、牧に企業局入りを打診されて断った山本(吹石一恵)は特許庁
に出された。

 そんな折、日本の国産YF旅客機がアメリカでの審査で不合格とな
ってしまった。たちまち国産旅客機への不安が広がっていった。オリ
ンピックまでに国産旅客機を導入させなくてはならない、玉木と片山
は焦りを覚えた。

 鮎川と庭野は石油自由化で従業員削減に追われる石炭産業の救済に
走り回っていた。従業員たちは生活のためだけじゃない、炭鉱員の数
が減れば炭鉱の安全管理が弱まり、思わぬ大事故につながると訴えた。
鮎川と庭野は玉木や牧に石炭産業への支援を求めたが、国産旅客機の
ことで余裕のない玉木や牧はそれを拒んだ。御影はコンピュータ産業
主要6社の責任者を集め、一致協力して性能改善に取り組むよう頼ん
だ。

 そのころ風越(佐藤浩市)は特許庁改革に取り組んでいた。この先
日本企業の競争力を高めるには特許申請を増やすことが重要とにらん
でいた。閑職にいても日本の発展のために尽力する姿勢は変わらなか
った。

 そんなとき鮎川と庭野がやって来て、石炭産業救済の相談をした。
玉木と片山は自由化で淘汰される企業が出てもそれが自由化の論理と
して見放していた。弱者を切り捨て強者だけが残る、通産省はそんな
雰囲気になってしまった。

 話を聞いた風越は玉木に再考するようかけ合った。だが、玉木は考
えを変えず、それどころか保護対象となっているコンピュータ業界も
自由化させると言った。

 国内コンピュータ企業による改善作業は遅々として進まなかった。
片山はIDNコンピュータを入れた方がいいだろうと御影に言った。
すでに2社がコンピュータ業界から撤退し始めていた。

 御影は風越のもとを訪ね、このままでは日本のコンピュータ業界が
つぶれてしまうと訴えた。風越は池内邸を訪ね、直談判した。
「やはりその話か。俺だって国産旅客機が国産コンピュータで飛ぶと
ころが見たい。だが期限がある。世界が注目する舞台で恥をかくわけ
にはいかん」
「ですが、このままでは日本のコンピュータ業界はつぶれます」
「……」
 熱く語る風越に、池内は感心したような風だった。
「お前は変わらんな。いつも日本の将来のことを考えて一生懸命だ。
もっとお前と話をしておくべきだったかもしれん」
 池内はそう言ってふとため息をついた。いつもの覇気が感じられな
いことに風越は戸惑いを覚えた。

 風越は石炭産業の労使紛争にも鮎川や庭野とともに取り組み、経営
側を説得し、人員削減を大幅に減らすことの言質を引き出すことに成
功した。

 続いて、風越はコンピュータメーカーの説得にも当たった。庭野は
今回の改善作業に成功したら、全社協力プロジェクトを継続し、
IDNコンピュータに対抗する新プロジェクトを立ち上げるようにか
け合うと提案した。

 風越の動きは玉木の癪に障った。玉木は池内を訪ね、IDNコンピ
ュータ導入する案を通そうとした。だが、池内の回答は意外なものだ
った。
「しかしIDNコンピュータを導入して日本に何が残る?」
「いや、これは国際化を進めてきた池内総理のお言葉とは思えません。
IDNコンピュータを導入する方が効率的なんです」
「おれは国内産業を強化するために国際化は必要としたが、何から何
まで外国製に頼るようなことを容認した覚えはないぞ」
「……」
「日本の飛行機は日本のコンピュータで作ってほしい。どっちもアメ
リカに負けない産業にしてほしい」
 池内は苦痛な表情を浮かべた。
「総理?」
「お前には無理を言ってきたが、これが最後の頼みだ」
 池内の死期が近いと玉木は知って驚きを隠せなかった。

 玉木は思い悩んだ。さらにコンピュータ企業へのIDNコンピュー
タ導入説明会に全社が出席を拒否したというしらせが入った。
「なんだと!」
「どうします、こちらから出向きますか?」
「風越じゃあるまいし、こっちが行く必要はない!」
 玉木は声を荒げた。

 そうは言ったものの、事態は改善せず、玉木は片山、牧とともに現
場を訪れた。すると御影が大喜びで出迎えた。改善作業のめどがつい
たのだという。玉木は思わずホッとしたが、作業者の中に風越がいる
のが見えた。
「風越さんがいろいろと骨を折ってくれたんです」
 御影の説明に、玉木は怒りにうちふるえて出て行ってしまった。

 国産YF旅客機は試験に合格し、聖火も無事日本へと運ばれてきた。
それを見届けた池内は自分の役目が終わったと感じ、後継に須藤(長
塚京三)に託すことに決めた。須藤とは政策でいつも食い違っていた
だけに、須藤自身は意外に感じた。
「国際化推進は終わったよ。これからは須藤君に引っ張ってもらいた
い」
 池内は日本を一流の国家にしてほしいと須藤に言った。

 街はオリンピック景気に沸いていた。貿易自由化という難局も乗り
切れた。だが玉木はさびしさを覚えずにいられなかった。この成果は
決して自分の力でなく、風越なくしてできなかったことだと。玉木は
特許庁を訪れ、オリンピック後に次官を退任し、後任を風越にするこ
とに決めたと告げた。同期から2人の次官が出た前例はないという風
越に、日本の将来のためには風越が一番ふさわしい、玉木はそう言っ
た。

 風越は池内の見舞いに訪れた。
「そんなに悪いとは思いませんでした」
 池内は穏やかな表情だった。
「次官の件は玉木から聞いたよ。世界に目を向けているうちに大事な
何かを失っていた。それをお前は持っている」

 それが池内の最期の言葉だった。翌昭和40年夏、池内は静かに永
眠した。


寸  評  これまでの回の中で一番すっきりしたというか、納得のできる話
の作りだったと思います。現在の国際化の流れからすれば、当時の諸
々の事情があったにせよ、保護貿易主義は時代遅れの逆行策に見えた
のですが、国際化が安易な外国依存に流れるという状況に歯止めをか
ける意味での産業保護という色合いになりましたので、風越の言い分
がもっともだと思えたためです。また今回は風越自身が動き回ること
で国産旅客機の問題を打開していましたので、風越が主役に収まった
話の作りにもなっていました。
 さてようやく次官になった風越ですが、来週は沖縄問題や炭鉱問題
があり、その次には石油ショックがありますので、今後はどういう手
腕を見せてくれるのか楽しみです。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 新型インフルエンザ猛威をふるっているようですね。私の職場ではまだ感染
者は出てませんが、マスク着用や手の消毒励行など対策が取られています。も
し発熱した場合はインフルエンザでなくても1週間の自宅待機になります。夏
場でこのありさまですから、今年の秋冬はどうなるのか、とても心配です。
(けん)

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