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タイトル:Daily Drama Express 2009/07/26 官僚たちの夏 (4)  2009/07/30


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2009/07/26 (Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル 官僚たちの夏
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 風越信吾(佐藤浩市)
 庭野貴久(堺 雅人)
 鮎川光太郎(高橋克実)
 西丸賢治(佐野史郎)
 丸尾 要(西村雅彦)
 牧 順三(杉本哲太)
 山本 真(吹石一恵)
 御影大樹(田中 圭)
 風越道子(床嶋佳子)
 風越貴子(村川絵梨)
 片山泰介(高橋克典)
 玉木博文(船越英一郎)
 池内信人(北大路欣也)
原作   『官僚たちの夏』城山三郎著(新潮文庫刊)
脚  本 橋本裕志
主題歌  コブクロ『STAY』(ワーナーミュージック・ジャパン)

あらすじ 第4話「黒船来襲」

 綿製品の輸出自主規制により、繊維産業は大打撃を受け、減産、リ
ストラ、倒産が相次いだ。その報道を新聞で見るにつけ、風越(佐藤
浩市)のいらだちは募った。鮎川(高橋克実)、山本(吹石一恵)も
方々の中小企業を回って化学繊維導入への着手を進めたが、倒産する
かどうかの瀬戸際でそんな余裕はないと罵倒され、途方に暮れた。

 輸出自主規制に池内(北王路欣也)は満足していた。これで
GATTの総会も乗り切れると思った。玉木(船越英一郎)は大蔵省
による金融支援を訴えた。しかし池内は聞き入れようとはしなかった。

 かくなる上はと、風越は直接須藤大蔵大臣に融資を直談判に出向い
た。
「そんなことすると君と池内大臣の関係は悪化するよ。私に近づくな
らそれなりの覚悟が必要だ」
 須藤(長塚京三)は敢えて池内に逆らうようなマネに風越の真意を
測りかねた。
「私は繊維業界救済を何よりも優先したいだけです」
「さすがはミスター通産省だな。いいだろう。各部署に融資を打診す
るよ」
 風越の歯に衣着せぬ態度を須藤は気に入ってそう言った。

 池内は意気揚揚と会議に出たが、各国は次々と日本の輸入規制によ
る保護政策を批判、貿易自由化をさらに進めることを突きつけられた。
日米安保堅持と対米協調を掲げる日本としては受け入れざるを得なか
った。

「それでは話が違うじゃないですか。輸出自主規制は貿易自由化を食
い止めるための策だったはずです」
 玉木は池内に反論した。
「アメリカにいっぱい食わされた。何か1つだけ貿易自由化に踏み出
すことでアメリカとの妥協点を探りたい」
「それを私たちに言わせるのですか?」
 片山(高橋克典)は池内が暗に繊維産業を自由化しようとしている
と知って驚いた。
「将来的には自由化するのは既定路線だ。その時期が早まるだけだろ
う」
 繊維産業は日本で一番体力がある分野だから、自由化にも耐えうる
というのが池内の言い分だった。
「悪いが、もう一度憎まれ役を引き受けてくれ」
 池内は玉木にそう求めた。

 玉木は繊維産業の自由化を局内で議論した。鮎川らは猛反発したが、
玉木は考えを変えなかった。
「国際競争を生き抜くためには、強いパートナーは必要だ」
 そう押し切った玉木に対して、繊維産業はついに玉木の自宅の前で
デモを行った。玉木は苦悩を深めた。

 風越もまた玉木に意見しにきた。自由化は国内産業が育った後にし
なければならないと風越は訴えた。だが玉木は意見を変えようとはし
なかった。
「なら悪いが、俺はお前の敵に回らせてもらうぞ」
 風越は敵対姿勢をあらわにした。

 風越は局長会議で繊維貿易自由化を討議にかけた。国内産業保護派
が多数なだけに繊維貿易自由化に流れに歯止めがかけられると風越は
思った。だが、玉木は池内を会議に参加させ、意見を述べさせた。池
内は国際化社会を生き抜くためにはアメリカとの協調は不可欠と言い、
もう一度議論の場を設けてほしいと言ったため、貿易自由化凍結は決
まらなかった。

 とはいえ、大勢は変わらずと風越は楽観し、須藤に融資を頼みこん
でいた。しかし須藤は言った。
「池内大臣の動きに気をつけろ」
「どういうことです?」
「多数派工作は政治家の十八番だ」

 2回目の局長会議は前回と打って変わって、白熱した討論になった。
風越は池内が何人かの保護派の局長を取り込んだと知って苛立ったが、
どうにもならなかった。そのまま議論はこう着状態に陥り、採決に移
った。結果は5対5で結論は出ない。
「ならばみんなが納得いくまで議論をしようじゃないか」
 池内がそう提案した。

 議論の結果として、将来的には自由化は必要との認識は全員一致し
た。
「なら自由化は3年後実施で納得してくれないかな?」
 池内は風越に言った。その間に立て直しができるだろうと。だが風
越はあくまで反対しようとした。しかし池内はそれを制した。
「その代りに俺も2つ約束する。繊維業界への金融支援を必ず実施す
る。そして日本を豊かで幸せな国にする」
「……」
「お前も歩み寄れ。総理が納得できる回答を持ちかえられなければ、
俺は辞任する」
「それは恫喝と同じじゃないか!」
 辞任を持ちだすことで同情論を引き、自分の要求を通そうとしてい
る池内に風越は食ってかかった。だが池内は落ち着き払っていた。
「お前の言う通りだかもしれん。だが俺も国家を背負ってここに臨ん
でいる」
「しかし……」
 なおも口を挟もうとした風越だったが、柏原次官が止めた。
「もういいだろう。大臣の御覚悟を受け入れよう。大臣の譲歩案であ
れば私は賛成に回る」
 こうして、3年後の繊維貿易の自由化が決まった。
 憮然としている風越に池内は言った。
「これからも俺はお前を必要としているからな」
 風越は敗北感に打ちのめされた。

 池内は確かに金融支援を働きかけた。だが、池内はその額を最低限
に抑え込んだ。次期総理の対抗馬である須藤を封じ込めるため、自分
の息のかかった大蔵OBを使って工作したのだ。
「くだらねえ!」
 風越は政争の道具にされたと知って憤った。だが、池内はそれをあ
ざ笑うかのようにさらなる手を打っていた。

 風越の耳に飛び込んできたのは、3年後の貿易全面自由化だった。
もはや風越に巻き返す余地はなかった。そして昭和35年7月、池内
が第38代内閣総理大臣へ就任した。
 池内は東京オリンピックまでに所得を倍増させると公約し、須藤を
通産大臣に据えた。

「なんとか池内さんを止めなくてはなりませんね」
 鮎川と庭野(堺雅人)は風越に言った。
「法律だ、日本独自の産業を守る法律を作ろう」
 風越は力強く言った。そんな中、フランスで産業保護法案を学んで
いた牧(杉本哲太)が帰国した。

寸  評  貿易の自由化をめぐる闘争は非常に見ごたえがありました。けれ
ど風越を主人公とした視点で見ると、何ともつまらない話になってし
まいます。池内と違ってまっすぐで一生懸命なのはわかるのですが、
やはりきれいごとを並べているだけにすぎないので、重みを感じませ
ん。現代が貿易自由化という結果になっていることからも風越が時代
遅れのことをしているように見えます。デモが自宅まで押し寄せてく
る中で苦悩する玉木や、泥をかぶってでも国家のために決断する池内
の方がドラマとして見ごたえがある気がします。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 新型インフルエンザ、おさまったかと思っていたら、私の住んでいる街にも
ついに感染者が出たとかでちょっとした騒ぎになっています。この分だとこの
冬は大変なことになりはしないかと恐々です。(けん)

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