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タイトル:Daily Drama Express 2009/07/19 官僚たちの夏 (2)  2009/07/24


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2009/07/19 (Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル 官僚たちの夏
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 風越信吾(佐藤浩市)
 庭野貴久(堺 雅人)
 鮎川光太郎(高橋克実)
 西丸賢治(佐野史郎)
 丸尾 要(西村雅彦)
 牧 順三(杉本哲太)
 山本 真(吹石一恵)
 御影大樹(田中 圭)
 風越道子(床嶋佳子)
 風越貴子(村川絵梨)
 片山泰介(高橋克典)
 玉木博文(船越英一郎)
 池内信人(北大路欣也)
原作   『官僚たちの夏』城山三郎著(新潮文庫刊)
脚  本 橋本裕志
主題歌  コブクロ『STAY』(ワーナーミュージック・ジャパン)

あらすじ 第3話「大臣との対立」

 昭和34年、経済成長の牽引役は繊維産業であり、アメリカへの輸
出は加速的に伸びていた。それが日米繊維問題を引き起こすことにな
った。

 3たび通産大臣に就任した池内(北大路欣也)は経済の国際化、す
なわち国際協調主義を持論としていた。その結果、通産省の人事はが
らりと変わった。

 前園次官が退任して大東製鉄副社長へ天下りし、柏原新事務次官が
就任した。企業局長には丸尾(西村雅彦)、丸尾の後任の重工業局長
には風越(佐藤浩市)に決まった。そして懸案の繊維局長は玉木(船
越英一郎)に決まった。さらに片山(高橋克典)も綿業課長になった。

「待ってください。国際派で親米主義の玉木ではアメリカの要求を受
け入れかねません」
 丸尾は反対した。
「玉木は風越とともに1ドルブラウス輸出を成功させた実績がある」
 前園はそう言って丸尾の意見を斥けた。
「まさか池内大臣の意向ではありませんよね?」
 風越は池内が玉木を繊維局長にしたと考えた。
「馬鹿なことを言うな。これは私の考えだ」
 前園は即座に否定した。風越はそれ以上口を挟むのを控えたが、前
園の言動に裏があると思えた。そこで、庭野(堺雅人)を大臣秘書官
にすることに決めた。言うなれば池内のスパイだ。鮎川(高橋克実)
も繊維輸出課長にして玉木の監視とした。

 風越の推測は当たっていた。しばらくすると西丸(佐野史郎)が極
秘情報を持ってきた。前園前事務次官の天下り先大東製鉄が帝都銀行
の融資を受けて息を吹き返したというのだ。前園と帝都銀行にパイプ
はない、いったい何が?風越は首をひねった。
「大蔵省が仲介に動いたらしいですよ」
 西丸は声をひそめた。やはり何かある。
 昭和34年7月、駐米大使が官邸を訪れた。日米安保保障条約の改
定のためだ。風越はその動向を注視していたが、池内は大事な会議に
は庭野を出席させず、なかなか情報が集まらなかった。

 そうしているうちにアメリカ政府は、正式に綿製品輸出の自主規制
を求めてきた。玉木は鮎川ら関係職員を集めて会議を行った。
「私はこの要求を真摯に受け止めるべきだと思う」
 玉木はそう切り出した。
「私は断固反対です!」
 鮎川は真っ先に反対した。アメリカへの輸出を見越して設備投資し
てきた企業はどうなる?これから回収に向かうところではないかと。
多くの企業が苦労してきているのだ。
「そんなことしたら、アメリカは貿易の全面自由化を持ちだしてきま
すよ。そうしたら日本全体が打撃を受ける」
 片山は鮎川の意見を否定した。
「そのとおりだ。自主規制に向けた対応を考える必要がある」
 玉木も同意した。
「外圧に屈して、国内企業を苦境に陥れるなんて!」
 鮎川はなお抵抗した。国内企業を見捨てるのか、現場をよく視察し
ている鮎川には納得がいかなかった。
「そんな理屈は通らない。時代はどんどん変わっている」
 玉木も片山も耳を貸さなかった。

 さらに庭野も池内が1年後の自主規制を考えていることを知らせて
きた。
「そんなことをしたら、国内企業は壊滅だ」
 風越は唇をかむ思いにとらわれた。
「この国はなにもかもアメリカのご機嫌をとらないと生きていけない
のか!」
 温厚な鮎川が珍しく怒りをあらわにした。
「そんなことはない。この国には勤勉で優秀な国民がいる。彼らは日
本の宝だ。彼らを守ることがこの国を豊かにすることなんだ」
 風越も到底納得できないことだった。

 そこへ西丸がまた極秘情報を持ってきた。大東製鉄に帝都銀行が急
に融資し始めたのは、玉木と片山を繊維局に押し込む条件として、池
内が便宜をはかったものだという。やはり……。風越は裏に池内がい
たことを知って苦虫をかみつぶしたような表情になった。池内は自分
のやりやすいように玉木と片山を使っている。

 鮎川は山本(吹石一恵)とともに、1年後自主規制したらどれだけ
の企業が倒産するかをシミュレートしたレポートを玉木に提出した。
「こんなにもか……」
 びっしりと埋まった企業名を見て、玉木も言葉に詰まった。
「国際協調も大事ですが、アメリカの要求を受け付けることは危険で
す」
 そう聞いて玉木も考え直すようなそぶりを見せた。だが片山が即座
に口をはさんだ。
「しかし時代はすでに化学繊維に移り始めている。見切りをつけるい
い潮時です。通産省が化学繊維導入を推進すべきです」
「そんなに早く対応できる企業ばかりじゃないぞ!」
 鮎川は食ってかかった。だが片山は冷笑するだけだった。

 風越は池内に直談判した。自動車やテレビも輸入自主規制して国内
産業を保護している。綿製品も同じように扱うべきだと。
「風越、今は東西冷戦真っただ中、日米安保条約の継続は不可欠だ。
国を守ってもらう以上、アメリカへの譲歩も必要だ」
「日本の繊維産業を犠牲にするつもりですか?」
「俺だって悔しい……」
「せめて3年の猶予をいただきたい。そうでなくては国内企業はがた
がたになります」
 風越は譲歩した。池内は精一杯のことはすると約束した。風越は玉
木にも直談判した。玉木も風越の言い分は尊重すると約束した。

 だが、事態は急転した。アメリカが輸入規制法案を国会に出したと
いうのだ。
「自主規制しろという脅しですよ」
 片山は皮肉っぽい笑みを風越に向けた。

 もはや猶予はなかった。選択肢は2つと池内は玉木に言った。
「日本を守るために繊維業界に泣いてもらうか、アメリカと喧嘩して
日本産業全体を危機に陥れるかだ。もう迷う時間もない」
「……」
 玉木は何も言えなかった。鮎川と山本のレポートを読み、多数の繊
維企業が潰れるのを非情な態度で見過ごすのに躊躇があった。
「腹をくくれ、玉木」
 池内は鋭く言った。

 玉木は鮎川、片山らを集めて言った。
「来月1日より自主規制を行う」
「た、たった2週間で?そんなの断じて認められません!」
 鮎川は反論した。だが、玉木はアメリカの要求は予想以上にきつく、
こうする以外にないと言うばかりだった。
「そんなことしたら、アメリカへの隷属外交だと言われるだけです
よ!」
 鮎川は食い下がった。
「だったらあなたがたにアメリカを説得することができるんですか!」
 黙っている玉木に代わって、片山が反論した。
「だからといって……・」
 鮎川は到底承服できない、だが片山の言うこともその通りだった。

 玉木は局長室に戻ると酒をあおった。玉木自身も無念さをこらえて
いた。そこへ風越がやって来た
「いくらなんでも来月実施はないだろう」
「拒否すればもっとひどい事態になることをどうしてわかってくれな
いんだ。これは池内大臣とともに熟慮して決めたことだ」
「俺たちは大臣に雇われているんじゃない、国民に雇われているん
だ!」
「俺だって国民のことを思っている。いろいろ考えて、流れる血がも
っとも少ない道を選んだんだ!」
「お前の決断で多くの企業の従業員が路頭に迷うんだぞ」
「局長は俺だ」
「……俺は残念だよ」
 風越は失望しきった表情を浮かべた。

 通産省には決定を聞いた繊維業界関係者が抗議行動を起こした。鮎
川は対応に追われた。
「通産省は俺らを殺す気か!」
「申し訳ございません、申し訳ございません」
 鮎川は何度も頭を下げた。

 そんな光景を目の当たりにして、風越は前園の天下りが鉄鋼業界の
利益のために行われ、その結果繊維業界を苦境に追い込んだと思い、
心の痛むのを覚えざるを得なかった。

寸  評  ちょっと風越はずるくないでしょうか。繊維局の外にいて、きれ
いごとを並べ立てているだけのような気がしてイライラしてしまいま
した。鮎川が繊維業者の罵声を浴びているところにも出ていかないで、
玉木や前園を口で批判しているだけなのも見ていて嫌でした。
 それに対して、玉木や池内はドラマティックでした。彼らとて繊維
産業を守りたい気持ちがあるのを苦渋の思いで切り捨てる。誰に文句
を言うわけでもなく、自分の決断と責任と受け止めているところも風
越とは違っていましたし。主役のキャスティングを間違っているので
は?と思いました。それとも来週風越が鮮やかな切り返しを見せてく
れるのでしょうか。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 会社でエコキャップ運動というのがあります。ペットボトルのキャップ
800個で伝染病か何かのワクチンが1本作れるという話です。そんなに集ま
るのかなあと思って見ていたのですが、これが意外に集まります。50人程度
の執務室でも1週間もあれば800個は軽く超えます。それだけみんな毎日何
本も飲んでいるということなのです。(けん)

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