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タイトル:Daily Drama Express 2009/07/12 官僚たちの夏 (2)  2009/07/13


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2009/07/12 (Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル 官僚たちの夏
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 風越信吾(佐藤浩市)
 庭野貴久(堺 雅人)
 鮎川光太郎(高橋克実)
 西丸賢治(佐野史郎)
 丸尾 要(西村雅彦)
 牧 順三(杉本哲太)
 山本 真(吹石一恵)
 御影大樹(田中 圭)
 風越道子(床嶋佳子)
 風越貴子(村川絵梨)
 片山泰介(高橋克典)
 玉木博文(船越英一郎)
 池内信人(北大路欣也)
原作   『官僚たちの夏』城山三郎著(新潮文庫刊)
脚  本 橋本裕志
主題歌  コブクロ『STAY』(ワーナーミュージック・ジャパン)

あらすじ 第2話「テレビの時代」

 昭和30年代、日本はテレビの将来性を見越し、多くの企業が開発
を競っていた。
「テレビ開発に参入する企業が多すぎる!」
 テレビは丸尾局長(西村雅彦)頭痛の種だった。こんなに多くては
十分な支援や指導ができず、テレビ価格値下げによる庶民への普及は
一向に進まない。
「やはり参入企業を絞るべきでしょう」
 風越(佐藤浩市)はそう提案した。
「どう選別するんだ?」
「大量生産能力、流通販売能力、故障への修理対応能力です」
「わかった。ただこの件はお前にも責任を背負ってもらうぞ」

 風越は各課長を集めてテレビに関する外国の特許使用権を30社に
とどめると言った。
「そんなことをしたら中小企業はどうなるんですか?」
 否定的な意見が相次いだ。
「いや今はいかにテレビを普及させるかが大事だ。各社協力のもとで
業界を再編させる」
 風越をそう言いきった。
 無論風越に異論はない。

 こうして30社が発表されたが、庭野(堺雅人)の表情は曇った。
大沢無線という懇意にしている会社がリストに残らなかったのだ。技
術力は確かなもので、社長は熱意にあふれる人だ。その社長を裏切る
ような形になったのだ。

 風越は参入30社に対して、14型の小型テレビを5万円台で売り
出すよう指示した。各企業からは大反発が上がった。1台10数万円
のテレビ、平均年収20万の時勢では高すぎと言われても、それは
7割にものぼる贅沢物品税が大きな要因だったからだ。
「大蔵省はうちが責任を持って説得します。そして外国産のテレビの
輸入も止めます。私はこれを機に各社の提携合併を進めて業界を再編
すべきだと考えます!」
 風越のいきなりの説明に各企業は大いに驚き、猛反発した。いくら
なんでも性急すぎる。鮎川(高橋克実)や庭野もそこまで言うのは勇
み足だと思ったほどだ。だが、風越はいずれそうなるのだからと意に
介さなかった。

 昭和31年暮れ、テレビより先に冷蔵庫が大幅に値下がりし、爆発
的な売れ行きとなった。一方でテレビの普及は難航した。大蔵省は物
品税の引き下げに難色を示し、なかなか値下げのめどが立たなかった。
業を煮やしたテレビ局業界は通産省に対して、外国産の輸入禁止措置
を撤回するよう圧力をかけてきた。
「国内メーカーはいずれあなた方のスポンサーになるのです。どうし
て辛抱できないのですか!」
 風越は強気に言い返したものの、防戦一方だった。

 そこへ帝都銀行の山岡頭取が風越を訪ねてきた。
「テレビ参入規制は君の発案かね?なら銀行や大蔵省への根回しが必
要だろうが!」
 山岡頭取は怒鳴りつけてきた。帝都銀行は大沢無線に多額の融資を
しており、テレビ参入候補に入らなかったことに憤りを感じているの
だ。

 さらに大蔵省も通産省のテレビ普及政策に公然と反発し、新聞にそ
の記事が出た。八方塞の状態にこのままでは東京オリンピックまでに
テレビを普及させる計画がとん挫してしまう。風越は孤立無援状態に
なった。

 そんな折、池内幹事長(北大路欣也)から呼び出しが来た。アメリ
カがテレビの輸入規制をうるさく言っているのだという。
「国内企業保護の意図はなんだ?」
「日本人としての意地かもしれません」
 そもそも最初のテレビ実験を成功させたのは日本人なのに、戦後ア
メリカは通信規制の名目でテレビ研究を禁じたため、遅れをとった。
今こそ日本がテレビ先進国へ復帰すべき時だと風越は答えた。
「戦略はあるのかね?」
「アメリカは大手1社の寡占状態、いずれ来るカラーテレビの需要に
応えられないでしょう。そのとき日本企業が入り込む余地があります」
「面白い、大蔵省は私の方で何とかしておこう。その代わり日米繊維
問題で相談がある」
「それは繊維局長にご相談ください」
「いや通産省はもう君の時代だ」
「……」
 池内は言った。日本製品の急激な伸びでアメリカから圧力がかかっ
ているという
「日本は敗戦国です。再興のためには目をつぶっていただくべきです」
「自由貿易の潮流は止められん。いつまでもアメリカはお人よしじゃ
ない」
「でも国内産業には保護が必要です」
「大人になれ、風越」
 池内は失望したように言った。風越は自分の考えを押し通すばかり
で、引くことを知らない。
「無駄に敵を作るな」
 池内は釘を刺した。だが、風越は「はい」とは言わなかった。

 年末、一時帰国した玉木(船越英一郎)は片山(高橋克典)に誘わ
れ、池内幹事長の家を訪れた。片山は池内がカナダを訪れた際、その
接待をした縁で池内に懇意にしていた。

 アメリカ問題に手こずっていた池内は玉木と片山の訪問を喜んだ。
「玉木にはぜひいろいろと教えてほしいものだ」
「はい、私にできることなら」
 玉木は丁寧に答えた。
「うむ、お前たちとは話が合いそうだな」
 池内は上機嫌に言った。風越が自分の意に沿わない以上、玉木を利
用するのも一手と池内は思った。

 風越のところには、牧(杉本哲太)が来ていた。フランスをモデル
にした産業保護政策の勉強は順調らしい。
「ところで、テレビに代わる新しい有望な産業はないだろうか」
 風越は牧に尋ねた。庭野は大沢無線に業種転換を進めるつもりだっ
たが、何にすべきかがわからないでいた。
「それなら、コンピュータはどうでしょう?これは将来必ず出てくる
産業です」
 それを聞いた風越は、庭野にそれを知らせた。

 昭和32年が明けた。庭野は牧から教わった電子計算機の調査に元
旦から出勤した。山本(吹石一恵)、御影(田中圭)ら若手も出勤し
て作業にあたった。
「それが通産省ですからね」
 御影も山本も不満はない。

 大蔵省との軋轢は深まる一方で、丸尾は風越にどうなっているのか
と問いただしてきた。
「その件は庭野に任せてあります」
「大丈夫なのか?」
「庭野ならきっとやります。もしだめなら、そのときは私が責任をと
ります」
 風越は涼しい顔で応えた。庭野の日頃の努力は必ず報いられると風
越は感じていた。

 庭野は電子計算機の調査文書を持って大沢無線に出向いた。
「こんなもんでだまされるかっ!こっちはテレビにすべてをかけてき
たんだ」
 社長は庭野が徹夜で仕上げたドキュメントを床にたたきつけた。
「私も社長の日々の企業努力に応えようと必死に考えてきました。お
願いします!」
 庭野は粘った。社長は無言だったが、ドキュメントは受け取った。

 こうした一つ一つの努力が実を結び、ついに14型テレビが5万円
台で売れるめどがついたという報告が入って来た。
「来たか!」
 風越は待ちに待った時が来たと喜んだ。あとは大蔵省を説得できさ
えすれば……。とにかく1歩前進だ。

 庭野も参入から外れた企業を集めてコンピュータ産業への転換を受
け入れるか否かの回答を求めた。
「コンピュータが魅力ある産業なのはわかった。でもそれはいつくる
のか?その保証は本当にあるのか?我々はその確信がほしいんです」
 切実な質問があがった。庭野は一つ一つうなずきながら答えた。
「われわれから業種変換を求めているのですから、通産省がそれを保
証する責任があります。全力で支援し、必ず国産電子計算機の時代が
来るようにします」
 庭野は迷いなくはっきりと答えた。
「そこまでおっしゃるのでしたら、うちは電子計算機に取り組みます」
 大沢無線の社長が言った。

 風越は14型テレビに限って物品税を引き下げる提案を行い、大蔵
省から内諾を得た。風越はその話を池内にし、さらに言った。
「あとは火をつける祭が必要です。東京五輪の誘致に成功すれば、テ
レビの普及だけでなく、道路整備も進み、車産業も発展することでし
ょう。よろしくお願いします」
「ふっ、どこまで俺をこき使うのかね」
 池内は苦笑した。
「ところで、繊維業界の件だが、通産省から繊維業界に輸出の自主規
制をかけるように指導してほしい」
 大蔵省が譲歩したのには池内の押しもあった。
「これは政治家としては一歩も引けん話だ」
「しかし国内産業保護するのが通産省の役割ですから」
 風越は一歩も引かなかった。
「どうやらお前とは話が合わんようだな」
 池内は不快感をあらわにした。

 テレビは6万台にまで下がり、一般家庭に確実に普及した。東京五
輪開催も決まり、風越に追い風が吹いた。
 だが、その一方で、池内が通産大臣に就任することになった。対ア
メリカのための措置、というのは明白だった。玉木や片山は色めきだ
った。これからは自分らがのし上がるチャンスが出てくると。風越へ
の新たな壁が立ちはだかり始めていた。


寸  評  風越が主人公らしくない気がしました。今回の話では間違いなく
庭野が主人公だと思います。風越は口で指示して後は部下から報告が
上がるのを待つという感じでちょっと影が薄かったように思いました。
 また保護貿易を支持するのは歴史的に見て日本の発展に正解でした
けれども、現代において、他国の保護貿易策を日本が支持するかとい
うとそんなことはないと思います。そう思うと風越の言っていること
はずるいなあと思えたりもしました。
 ただ今後は玉木たち国際貿易派との対立が激化していくようで、そ
の辺は見所がありそうだなと思います。次回は面白くなるんじゃない
かと思います。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 昨日今日とセミの鳴き声を聞きました。考えてみればもう7月も半ば。梅雨
はまだ明けていませんが一足早く夏本番の到来と言ったところでしょうか。考
えてみれば1年もすでに半分が終わっていて、やはり1年の流れは早いなあと
思います。(けん)

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