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タイトル:Daily Drama Express 2009/07/05 官僚たちの夏 (1)  2009/07/07


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2009/07/05 (Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル 官僚たちの夏
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 風越信吾(佐藤浩市)
 庭野貴久(堺 雅人)
 鮎川光太郎(高橋克実)
 西丸賢治(佐野史郎)
 丸尾 要(西村雅彦)
 牧 順三(杉本哲太)
 山本 真(吹石一恵)
 御影大樹(田中 圭)
 風越道子(床嶋佳子)
 風越貴子(村川絵梨)
 片山泰介(高橋克典)
 玉木博文(船越英一郎)
 池内信人(北大路欣也)
原作   『官僚たちの夏』城山三郎著(新潮文庫刊)
脚  本 橋本裕志
主題歌  コブクロ『STAY』(ワーナーミュージック・ジャパン)

あらすじ 第1話「昭和三十年の夢」

 第2次世界大戦終戦から10年。日本は「もはや戦後ではない」と
いう驚異的な経済復興を遂げた。さらにそこから10年余りで国民生
世界第2位に躍進して、今日の繁栄を築く。日本の高度経済成長の陰
には名もなき男たちの熱い闘いがあった。

 昭和30年、道路舗装率5%の時代、トヨタが発売した日本初の乗
用車は1台100万円、当時の平均年収の5倍、家よりも車が高かっ
た時代、通商産業省は日本人にも買える国産車を作るプロジェクトが
発足した。それは国民車構想としてメディアに流れた。

「風越はどこだっ!」
 通産省重工業局局長丸尾要(西村雅彦)の怒声が省内に響いた。国
民車構想は大蔵省にも根回しが済んでいない状況で、まだ大々的に発
表する段階ではなかったのだ。このプロジェクトの先頭に立つのは風
越信吾(佐藤浩市)という自動車課の課長だった。
「いや、記事が出たのは風越さんのせいじゃないようですよ」
 そう言ったのは中小企業振興課課長の鮎川光太郎(高橋克実)だ。
風越とはウマの合う間柄だった。
「いやぁ〜、この前風越さんの机を見てたら国民車構想の資料が目に
入りまして、それでついペンが走ったというか」
 そう言って現れたのは、東京経済新聞の記者西丸賢治(佐野史郎)
だ。
「西丸、まだ何も決まってない段階でこんな記事ができたら、実現す
るプロジェクトも実現せんぞ!」
 丸尾は新聞紙を叩きつけた。報道に対する世間の反応は否定的なも
のばかりだ。
「そうですよねえ、日本車がアメリカ車にとって代わって国内をうめ
つくすなんて夢物語ですよねえ」
 西丸はあっけらかんとしている。
「なんだ、その無責任な言い方は!」
 丸尾は食ってかかった。だが鮎川は言った。
「風越さんはそうは思ってませんよ。あの人は10年先を見ているん
ですから」

 当の風越は国民車構想実現に向けて、その車の開発を引き受けてく
れる企業を探していた。この日はアケボノ自動車という企業を説得に
出向いた。
「4人乗って、時速100km/hで10万キロ走ってもほとんど修
理が必要な車を3年で作って25万で売れだと?そんなの夢だ」
 社長の朝原太一(蟹江敬三)は驚いた。
「ハナから決めちゃだめだ。戦闘機を作った社長の技術ならできるは
ず。私は1家に1台の車が必要なんです。車は電気、ガス、水道と同
じように生活に必要となります」
 風越の説得は熱を帯びた。日本の産業発展には車と道路整備が必要
で、産業国家日本の核はこれにある、日本を国産車で埋めようと。
「すばらしいねえ、だが現実を見てくれ!」
 朝原は相手にしてくれなかった。

 だがそんなことで諦める風越でなかった。日本をアメリカよりも豊
かな国にして見せる。ますます闘志を燃やす風越だった。実際新聞に
出た記事は、風越が書かれるようにわざと仕向けたのだ。そうでもし
ないと及び腰の政府も大蔵省も動きやしない。車は約4万個の部品を
使う。国民車構想が実現すれば多くの部品下請け企業の発展にもつな
がるのだ。

 いい塩梅で朝原から開発を引き受けていいという話が飛び込んでき
た。多くの若手技術者が風越の話に共感し、朝原を動かしたのだとい
う。

 こうして昭和30年夏、試作品の走行テストが実施された。風越も
テスト現場を訪れ、推移を見守った。テストは順調に進み、特に問題
がないように思えた。だが、時速100km/hで走るテストを実施
した時、突然車体が軋み、車は走行中に大破してしまった。テストは
失敗したばかりか、ドライバーがろっ骨を折って入院する事態になっ
てしまった。

 事故を受けて池内信人(北大路欣也)という与党幹事長は甚だ遺憾
だとのコメントを出した。これで大蔵省は助成金を渋り始め、都市銀
行は融資を断るようになってしまった。風越は直接池内に会いに行き
発言の真意を聞いた。
「急げば面倒だからな」
 池内はそう答えた。
「だが急がなければ欧米に10年の遅れをとります」
 風越は切り返した。
「お前は政治家向きだな。いっとくが俺はお前の味方だ」
 池内はそう言った。風越はそれをそのとおり受け止めはしなかった。
池内は事の推移を注視しているところなのだろう。

 人事の季節となった。風越は大臣官房秘書課長の打診を受けた。人
事を掌握する要職で、省のトップである事務次官への出世コースだ。
国民車構想でごたごたしているだけに風越にとっては意外だった。
「申し訳ないですが、国民車構想の決着がついてませんので」
 風越はいったん断った。だが、後任を自由に選んでよいという話だ
ったので受け入れることになった。

 一方同期の玉木博文(船越英一郎)はアメリカ勤務となり出世コー
スを外れた。
「対外のことは俺に任せてくれ。国内のことは頼むぞ」
 玉木は悔しさをかみ殺して風越にそう言った。

 風越は後任人事に着手した。候補は3人。鉱山局石油課課長補佐の
庭野貴久(堺雅人)。蒸気機関車の如く熱く突進するタイプで風越の
国民車構想に対しても好意的だった。通商局為替課課長補佐片山泰介
(高橋克典)。通常残業省と揶揄される省内にあって欧米スタイルが
性に合うからと定時退社を貫く人物だった。それが風越には国家より
も個人を大事にするように見えた。特許庁総務課課長牧順三(杉本哲
太)。日本がアメリカの外圧に屈しないよう、フランスでその先例を
学びたいと考えている、つまり出世コースを自ら外れたいと思ってい
る変わり者だった。

 西洋かぶれで理屈を並べ立てる片山や牧よりも庭野が自分の考え方
に一番合ったが、最終的に風越は後任に鮎川を据え、庭野もプロジェ
クトに引き込んだ。

 秘書課長としての風越の最初の仕事は来春の新人採用だった。風越
は人事改革の第一弾として山本真(吹石一恵)という女性キャリアの
登用を決めた。通産省は激務のため女性の採用はなかったが、塚越は
そうした前例にとらわれず実力とやる気がある人を積極的に登用した
いと考えたのだ。

 昭和31年春、片山はカナダ勤務となった。牧もフランス行きにな
った。そして庭野は風越が宣言したとおり若手有望株の積極的登用と
して、電気通信機課の課長に抜擢された。フランスで学びたいという
牧はともかく、片山にとってこの人事は左遷にも等しい扱いだった。
しかも同期の庭野が課長に抜擢されたとあれば、片山は内心面白くな
かった。

 風越は玉木を通してデトロイトのディーラーを招き、アケボノ自動
車の走行テストに立ち会わせることにした。国産自動車の性能を見て
もらい、コメントをもらおうとしたのだ。外国に認知されれば、国民
車構想は一気に加速するだろう。

 テストで試験車は時速100km/hを越えて走って何の問題もな
かった。成功に風越をはじめアケボノ自動車の人たち全員が大喜びし
た。だがディーラーのコメントは散々だった。あれは玩具か?あの程
度の技術で車を作ろうとしているのが信じられないと。要は自動車産
業はアメリカに任せておけばいいのだということだった。

 これを受けて大蔵省は国民車構想に対する助成金拠出を拒否してき
た。しかも朝原が急死したという知らせが入った。国民車開発の過労
がたたったのが原因ではないかといううわさすら流れた。風越の受け
たショックは大きく批判も大きかった。だが風越は負けなかった。
「朝原社長は日本自動車産業の道を確実に拓いた。夜明けは近い」

 そんな風越に朝原の作業日誌が届けられた。遺族が読んで欲しいと
いう。そこには国民車開発の過程にやりがいと充実感、風越によって
日本人としての誇りを取り戻せたと書かれていた。

 塚越、鮎川、庭野の3人は朝原の遺志を受け継ぎ、必ず国民車構想
を実現させて見せると誓った。


寸  評  第1話を見る前は重厚長大なドラマのようなイメージを持ってい
ました。実際そのような内容で、キャストも大物ぞろいでそれを強め
ているような気がしました。ただ、このような高度経済成長のドラマ
が現代の私たちに何を訴えるのかはちょっと疑問です。今の時代を戦
後の激動期と重ね合わせ、高度経済成長のようにがんばって今の不況
を乗り越えようというメッセージでしょうか?しかし高度経済成長が
2度と起こらないというのは自明であり、これを見てもう一度この不
況を乗り越えようという風にはならないような気がしてしまうのです。
そんな印象を受けた初回ですが、今後のストーリー展開では塚越と玉
木の対立など時代背景にとらわれない見所があると思いますので、そ
のあたりを期待しつつ見てみたいと思いました。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 おいしいと評判のうなぎ屋さんでうな重を食べました。私はスーパーの安い
ウナギしか食べたことがないので、どんなものだろうと興味津々でしたが、や
はりおいしかったです。1度この手のものを食べてしまうともうスーパーの安
ものは食べられないなあと思ってしまいます。(けん)

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