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タイトル:Daily Drama Express 2009/04/25 ザ・クイズショウ (2)  2009/05/12


===================================================== 発行部数   26 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2009/04/25 (Sat) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.土曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 土曜日の連続ドラマ
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タイトル ザ・クイズショウ
局  名 日本テレビ系
放映日時 土曜21時00分
キャスト MC     神山 悟(27) 桜井 翔
 ディレクター 本間俊雄(27) 横山 裕
 新人AD   高杉玲奈(22) 松浦亜弥
 案内人(?)         篠井英介
 スイッチャー 米倉信三(44) 田中哲司
 音効     竹内 昇(29) 和田正人
浦沢 瞳(27) 森脇英理子
 冴島の娘   冴島美野里(7) 大橋のぞみ
 謎の少女   新田美咲(17) 水沢エレナ
 照明技師   松坂源五郎(55) 泉谷しげる
 銀河テレビ編成局長 田所 治(49) 榎木孝明
 プロデューサー 冴島涼子(40) 真矢みき

 ミカ 美波
 川上大輔 神保悟志

原案 『THE QUIZ SHOW』森谷 雄/D.N.ドリームパートナーズ・VAP
脚  本 及川拓郎
主題歌   嵐『明日の記憶』

あらすじ 第2回

 病室の中で悪夢にうなされながらもだえ苦しむ神山 悟(櫻井翔)。
外の廊下には、その絶叫を聞きながらほくそ笑む間俊雄(横山裕)の
姿があった。

 銀河テレビの制作局では、プロデューサーの冴島(真矢みき)が前
回の『ザ・クイズショウ』の反響の大きさにとまどっていた。視聴率
も全局合わせてのトップ、視聴者からの反響もすごい、編集局長の田
所(榎木孝明)からも賞賛、局内でもみなが祝福してくれる。
 しかし、冴島は納得がいかない。
 釈然としないまま、次回の『ザ・クイズショウ』の打ち合わせ会議
が始まる。
 会議が始まってすぐディレクターの本間が口火を切る。
「次回の解答者は携帯小説家のミカ(美波)を考えています」
 とまどう冴島。
「次回は一般募集のはずでしょう?」
「……ですから、それをかえるんです」。
 冴島は調子に乗って余計なことをするなと釘を刺すが、本間は視聴
率という結果がすべてだと聞く耳を持たない。
 本間に反感を覚える冴島だったが、「冴島さん、絶対に数字とれま
すよ……もしかして、この間以上に」という本間の提案に心が揺れる。

 深夜遅くに冴島が家に帰ると娘の美野里(大橋のぞみ)が飛びつい
てきた。まだ起きていたのかと驚く冴島。美野里は『ザ・クイズショ
ウ』を見ていた。
 そして「美野里、いままででこれが一番面白いって思ったよ。また
面白いテレビつくってね」というのだった。
 冴島は本間の提案を呑むことを決意する。

 そのころミカは控え室でうなされていた。死んだ母親が「どうして
嘘をついたの?……どうして? どうして……」と自分を責める夢だ。
 と、所属会社の社長・川上大輔(神保悟志)がずかずか部屋に入っ
てきて水をぶっかける。
「寝ぼけてるんじゃねぇよ、すぐメイクをなおせ」
 言い置いて出て行ってしまう。弱々しくミカは従う。

 新作発表の記者会見の場。華々しくフラッシュを浴びながら、ミカ
はふてぶてしい表情で『恋のモールス信号』の説明をする。
 そこへ、謎の男が割り込んできた。どよめく会場。が、男は気にせ
ず、
「ミカさん、あなたを『ザ・クイズショウ』にご招待します」
 と、招待状を手渡す。とまどうミカだが、おもわず招待状を受け取
ってしまう。

 銀河テレビのスタジオでは、『ザ・クイズショウ』の本番直前。あ
わただしくスタッフが駆け回っていた。
 カウントが進み、いよいよ番組がスタートする。
 舞台中央に立ったMCの神山が、大げさな身振り手振りで言う。
「人は誰でも、華やかな夢に憧れる。世界中を旅したいもの、大きな
家に住みたいもの、はたまた大金を手にしたいもの……。すべての夢
の終着点、それがこの……ザ・クイズショー!」

 神山がコールしてミカが登場。同時にミカのプロフィールが紹介さ
れる。
 ……ミカ。職業は携帯小説家、宮城県生まれ、高校卒業と同時に携
帯小説『恋、恋、恋?』を発表。二百万部を売り上げ、映画化もされ
社会現象にもなった。
 その後ファッションモデルとしても活躍する。誰にも媚びることは
なく、常にタメ口。その態度が女子中高生に絶大な人気を博す。新作
『恋のモールス信号』を発表……。

 客席は、ミカの熱烈なファンで埋まっている。大きな声援を受ける
ミカに、「これだけの声援をもらってのクイズはやりやすいでしょ
う?」と言うと、ミカは「別に、カンケーないし、普段通りやるだけ」
とクールに流す。
 神山は「ザ・クイズショー」のルールを説明する。
 設問は7つ。ひとつ正解するごとに獲得金額が上がっていき、7問
正解したら獲得賞金は一千万円になる。その後、獲得した一千万円を
かけて「ドリームチャンス」に挑戦することが出来る。そのドリーム
チャンスをクリアできたら、銀河テレビが総力を挙げて夢を一つだけ
叶える、というルールだ。

「では、あなたの夢はなんですか?」
「銀河テレビで、新作『恋のモールス信号』をドラマ化して欲しい。
……一年、ぶっ通しで!」
 盛り上がる観客席。
「承知いたしました」
 大歓声の中、クイズはスタートし、CMに移った。

 裏方では、冴島がため息をつく。
「あー、なんなのよ一年って」。
 照明技師の松坂源五郎(泉谷しげる)もあきれ顔。
「大河ドラマかっちゅーの」
 あきれ顔で受話器を取ってドラマ部に連絡しようとする冴島を、本
間が押しとどめる。
「ドラマ部には確認いりませんから」
「まさか……本間君、また、なの?」
 CMが開けて番組が再開する。

 ミカは順調に答えていく。「常識だよ」「楽勝だって」などと鼻で
笑いながら言いながら。
 第1問「仏語で“束ねた髪に飾るアクセサリー”と指す髪飾りと
は?」
 第2問「渋谷の若者達が使うギャル語で“ザビる”の意味は?」
 第3問「若者にしか聞こえないといわれる1700ヘルツ以上の音
の通称は?」という問題に正解を続ける。
 3問目が終わったところで、神山がミカを挑発し始める。
「新作のタイトル何でしたっけ? ……だっせぇ名前」
「新作の『恋のモールス信号』を見てみましょう……これは、日本語
ですか?」
「いやー、すごいですね、この改行、なんでこんなに改行するんです
か?」

 一方、銀河テレビの廊下をミカの所属事務所の社長、川上がすごい
形相で走っていた。
 スタッフルームにはいってくると「この番組の責任者誰だよ! あ
の司会者、ミカにキツいんじゃないの?」と、責任者の冴島に向かっ
て問い詰める。
「……それは彼の持ち味なので」と言い逃れようとするが、「これ以
上こんな感じで続けるんだったら、引き上げるよ」と脅す。
「それは困ります、OA中なんですよ」
「それはそっちの都合だろうがぁ」
 そこへ本間がわってはいる。
「○○さん……、新作のドラマいつから始めます? 一月なんて数字
取りやすいですよ?」。
 とたんに、川上は「そ、それは任せる……」と、態度を軟化させる
のだった。

 その頃スタジオでは、神山が大勢のミカのファン達のブーイングに
さらされていた。ミカも不満そうにそっぽを向いている。が、気にせ
ず神山は第4問を出題する。
 ──ミカさんが所属するケータイ小説サイト「天使のエンジェル」
の社長はどれですか?
 パネルには4人の中年男性の写真が映し出される。
「バカにしてんの? こんなの外したら、アタシ、バカじゃん」
「はい。ラッキー問題です。……ちなみに、お名前は川崎大輔さん。
わっかるかなー?」
 あっさりと正解を答えるミカ。「バカにしないで」と不満顔。

 第5問。
 ──今から、とある言葉をモールス信号で流します。その意味をお
答えください。
 会場にモールス信号の音が鳴り響く。ミカはややとまどいつつ、正
解を答える。
「正解! さすがですねー」
「社長の川上と一緒にすごく勉強したんだから……」。
 神山はミカを褒め称えつつもしきりに挑発を繰り返す。
「しっかし……わからないんだよなー。あなたの小説がなんでこんな
に受け入れられているのか?」
「神山さん……あなたいくつ? ……二十七っつったら二十歳をすぎ
たおっさん、おばさん。そんなおっさんに若い世代の気持ちが理解で
るわけ? 自分じゃ理解できないからって否定するのがおっさんの悪
い癖」
 とミカは言い切る。会場からは賛同の声が沸き上がる。

 第6問。
 ディスプレイにミカの母親の顔が写る。ミカの母親は、二年前に心
臓を患って他界していた。
 ──では、ミカの母、高島美樹さんが他界する直前、ミカさんが交
わした約束は?
「ちょっと、あんた答え知っているの? こんな個人的なことを、あ
なた知っているの?」
 とまどうミカに、神山はほほえみながら言う。
「……知っていますよ。私はあなたのすべてをしっています」
 鼻白むミカに設問を改めてよみあげる神山。
 やや躊躇してから、ミカは答える。
「Cの私、自分の小説を出すよ」
 正解──。
「ちなみに、お母さんが亡くなる前に出版は間に合った?」
「間に合った!」
「そうですか。お母さんとの約束を守ったわけだ。お母さんきっと、
幸せな気持ちで天国に旅立っていったんでしょうねぇ。……おもいだ
しちゃった?」
 ミカはうつむき青ざめている。

 いよいよ、ドリームチャンスの挑戦権がかかる第7問。
 ──高島美樹さんが他界する直前、最期に言った言葉は?
 ミカはとまどう「ちょっとまってよ、あなたその答えも知っている
っていうの?」
「……言ったでしょう? 私はあなたのすべてを知っているって……」
 絶句するミカを尻目に、設問を続ける神山。
「あれ? 死に目に立ち会っていたのに忘れちゃいました? ……じ
ゃあ、“奥義”を使いましょう、奥義」
 奥義は「召喚」。現れたのはミカの祖母、高島さよだった。素朴な
感じの老婆の登場に会場は一斉にざわめく。……なんか、ダサくない。
……なにアレ。
 動揺するミカ。
「何しに来たの! なんで勝手なことすんの? こんなの聞いていな
いし! 帰れよ!」
 神山は無視してさよに、ミカの母親の最期の言葉は何か、と問いか
ける。さよは正解を教える。が、「ミカ……」と呼びかけるさよには
強ばったままこたえないミカ。
 さよが去ってから、神山はミカに答えを問う。
「こんなこと思い出させて、あんた何がしたいの?」
 涙ぐむミカ。ミカの顔を凝視する神山に「こんなのフェアじゃない
っ!」と言い捨てて、スタジオを出て行ってしまう。
 番組は緊急でCMに切り替わる。

 裏方では川上がプロデューサの冴島を怒鳴りつけていた。「問題を
変えさせろ! そうじゃなかったら、ミカを引き上げさせるぞ」
 冴島は平謝りしながら、本間を問い詰める。
「どうするつもりなの!」
 しかし、本間は涼しい顔で言い放つ。
「なるようにしかならないんじゃないですか」
「あたしが責任をとることになるのよ、勝手なことばかりしないで」
「だったら! だったら、なんでミカを呼ぶことを許可したんです
か?」
 くちごもる冴島に本間は言う。
「お子さん、また喜んでくれるといいですね」
「……なんでそれを」

 スタジオでは、ミカのファンが大ブーイングをくりかえしてで、暴
動寸前。スタッフ達にゴミが投げつけられ手が付けられない状態に。

 裏方では、本間が対処を考えて悩んでいたが、見かねた冴島は観客
を鎮めようとスタジオに入る。
 とたんに、本間は矢継ぎ早に指示を出す。カメラの担当に、冴島が
スタジオに入ったらカメラを回すように伝え、音効の竹内昇(和田正
人)に「モールス信号を流してもられませんか」と頼む。
 竹内はとまどいながら言う。
「でも、モールス信号は、川上もミカと一緒に勉強したって……そし
たら、ばれちゃいますよ?」
 が、本間はほほえむ「大丈夫」。

 スタジオに飛び込んだ冴島は、どうにかミカのファン達を制止しよ
うとしていたが、暴言を繰り返され、たまりかねて怒鳴りつける。
「うるさーいっ! なんなのあんた達、年上にむかって帰れだ、ウザ
イだ? 少しは、口のききかた気をつけなさい!」
「……んだよ、ババァ」
「……はあ? ババア? 確かにあたしオバサンよ、でもね、レイプ
とドラッグだらけの本読まなくても、立派にこの年まで生きてんの。
そんな人生の先輩に向かって、ババアってなによ! あんた達ねえ、
もうちょっと人の立場に立てる、そういう大人になりなさい……」
 肩で息をしながらまくし立てた冴島が、ふとカメラに気がつく。カ
メラは冴島が怒鳴りつける姿をとらえていたのだ。 冴島は慌ててス
タジオの外に逃げ出した。
「あー、カッコワルイ」。
 松坂源五郎はため息をつく。

 一方、控え室で、その光景をモニターしていたミカは、帰るぞ、と
いう川上に決然と言う。
「私、戻ります……ドリームチャンス、クリアします」
「バカなこと言ってんじゃねぇよ」
「……私は、人形じゃありません!」
 引き留める川上を振り切って、控え室から飛び出していくミカ。

 ミカがスタジオに戻ってきた。ミカのファン達は大歓声をあげる。
 番組はあわただしく再開された。
 神山が「おかえりなさい」と言いながらミカを見つめる。
「怒っています? でも、問題には答えてくださいよ」
 ミカは答える。
「B、ミカの書いた小説、面白かったよ」
 ──正解。一千万円獲得。
「いやー、でもミカさん嬉しいじゃないですか。お母さんが死ぬ前に
そういってもらえてしあわせですねぇ」
 白々しく言う神山を、ミカは冷ややかに見つめる。
「でも、お母さんのセンスどうなのかな? あの小説面白いなんて、
神経どうかしてんじゃないの。普通の神経してたら、あの小説面白い
なんて思えないでしょ。支離滅裂だし……あれを面白いなんて……笑
っちゃうよね」
「やめて」
「やめません。なぜなら、あなたの夢がかかっているから。……自分
を偽る人間に、夢を叶える資格なんか……ありません」
 黙ったまま、ミカは神山の頬を張る。
「……ここは夢を叶える場所、そうなんでしょ?」
「……ええ」と真顔で向き直る神山に、ミカは思い詰めた表情で言う
のだった。
「夢、変える。……私に書きたい小説を書かせて」
 静まりかえるスタジオ内。控え室でモニターする川上も顔を強ばら
せる。
 ニヤリと笑った神山、「ドリームチャンス」をコールする。

 ドリームチャンスの問題。
 ──ミカさんが現在まで発表した3本のケータイ小説を本当に書い
ているのは誰?
 スタジオは騒然とする。4つの選択肢のなかにミカの名前がない。
「ふざけないで」笑うミカだが、神山はにらみつける。「ふざけてい
ません……私はあなたのすべてを知っている。……さ、お答えくださ
い!」
 悩むミカは、母の高島美樹とのことを思い出す。

 病院で余命三ヶ月と宣告を受け、病床の隣でミカは必死にキーボー
ドをたたいた。そして、母に言うのだった。
「今、持ち込みをやっているんだ。私、小説家になるよ。できあがっ
たら、お母さんに一番に読ませるから……」
 しかし、ケータイ小説配信の「天使のエンジェル」の川上には、冷
たくあしらわれる。
「……もっと刺激がなくちゃ。レイプとドラッグと不治の病。これさ
え書いておけば読者は喜ぶんだから」
 時間がないんだ、一人でも小説家としてやっていけると母に見せた
いんだと、食い下がるミカ。
 すると川上は言う。
「こういうのはどう? 俺が小説を書いて、ミカが表に立つ。ミカの
そのルックスを生かしてさ、なんかその方が手っ取り早い気がするん
だよね」

 神山はミカを問い詰める。
「さあ、ミカさん、答えてください。あなたの……夢のために!」

 ミカが小説を発表し、次々に取り上げられ、あちこちで評判になり
始めたころ、病気の母から電話がかかる。
「ミカの小説を読んだよ。夢が叶ったね、おめでとう、ミカ」
 母には隠していたのだが、祖母のさよが、母に川上が書き、ミカが
書いたことになっている小説を見せてしまったのだ。
 本当のことを母に言おうとしたミカだが、川上に殴りつけられて脅
される。
「お母さん、喜んでくれてるだろ? だったら、それでいいじゃない
か。世の中にはな、幸せなウソってのもあるんだよ……」

 母は危篤になる。病床の母に真実を告げようとしたが、「ミカの書
いた小説、面白かったよ」とだけいって、母は死んでいった。
 なぜ、母に小説を見せたのか、とさよを責めるミカ。

 ミカは神山を見つめながら言う。
「本当に、夢を叶えてくれるの……」
 うなずく神山に、ミカは答えを言う。
「B、川上大輔……」
 スタジオ内は大騒ぎになる。が、華々しいファンファーレが鳴る。
 ──正解! みごとクリアしました!

 客席は「ふざけるな」「だましていたのか」と騒然となる。
 立ち上がって客席の前で頭を下げるミカ。
「みんな……ごめんなさい。本当にごめんなさい、私、ウソをついて
いました。みんなにもお母さんにも。お母さん、あの小説、私が書い
た小説だと思ったまま亡くなりました……。私、お母さんに謝りたい。
今度こそ、自分の小説を書いて、お母さんに謝りたいんです。お母さ
んが、あの小説を面白かったって言ってくれたの、どうしたらいいの
かわからなくなって──だから、ごめんなさい。私の小説を書かせて
ください!」
 しかし、大勢のファンが「ふざけんな」「意味わかんねーし」「や
ってらんねー」と言い捨てて出て行ってしまうのだった。神山が言う。
「それがウソで塗り固められた人生でも、あなたが夢を目指す姿勢は、
偽りはなかった。あなは今日、多くの読者を失いました。けれども同
時に、夢を手に入れることができたのです。そう、夢は生半可な思い
では手に入らない。あがいた末に、ようやく見る権利を与えられるも
の。犠牲を払って、やっとてにいれられるもの……それが、夢なんで
す」
 スタジオに座り込んだまま動かないミカを置いたまま、神山は次週
もあなたの夢、かなえます──、と番組を締めくくる。

 静まりかえる裏方。荒れてゴミ箱を蹴飛ばす冴島……。

 ミカは、次の小説の出版契約を結ぼうとしていた。「これまで通り
のペンネームでいいか」と訊ねる編集者に、「本名で“高島美佳”で
お願いします」と晴れやかに答えた。

 ひとり窓の外を眺めて物思いにふけっていた本間に、新人ADの高
杉玲奈がコーヒーを差し出す。
「あの本間さん、途中のトークバック、あれモールス信号ですよね。
あれ、川上さんたちには聞こえていなかったみたいですけど……」
 笑みを浮かべた本間「問題、着メロなどでも……」。あ、と気づい
た高杉「モスキート音!」。
 音の周波数を17000ヘルツ以上に設定すると、若い人にしか聞
こえない音「モスキート音」になるのだ。その音でモールス信号を流
せば、川上には聞こえず、ミカだけに聞かせることができる。
「ミカさん、私はあなたのウソを知っています。ここは、あなたの夢
を叶える場所です」
 あきれる高杉。「じゃあ、来週もよろしくな」といって去る本間。

 神山は、また格子戸に遮られた病室のような部屋で苦しんでいた。
河原で幼い頃のミカに合った記憶がよみがえってくる。
 本間が神山を問い詰める。
「あのミカという女は、自分の大切な人を失った。お前にもあるんじ
ゃないのか、そんな経験が。大切な人を失った経験が」
「わかりません」
「神山、お前は誰だ? お前はどうしてここにいる? ……思い出せ、
思い出せ!」
 頭を抱えて絶叫をあげる神山。
「……それが、お前に与えられた使命なんだ」


寸  評  調子が出てきましたね。話の流れもわかってきたし、櫻井翔の演
技の白々しさになじんできました。
 今回はミカのキャラクターが面白かったですね。態度も考えも、行
動もすべて川上の考えたことでそれを演じていただけ。しかし、その
虚構をカリスマとあがめるファン達。作られたブームやカリスマなど
を皮肉に見る作者の意図が伝わってきます。そして、それでは本当の
夢はつかめないのだ、と。
 相変わらず、設定の雑さ(例えば、ミカが自分で書いていないこと
を誰が本間たちに知らせたんでしょう?)、はありますが、面白くな
ってきました。

執 筆 者 畑中ヒロ(hero_hatanaka@yahoo.co.jp)

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2. 編集後記
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 パターンが決まってきましたね。どうやって真実を出すのかきちんとわかっ
てきました。怒らせて本音を引き出すという方法。刺激的ですねー。
 冷静になっているときは、やっぱりなかなか本音はでないもんです。イライ
ラしてたり、怒ったりしているとつい本音を出しちゃうことありますね。
 ちょっと仕事が重なって忙しかった今週、つい思わずいらついて本音を出し
ちゃったことも……。
 あとで後悔するんですよね、そういうときって。今回のミカみたいに後でス
ッキリ、ならいいんですけど。(畑中ヒロ)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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