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タイトル:Daily Drama Express 2009/01/16 ラブシャッフル (1)  2009/01/30


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2009/01/16 (Fri) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.金曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 金曜日の連続ドラマ
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タイトル ラブシャッフル
局  名 TBS系
放映日時 金曜22時
キャスト 宇佐美啓(玉木 宏)
 逢沢愛瑠(香里奈)
 世良旺次郎(松田翔太)
 大石諭吉(DAIGO)
 早川海里(吉高由里子)
 上条玲子(小島 聖)
  香川芽衣(貫地谷しほり)
 菊田正人(谷原章介)
脚  本 野島伸司
主題歌  アース・ウインド&ファイアー「FANTASY」

あらすじ 第1話「恋人交換する?」

 宇佐美啓(玉木宏)は一瞬耳を疑った。
「芽衣も低血圧だから、そんなことを」
 外は雨が降りそうだった。低気圧が発達して、今晩雨になるという
予報だったから。そんな風に考えてみた。だが、目の前にいる彼女は
うつむきながら静かに首を振った。
「なんで?」
 啓は狼狽した。彼女、香川芽衣は婚約者、しかも3ヶ月後には式を
挙げることになっている。数日前には彼女の両親への挨拶も済んで、
そのときは芽衣も喜んでいたではないか。

「ほら」
 啓はポケットから小箱を取り出し、中を開いて見せた。結婚指輪だ。
「ごめんなさい」
 だが、芽衣はそれでも気が変わらなかった。
「嘘だよね?やめようよ、そんな冗談」
 啓は必死に説得した。しかし芽衣は「ごめんなさい」と繰り返すば
かりだった。

 その夜、都内は雷雨に見舞われた。啓は放心の体で自宅マンション
に帰って来た。30階はあるだろう高級マンションだ。逃げるように
エレベーターに乗り込むと、他に3人の乗員が乗り合わせた。エレベ
ーターは上に向かって動き出した。

 そのときだった。雷の轟とともにエレベーターが急停止し、室内の
電気が落ちた。今日はついてない、啓は思わず天を仰ぎたい気分にな
った。

「いい機会なんで、自己紹介でもしませんか?」
 そう言ったのは菊田正人(谷原章介)という穏やかな笑みを浮かべ
る30台前半の男性だった。
 実は4人とも降りる階が一緒だったのだ。それで4人ともそれぞれ
名刺を差し出した。啓は29歳。IT関連企業で課長を務めている。
「この若さでエリートだ」
「いや……」
 啓は思わず否定した。
「宇佐タンでいいかな?その方が親しみがわくし」
 菊田は構わず続けた。次に名刺を差し出したのは20代半ばの女性、
逢沢愛瑠(香里奈)だ。彼女の職業は通訳士だ。次はカメラマンの世
良旺次郎(松田翔太)。背が高く、ニヒルな印象だ。最後は自己紹介
を提案した菊田だ。心療内科を経営している医師だ。

 一通り紹介が終わったところで、話は啓の婚約解消話になった。啓
が持っていた結婚指輪が目に留まったのだ。
「こんな状況だし、ハッピーな話をしよう」
 愛瑠が言った。
「ハッピーじゃない」
 啓は思わずしゃがみこんだ。
「何、婚約解消されたのか?」
 3人とも興味津々に首を突っ込んできた。
「それがわからない」
 啓は思わず本心を打ち明けた。
「他に男がいたんじゃないの?」
 旺次郎は単刀直入に言った。
「芽衣はそんな子じゃない!」
 啓はむきになって反論した。芽衣はいまどき珍しいほど純真で素直
な娘だと啓は思っていた。
「顔もよくて、エリートでダメなんて、中身がないんじゃないの?」
 愛瑠はバカにしたような口調で言った。相手に純真で素直を求めて
いるような時点でドン引きすると愛瑠は付け足した。
「ところで、先生は結婚してんの?」
 旺次郎が菊田にふった。
「僕は独身だよ」
 金も地位もあるだけに意外だった。愛瑠も引く手あまたに見えてう
まくいってないという。ほっといてよというように愛瑠はカリカリし
始めた。旺次郎も同じだった。
「とにかく、みんなうまくいっていないってことだ」
 菊田が総括するように言った。
「なんでだろ。好きだって気持ちって、薄れたり、離れたりしていっ
ちゃうのって」
 不意に思いつめたように言った。
「愛なんてあるのかね。盛りがついて引き合って、そして飽きて終了」
 旺次郎が吐き捨てるように言った。
「俺はそうは思わないよ。中には幸せそうな夫婦だっているし」
 啓は旺次郎の考え方に反発した。
「僕はこう思うんだ、愛よりも相性が重要なんじゃないかって。もち
ろん価値観とかそういうものじゃなくてね」
「……」
 菊田の一言はなるほどという感じだった。愛だなんのと求めている
のが実は間違いじゃないかと。そのときエレベーターが動きだした。
助かったと4人は笑い合った。

 啓が芽衣との婚約解消がショックだったのは別の理由もあった。一
流企業で課長職についているといっても能力が評価されているだけで
はなかった。この企業の社長は芽衣の父親の会社で、芽衣との関係か
ら採用されたのだった。今住んでいるマンションも芽衣と恋人同士な
ので、提供されたのだ。そして結婚式が終わった後は部長への昇進も
決まっているという。しかし実際啓は二流大学をろくに卒業していな
いようなうだつの上がらない人間だったのだ。だから芽衣との関係が
終われば即クビが待っている。とはいえ、啓は芽衣のことを愛してい
たし、金持ちの令嬢と知ったのも結婚の挨拶をしたときだったくらい
で、決して金や地位のために芽衣と付き合っているわけじゃない。

 啓は仕事の後、とあるバーへ行った。菊田からある提案があるとい
う。実はその提案には芽衣も加わることになるという。気は進まなか
ったが、芽衣と話をする機会が持てるならと啓は受け入れた。

 菊田の提案とは、4人の恋人を交換するというものだった。みんな
相手とうまくいっていない。だから別れるのは簡単だ。しかし新しい
相手がみつかったとしても、時がたてば飽きてしまうかもしれない。
同じことの繰り返しだ。ならば、相手を交換してみる。その上で元の
相手の方がいいと思えるかどうかを確認しようと。
「名づけて、ラブシャッフルだ」
 菊田、旺次郎、愛瑠は既に乗り気だ。しかし啓は納得がいかなかっ
た。
「宇佐タン、パンドラの箱をあげてみたまえ。そこには希望がある」
 そんなところへ芽衣がやって来た。啓はまめまめしく出迎え、3人
に紹介した。芽衣は愛瑠を見ると驚いて言った。
「アイアイ!」
 2人は中学時代同級生だったという。

 次にやって来たのは、旺次郎の恋人、上条玲子(小島聖)だった。
玲子は30台半ばくらい、高級な毛皮のコートを羽織っていた。いわ
ゆる超セレブだ。玲子は旺次郎から菊田の提案を聞いていて、早くも
乗り気な様子だった。

 その次に来たのは愛瑠の恋人、大石諭吉(DAIGO)だった。株
のトレーダーで巨額の資産を持つ30前後の青年だ。しかし見かけは
黒のセルロイドの眼鏡をした引っ込み思案そうな格好をしている。

 こうして菊田の相手以外揃った。その相手を待つ間、しばらく自由
に歓談していた。その途中、芽衣は愛瑠に啓とのことを話した。出会
いは高校の時のスキー合宿で芽衣が遭難したのを啓が助けたときのこ
とだ。その時の啓はキラキラと輝いて見えた、と芽衣は話した。だか
ら啓が嫌いになったとかそういうことはないのだけれど……。

 菊田の相手はなかなか現れなかったので、しかたなく菊田は本題に
入った。芽衣と諭吉は説明を受けてなかったので、恋人交換をするこ
とを話した。
「そんなの反対です。テストとはいえ、芽衣がほかの男と付き合うな
んて耐えられない」
 諭吉は泣きそうな顔をした。
「やめてよみっともない」
 愛瑠はいらついた顔をした。
「じゃあ君は参加しないと?」
 菊田が言った。
「いや、しますよ、だってそれしか愛瑠を取り戻せないんですから」
 諭吉が参加することになったので、今度は芽衣に参加有無が求めら
れた。
「芽衣、参加することはない。それより2人で別のところで話をしよ
う」
 啓は真面目で、純真で身持ちが固い芽衣がこんなゲームを受けると
は思わなかった。だが……
「参加します」
 芽衣は迷うそぶりもなく答えた。
「うそだろ、俺以外の男と……」
「なんか面白そうだし」
 絶句する啓を尻目に芽衣はあっけらかんと答えた。これで全員の参
加が決まった。

 啓は芽衣を説得して自分の部屋に来てもらった。
「実は結婚が決まってから熟睡できないの。別れた方がいいのかもと
思ったりした。だから突発で言ったわけじゃないの」
「俺のどこが悪いのか言ってくれよ」
「ごめんなさい」
 啓の言うことに芽衣は取り合おうとしなかった。
「芽衣、好きなんだ。照れくさくて言えなかったけど愛している」
 そう言って啓は芽衣を抱き寄せてキスをした。芽衣はそれを拒まな
かったが、泣いていた。啓は愕然とした。

 愛瑠も諭吉と一緒に帰った。だが途中で寄っていくところがあるか
らと愛瑠は諭吉と別れようとした。諭吉はそれを止めようとして、愛
瑠に拒まれるとそれ以上強要しようとはしなかった。金に物を言わせ
るようなことをしない、それが諭吉の魅力だと愛瑠は思った。諭吉と
付き合いだしたのも、そのせいだった。普通金持ちはわがままで、プ
ライドが高かったから、諭吉のような優しい性格が新鮮だった。
「他の人と幸せになることを考えて」
「ラブシャッフルは僕たちに可能性があるってことじゃ……」
「他の人はね。でもあたしはそうじゃない」
 愛瑠にとって、諭吉は重荷だった。どんなにひどいことをしても諭
吉は許してくれる。それに甘えているのが嫌なのだ。愛瑠は泣いてい
た。
「わかったよ、他の人に頑張ってみるよ」
 諭吉は折れた。愛瑠もにっこりし、お互い別れた。

「あんまり深入りしない方がいいって思ったの?」
 玲子は旺次郎に言った。
「暇と身体を持て余したふしだら人妻ですものね」
「いやだなあ。この幸せ俺だけが独占すんのもなんだって思ったんで
すよ」
 事実旺次郎にとって玲子は颯爽としていて、超クールに見える。
「絵になる人だ」とカメラマンとしての本能をくすぐられるのだ。

 菊田は早川海里(吉高由里子)という自分のところへ心理療法を受
けに来ている19歳の女性を見舞った。彼女は人生に絶望していて自
殺を図ったのだ。幸い一命を取り留めたが、誕生日がくる3ヶ月後ま
で死なないと約束していた菊田は困惑していた。
「どうして?」
「パパが絵を描けって言って、あたしが断ったらぶったの」
 海里は幼少のころから父親に絵を描かされてきたため精神的に追い
詰められるようになり自殺を図ったのだ。
「でも、残念だ。今日は君に3人の青年を紹介しようと思っていた。
それが君の人生を変えるかもしれなかったから」
「恋をするってこと。でも私がそういう気持ちを持ったら、その3人
を傷つけることになると思う」
「かまわないんだよ。そうなったとしても」
 菊田は海里に微笑みかけた。

 啓は芽衣を何度も説得した。だが芽衣の気持はかわらなかった
「あたし啓としか付き合ったことないし、今時それって視野が狭いと
思う。いやらしい意味じゃなくていろんな男の人を知ってみたい。女
として成長するために」
「なら、俺にもまだチャンスがあるの?」
「わからない」
 芽衣はそう言って帰ろうとした。
「なあ芽衣、お父さんには黙ってこのまま形だけは結婚することにし
ておいてほしい。ドタキャンでいいんだ。花嫁に逃げられた情けない
男を演じてもいいから」
 啓は必死に頼み込んだ。
「おやすみなさい」
 芽衣はまったく心を動かした様子もなく、淡々と帰って行き、啓は
絶望感だけが残った。

 啓がマンション敷設のプールサイドでぼんやりと芽衣への結婚指輪
を見つめていると、愛瑠が現れた。
「ねえ、芽衣から何か聞いた?今後の対策を立てたい」
「聞いてないわよ。でも原因はそんな女々しい態度じゃないの。女は
キラキラしているものが好きよ。芽衣はあなたと出会ったころキラキ
ラしてたと言ってたわ。けど今はそれがないってことでしょ」
 愛瑠はずけずけと言い放つと、指輪を投げ捨てた。
「お、おい!」
 啓は慌てて指輪を探しだした。枕もとに置いて寝ないと不安だと言
って。それがまたなんとも情けなく見えた。菊田や旺次郎も現れて、
啓を小馬鹿にした。
「うるさい!」
 啓はかみついた。自分は二流で才能もない貧乏人。今の会社をクビ
になれば即ワーキングプアの生活になる。医者、プロカメラマン、通
訳、お前らみたいな恵まれた才能と金を持つやつは俺みたいな苦労は
わからないんだ!と。
「結局、女は金目当てなんだよ」
「馬鹿じゃない。そういう女は確実に不幸になってるわよ」
「そう、ストレスで僕んとこ来る女性にはそういう人多いよ」
 菊田や愛瑠は取り合おうとしなかった。

 啓はついにプールに飛び込んだ。それを見た旺次郎は「しかたない」
と協力しようとした。だが、啓は執念で探し当てた。
「やった!」
 その瞬間、啓は「あははははは」と笑いだし、止まらなくなった。
「どうやら心がショートしたようだね」
「大丈夫?」
 愛瑠が馬鹿にしたように声をかけた。すると啓は笑うのをやめて
3人を見た。
「やってやるよ!先生の彼女も、あんたの熟れた人妻も、そしてあん
た自身も俺に惚れさせてやる!」
 何を言っているのやらと3人は呆れたように顔を見合わせた。
「俺が本気になったらどうなるか、見せてやるぞ!」
 だが、菊田や旺次郎は取り合わず出て行ってしまった。
「お、おい!」
「万が一もないけど、あたしがあなたを好きになったら10円あげるわ
よ」
 愛瑠も笑っていた。

 次の日、菊田が海里を連れて来た。これで6人集まり、菊田がルー
ルを説明した。
 毎週ジャックとクィーンのカードを取り、同じマークの人が付き合
う。
「毎週やるのか?」
「われわれはメリーゴーランド、幸福をつかむまで回り続ける」
 菊田は冷静に説明した。
「それじゃ、ラブシャッフル」
 お互いカードを見せ合った。

スペード:旺次郎、愛瑠
ダイヤ :諭吉、海里
クラブ :玲子、啓
ハート :芽衣、菊田

 こうして恋人同士を交換する奇妙なゲームが始まった。


寸  評  バブルチックな設定だと思いました。金と暇を持て余した貴族階
級的な富豪たちが退屈しのぎに繰り広げるゲームみたいな雰囲気がし
ました。しかしその中にも本当に望む相手が見つからないという切実
な心情があり、現代的な世相も織り合わされているように見受けまし
た。初回は登場人物の背景説明に終始していて、来週から本格スター
トになります。チープになりそうな危険もありますが、うまく深層心
理を抉り出すような展開を期待したいです。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 冬クールにはありがちなのですが、なぜかあまり見たいドラマがありません。
もともと幅広いジャンルを見る方ではないのですが、少なくとも一つは興味を
引くものがあります。しかし今クールもどれにするか選ぶのが結構決まりませ
んでした。見始めたら意外と面白かったということもあるので、「ラブシャッ
フル」なんかはいい意味で期待を裏切ってほしいなと思ってます。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
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