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タイトル:Daily Drama Express 2009/01/10 コードブルー SP  2009/01/13


===================================================== 発行部数   26==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2009/01/10 (Sat) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル コード・ブルー
局  名 フジテレビ系
放映日時 木曜22時
キャスト 藍沢耕作(山下智久)
 白石 恵(新垣結衣)
 緋山美帆子(戸田恵梨香)
 冴島はるか(比嘉愛未)
 藤川一男(浅利陽介)
 田所良昭(児玉 清)
 森本忠士(勝村政信)
 梶 寿志(寺島進)
 西条 章(杉本哲太)
 三井環奈(りょう)
 黒田脩二(柳葉敏郎)
脚  本 林宏司
主題歌  Mr.Children「HANABI」

あらすじ コード・ブルー+ドクターヘリ緊急救命スペシャル+

 俺の人生の最初の別れは、両親との別れだった。家を出ていく父は
最後に俺の頭をなでた。なぜなでられるのか、不思議に思ったことを
覚えている。人生に別れはつきものだ。失恋、友との別離、そして死。
予想していた別れもあれば、不意打ちでくる別れもある。出会いの結
末には必ず別れがあるということだ。

 緊急救命を終えた藍沢耕作(山下智久)の脳裏にはこんなことが浮
かんだ。そう、それは7時間前のことだった。その日、耕作をはじめ、
恵(新垣結衣)、美帆子(戸田恵梨香)、一男(浅利陽介)、はるか
(比嘉愛未)は1週間ぶりに翔北病院へ出勤してきた。トンネルでの
火災事故で指示を無視した対応に対して下された処分は1週間の謹慎
だった。それが明けたのだ。環奈(りょう)は監督責任を問われて減
給処分を受けたが、勤務は続けていた。美帆子に言わせると何もでき
ない謹慎よりも減給を食らった方がましらしいが。

 帰ってきたな、戦場に。また始まる、耕作たち4人はそれぞれの思
いを胸にユニフォームに腕を通した。森本(勝村正信)はこれで少し
は楽になると少し胸をなでおろした。だが、一方で黒田(柳葉敏郎)
は田所署長(児玉清)の強い慰留を断り、病院を去ることにした。送
管すらできない現状では救命を担当することは不可能だからという理
由だった。リハビリを行いゼロからやり直す覚悟だった。しかしその
話を全く聞かされなかった耕作たちは黒田の意図がわからずやり切れ
ない思いにとらわれずにはいられなかった。

 耕作は西条(杉本哲太)に呼び出され、絹江(島かおり)の転院を
告げられた。すでに歩行練習に入っている以上、大学病院に置いてお
くことはできないと。耕作は黙っていた。そこへ連絡が入った。絹江
の記憶が戻ったというのだ。譫妄は負傷したときに起きた一過性のも
のだったらしい。

 耕作はすぐさま病室に行った。だが、何をどう言っていいのか整理
がつかずドアを開けることができない。恐る恐るドアを開け、俯き加
減で中に入ると、絹江が振り向いた。
「ばあちゃん……」
「耕作」
 絹江は笑顔で話しかけた。耕作の眼から涙が落ちた。だが、絹江は
気丈に言った。
「こんなとこいていいの?仕事中でしょ。こんなとこでしゃべっちゃ
いけない」
「手が空いたらまた来るから」
 耕作はそう言い残して病室を出た。だが、絹江のことが気がかりな
耕作は物思いにとらわれてしまい、いつもの集中力がなかった。

 恵は病室での作業中、変な皮疹が出ている患者を見つけた。
「ねえ、これ」
 恵はそばにいた美帆子を呼んだ。
「なにこれ、熱も出てるじゃない。血液培養や心エコーとったのかし
ら」
 周囲を見ると、心臓外科の女子フェローがいた。
「すいません、心臓外科のフェローの方ですよね」
 美帆子は心エコーをすべきと意見した。いきなり言われて相手は不
快感を露わにした。
「何の権限があって他科に口出しすんですか。上の先生通してくださ
い。それに大した熱も出ていない、大丈夫です」
「ちょっと、なにかあったあら一番困るのは患者でしょ!」
 美帆子は生来の勝ち気に火がついた。

 美帆子は田所署長に呼ばれ、戒められた。どのような事情があるに
せよ、上の先生を通すのが組織の在り方だと言われてしまい、美帆子
は納得がいかなかった。

 実際、患者は美帆子の言った通りで、件のフェローは上官の叱責を
受けた。
「甘いんだよ。外科医は孤独なんだ。それに耐えられないなら辞めろ
っての」
 美帆子はかりかりした。

 耕作は処置を終えて絹江の病室へ行った。ちょうどケアマネージャ
ーが来ていた。
「耕作、あたし養護施設の申し込みをするの」
「……」
 耕作は何も言えなかった。なぜなら一緒に暮らすつもりだったから
だ。大学に入ってから放りっぱなしだった、その贖罪だ。だが、絹江
は自分の邪魔にならないようにと気遣って出て行こうとしているのだ。
それだけに言葉が出ない。しかし絹江が本当にそう思っているかはわ
からない。

 そこへ鉄道の横転事故が発生し、ドクターヘリの出動要請が来た。
「こりゃ、相当の負傷者が出るぞ」
 森本は顔をこわばらせた。

 先発は、環奈、耕作、恵で、一男と美帆子、はるかは後から続くこ
とになった。環奈は恵に救護場の指揮を任せ、耕作とともに安全確認
が取れた三両目の列車に乗り込んだ。すでにレスキューが慌ただしく
活動にあたっている。その中に割り込んで、治療に当たった。

 後から到着した3人に対し、恵ははるかを耕作と環奈への応援に、
美帆子と一男はちょっと前に安全確認が出た二両目へと向かわせた。

 列車内は携帯電話が次々と鳴り出した。ニュースが流れたらしく、
心配した身内が次々と電話をかけてきているのだろう。
「助けましょう」
 静かだったが、強い口調で耕作が言った。

 恵のところには次から次へと負傷者が運び込まれ、そのたびにどう
するかを恵に聞いてくる。恵は1人1人指示を出していくものの、と
ても1人ではさばききれなくなってきた。どうしよう……。恵は頭が
混乱しそうになった。
「俺にできることはあるか?」
 そのとき背後で声がした。振り返ると黒田だった。ニュースを聞い
て駆けつけてきたのだ。
「先生」
 恵は驚いたが、黒田はそれに応えず、すぐ処置に取り掛かった。

 耕作は倒れた座席の下敷きになった母子を見つけた。子どもは最初
のうち意識があったが、次第に反応が鈍くなっていった。頭を打った
可能性があるかもしれないと見た耕作は西条に連絡をとった。

 同じころ、一男もひどい出血の若い男性の処置にあたっていた。な
んとか先に救助したいが、レスキューの作業が思いのほか手間取って
いて、どうしていいのかわからなかった。
「藤川、その状況じゃ30分持たんぞ」
 黒田の声がした。一男は驚いたが、黒田は構わず縫合作業にかかれ
と指示した。
「……」
 一男は不安になった。
「できるな」
 黒田が言った。
「……やります!教えてください」

 西条に聞いたところ、搬送に40〜50分かかる間に死んでしまう
だろうということだった。
「脳圧を下げれば40分はもちます」
「どうやって?切頭が必要だぞ」
 耕作は一瞬返答に詰まったが、近くで作業しているレスキューのド
リルが目に入った
「レスキューのドリルを使います」
「レスキューの?」

 一男は黒田の指示でオペにかかったが、助手を務めるのはそばにい
た新人のレスキューだった。
「僕は、初めてで」
 不安で震えている。
「でも助けましょう」
 一男は真剣な眼差しで相手を見つめた。

 耕作は電話で西条の指示を受けながら、はるかの助手でオペにかか
った。医療用のドリルでないので、深く行き過ぎると死ぬ。それでも
耕作は迷わずドリルを手にした。そばにいた母親は青ざめた。
「やめて!」
 母親は手をバタバタさせて暴れた。
「静かにしてください!」
 耕作は叫んだ。
「僕も助けたいんです。手を握ってあげていてください」

 黒田の指示を忠実に実行し、一男は縫合を終えた。患者の出血も止
まった。
「終わりました」
「よくやった」
 黒田が言った。
 一男はにっこりし、新人レスキューと固く握手した。
「まだ喜ぶのは早いぞ。2時間以内に病院に搬送すれば足は元通りに
できる。絶対残すぞ」
 黒田が鋭いまなざしで言った。

 耕作の方も西条の指示で脳内の血の吸引を終えた。子供の意識が戻
った。
「運が良かったな、その子も、お前も」

 そのころ、恵は胸部を強打した男性の治療と、腹腔内出血を起こし
た男性の処置にあたっていた。胸部強打の男性は妻と娘が付き添って
いた。ヘリの到着を聞いた恵は腹腔内出血の男性を搬送するよう指示
した。すると妻と娘の顔色が変わった。
「さっき、すぐ搬送するって言ったじゃない!」
 だが、その後容態が悪化し、仮に搬送してももう助かる見込みは薄
かった。
「運んでも無駄だって言うの!すぐ運んでちょうだい!」
「誰を運ぶかは私が決めることです」
「あんた、お父さんを見殺しにする気?」
「指示に従ってください」
 恵は厳しい表情で答えた。妻と娘は父親にすがって声をあげて泣い
た。
「失礼します」
 恵は感情を押し殺し、冷酷とも言える非情さを通した。

 現場での処置も大方終わった。恵や環奈はヘリで戻ることにしたが、
美帆子の姿が見えない。携帯にかけてもつながらず、みな不安に思っ
た。そのため耕作は現場に戻ることにした。
 そのとき美帆子から電話がかかってきた。
「どうした、どこに行ってた」
 耕作が聞くと返ってきたのは黒田の声だった。
「すぐ来てくれ!」

 耕作が出向くと、そこには美帆子の心臓マッサージをする黒田の姿
があった。美帆子は血まみれで意識を失っていた。列車での作業中に
転落し、胸を強打したようだった。
「代わります」
 耕作は片腕しかない黒田に代わって心臓マッサージに入った。
「どれくらい心停止を?」
「わからん、俺も分前に来た」
「ヘリいつでも出れるぞ」
 一緒についてきた梶(寺島進)が言った。

 美帆子はすぐさま搬送され、オペに入った。切開してみると心臓に
損傷が見つかり、すぐ縫合する必要があった。美帆子はそのまま心臓
外科に回された。手術はなんとか無事終わったが、状況は予断を許さ
ず、美帆子はICUへ送られ、父親も呼ばれた。耕作たちは待機して意
識の回復を待った。

 恵は最後まで取り乱すことなく対応した。
「白石、あれは間違ってない。よく冷静に対処した」
 黒田は恵をねぎらった。
「いつもそうでしたから。黒田先生が」
 恵は静かに答えた。
「そうか」
 黒田は立ち去って行った。
「辛い仕事ね。でもだからあなたにやらせた」
 環奈が言った。
「これからは黒田先生はいない。あなたたちにはもっともっと成長し
てもらわなければならない」
 恵はずっとうつむいていたが、震える声で言った。
「もう泣いてもいいですか」
 環奈は恵を慮って1人にした。恵は1人になるとあたりもはばから
ず泣きじゃくった。

 美帆子の父親がやって来た。耕作が案内し、疲れた時に休む控え室
も提供した。美帆子の血まみれの携帯やネームプレートを見て、父親
は不安げな表情を浮かべた。

 その夜遅く、恵は美帆子のベッドのそばに付き添っていた。そこへ
心臓外科のフェローがやって来た。
「緋山先生の言うとおりだった」
 ご家族が緋山先生にお礼をと言っていたので、来たのだという。
「あたしも、言いたい。おかげで患者さんは助かった」
 フェローは申し訳なさそうな顔をした。恵が言った
「あたしもね、最初会ったときはびっくりした。なんでもはっきり言
うし、人の気持ちにずかずか入ってくるし。でも本当はやさしい人な
の。患者さんを思うあまり熱くなるの」
「いい先生ですね」
「ええ、なんかずいぶん前から友達みたいな感じがして」
 恵は少しだけにこりとした。

 耕作が控室の様子を見ると、父親は美帆子のネームプレートの血を
ハンカチで何度も拭いていた。
「昨日までうちにいたんですよ。それが今管をあちこちに刺され
て……」
 父親は思い詰めていた。せっかく何年ぶりかで会ったのに、ささい
なことで喧嘩してしまったことを悔やんでいた。医者として立派にや
っていることを褒めてあげたいと。
「そうですね、言うべきことは言っておかないと後悔するものですか
ら」
 耕作はまるで自分に言い聞かせるかのように言った。

 翌朝、美帆子は意識を回復し、みな喜びに沸いた。
「いかがですか?」
 見舞いに訪れた田所署長が聞いた。
「すいません」
 美帆子は自分のミスだったと謝った。
「いいんです。フェローはミスしてもいい時期なんですよ。でも医者
に失敗は許されない。焦らず広い視野を持った医者になってください」

 心臓外科のフェローもやって来た。
「あんたがあたしの心臓縫ったの?」
「大丈夫なの?」
 美帆子は疑わしげな眼を向けた。
「たぶん」
 フェローはちょっと意地悪そうに答えた。だが美帆子は笑った。

 美帆子の意識が戻ったので、黒田は再び病院を発った。耕作、恵、
一男、はるかは慌てて後を追った。
「先生、また自分たちの指導医になってください!」
 一男が頭を下げながら言った。耕作、恵、はるかも頭を下げた。
「今まで見てきたフェローの中でお前らは最低だ。自尊心ばかり強く
て痛みに弱い。傲慢で自己愛が強い。最低だよ」
 黒田は強烈な非難を浴びせ、そして立ち去って行った。むろんそれ
が黒田からの発破であることは痛いほど通じていた。だからみな表情
を引き締めて黒田を見送った。

 絹江は耕作に黙って退院しようとした。後を追いかけた耕作は言っ
た。
「ばあちゃん、一緒に暮らそう」
 絹江はしばし黙ってから答えた。
「何いってんの、仕事があるだろ。一人前の医者になりたいんだから
いいんだよ」
「ばあちゃん……」
「今度行くところは仲間も大勢いて楽しみなの」
 絹江は笑顔を見せた。耕作は何も言えなくなった。
「耕作の働いているところを見れて、本当によかった。じゃあね」
 絹江はそう言うと足早にタクシーに乗り込んで出て行った。

 別れは必ずやってくる、どんなときにも。だが俺たちは知っている。
悲しい別れがある。旅立ちの別れがある、未来への別れがあることを。
そして俺たちは知っている。ただ一つ確かなことは、別れが人を強く
するということを。

 そして今日もまた、救命は急患の受け入れで緊迫した空気に包まれ
ている。一秒、一瞬が生死を分ける、そうした救命の過酷な使命をこ
れからは自分たちが背負っていくことに、耕作たちはもう迷いも戸惑
いもない。(終わり)


寸  評  全体としては、いろいろな経験を積むことによって4人のフェロ
ーが成長し、医師としての自覚を高めていくということは描けていま
したので、その点では見ごたえがありました。
 しかし本編最終回同様、大事故の中の対応でしたので、やはりドラ
マティックというよりはドキュメンタリーチックな展開でした。また
4人のフェローを等分に描き出すため、サブストーリーが盛りだくさ
んで一つ一つの内容が薄く感じるのも本編と同じでした。
 今回は耕作がイントロとラストで言っていた別れが人を強くすると
いうメッセージが主題となっていて、黒田や絹江との別れがありまし
た。しかし耕作と黒田の接点はほとんどなく、絹江との関わりも最初
と最後だけでしたので、主題がうまく消化しきれてないかなという印
象がありました。耕作メインに、つまり耕作と他の3人のフェローの
対立的な構図を作りながら進むような話がよかったのではないかなと
思いました。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 このスペシャルを見ている途中、何気なく千葉テレビにチャンネルを合わせ
てみたら、ドクターヘリの見学会が行われるというニュースが流れていました。
映像にはドラマで出てくるデコレートと全く同じヘリが映し出されていて、現
実社会でももう普通に使われているんだなと実感しました。 (けん)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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