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タイトル:Daily Drama Express 2008/12/08 イノセント・ラブ (8)  2008/12/29


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/12/08 (Mon) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.月曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 月曜日の連続ドラマ
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タイトル イノセント・ラブ
局  名 フジテレビ系
放映日時 月曜21時
キャスト 秋山佳音(堀北真希)
 長崎殉也(北川悠二)
 桜井美月(香椎由宇)
 秋山耀司(福士誠治)
 瀬川昴 (成宮寛貴)
 浅野聖花(内田有紀)
 義道神父(内藤剛志)
 池田次郎(豊原功補)
主題歌
脚  本 浅野妙子
主題歌   宇多田ヒカル『Eternally - Drama Mix -』

あらすじ 第8話「走り出す」

 聖花(きよか)(内田有紀)は殉也(北川悠仁)のところに帰って
こなかった。3日して昴(成宮寛貴)から電話が入った。
「これからは俺が聖花の面倒を見るよ」
 聖花は昴のところにいた。
「聖花のことを愛しているのか?」
「ああ」
「だったら聖花も幸せだな」
「殉也……」
 昴は話し続けようとしたが、殉也は一方的に電話を切ってしまった。

 佳音(かのん)(堀北真希)の過去を知った池田(豊原功補)は佳
音に電話をした。記事にする前に佳音の意思を確認したいと思ったの
だ。医師は言っていた。本人は忘れている、それを掘り起こしたとき
佳音の精神がどうなるか保証はできないと。しかし池田は真実を隠し
続けることが最善とは思えなかったのだ。だが、佳音は出なかった。

 殉也はショックが大きく、脱力感に襲われていた。もう聖花がいな
いのに聖花のベッドに寄り添ってしまう。
「このベッドで眠ってたんだよな……」
 部屋にはいってきた佳音に殉也は言った。だがベッドに触れたかと
思うと、掛け布団やシーツを引き剥がして投げ飛ばして荒れた。佳音
は痛々しくてなんて言っていいのかわからかった。

「聖花さんその後どう?」
 美月(香椎由宇)が問いかけた。
「施設に預けました。徘徊とかひどくなって手に負えなくなって」
 殉也はサバサバと答えた。義道神父(内藤剛志)が言った。
「お前、聖花さんのことは人手に任せられないんじゃなかったのか?」
「そう思ってました。あいつは食べ物の好き嫌いが激しいし、決まっ
たシャンプーじゃないと蕁麻疹が出るし、でも……」
 殉也は自分が思っていることを飲み込んで立ち去った。

 不審に思った美月は殉也の家に行った。出てきたのが佳音だったの
で、驚いた。
「あなた、殉ちゃんと一緒に暮らしているの?」
「はい、身の回りのお手伝いとか、聖花さんのお世話とか」
 美月の強い口調に佳音はたどたどしく答えた。
「でも、聖花さんはいないんでしょ?」
「……」
 そこへ殉也が帰ってきた。美月はこれみよがしに言った。
「聖花さんは嫌じゃなかったのかしら。殉ちゃんが他の女の子と暮ら
しているなんて。普通の神経なら気になるんじゃないかしら」
 そう言われて、殉也も佳音も返す言葉がなかった。

 美月が帰った後、佳音は言った。
「確かに美月さんがいないのにこのままここにいるのは甘えすぎです。
私出て行きます」
「でも」
 殉也は引きとめようとして口を噤んだ。自分自身も佳音に甘えてい
るんじゃないかと思えた。
「そうだね」
 殉也は佳音の言ったことを受け入れた。

 佳音は聖花を見舞うために昴のもとを訪れた。聖花は幸せそうにカ
サブランカをいじっていた。
「昴さんは今後どうするんですか?人を世話して生きていくのは大変
ですよ」
「でも殉也の幸せのためならと思えば受け入れられるよ。あいつは聖
花から自由にならなくちゃいけないから」
 昴はどこかホッとしたような顔をしていた。

 佳音が帰ってくると、殉也がボーっとしていた。
「今日は日曜学校じゃ」
「休んだんだ。だるくて」
 殉也は覇気がなかった。

 佳音は殉也を街へ引っ張り出した。少しでも元気になってもらおう
と思ってのことだ。佳音が一生懸命励ました甲斐があって殉也は時折
笑顔を見せた。自分からしゃべるようにもなり、少し元気が出てきた
ようだった。

 だが佳音が少し目を放した隙に殉也はいなくなってしまった。慌て
て探すと殉也は海を見ながらぼんやりしていた。赤い風船がふわふわ
と宙に流れていた。
「なんでここにいるんだ、なんで俺に優しくするんだ……。わからな
い。君の気持ちがぜんぜんわからない……」
 殉也はまた生気を失っていた。

 家に戻ると殉也は聖花との写真をすべて処分しようとした。
「止めてください!」
 佳音はとめた。
「意味ないんだよ!愛なんてなかったんだから。もう見たくないんだ」
 殉也はうなだれた。
「じゃあ私に預からせてください。いつかきっと見返したくなります
から」
 佳音は火事で自分の昔の写真がまったくなかった。不幸な結末に終
わったけど、それでも家族との写真があったほうがいいと思える。思
い出がまったくないよりははるかに幸せなことだと佳音は思っていた。
「殉也さんは幸せになります。好きな人のために尽くすことはぜんぜ
ん無駄なことじゃないんです」
「なんでそう思えるの?」
「それは……私はそう思います」
 そう思うことが佳音を支えてきた。
「聖花さんに愛がないなんて思えません。殉也さんと一緒にいたら誰
も愛さずにいられません」
「佳音ちゃん」
「……」
 思わず口走った自分の言葉が殉也の驚きを誘ってしまったので、佳
音は顔を赤くして、奥へ引っ込んだ。そしてサンドイッチとサラダを
殉也にために作ると、仕事に出て行った。

 昴は聖花に殉也のことを思い出させようと写真を見せたりしていた
が、聖花は一向に思い出すそぶりがない。
「聖花、俺は一生お前の面倒を見るつもりだ。でも殉也のことを忘れ
るのは許せないんだ」
 だが、聖花は相変わらず無表情なままだった。

 そこへ美月がやって来た。聖花を施設に預けたという殉也の話を確
かめにきたのだ。しかし昴の元に聖花がいるのを見て驚いた。
「どうして……」
「殉也から何も聞いてないのか?じゃあ話せない」
 昴は美月を帰らせようとした。
「待って、あたしだって殉ちゃんのそばにいて見てきた。知る権利が
あるわ」
 美月の言い分はもっともなことだった。昴は事情をすべて話した。

 佳音が帰ってくると、殉也はピアノを弾いていた。流れるようなメ
ロディだった。殉也が何かに意欲を持って取り組むのを見て佳音は自
然とうれしくなった。弾き終えると殉也は言った。
「昔は作曲もしていたんだ。でも聖花があんなことになって止めたん
だ。聖花の時間が止まっているのに僕だけが前に進むとかわいそうだ
からって。でも」
 そう言って殉也はリビングのオレンジ色の花を見た。
「この花を見てたら自然とメロディが湧いてきたんだ」
「すごくいい曲だと思います。本当に」
 佳音の言葉には実感がこもっていた。
「録音して聖花さんに聞いてもらいましょう」
「いや、この曲は佳音ちゃんのために書いたんだ。この数日、僕はど
うしようもなかった。その間佳音ちゃんは僕のそばにいて支えてくれ
ていた。佳音ちゃんありがとう」
 そう言われて佳音は心が震えるのを感じた。
「もう1回、弾いてもらえますか?」
 佳音は泣きそうなのを抑えて言った。殉也はうなずいて弾き始めた。
静かに時が流れ始めるかのようだった。

 次の日、殉也はいくばくかのお金を差し出した。
「僕は前に進むことに決めた。だから佳音ちゃんもこれで。お兄さん
のために役立ててほしい」
「あ、ありがとうございます」
「それともう1つ。どこにも行かないでここにいて欲しいんだ」
「は、はい」
 佳音はうつむきながら答えた。視界から霧が晴れたかのような心地
だった。温かくて、明るくて、こんな日がずっと続いてくれたらと佳
音は思わずにはいられなかった。

 そのころ池田は思い悩んでいた。佳音の過去に関する記事を出すべ
きか、否か。難しい選択だったが、最後には記事を破り捨てた。やは
り佳音の精神的打撃は無視できなかった。

 だが、次の日佳音は街で耀司の写真が載った記事を見つけた。タイ
トルは「衝撃の新事実!父親が娘に性的虐待」。佳音は雑誌を買って
読んだ。そして過去が次第に蘇ってきた。ベッドの掛け布団がはがさ
れた後のこと。ベッドに入ってこようとしたのは父親だった。
「止めて!」
 そう叫ぶ12歳の自分。その手にはナイフが握られている。その瞬
間、佳音は雑誌を落としてしまった。

 夕方、殉也は帰ってきたが、佳音がいなかった。テーブルを見ると
メモが置かれていた。それを見ると殉也は慌てて飛び出した。

 殉也は高速バスの乗り場へやって来た。佳音は長野行きのバスに乗
り込んでいた。
「佳音ちゃん!」
 殉也は叫んだが、バスはそのまま走り出してしまった。殉也は力の
限り走ったが追いつかない。

 佳音はメモにこう書いていた。「いろいろとお世話になりました。
本当にありがとうございました。さようなら」。なんでなんだ?殉也
は戸惑うばかりだった。


寸  評  殉也との関係を深めていったところで、暗い過去が判明してまた
離れていくという波乱を呼び込む展開です。佳音が親を殺したという
事実は性的虐待よりも重みがあってよいと思います。そんな人でも変
わらず愛情を持って接することができるのかという見所ができます。
ただ正当防衛なので、佳音に罪はなく、むしろ佳音がどう心の整理を
つけるかの問題なのでしょうけれど。でも性的虐待は宙に浮いてしま
いまっていて、出す意味がなかったような気がします。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 殉也がピアノに向かいながら作曲をしているシーンがありましたが、あれは
二流の作曲家の象徴的なシーンとして使われると聞いています。一流の作曲家
はピアノに向かわないと言います。そもそも音を実際に出して確かめずとも頭
の中で正確な音程をつかむことができるらしいです。もっと言うと作曲家にと
って耳が聞こえないことはそれほど致命的ではなくて、むしろ目が見えないこ
とのほうが絶望的な状況のようです。作曲家は楽譜を見れば自然と音楽が頭の
中に正確に流れるからという話です。(けん)

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