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タイトル:Daily Drama Express 2008/10/20 イノセント・ラブ (1)  2008/10/27


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/10/20 (Mon) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.月曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 月曜日の連続ドラマ
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タイトル イノセント・ラブ
局  名 フジテレビ系
放映日時 月曜21時
キャスト 秋山佳音(堀北真希)
 長崎殉也(北川悠二)
 桜井美月(香椎由宇)
 秋山耀司(福士誠治)
 瀬川昴 (成宮寛貴)
 浅野聖花(内田有紀)
 義道神父(内藤剛志)
 池田次郎(豊原功補)
主題歌
脚  本 浅野妙子
主題歌   宇多田ヒカル『Eternally - Drama Mix -』

あらすじ 第1話「残酷な運命と闘う…新しい私の始まり」

 それは2001年のクリスマスイブのことだった。長野県の小さな
町の一軒の民家で両親が惨殺され、家は放火によって焼け崩れた。
13歳だった秋山佳音は兄によって無事救い出された。だが事情をよ
く知らない佳音は母親を心配して家に戻ろうとし、兄に押さえ込まれ
ていた。

 知ってる?お兄ちゃん。宇宙では1日に何億の星が死んで消えてい
ってるんだって。でも同じくらいたくさんの星が生まれているんだよ。
あたしは夜空を見上げると、いつもみんなから離れている一番小さな
星を探すんだ。あんな星でも一生懸命光ってる、私はここにいます、
私のこと忘れないでって……

 あのときから6年の歳月が過ぎた。19歳になった佳音(堀北真希)
は高原の小さな喫茶店でアルバイトをして生活していた。佳音は髪を
ゴムでまとめると、まめまめしく働き始める。お客の評判も良く、雇
い主の由香里(須藤理紗)にも気に入られていた。

 佳音は小さなアパートで1人暮らしをしている。食事前には「お父
さん、お母さん、お兄ちゃん、いただきます」と言ってから1人でご
はんを食べる。そして1人静かに眠りにつくのだった。

 翌日、いつものようにアルバイトに行くと、由香里の態度が妙によ
そよそしかった。佳音は気にせずいつもどおり仕事にかかろうとした
が、由香里に呼び止められた。
「あのね、実は妹がここを手伝いたいって言ってきたの。だから……」
 由香里は言いづらそうで視線を逸らしていた。
「わかりました。それじゃ仕方ないですよね」
 佳音は笑顔で答えた。解雇されることになっても佳音は手を抜かず
に仕事に励んだ。けれど、仕事の合間に由香里が客となにやらひそひ
そ話しているのを聞くと表情が曇った。
「あの子のお兄さん、両親を殺害してんだよ。関わらない方がいいっ
て」
「あたしぜんぜん知らなかった。教えてくれてありがとう」

 佳音は長野少年刑務所を訪れた。兄の耀司(福士誠治)が収容され
ているのだ。耀司は6年前の両親惨殺の犯人として逮捕され、少年院
に送られていた。
「元気だった?」
 佳音は笑顔で尋ねた。
「うん」
 耀司は答えたが、表情は暗い。
「もう少しで仮釈放だね、私弁護士さんにもう一度頼んでお兄ちゃん
の冤罪を晴らしてもらうよ」
 佳音は耀司を励ました。
「いいよ、どうせ相手にされないんだから」
 耀司は断った。夢や希望を耀司から感じ取るのは難しかった。
「そんなこと言わないで。あたし探してみるよ向こうで……ううんな
んでもない、とにかく頑張ろう」
 そう言って佳音はガラス越しに耀司と手のひらを合わせた。佳音が
微笑むと耀司にもようやく笑みが浮かんだ。

 お兄ちゃん、ごめんね。佳音はそうつぶやいて列車に乗りこんだ。
耀司に言いかけて言えなかったことがあった。それは新しい働き口を
求めて都会に出ようとしていたことだった。地元の小さな町で佳音と
耀司の事件を知らないものはいない。「親殺し、出て行け」と戸口に
貼紙をされるような嫌がらせは日常茶飯事で、これ以上この町に住み
続けるのは耐えられなかった。耀司を見捨てるような形になるから、
言い出せなかったのは心残りだが、もうこれ以上自分をこの町に引き
止める思い出も何もなくなってしまった。つらい思い出が脳裏を巡り、
佳音は思わず涙をこぼした。けれど首筋にかかったロザリオをぎゅっ
と掴み、涙を拭いた。2007年12月 、佳音は横浜に向かった。

 佳音はハウスクリーニングの会社で働くことになった。髪を短くし、
名前も「山本和美」に変えた。和美(佳音)はいつものように誰より
も一生懸命仕事に励んだ。「そろそろお昼食べよう」と誘われても区
切りがつくまで手を止めようとしなかった。

 ある日、和美(佳音)は仕事先でピンボケした家族写真を見つけた。
「あのこれはどうしましょうか?」
 和美(佳音)は尋ねた。
「ピンボケだから捨てておいてください」
 そう言われた和美(佳音)だが、捨てずに持ち帰った。ピンボケで
も笑顔で幸せそうな写真を見ると和美(佳音)は捨てられなかったの
だ。

 市内のとある教会で、長崎殉也(北川悠仁)はオルガニストとして
仕事をしている。殉也はこどもたちに人気者だった。今日も幼馴染の
桜井美月(香椎由宇)に案内されてきた聖歌隊のこどもたちに囲まれ
てオルガンを弾くのをせがまれていた。殉也はこどもたちに屈託のな
い笑顔で接している。その笑顔を美月は嬉しそうに見つめていた。
 
「ねえ、あたし殉ちゃんはもっと華やかなところで活躍できる人じゃ
ん」
 美月は時折そういう話をする。かつてはCMの曲作りをするなど、
殉也は音楽の才能が高かった。このまま埋もれてしまうのが残念だっ
た。
「でもさあ、俺って才能があるからもし売れたりしたら、周りが聖花
のこと受け容れてくれないじゃん」
「そっか、聖花さんのためか」
「うん」
 殉也はまた屈託のない笑顔を浮かべた。
「さらりと言うんだから」
 美月は思わずため息をついた。
「ん、どうしたの?」
 殉也が尋ねた。
「あ〜あもう」
 美月は手にしたバッグでポーンと殉也のお尻のあたりを叩いた。

 殉也がアルバイトしているバーに大学時代の友人瀬川昴(成宮寛貴)
が訪ねてきた。殉也は今年熊の着ぐるみで聖花を驚かしてプレゼント
を渡そうと思っているんだけどと話した。7年前に似たようなことを
したら聖花は大笑いして気に入ってくれた思い出があった。そしてそ
の後2人は付き合いだしたのだ。けれど昴は少し食傷気味といった感
じで話題を変えた。
「クリスマスイブ、クルーザー借りてパーティするんだ。お前も来て
くれよ。俺好みの美人を揃えておくぜ」
 聖花のことばかり思って、気疲れしていることを昴は気にかけてい
た。
「へえ、お前のタイプの女って見てみたいな」
 殉也はそう答えたものの、行く気にはなれなかった。

 その日の帰り、殉也は雑貨店でクリスマスツリーを買って帰った。
「聖花、帰ったよ」
 そう言うと、殉也は奥の部屋へ向かい、鍵を開けて入っていった。

 和美(佳音)は仕事仲間とも打ち解け、都会の生活にも慣れてきた。
一緒に仕事先に行く春江(宮崎美子)も和美(佳音)が真面目でいい
子だと感心していた。和美(佳音)は昼食中、笑顔で赤ちゃんをあや
す母親を見て、携帯で写真に撮った。帰りの電車待ちのときに反対側
のホームで楽しそうにしゃべっているカップルを見るとやはり携帯で
写真に撮った。そういう写真を和美(佳音)は家でボードに貼り付け
ていた。

 ある日、和美(佳音)は春江と一緒にある音楽家の家の清掃に行っ
た。
「ここの家、1つだけ絶対入っちゃいけない部屋があるの。まっ鍵が
かかってんだけどね」
 春江はおしゃべりなごく普通の中年女性だ。和美(佳音)と春江は
早速掃除にかかったが、春江に電話がかかってきた。春江は困った顔
をした。年老いて痴呆になった父が養護施設で暴れて呼び出されたら
しい。
「あの、あたしが代わりにやっておきますから」
 和美(佳音)は言った。
「本当?あなたって本当にいい子ね」
 そう言うと春江は慌てて引き揚げていった。
 残った和美(佳音)は1人掃除をしていると1冊のアルバムが目に
入った。そこには笑顔のこどもたちが写っている写真がたくさんあっ
た。和美(佳音)は仕事を忘れてアルバムのページをめくっていった。
すると1枚の写真が床に落ちた。それは殉也の写真で、屈託のない笑
顔でこっちを見つめていた。和美(佳音)は思わず見つ め続けた。
そして知らず知らずエプロンのポケットに忍び込ませようとした。
「ちょっと」
 不意に声をかけられて、和美(佳音)は思わず写真を背後に隠して
声のほうを向いた。殉也が厳しい表情で立っていた。
「何隠したの、見せて」
 そう言われて、和美(佳音)は恐る恐る差し出した。
「なんで?理由を聞かせてよ」
 自分の写真だとわかって、殉也は不思議に思った。
「言ったら許してもらえるんですか?」
「それは、聞いてみないとわからないよ」
 和美(佳音)は言った。
「人が笑っている顔が好きなんです」
 殉也はおやっという顔をした。生きていれば笑ってばかりはいられ
ない。けれど笑っている写真にはそのときの幸せな思いがずっと残り
続けているからと。
「そうなんだ。でもこの写真はあげられない」
「当然です。申し訳ありませんでした」
 そう言って和美(佳音)は立ち去ろうとした。
「待って、写真撮ろう」
 殉也は和美(佳音)を呼び止めた。殉也は和美(佳音)携帯を借り
ると、和美(佳音)を横に立たせた。
「行くよ、笑って。せーの」
 パシャ!
 和美(佳音)は撮った写真をアパートの自室のクリップボードの真
ん中に留めた。たった1人の人の笑顔によって世界を変えてしまう、
そんな不思議な思いに和美(佳音)はとらわれていた。和美(佳音)
は街の雑貨店で見つけたロザリオを買い、そして久しぶりに手紙を書
いた。

 お兄ちゃん、元気ですか?私は元気です。そして毎日が楽しくてな
りません! 

 月日は流れ2007年のクリスマスイブになった。その日、和美
(佳音)は春江と一緒に仕事先に出向いた。和美(佳音)は追加でお
風呂場の掃除をしてほしいと言われて、春江に聞きに行った。
「春江さん、お風呂場も掃除してほし……」
 和美(佳音)は思わず口ごもった。春江が引き出しからお金を無心
しようとしていたのだ。
「み、見逃して。父親の介護でお金が必要なの」
 春江はうろたえていた。和美(佳音)はどうしていいかわからず、
言われるままにうなずいた。

 仕事先から戻ってくると、事務所に池田次郎(豊原功輔)という
「週間時潮」の記者が来ていた。
「あなた、本当は秋山佳音さんという名前なの?」
 社長は疑い深い目を向けてきた。しかし池田は佳音に話を聞きたい
と近くの喫茶店に連れ出していった。

 池田は少年犯罪について調べていて、詳しい話を聞きたいと言った。
口調は耀司がなぜ殺人をしたのかという一方的なものだった。耀司は
当時引きこもり状態で、父親と諍いが絶えなかった。事件当日も父親
と耀司の口論を聞いたという証言もあった。当時の忌まわしい記憶が
よみがえると、佳音は呼吸が乱れて苦しくなってくる。けれどきっぱ
りと言った。「兄は人を殺してなんかいません!」

 事務所に戻ってくると、社長が厳しい口調で呼びつけた。社長は春
江と面談をしているところだった。先日行った仕事先で集金袋のお金
がなくなったのだという。
「春江さんは知らないと言うのよ」
 佳音は何も答えられなかった。すると春江が口を開いた。
「この子がやったんです。だって出身や名前を変えていたじゃないで
すか」
「そうね」
 佳音が取材を受けている間、HPで6年前の殺人放火事件を調べた
社長はうなずいた。
「それは違います。でももしすべての事情を打ち明けていたら採用し
ていただけましたか?」
「しないでしょうね」
 社長は佳音を見なかった。何を言っても無駄だと佳音は悟った。
「わかりました。申し訳ございませんでした」
 佳音は悔しい思いを押し殺して事務所を出て行った。

 佳音は放心状態で街を歩いていた。春江に罪を押し付けられた、社
長はそれを信じた。思えば由香里も自分の過去の事情を知ると手のひ
らを返すような態度を取った。誰も信じられない孤独と悲しみが佳音
を苦しめた。すると近くの教会から賛美歌が流れてきた。佳音は教会
に自然と足を踏み入れた。佳音はオルガンを弾いているのが殉也だと
知った。殉也は屈託のない笑顔でこどもたちの歌の伴奏をしていた。
それを見ていたら、救われるような思いがして思わず涙がこぼれてき
た。

 いくぶん落ち着きを取り戻した佳音は耀司の面会に行った。雑貨店
で買ったロザリオを持って。
「髪、切ったんだ」
「うん」
「横浜に住んでるのか?」
「うん、仕事の世話をしてくれる人がいてね。それに一度住んでみた
かったの。海があるしおしゃれだし」
「そうか、俺も行ってみたいな、横浜とか東京とか」
「お兄ちゃんがここ出たら、あたし案内する。それまでに詳しくなっ
ておくよ」
 佳音は嬉しそうに言った。耀司からも自然と笑みがこぼれてきた。
 帰り際、佳音は恥ずかしそうに言った。
「そうだ、お兄ちゃん、あたし好きな人ができた」
 耀司は一瞬驚いたような、少し動揺したような顔を見せた。
「そうか、よかったな」
 それだけ言うと、耀司は監督官に連れられて戻っていった。

 佳音は雑貨店でグランドピアノのミニチュアを買って殉也の家に行
った。先日のお礼を兼ねたクリスマスプレゼントだった。恐る恐るイ
ンターフォンを鳴らしてみたが、殉也は不在だった。ほっとしたよう
な残念なような複雑な思いがしたけれど、戸口にプレゼントを置いて、
佳音は家を後にした。

 そのころ殉也は教会から帰ろうとするところだった。義道神父(内
藤剛志)が美月と一緒に食事でもと誘ったが、殉也は申し訳なさそう
に断った。
「ダメですよ、殉ちゃんには聖花さんがいるんですから」
 美月は気丈に言った。
「大丈夫なのか」
 義道神父は美月を気遣った。
「大丈夫です。いつかきっと私に振り向きますから」
 美月は強気に言った。

 雪が舞い散る夜空を、昴はクルーザーの甲板から眺めていた。参加
した女性が一緒に盛り上がらないと声をかけてきた。けれど昴は「好
きな人がいるから」と言って断った。

 お兄ちゃん、クリスマスです。こんな夜はみんなの幸せを祈りたく
なります。まだ見ぬ人が幸せでありますように。お兄ちゃんが幸せで
ありますように。あの人が幸せでありますように。

 耀司の脳裏には「好きな人ができた」という佳音のことばがずっと
響いていた。その晩遅く耀司は突然叫び声を上げたかと思うと、大暴
れして同部屋の少年たちを無差別に殴りつけはじめた。監督官に押さ
えつけられた。

 殉也は熊のサンタの着ぐるみでアルバイトをして、それから家に帰
った。そしてそのままの格好で奥の鍵のかかった部屋に入った。
「メリークリスマス、おめでとう聖花!びっくりした?」
 だが何の反応も返ってこなかった。殉也は着ぐるみを脱いだ。
「たまには笑ってよ」
 それにも返事はない。殉也の目の前にはベッドがしつらえてあった。
殉也は枕元に座ると屈託のない笑顔を見せた。
「同じことをしても面白くないよね」
 ベッドには聖花が横たわっていた。チューブや医療機器がつけられ、
聖花は無表情でただ天井を見つめているだけだった。
「ねえ、どうしたら笑ってくれるのかな?」
 殉也はため息をついて聖花を見つめた。

 そんなことが自分の周りで起こっていることなど知る由もなく、佳
音は舞い落ちる雪の街の中で幸せな気分に浸りながら歩いていた。


寸  評  薄幸に耐えながら健気に生きる少女というありきたりなストーリ
ー、これがハッピーエンドにつながれば普通のシンデレラストーリー
になるのかな?という感じがしました。ただ植物状態の聖花という存
在は大いに気になるところではあります。
 もう一つ気になったのは、聖なるイメージとしてキリスト教を随所
に使っています(ホワイトクリスマス、教会、オルガン、賛美歌、ロ
ザリオなど)が、これがステレオタイプという気がしてストーリーの
陳腐化を助長していたのではないかということです。ストーリー自体
がありきたりなのをいかに新鮮に見せるかは小道具にかかっていると
思いますので、使い古されたメッセージ性は話をつまらなくする危険
性があると思います。
 いずれにしても現時点ではなんともいえない、これからのストーリ
ー展開次第という初回の印象でした。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 訳あって、先日神田の書道専門店に行って、書道具一式を買いました。書道
具といえば小学校で使ったセット物しか使ったことがなく、あれ一式で3千円
くらいだったと思います。今回はそれなりのものを揃えるので、筆1本で2千
円、硯も墨も3千円くらい。しかし一番かかったのは、画仙半紙で、20枚で
1千円くらいしました。合計で約1万円くらい。書道を始める前になんだか疲
れてしまいました。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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