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タイトル:Daily Drama Express 2008/07/10 コード・ブルー (2)  2008/07/17


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/07/10 (Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル コード・ブルー
局  名 フジテレビ系
放映日時 木曜22時
キャスト 藍沢耕作(山下智久)
 白石 恵(新垣結衣)
 緋山美帆子(戸田恵梨香)
 冴島はるか(比嘉愛未)
 藤川一男(浅利陽介)
 田所良昭(児玉 清)
 森本忠士(勝村政信)
 梶 寿志(寺島進)
 西条 章(杉本哲太)
 三井環奈(りょう)
 黒田脩二(柳葉敏郎)
脚  本 林宏司
主題歌  Mr.Children「HANABI」

あらすじ 第2話「」

 耕作(山下智久)はビル作業で看板に直撃されて肋骨骨折と頭部外
傷を負った45歳男性を救命すべく、森本(勝村政信)とともに救命
ヘリに乗って現場に向かった。耕作の処置はとても研修生とは思えな
いほど適切で、他の3人を知識でも技量でも、そして精神力でも上回
っていた。

 しかし病院に帰還した際、搬送されてきた年老いた女性を見て、耕
作は思わず立ちすくんだ。森本はそれを見て尋ねた。
「どうした、知り合いか?」
「夕べ、緊急外来に来たおばあちゃん……」
 耕作は相変わらず顔色ひとつ変えなかったが、かすかに動揺してい
る気配があった。
「お前が見たのか?」
 黒田(柳葉敏郎)が厳しい表情で聞いた。
「……」
「それで帰したのか?」
「はい」
 そのおばあさんは、さっき病院のトイレで気を失い倒れて運ばれた。
心臓発作で黒田の処置でようやく心拍が戻ったところだった。耕作は
意識不明のおばあさんを見続けていた。どこかうつろな感じだった。

 恵(新垣結衣)、美帆子(戸田恵梨香)、一男(浅利陽介)は一緒
に昼食をとった。
「だいたいさ、孤独なばあちゃん帰すか?みんなあいつを買いかぶり
すぎだよ」
 一男が開口一番耕作を非難した。
「歯痛のおばあちゃんより、膝下動脈損傷のオペが見たかったんじゃ
ない?黒田先生カンカンよ」
 美帆子も手厳しい。同じ時間に森本のオペがあり、適当におばあさ
んをあしらったに違いないと美帆子は思った。
「かぁ、ひどいねえ。医者以前に人としてどうよ」
 2人とも耕作の態度が気に入らないので、鬱憤晴らしをしているよ
うに見える。だから恵は言った。
「歯痛から心疾患を見極めるのって難しいんじゃない?」
 美帆子はうんざりした顔つきになった。
「もうさ、そういういい子発言やめない?いつもキレイごとばかりで、
本音言わない。一番卑怯なやり方じゃない」
「ちょっと待ってよ」
「心の中じゃチャンスだと思ってんでしょ」
 これで耕作は当分謹慎みたいなもの、ヘリに乗れるチャンスが自分
らに回ってくる。美帆子はそう読んでいた。

 耕作はおばあさんにつきっきりだった。血栓は溶解したものの、な
かなか意識が戻らない。
「おい、この借りは返せよ」
 脳外科医の西条(杉本哲太)は黒田に皮肉たっぷりの言いようを残
して出て行った。救命の尻拭いをさせられたと思っているのだ。
「よく見とけ、おまえが殺しかけた、いや殺すかもしれん患者だ」
 黒田は重々しい口調だった。怒りを押し殺しているのは明白だ。耕
作は無言でただじっとおばあさんを見ている。
「無線」
 黒田が手を差し出した。
「次は緋山に乗ってもらう。お前はカルテの整理と他の奴のフォロー
に回れ」
 そう言って耕作から無線を受け取ると近くにいた美帆子に無線が渡
された。
 美帆子は神妙な顔つきだったが、内心はにんまりだ。

 階段から落ちた28歳の女性が搬送されてきて、恵が担当すること
になった。恵ははるか(比嘉愛未)とともに診断したが、鼻骨骨折だ
けで他にケガがなく、階段から落ちたにしては不自然だった。付き添
いの恋人も気になる。DVなのでは……。
「恋人の男性は左利きだ」
 フォローに回っていた耕作が言った。
「あっ」
 恵は思わず声を上げた。鼻のレントゲンを見ると左側へくの字に曲
がっている。明らかに鼻を殴られた証拠だ。

 自分たちのデスクに戻った後、恵は尋ねた。
「どころで、大丈夫だったの?患者さん」
「まだわからない」
 耕作はそっけない。
「藍沢先生は?」
「挽回する」
「すごい自信ね」
 まったく動揺するところのない耕作に、恵はおもわず失笑した。
「俺はまたヘリに乗る。それは事実なんだ」
 そんな恵を気にするところは耕作にはまったくなかった。
 不意に耕作は言った。
「おまえの母親が倒れて運ばれたら、おまえは俺と緋山どっちに診て
もらう?」
 恵は答えられない。耕作は書類の片づけに取り掛かった。くるくる
回すペンが指先から落ちた。耕作も自分のミスを気にしていないわけ
ではない。歯痛の訴えで冠動脈疾患を見抜くのは難しい。だが、糖尿
の既往歴があり、慎重に対応していれば気づけたかもしれない、いや
気づけたに違いない。
 田所(児玉清)には1人で外来にやって来るお年寄りの気持ちを察
することが大事だったと戒められた。

 鼻骨を折った女性は恋人の行為について話そうとせず、恵を困らせ
た。
「やっぱり警察に届けるべきなのかなあ」
 一緒に診察に当たったはるかに恵は相談した。
「それを決めるのは先生の仕事です。あたしは看護師ですから」
 相変わらずはるかは冷淡で、恵は辟易としてしまう。 
「ねえ、私たち同じ年でしょ。2人のときは普通に話そうよ」
「いいんですか?」
「うん、いろいろ話せたほうがあたしも勉強になる」
 バン!はるかは手にしたメモボードをたたきつけた。
「フェローと言ってもあなた医師でしょ?そんなこと1人で決めてよ!
あたしはあんたたちより実力で上なのにカスみたいなあなたたちから
上目線であれこれ言われる。あたしがナースと言うだけで。それが悔
しい。だいたい」
「ス、ストップ!もう心臓持たないや」
 恵はたまらなくなって両手を突き出してはるかを制止した。はるか
は心底軽蔑した眼差しで恵を見ていた。

 美帆子は自分の作業のフォローに来た耕作に尋ねた。
「ねえ、少しは痛まない、ハートが?」
「ふん、ハートってただの臓器だろ」
「……サイテー」
 少しは気にしているのかと思ったが、耕作には罪の意識も、自責の
念も感じられなくて、美帆子はムカムカした。ただ、耕作の視線はい
まだ意識を取り戻さないおばあさんの方に向けられていた。

 恵は鼻の形成手術が明日になったことを伝えに言った。だが、患者
は意外にも手術をしたくないと断ってきた。恵はそばにいたはるかを
見たが、はるかは何も言わない。
 弱った恵は耕作に相談した。
「精神科に送ってコンサルさせて、恋人は警察に通報すればいい。そ
れしかない」
「そうだけど……」
 耕作の言うとおりだろう。けれどなぜ治療を受けたがらないのか、
釈然としない。
「男と女の間のことですから」
 どこか小ばかにするような口調ではるかが口を挟んできた。
「ねえ、聞いていい?」
「今度はなんでしょう?」
「やっぱ、いい」
 とげとげしい口調に恵は思わず視線を逸らした。
「言い出して、やめるなんてサイテーですよね」
 はるかは軽蔑しきっていて、恵はむっとなった。
「今彼氏とかいるんですか?」
 一瞬の沈黙の後、はるかは言った。
「死にました、半年前」
 まったく動揺することなく、機械的に言う様子に恵は驚いた。いっ
たいこの人は……。

 恵は患者とその恋人同伴で手術の同意を得ようと話し合いを持つこ
とにした。しかし話を聞いて恵はますます困惑した。患者は自分の鼻
をつぶしてほしいから殴るように頼んだのだと言う。自分の鼻が嫌い
で、鏡を見るのも苦痛だったと言う。そして彼は泣きながら鼻を殴っ
てくれたと。
「それは違うんじゃないんですか?」
 恵は思わず反論した。すると患者は声を上げて泣き始めた。
「鼻がつぶれたとき、あたしは嬉しかったんです!」
 そう言われて、恵はそれ以上どうしようもなくなってしまった。

 自分の作業が終わると耕作はおばあさんのところに来て、じっと容
態を観察していた。
「お前でも気になるのか。それとも死んで訴訟になるのが嫌なのか?」
 黒田が口を挟んできた。
「俺の油断が招いたことですから」
 耕作はまったくひるむことがなかった。

 その日、日没近くになってドクターヘリの出動要請が来た。幕張で
30代の妊婦がこどもの自転車と接触して転倒したという。待ってま
したとばかりに美帆子は勇んで乗り込んだ。環奈(りょう)とはるか
が同乗した。

 美帆子は近辺の産婦人科に連絡を取るように、さらに機材の準備な
どテキパキと指示を出した。順調に進んで美帆子は得意になった。
 だが、現場に着いて状況が変わった。倒れていたのは妊婦だけでな
く、相手のこどももだった。環奈は美帆子に妊婦を任せ、こどもの処
置に当たった。美帆子は子宮壁を強打し、出血の激しい妊婦を見て、
どうしていいかわからず、環奈に状況を説明して指示を仰いだ。
「そっちは任せたと言ったでしょ。いちいち報告しない!」
 環奈は相手にしない。そうしている間に妊婦は苦しそうにうめき、
出血もひどくなる。
「緋山先生!」
 はるかが怒鳴った。だが美帆子はすっかり萎縮してしまい、どうす
ることもできない。
「三井先生、できません。私はできません」
「だから?自信があるからヘリに乗ったんじゃないの?」
「……」
 立ち尽くす美帆子を見て、環奈は言った。
「ヘリを病院へ戻して、黒田先生か、森本先生を連れてきてください。
現場は緋山じゃ無理です!」

 環奈の増員要請が着たが、森本も黒田もオペ中で動けなかった。
「3人のうち、あの修羅場に行くのは誰だぁ?」
 黒田が尋ねた。恵も一男も下を向いた。
「俺が、俺が行きます」
 耕作が進み出た。

 日没まで時間がない。処置に使える時間は10分弱だった。美帆子
は憔悴して、泣きそうな顔だった。だが、耕作は落ち着き払ってすぐ
さま環奈のサポートに入った。
 処置はうまくいき、妊婦はその場で出産、胎児も命に別条なかった。
「ヘリにはあなたが乗る?」
 帰ることになって、環奈が美帆子に尋ねた。美帆子はぎゅっと口を
結んで言った。
「藍沢を乗せてください」
 飛び立つヘリを美帆子は悔しい思いで見つめるしかなかった。

 デスクに残って作業をしている環奈を見て田所が尋ねた。
「どうでしたか?」
「緋山は何もできませんでした。荷が重すぎたようです」
「現場で急に患者が増えましたからね」
 田所は美帆子を思いやるようなことを言った。
「言い訳にはなりませんよ」
 黒田が口を挟んだ。こんなことはいくらでもおこりうるのだから。
「厳しいですな」
 田所は話題を変えた。
「緋山さんを待っているんですか?」
「ええ、一応」
「優しいんですね」
「私は、若い人が育って早くヘリから降りたいだけです」
 環奈は突き放したような言い振りだった。

「だいたい嘘ついてヘリに乗るなんて。しかも現場で何もできないな
んて」
 一男はまたも恵や耕作相手に美帆子を非難した。胎児心拍の論文研
究をしているとアピールしていて言わば今回は得意分野のはずだった
が、実際は先輩の症例研究を手伝っただけでよく知っているわけでは
なかったのだ。一男の批判は止まりそうにない。
「現場に出てない奴が大口叩くな」
 耕作が一言鋭く言った。
「患者を引き受けたら、最後まで治療をやり遂げる。その重さがわか
るか?」
「だ、だから緋山はそれがわかってないっていうことじゃないか」
 一男はたじたじになった。
「俺もできなかったんだ」
 だからあのおばあさんはまだ眠っている……。耕作は決して人前で
見せなかった苦悩を一瞬さらけ出した。

 電車で戻ってきた美帆子は環奈に謝りに言った。
「現場での迷いやミスが患者の未来を変える。できないことはできな
いと言う。それが腕を磨くことにつながる」
 環奈は厳しい口調で言っていたが、なぜか美帆子に向かって言わず、
どこか自分に対して言っているように見えた。

「おつかれ」
 戻ってきた美帆子に恵が声をかけた。
「別にあたしへこんでないし、反省もしない。患者が2人になるなん
て予想外だったし。今回は運が悪かっただけ。これで要領がわかった。
次よ、次」
 美帆子は一気にまくし立てた。
「よかった、思ってたより元気で」
 恵はにっこりした。
「あんた……バカじゃん。こんなときでもキレイごと?」
 美帆子は崩れるように倒れこんだ。
「本当は、藍沢が来て助かったと思った。これで責任とらなくて済む
ってね。サイテーだよあたし」
 美帆子はしゃくりあげた。
「立派だよ」
 恵は言った。美帆子は患者に飛び込めた。けれど恵自身は前回それ
すらできなかったのだから。
「だからその勇気は立派」
「キレイごとばっかの優等生に何がわかんの?」
 脱いで手にした制服を美帆子は軽く美帆子に投げた。
「そっちだって嘘つきじゃん」
 恵も投げ返した。美帆子は恵の言うことを素直に受け入れることが
できた。少しだけホッとした空気があたりを流れていた。

 恵は鼻骨骨折の患者に再度治療を進めた。患者は断った。
「先生みたいな人にはわかんないでしょうね。なんも悩みがない人に
は」
「あたしが?」
「そうよ、そんなキレイな顔してさ」
 患者は皮肉った。恵はカッとなった。
「悩みだらけよ!」
 今までエリート扱いだったのに、ここではカス扱い。これ以上治療
拒否して悩みを増やさないで!
 すると患者は急におとなくなって、治療を受けると言い出した。

 一男はビル作業で肋骨を折った45歳男性のMRI検査で男性にブ
ラジャーをつけさせてほしいと頼んだ。この患者の性癖でブラジャー
をつけていないと何事にも落ち着かないのだと言う。
「何もつけないのが原則だ」
 黒田は許可しなかった。
「でもこれは俺のミッションなんです。責任を取りますから!」
 一男が力強く言った。耕作に言われたことに思うところがあったの
だろう。

 耕作は、田所を訪ねおばあさんの家族に直接謝罪したいと申し出た。
先日田所が謝罪しているので、耕作が絶対行かなくてはならないとい
うわけではなかった。むしろ耕作が出ては患者の家族が感情的になっ
てしまうことを田所は気にしていた。だが耕作はどうしても謝罪した
いと言ってひかなかった。

 案の定、耕作は患者の家族に責め立てられ、胸倉を掴まれて揺すら
れさえした。しかし耕作はただひたすら頭を下げて真摯に謝り続けた。
耕作もまた逃げないことを実践したのだ。

 屋上でヘリを見つめる耕作を見かけて、恵は近寄った。
「どう、挽回できた?」
「どうかな」
 耕作は相変わらず淡々としていて、どう思っているのかわからない。
「この間のあなたの質問、母親が重態になったら、あたしは……あた
しを選ぶ!」
 予期しない回答に耕作は思わず恵を見た。恵は続けた。
「あたしも、逃げない医者になる」
 耕作は何も言わなかった。だが、口元がかすかにほころんでいるよ
うに見えた。


寸  評  逃げない医師というテーマで全体を構成していたわけですが、
1話に盛り込むエピソードが多すぎるような気がしました。今回は耕
作と美帆子のストーリーだけでよかったような気がします。耕作が見
落とした心疾患については、おばあさんの問診のところで実際どうだ
ったのか見てみたいですし。
 また、最近のドラマに多いのですが、話がどこへ向かっていて、そ
こに立ちはだかる障壁は何なのかとかがはっきりしません。耕作たち
にとって黒田らベテランは乗り越えるべきライバルなのか、それとも
厳しい指導を経て彼らのような「一人前」になるのか。これがはっき
りしてこないと、医療用語が飛び交う難しいストーリーですので、話
についていけなくなる恐れがあるような気がします。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 暑くなってきました。去年の夏は猛暑でしたが、今年も猛暑になりそうです。
避暑にはやはり高原がいいと思います。数年前霧ケ峰高原に行きましたが、諏
訪湖のバス停で1時間ほど待ちました。その間蒸し暑さで、汗だくになったの
ですが、バスに乗って30分程度で目的地に着くと、汗は完全にひいて逆に刺
すような暑さで長袖 でないとしのげないほどでした。やはり夏は暑さが問題
なのではなくて、湿気が問題なのだと再確認した一件でした。 (けん)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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