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タイトル:Daily Drama Express 2008/04/03 バッテリー (1)  2008/04/10


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/04/ 03(Thu) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.木曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 木曜日の連続ドラマ
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タイトル バッテリー
局  名 NHK
放映日時 木曜20時
キャスト 原田巧 (中山優馬)
 永倉豪 (高田翔)
 原田青波(森本慎太郎)
 原田真紀子(斉藤由貴)
 原田広 (堀部圭亮)
 井岡洋三(石橋蓮司)
 沢口文人(永嶋柊吾)
 東谷啓太(松川尚瑠輝)
 海音寺一希(川村亮介)
 奥平  (登野城佑真)
 矢島繭 (宮崎香蓮)
 伊藤春菜(梶原ひかり)
 戸村真 (千原ジュニア)
 小野薫子(ちすん)
 歌子(理髪店店主)(中尾ミエ)
原作   『バッテリー』あさのあつこ(角川文庫刊)
脚本    相良敦子   
主題歌  Mr.Children「少年」

あらすじ 第1話「本気になれよ!」

 道の向こうから1台の自転車が疾走してくる。
「来るんじゃ、来るんじゃ、あいつが!」
 ペダルをこぐ足がぐんぐん加速していく。永倉豪(高田翔)は喜び
を抑えきれないでいた。
 あいつとは、原田巧(中山優馬)。夏の少年野球県大会、豪は巧が
投げる球をポカンと見ていた。
「ありえねえ、あんなの……」
 巧の投げた球はキャッチャーが捕れないほどの剛球だった。そんな
すごい奴が自分の住む町にやって来るのだ。あのボールを俺が受けて
やる!そう思うと居ても立ってもいられない。

 引っ越してきた祖父の家で巧は2階の自分の部屋の窓から外を見つ
めていた。
「何を見とるんじゃ」
 庭にいた祖父が声をかけてきた。
「空」
 ぶっきらぼうな答えに井岡洋三(石橋蓮司)は思わず苦笑した。鋭
い眼差し、いつも自分の投球のことばかり考えている。
「たまには下の方を見たらどうじゃ。お前の通う中学校が見えるじゃ
ろ」
 気分転換させようと洋三は言った。巧の目に入ってきたのは大きな
白い校舎だった。岡山県新田市立新田東中学校。巧が春から通う学校
だ。
「野球部のレベルが低くて、お前には物足りないかもしれないがな」
 洋三は巧を気遣った。
「別に。どんなチームでも俺がいれば必ず勝つ、そう言われる方がい
い」
 巧はまったく事も無げに言った。やれやれ取り越し苦労か、洋三は
巧が頼もしく思えた。
 巧は自分の部屋を出て、庭に出てきた。
「ランニングか?」
「じいちゃん、今度変化球を教えてくれよ」
 頷きながら巧は言った。洋三は高校野球の監督として甲子園に行っ
たこともある経歴の持ち主だった。
「変化球?お前のあの直球があればいらんよ」
 洋三は笑った。巧は不服そうだったが、それ以上何も言わず走り出
した。

 近くの神社まで軽く走った後、巧はシャドーピッチングを始めた。
精神集中して投じた1球。
「ストライク!」
 突然大声がして巧は驚いて振り返った。見ると豪が立っている。
「今のは完全にストライク、ど真ん中ストレートじゃ!」
 豪は感心しきりの様子をしている。
「……」
 不審な目を巧は向けた。
「なあ、俺にお前の球、受けさせてくれんかの?」
 豪は構わず話しかけた。夏の大会で見た剛球に豪は震えるような感
覚を覚えた。それ以来巧の球筋が鮮明に脳裏に焼きついていた。巧は
豪をまじまじと見つめた。
「俺の球が捕れるならな」
 だが巧は豪を相手にせず神社を走り降りてしまった。

 すげなく断られた豪だったが、チャンスはまたすぐ巡ってきた。母
親同士が幼馴染だったのだ。母親について豪は巧の家までやって来て、
土下座して頼んだ。
「お前の球を受けさせてくれ。一生のお願いじゃ。そうせんと死んで
も死にきれん!」
 必死の願いに巧も折れた。
 すぐさま近くの原っぱに出た。
「いいのか、本気で投げて。怪我した奴もいる」
 巧は脅すように念を押した。
「お、おおっ。俺は平気じゃ」
 豪は少々ひるんだが、強がった。
 なら――。巧は振りかぶって投げた。ピュッと手元で伸びる球筋。
豪は捕れずに後ろに逸らした。
「それ見ろ」
 巧は不機嫌そうな眼で見た。
「もう1球」
 豪は頼み込んだ。2球目、3球目。豪は捕ることができなかった。
「俺の球は今まで誰も捕れなかった。俺は遊びで投げない」
 巧は豪を置いて家に戻った。豪は慌てて追いかけた。
「あと1球。あと1球あれば捕れる。悲しうないんか。きちんと捕れ
る奴に会いとうないんか?」
 そう言われて巧の心は動いた。
「ならあと1球」
 巧は思った。俺は今まで悲しかったのか?俺は欲しかったのか?俺
の本気のボールを受け止められる奴を。自分の球を捕ってもらえない
ために県大会決勝で敗退。不完全燃焼のままで終わった夏……。巧は
渾身の1球を投げた。バシッ!乾いた音とともにボールは豪のミット
に収まった。
「と、捕れた!」
 豪ははち切れんばかりの笑顔で見せた。巧も自然と口元がほころぶ。
「ちょっとぉ!こんなところで」
 いきなり豪の母親が現れた。
「野球は小学校までと言ったでしょ。早く塾の時間よ」
 母親は2人の間を割ってはいると、豪の手をとって引っ張っていっ
てしまった。

 その夜、ご飯を食べながら巧の母、真紀子(斉藤由貴)が豪のこと
を話してくれた。豪は地元大病院の開業医の息子で名門中高一貫校に
進学し、将来跡を継ぐことを決められていた。寮生活のため実家を離
れることになっているという。巧は黙って聞いていた。
「だから、豪くんの邪魔をせんこと」
 真紀子は釘を刺した。
「俺が誘ったわけじゃない」
 豪は不機嫌そうに箸を置いて立ってしまった。
「兄ちゃん、あのお兄ちゃんと一緒に野球できんから悔しいんや」
 弟の青波(森本慎太郎)がつぶやいた。

 次の日、豪は巧と青波を野球仲間に引き合わせた。さらに元高校球
児の稲村さん(駒田徳広)を呼び出した。打者を立たせての投球も見
てみたいという豪の思い付きだった。稲村さんは甲子園準決勝まで進
んだ経歴の持ち主、どこまで巧の球が通じるか見ものだと豪たちはは
しゃぎたてた。そんなお祭り気分に巧は心の中で叫んだ。
「みんな、本気になれよ!」
 巧は振りかぶって投げようとした。そのとき豪のPHSが不意に鳴
り、巧は意表を突かれて手元を狂わせた。稲村の振りぬいたバットに
球が当たり、高々と舞い上がった。
「青波!捕れるぞ!」
 豪が叫んだ。青波は懸命に走って捕球した。
「ようやったぞ!」
 豪は青波に駆け寄って仲間とともに誉めた。巧はそれを見ていたが、
徐に口を開いた。
「お前、何で新田東に行かないんだ」
「それは……」
 感情的な巧に豪は驚いて一瞬返答に詰まった。
「親に言われとる。勝ち組は100人の内6人。その中に俺を入れた
いんじゃ」
「人の言いなりにならずにもっと自分で考えろ」
 そう言われて豪はうつむいた。
「俺はもう思い残すことはない」
 豪はにっこりと笑った。

 その夜、真紀子は熱を出した青波の手当てに追われた。
「どうしてあの子に野球やらせたの!」
 真紀子は巧を責めた。青波は生まれつき身体が弱く、ちょっと運動
をしただけでも体調を崩して熱を出してしまう体質だった。
「頼むから二度とさせないで。それから豪くん中学で野球やりたいっ
て言い出したんだってよ。あんたがそうさせたんでしょ」
「母さん、野球はさせられるもんじゃなくてするもんだ」
 巧はキッとなって言い返した。みんな、野球をバカにしている!

 数日後、豪は出発の日を迎えた。野球仲間たちが見送りにきた。そ
の中には巧もいた。豪はPHSを取り出し、巧に渡した。
「こんなの、見たくもない。お前にやるよ。いらんかったら捨ててく
れ」
 親からの小言ばかりでうんざりしていた。巧はそれを受け取ると、
投球モーションに入り向かいのホームへ投げた。ガコッという音とも
に、PHSは空き缶用ゴミ箱の狭い口に入った。それを見た豪の中で
何かが動いた。

 次の日、巧は近くの神社でピッチング練習をしていた。高め、低め。
あらゆるコースを想定して投げ込んでいく。と、そのときだった。
「ダメじゃ、ダメじゃ、ちゃんとサインどおり投げんと。ど真ん中じ
ゃぞ!」
 巧が振り返ると豪が立っていた。
「お前どうして?」
「そりゃ決まっとるじゃろ。お前のゴミ箱へのナイスピッチ見せられ
ちゃ、野球をやめられん」
「……」
「俺は6%に入るのを止めた。新田東に行く!」
「本当か?マジで言ってんのかよ」
 巧の目が輝いた。
「マジじゃ。本気じゃ。俺とお前は最高のバッテリーになるんじゃ、
そのために出会ったんじゃ!」
 豪は駆け寄って、はじけるような笑顔で巧の手をとった。巧もまた
手をとって心からの喜びを爆発させていた。


寸  評  あさのあつこ原作のこの人気小説、読もう読もうと思っているま
ま日々が経過しているところへドラマ化となりました。初回はイント
ロダクション的で可もなく、不可もなくといったところでしょうか。
ただ豪が名門校への進学を捨てて野球を選ぶところは、豪の意思だけ
の問題でなく家族の考えも絡みますので、そのあたりも描けていれば
と思いました。次週から本格的なスタートとなります。ぜひ見終わっ
たあとに爽快感が残るような仕上がりであってほしいと思います。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 『プロポーズ大作戦SP』をやっと見終わりました。ここのところ平日も休
日も忙しくテレビをあまり見られない状況なので、見られる日は1日15分程
度、次のコマーシャルを挟むところまで少しずつ見ていました。おかげで間延
びしたというか、その前までの流れを少し忘れてしまって、じっくりと見られ
ませんでした。内容としては申し分ない出来だったと思いますので、また時間
があるときにゆっくり見たいと思います。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
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