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タイトル:Daily Drama Express 2008/03/18 ハチミツとクローバー (最終回)  2008/03/21


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/03/18 (Tue) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.火曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 火曜日の連続ドラマ
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タイトル ハチミツとクローバー
局  名 フジテレビ系
放映日時 火曜21時
キャスト 花本はぐみ(成海璃子)
 竹本祐太(生田斗真)
 野宮 匠(柏原崇)
 山田あゆみ(原田夏希)
 山田大五郎(泉谷しげる)
 真山 巧(向井 理)
 森田 忍(成宮寛貴)
 花本修司(村上 淳)
 原田理花(瀬戸朝香)
 勅使河原美和子(滝沢沙織)
 ローマイヤ先輩(木村祐一)
 庄田教授(松重 豊)
 寺登泰彦(前川泰之)
原作   『ハチミツとクローバー』羽海野チカ(集英社 QUEEN'S COMICS 刊)
脚本   金子茂樹
主題歌  平井 堅 「キャンバス」(DefSTAR RECORDS)

あらすじ 第11話「胸を張れるいい恋だった」

 僕、竹本祐太(生田斗真)は花本教授(村上淳)と一緒に病院内や
周辺を探し回ったが、はぐちゃん(成海璃子)は見当たらなかった。

 はぐちゃんは森田さん(成宮寛貴)に連れられて、街が見晴らせる
高台までやって来た。
「ありがとう。正直リハビリしても以前のように絵が描けないと思っ
てたから。でもね」
 はぐちゃんは泣いていた。
「この手が痛いの。ちゃんと神経がつながっていて諦めるなって言っ
ている気がするの。だからあたし頑張る。森田さんに褒められる絵が
描けるまで」
 森田さんは自分のしたことが間違いだったと気づいた。
「お前は本当に絵が好きなんだな。だから俺は花本はぐみを好きにな
ったんだと思う。努力すれば何でも手に入ると思ったけど、花本はぐ
みだけはどうしようもないんだな……」
 森田さんは「帰ろう」とはぐちゃんに言った。

 病院に戻ったはぐちゃんはすぐさま手当てを受けた。だいぶ疲れた
様子だった。僕は彼女にまた絵が描けるようになってほしい、また彼
女の絵が見たいとそれだけが胸に強く沸き起こっていた。

 突然戻ってきた野宮さん(柏原崇)に山田さん(原田夏希)は驚い
た。
 大丈夫と言ってみせても心は深く傷ついている、そんな山田さんを
野宮さんは放っておけなかったのだ。
「もう1人で泣くのはやめよう」
 野宮さんは山田さんの頭を優しくなでた。我慢していた辛い思いが
涙となって流れ出してきた。山田さんは自然と野宮さんに頭を寄せた。

 はぐちゃんは本格的にリハビリを開始した。本当に元通りになるの
か、不安と焦燥が手に取るように感じられた。僕は借りていた宮大工
の本をすべて返して、代わりにリハビリに関する本を借りこんだ。

 僕は自転車で旅した道筋を記したロードマップを作り、蛇行する線
をはぐちゃんに500回なぞってもらうことにした。
「それができたらご褒美に僕の旅の思い出話をします!ってそんなの
聞きたくないか」
 僕は頭をかいた。
「ううん、なんだか楽しそう」
 彼女は優しく微笑んだ。
 それをクリアしたら、次はみかんのシールを地図上に貼っていって
もらった。それもクリアしたら次はクローバーの色紙を糊付けして貼
っていってもらった。クリアするごとに旅の途中でみかんを採って飢
えをしのいだ話や、1日中探して四つ葉のクローバーを見つけた話を
した。そして宮大工の一座のことも。

 はぐちゃんは根気強く作業を続け、すべてクリアしてくれた。
「じゃあ、最後にクレパスで地図を自由に塗ってください」
 病院のリハビリも順調にこなし、はぐちゃんはクレパスをしっかり
と握り色を塗れるまでになっていた。
「はぐちゃんが塗るとただの地図もアートになっちゃうね」
 僕は自分のことのように嬉しくなった。
「ありがとう、また絵が描けるかもって自信が出てきた」
「うん」
「あたし、絶対また絵描く。今日までリハビリ付き合ってくれてあり
がとう。あたしは大丈夫だよ。だから竹本くんのやりたいこと頑張っ
て欲しい。そしたらあたしもリハビリもっと頑張れるから」
「……そっか」
 なんだか突き放されたようで、僕はやはり彼女を支え続けることが
できないのかと内心ショックだった。
「わかった。僕も頑張るよ」
 複雑な思いを隠して、そう答えることしか僕はできなかった。

 僕はその晩宮大工の一座に連絡を入れた。
「都合がいいのはわかってます。でも……」
 僕は心底申し訳ない気持ちで雇って欲しいと頼んだ。それなのに彼
らは快く承諾してくれた。棟梁は僕の事情を聞いてしばらく待つこと
にしていたらしい。
「立派な宮大工になって棟梁に恩返ししろよ」
「はい!卒業制作が済んだらすぐ行きますから」
 僕は大きな声で答えた。

 はぐちゃんの手は順調に回復し退院することになった。僕らは若葉
荘に集まってパーティを開いた。はぐちゃんの退院祝いと真山さんの
スペイン行きの送別を兼ねて。
「この5人で集まれるのも最後かな」
 何気ない一言が空気をしんみりさせてしまった。僕らは5人での思
い出を振り返った。5人でいる時間が明日も明後日も続いてくれたら
いいのにと、僕は思わずにはいられなかった。数日後、真山さんはス
ペインへと旅立った。

 山田さんは定例会議で東京に寄った野宮さんからドライブに誘われ
た。
「あたし、まだ真山のこと引きずっているんです。そんな気持ちで野
宮さんに会うのってよくないなって思うんです」
 山田さんは申し訳なさそうに言った。
「わかった」
 野宮さんは素っ気無く言うと立ち去ってしまった。山田さんは後姿
を見つめながら、寂しさを覚えずにいられなかった。すると野宮さん
はくるっと振り返り戻ってきた。
「真山のこと引きずられているのって正直きつい。けどそれって離れ
ていて解決することじゃないと思うんだよね。だから」
 野宮さんは山田さんの手をとった。
「一緒にいよ」
 そう言って野宮さんは山田さんと一緒に歩き出した。

 それから数日して、今度は森田さんが突然いなくなった。世界全
192カ国を回って192の絵を描くため旅をするという置手紙を残
して。
「(卒業の)最後のチャンスだったのに」
 庄田教授(松重豊)は呆然としてた。でも、と僕は思った。森田さ
んらしいと。さらに森田さんははぐちゃんに「あなたを生涯のライバ
ルと認める」と認めた賞状を自分の作品に添えて花本教授の研究室に
置いていた。

 僕は卒業制作を完成させた。宮大工の手法を取り込んだタワーだ。
「竹本くんに修理してもらえる神社やお寺は幸せだね。決して手を抜
かず心をこめて直してくれる。そんな姿が目に浮かぶね」
 はぐちゃんは僕の卒制を見ながらそう言ってくれた。

 はぐちゃんが正門近くまで送ってくれた。
「あたし、頑張るから。竹本くんに負けないように。元気でね」
「うん」
 僕とはぐちゃんはどっちも黙り込んでしまった。はぐちゃんは僕の
目を見ていた。
「さよなら」
 何か言いたいのに出てこない僕の口をついたのはこの言葉だった。
彼女はにっこりと微笑んだ。
「さよなら」
 彼女は今来た方へ歩いていった。僕はその姿を見送った。すると彼
女は振り返り、にっこりしながら手を振った。僕も笑顔で手を振った。
彼女はまた歩き出したが、数歩行った所でもう一度振り返り手を振っ
た。僕も大きく手を振った。

 ローマイヤ先輩に挨拶して、僕は出発した。盛岡行きのバスに乗り
込み、一息ついていたら出発を待っていたら、不意にはぐちゃんの姿
が目に入った。僕は慌てて飛び降りた。
「これ」
 はぐちゃんはハンカチの包みを渡してこう言った。
「いってらっしゃい、また必ず会おうね」
「うん、絶対だよ」
 僕はそう答えるとまたバスに乗り込んだ。バスが発車すると彼女は
手を振りながら走って見送ってくれた。

 ハンカチの包みの中はサンドイッチだった。僕が何気なく上の部分
をはがしてみると、ハチミツが塗られた四つ葉のクローバーが挟まれ
ていた。
「……」
 僕は泣きそうになった。自分が一日中探し回って1枚しか見つけら
れなかった四つ葉のクローバーが何枚も挟まっているなんて。泣くの
をこらえて僕はサンドイッチを食べた。初めて彼女に出会ったときの
ことが浮かんできた。

 あれから二年、そばにいるだけで幸せだった。でもぜんぜん手を伸
ばさない自分がいつももどかしくて腹立たしかった。そんな僕が変わ
れたのは、はぐちゃんの優しさだった。ふがいない僕を突き動かした
のは彼女の強さだったから。時が過ぎれば何もかもが思い出になって
しまう。でもきっとあの日々はかけがえのない日々だったと思うこと
ができるのだ。

 だから今僕は彼女を好きになってよかったと胸を張って言える。サ
ンドイッチを食べながら、僕の目から心地よい涙があふれ出ていた。
(終わり)


寸  評  5人の結末をまるで部屋の整理をするかのように慌しく片付けて
いくような感じで少し退屈したのですが、最後の最後で見せ場があり
ました。ハチミツ入りクローバーサンドイッチ。とてもいいシーンだ
ったと思います。それでこのドラマの主題が竹本のはぐみへの恋を通
して成長する姿にあったんだとわかりました。残念だったのは、ハチ
ミツ入りクローバーが何を象徴しているのかが分かりにくかったこと。
青春のイメージなのか?そしてそれはほろ苦いのか、甘いのか、味は
映像だけでは伝わらないのではっきりと言ってほしかったと思います。
またタイトルとも関わってますので、ハチミツとクローバーは全編を
通じてもっと活かしてほしかった気もします。
 総じて物足りないというのが付きまとっていました。登場人物の個
性が少し弱かったのかもしれません。奇行の目立つ森田でさえ、はぐ
みに思いを拒絶されると「そっか……」という程度の反応でしたので、
それだけなのか?という思いがぬぐえませんでした。また最初に相手
が好きありきでしたので、真山やあゆみがなぜそこまで諦めきれない
のかよくわからなかったです。視聴者はつれなくされているシーンし
か見えていませんので。どういう出会いがあって思いを募らせていっ
たのかを描くべきだったのではないかと思います。もしかしたら原作
ではその辺も描かれていたのかもしれませんが。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 仕事が忙しくてテレビを見る時間があまり取れません。先日やっていた「一
瞬の風になれ」もまだ見終えていないのに、来週「プロポーズ大作戦SP」や
「ごくせん2」の再放送がありますね。ちなみに「一瞬の風になれ」は第1話
を録り逃していて、どっかのサイトにないかなと youtube などを物色してい
る最中です。(けん)

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