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タイトル:Daily Drama Express 2008/01/19 ハチミツとクローバー (7)  2008/02/25


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                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/02/19 (Tue) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.火曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 火曜日の連続ドラマ
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タイトル ハチミツとクローバー
局  名 フジテレビ系
放映日時 火曜21時
キャスト 花本はぐみ(成海璃子)
 竹本祐太(生田斗真)
 野宮 匠(柏原崇)
 山田あゆみ(原田夏希)
 山田大五郎(泉谷しげる)
 真山 巧(向井 理)
 森田 忍(成宮寛貴)
 花本修司(村上 淳)
 原田理花(瀬戸朝香)
 勅使河原美和子(滝沢沙織)
 ローマイヤ先輩(木村祐一)
 庄田教授(松重 豊)
 寺登泰彦(前川泰之)
原作   『ハチミツとクローバー』羽海野チカ(集英社 QUEEN'S COMICS 刊)
脚本   金子茂樹
主題歌  平井 堅 「キャンバス」(DefSTAR RECORDS)

あらすじ 第7話「今地図のない道を前へ」

 就職内定を取り消された僕、竹本祐太(生田斗真)は逆に目がさめ
た気がした。本当にやりたいことは何か、それはまったく見えてない。
けれど僕は就職活動をいったん諦めて少し考えようと思った。
「竹本は本当にやりたいことないんだな」
「どうやったら見つかるんでしょうね?」
 森田さん(成宮寛貴)の言うことはもっともだ。考えたところで納
得のいく答えは出てきそうにない。思いついても本当にやれるのか自
信がない。
「俺は竹本の好きなもの知ってるけどなあ」
 森田さんは折りたたんだメモを投げてきた。「花本はぐみ」。
「……」
「竹本は本当に好きなものに手を伸ばさないんだな」
 僕は何も言えなかった。伸ばそうにもはぐちゃん(成海璃子)の気
持ちは……。
「俺はパリ国際に応募するぜ。そしたらあいつと向き合える気がする。
俺はこんなもんじゃないんだ」
「でも、パリ国際って」
 僕は驚いた。パリ国際は絵画のコンクールだ。
「わかってるよ。だから絵で賞を取るんだ」
 僕はますます驚いて森田さんの顔を見た。
「今できないと思ったんだろ」
 森田さんはいたずらっぽく笑っている。どうしたら森田さんみたい
に思えるんだろう。無謀に思えても躊躇しない。僕にはそういうとこ
ろがない、まったくない。

 大神教授(高橋ひとみ)から日美展に出品することを強く求められ
たはぐちゃんは1人思い悩んでいた。そんなとき大五郎さん(泉谷し
げる)の手伝いで山田さん(原田夏希)と草刈りをしたはぐちゃんは
三つ葉のクローバーを見つけた。四つ葉だったら幸せになれる言い伝
えを山田さんとしゃべっていると束の間心が和らぐような気がして、
久しぶりに笑顔が戻った。

 一方僕は卒業制作に取り掛かることにした。とりあえず何かしない
とと思ったのだけれど、何を作っていいかわからない。
「とりあえず手を動かしてりゃ、そのうちわかるんだよ」
 パリ国際に出す絵を描きながら森田さんはそう言った。寺登さん
(前川泰之)に失笑を買おうと森田さんは作業の手を止めることはな
かった。なんで森田さんは躊躇なく行動できるのだろう?でもとりあ
えず手を動かせば何かが見えてくるのなら、僕だって。僕はとにかく
制作作業に入った。

 山田さんの作品は好評で、野宮さん(柏原崇)は満足げだった。
「またご馳走するよ」
「えっ、それってどういうことですか?」
 真山さん(向井理)が口を挟んだ。
「一度だけお蕎麦ご馳走になったことあるの。たまたま帰りが一緒に
なって」
 山田さんが慌てて説明した。
「ふーん、そっか」
 真山さんは関心のない様子を装った。

「山田に近寄らないで下さい。遊び相手なら他にもいるでしょ」
 真山さんは野宮さんに釘を刺した。
「誰が遊びだって言った?お前こそあゆみちゃんを生殺しにするな」
 野宮さんは間髪要れずに言い返した。
「……」
「理花さんが好きなんだろ。なのにそうやってあゆみちゃんをキープ
しようとする。いい加減冷たくしてやれ」
 真山さんは言い返せなかった。野宮さんの言うことは当たっていた。

「パリ国際の大賞なんて無理に決まってんじゃん」
 山田さんも森田さんのやることに懐疑的だった。
「やってみなきゃわからないじゃん。目標がある人間が取る行動は
2つ。努力するか、諦めるかだ。なのに山田あゆみは何もせずただ黙
っている」
「どういう意味?」
 山田さんはムキになった。森田さんの言いたいことはわかっている。
もしかしたらいつか真山さんが振り向くかもしれない、そう思ってい
る自分がまだいる。

 高橋教授は再三出展の意思を確かめてきた。はぐちゃんは気が進ま
ず断ろうとした。
「あなたにいいこと教えてあげる」
 断るのを察知して教授はさえぎった。
「花本教授はね、前から希望していた海外研修を断ったの」
 あなたのために自分の人生を犠牲になさっているの、と教授は付け
加えた。

 やっぱりだめだ……。制作に取り掛かったはいいものの、何も見え
てこない。僕は大の字に寝転がって途方にくれていた。
「少し見ててもいい?」
 不意にはぐちゃんの声がした。僕は慌てて起き上がった。
「これなに?」
 はぐちゃんは僕の隣に座った。少し疲れたような顔をしていた。
「自分でもよくわかんない。なんか作らなきゃって必死に手動かした
んだけど……。迷ってることや悩んでることが出ちゃった」
 廃材を集めて積み上げた僕の作品は脈絡も何もなかった。
「結局僕にはやりたいことなんてないんだろうな。だからはぐちゃん
みたいに表現したいことが次から次へ出てくる人って尊敬しちゃうよ」
 僕は力なく笑った。
「あたしね、ずっと描きたいものだけ描いてた。自分と絵の間には他
に何にもないと思ってた。でも違った。あたしが絵だけ描いていれば
よかったのは修ちゃんがいたからなの。絵は自分だけで描いているわ
けじゃない、出会った人のすべてがあたしの絵に入っている。だから
竹本くんの作品にもいろんなものが詰まっていると思う 」
「うん、ありがとう」
「あたし頑張ることに決めたの。竹本くんも頑張ってね」
 彼女はいつものように静かに微笑んだ。僕もまた彼女に微笑んだ。
 目指すものは何であれ、僕もはぐちゃんも今自分の目の前の作品に
没頭していった。

 そのころ真山さんは大きなプロジェクトに参画することが決まった。
ただそのためには1年間鳥取へ出向しなくてはならないという
 その話を聞いた真山さんは愕然とした。その足ですぐ原田理花(瀬
戸朝香)のマンションへ走った。原田理花は驚いたが、真山さんは前
に自分が使っていた机を整理しながら言った。
「ここを使います。認めてもらえるまで無給でかまいません」
「真山くん、また同じことになる。私はあなたを傷つけるわ」
「いいんです。僕は傷つきませんから」
 ゆるぎなく圧倒するくらいの強い口調だった。

 僕は泊り込みで作業を続けていた。ある日疲れて寝袋に包まって寝
ていたら、その間にはぐちゃんが段ボール箱にいっぱいにスナックや
果物が詰まった差し入れをしていてくれた。「竹本くんの好きなこと
が見つかりますように」と四つ葉のクローバーの絵が添えられてカッ
プめんのふたに書かれていた。

 僕ははぐちゃんにお礼を言おうと、花本教授の研究室へ走った。け
れど、はぐちゃんを見たら声をかけられなかった。彼女は泣いていた。
泣きながら必死に絵を描いていた。それはまるで闘いのようだった。
自分の決めたゴールに向かって。泣いているのにはぐちゃんから伝わ
ってくるのは強さだった。やりたいことの中で苦しんで泣く彼女、や
りたいことがなくて泣く自分、どっちがつらいんだろう。
 はぐちゃんは描いてはキャンバスを投げ捨て、新しいキャンバスを
立てて描きなおし続けていた。

 真山さんは事務所に行くと辞表を突きつけた。東京を離れるわけに
はいかない、真山さんは言った。
「デザイナーとして伸びるチャンスじゃない。うち辞めてどうすん
の?」
 勅使河原さん(滝沢沙織)は静かに聞いた。
「理花さんのところへ戻ります。もう決めてきました。僕にはこれ以
上はなれることは考えられません」
「そう」
 勅使河原さんは止めようとはしなかった。
 けれど間近で聞いていた山田さんにとってはあまりにも残酷な言い
ようだった。
「俺、先帰ります」
 クールな野宮さんは見てらんないといった感じで出て行った。
「山田……」
 真山さんが声をかけようとした。けれど山田さんは飛び出して行っ
てしまった。

「待てよ山田!」
 真山さんは追いかける。
「野宮さん!」
 山田さんは真山さんを振り払うように前を歩く野宮さんを呼んで言
った。
「どこでもいいから連れてって」
 その言葉を聞いて真山さんの足が止まった。
 野宮さんはチラと真山さんを見た。
「じゃ、行こうか」
 山田さんの手を取って野宮さんは自分の車へと急いだ。走りながら
山田さんは真山さんの方をすがるような表情で見ていた。けれど真山
さんは立ち尽くしているだけだった。

「真山が追いかけてくると思った?」
「えっ」
「正直気分悪いんだよね、こういう使われ方」
 野宮さんは真山さんの真意を確かめるために使われているのをわか
っていた。
「あたしやっぱり……」
 気まずくなって山田さんは謝ろうとした。
「そっちが言い出したんだからね、どこへ行こうと文句なしだよ」
 野宮さんは山田さんの話をさえぎって、車を発進させた。

 みんなは何かをめざして必死に走っていた。目に見えない何かに向
かって必死に手を伸ばしていた。ゴールがなくても、手がとどかない
とわかっていても必死に手を伸ばしていた。
 なのに僕は……いったいなにをしていたのだろう。ただじっと見て
いるだけで手を伸ばそうともしなかった。ただ結果を恐がるだけで足
を踏み出すことさえできなかった。みんなが懸命に見つけた道をうら
やましそうに見ていた。みんなとは違うと言い訳して傷つくのを恐れ
ていた。

 地図がなければどこへ向かえばいいのかわからない。どこへ向かう
か決めるのは地図を見てからだと思っていた。でもそれは違った。地
図がないから迷っているんじゃない。

 僕には、僕には目的地がないんだ!
 僕はパイプ椅子を手に取ると、自分の卒業制作の作品を叩き壊した。
こんなもの、こんなもの……。

 僕は自転車に飛び乗った。もっと速く進みたくて、もっと速く進み
たくて無我夢中でペダルを踏み続けた。


寸  評  モノローグでしか感情を出していなかった竹本が卒業制作を叩き
壊すという行動で気持ちを示してくれました。他の4人と正面から向
き合ったときに感じる不安や焦りというのがとてもよく伝わってくる
いいシーンでした。ただこのドラマ自体がどういうゴールを目指して
いるのかがいまひとつわからないので、感情移入しにくいのは変わら
ないです。青春群像劇というテーマは見えますが、その結末に何を描
こうとしているのか、竹本にそれがないという設定はリアルではあり
ますが、ドラマの結末をわからなくして興味や関心が掻き立てられな
いのです。
 タイトルであるクローバーが出てきました。タイトルの意味が気に
なっていたのですが、クローバーは幸せの意味で使っているようです
ね。ハチミツの方も知りたいです。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 昨日、今日、春一番は大荒れという感じですね。昨日休日出勤で、帰りに鉢
合わせという感じでした。コンクリートなのに砂埃が舞っているのは少々驚き
です。電車も止まっていましたが、こんなのははじめての経験です。 (けん)

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