メルマガ:日刊ドラマ速報
タイトル:Daily Drama Express 2008/01/29 ハチミツとクローバー (4)  2008/02/05


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/01/29 (Tue) ☆☆
======================================================================

== 目次 ==============================================================
  1.火曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
======================================================================

----------------------------------------------------------------------
1. 火曜日の連続ドラマ
----------------------------------------------------------------------
タイトル ハチミツとクローバー
局  名 フジテレビ系
放映日時 火曜21時
キャスト 花本はぐみ(成海璃子)
 竹本祐太(生田斗真)
 野宮 匠(柏原崇)
 山田あゆみ(原田夏希)
 山田大五郎(泉谷しげる)
 真山 巧(向井 理)
 森田 忍(成宮寛貴)
 花本修司(村上 淳)
 原田理花(瀬戸朝香)
 勅使河原美和子(滝沢沙織)
 ローマイヤ先輩(木村祐一)
 庄田教授(松重 豊)
 寺登泰彦(前川泰之)
原作   『ハチミツとクローバー』羽海野チカ(集英社 QUEEN'S COMICS 刊)
脚本   金子茂樹
主題歌  平井 堅 「キャンバス」(DefSTAR RECORDS)

あらすじ 第4話「聖夜に届く涙の告白」

 クリスマスまであと2日。僕、竹本祐太(生田斗真)は、真山さん
(向井理)をのぞく4人と浜田山商店街でアルバイトをしていた。花
火の日以来、はぐみちゃん(成海璃子)は森田さん(成宮寛貴)への
気持ちを見せまいと必死に頑張っている様子で、僕にはそれが痛々し
く思えた。

 その日僕は森田さんと大五郎さん(泉谷しげる)のいつもの小競り
合いに巻き込まれて、大五郎さんの宅配の自転車を倒してしまった。
運が悪いことに荷台になかなか手に入らない名酒がのっていてそれが
割れてだめになってしまった。大五郎さんはかんかんに怒り、僕は翌
日からバイトして弁償する羽目になった。いつもいつもどうして僕に
はこんな役回りばかりなのだろう。

 バイトが終わった後、真山さんが久しぶりにやって来て僕らにごは
んを奢ってくれた。すでに藤原事務所に入って数ヶ月、真山さんの懐
は僕らとは比べ物にならないほどあったかい。山田さん(原田夏希)
は真山さんの近況を尋ねていた。気になるのだろう。真山さんは忙し
くて年内は大変と言っていた。クリスマスも?と尋ねる山田さんに真
山さんは「ああ」と答えていた。一生懸命頑張っている真山さんに山
田さんは嬉しそうだった。クリスマスに一緒にいられないことの寂し
さよりも真山さんが仕事に没頭していることを喜ぶ、それが山田さん
らしかった。

「あっ!」
 雑誌を読んでいた森田さんが大声を上げた。見ると森田さんが日本
芸術展で大賞を取った記事が載っていた。しかし森田さんははぐみち
ゃんに記事を突きつけた。
「なんでお前出品しなかったんだよ!俺はリベンジしようとしてたん
だぞ。逃げんなよ」
「森田さん、いいじゃないですか」
 僕ははぐみちゃんをかばった。
「いいや、今度の現代アートコンクールはエントリーしろよ。お前な
ら賞を狙えるんだから」
 しかしはぐみちゃんは苦しそうにうつむくだけで何も言わなかった。
そのころはぐみちゃんが描きたくても描けないほど深刻な精神状態に
陥っているなんてことを、僕らは知る由もなかった。

 翌日から僕は大五郎さんのお店で働き始めた。大五郎さんは僕をこ
き使った。けれど今の僕はそれがありがたかった。僕はクリスマスが
嫌いだ。シーズンに入ると浮き足立つ世間、街に流れる定番のクリス
マスナンバー、それは着心地の悪くていつまでもなじまないセーター
を着ているような感じだった。クリスマスは幸せな人だけが盛り上が
っている、自分たちだけ幸せならそれでいいという浮かれ騒ぎがばか
ばかしかった。真山さんにそのことを話したら、でも幸せな人って頑
張っている証拠じゃないか、手を伸ば差なければ幸せは手にはいらな
いんだよなんて言われてしまって、僕は何も言えなくなってしまった。

 森田さんが大学の作業室で考え込んでいるところへ寺登さん(前川
泰之)が外国人男性を伴って訪ねてきた。
「大先生、例の件ちゃんと考えておいてくださいね」
 寺登さんは念を押した。
「うん、まあ。で、ニューヨークっておいしいたこ焼き食べれんの?」
 森田さんは例のいたずらっぽい笑みを浮かべた。

 大五郎さんの店の斜め向かいのケーキ店でははぐみちゃんと山田さ
んがサンタのコスチュームで街頭販売をしている。僕ははぐみちゃん
の様子が気になって仕事の手が止まっていた。
「おまえさあ、こんなとこにいていいのかね」
 僕の情けなさにさすがの大五郎さんも同情したらしい。
「でも仕事がありますし」
「そうだろうけどよぉ、今日はクリスマスイブだろ」
「いいんです、どうせ予定ないし。むしろ助かったってくらいで」
「おいおい、年よりじみたこと言いやがって」
 大五郎さんはもどかしそうだった。それは僕もわかっているけれど。
言いたいことを僕は飲み込んだ。

 真山さんからの電話に山田さんは慌てて出た。
「明日あいてる?」
 真山さんにそう言われて、山田さんはどぎまぎしだした。明日はク
リスマス。
「あ、空いてる、空いてる」
 山田さんは平静に言っているつもりなんだろうけど、すごく嬉しそ
うな顔をしている。
「なら、明日事務所に来てよ。上司が話したいことがあるんだって」
 数日前に真山さんは勅使河原さん(滝沢沙織)から展示会に出す陶
芸品を集めていると言われて、山田さんのことを紹介したのだ。
「そ、そうわかった」
 用件だけ手短に伝えて真山さんは電話を切ってしまったので、山田
さんはシュンとなってしまった。

 僕が真面目に働いたのを認めてくれたのか、大五郎さんはしだいに
僕に温かく接するようになった。大五郎さんは山田さんのためにクリ
スマスプレゼントを買ったことを嬉しそうに話してくれた。
「こんなダサいのいらないって毎年言われんだけどよ、めげずに渡し
続けてると今年もこの日が来たなあと思えてよ」
 大五郎さんは照れくさそうだった。
「それより、今日はもうあがっていいぞ」
「えっ、でもまだ早いし」
 僕は戸惑ったが、大五郎さんはもういいと言い、さらにバイト代ま
で払った。
「これは弁償のための……」
 僕は受け取るのを断ろうとした。
「早く行けよ」
 大五郎さんが怒り出した。もちろん僕のことを気遣ってのことだ。

 僕はクリスマスが苦手だった。楽しそうな人たちの顔を見るたびに
胸が痛んで、お前に居場所はあるのか?と問い詰められる気がしたか
ら。でも、勇気を出せば世界は変わるのだろうか。

 そのころはぐみちゃんは何も描けないまま数日が過ぎていた。校内
展でグランプリをとった彼女は学内から大きな注目を集めていた。そ
れなのに次作がなかなか出てこないので、花本教授(村上淳)のとこ
ろに出させるようにと言ってくる学内関係者もいた。彼女は今自分の
中の壁を壊そうと苦闘しているところだと花本教授はかばっていたが、
はぐみちゃんの心にはそれが負担になるばかりだった。

 僕ははぐみちゃんに渡すプレゼントを買って、花本教授の研究室へ
行った。
「竹本くんどうしたの?」
 はぐみちゃんは少し驚いた風だった。
「きょ、今日クリスマスだね」
「……そうだね」
 彼女はいつもの優しい声で言いながら、ショールを羽織った。
「どっか、行くの?」
「うん」
 その瞬間僕の勇気はしぼんでしまった。彼女の邪魔はできない。彼
女は手早く支度を済ませた。
「いいクリスマスになるといいね」
「うん、はぐちゃんも」
 彼女はにこりとして出て行った。

 僕がクリスマスが嫌いなのは、輝くネオンのせいでも陽気なクリス
マスソングのせいでもない。好きな子に好きと言えず、用意したプレ
ゼントも渡せない、そんなふがいない自分と向き合うのが恐くて、ク
リスマスが恐いと言い続けていた。誰よりもクリスマスを意識してい
たのは僕自身だった……。

 勅使河原さんは山田さんの作品を気に入って、仕事の依頼を出した。
山田さんは自分が認められて嬉しかったが、真山さんが不在なので素
直に喜べなかった。帰り際山田さんは真山さんのデスクに持ってきた
プレゼントをそっと置いた。
「誤解しないでください、ただの友達ですから」
 山田さんは恥ずかしさに襲われてそう言って逃げるように出て行っ
た。勅使河原さんも野宮さん(柏原崇)もそれが微笑ましく思えたよ
うだった。

 真山さんは原田理花(瀬戸朝香)のマンションまでやって来た。原
田理花もちょうど帰ってきたところだった。
「就職決まったんだってね。頑張って」
 原田理花は笑顔を見せた。
「頑張ります。頑張ってまたここに戻ってきますから」
 真山さんはそれだけ言って駆け出した。原田理花がマンションに入
ると自室にドアノブに白い紙袋がかけられていた。真山さんが今日こ
こに来たのは彼女にクリスマスプレゼントを贈るためだった。

 はぐみちゃんがやって来たのは森田さんがいる現代日本美術館だっ
た。
「よう。お前最近ぜんぜん描いてないんだって?どうしたんだよ」
 森田さんはいつものように明るく話しかけた。
「あたしが描けない理由は森田さんです」
「俺?俺が何かしたの?」
 森田さんは戸惑った。彼女はうつむいていたが、ゆっくりと自分の
思っていることをしゃべりだした。
 1人でいると森田さんのことを思い出してしまって、頭から追い出
そうとしてもできない。
「だから、一度ちゃんと向き合わなきゃいつまでたってもこのままだ
と思いました。恐がって逃げてたらずっと描けないままだと思いまし
た」
 彼女は森田さんをじっと見つめた。
「あたし、森田さんのことが好きです」
 森田さんの表情からはいつもの陽気さはなくて、真剣な眼差しで彼
女を見ていた。けれどやがてその眼差しは下に向いた。
「俺さ、近い将来この中の1人になるんだ。そう思えたのはお前のお
かげだよ」
 森田さんは立ち上がり、フロアに並んだ美術品を見渡した。
「花本はぐみ」
 森田さんははぐみちゃんを立たせた。
「お前もさ、この中の1人になれる。だから絵描けよ。お前はずっと
俺のライバルなんだからな」
 彼女は傷ついたかもしれない。でも森田さんらしい答えに違いなか
った。

 翌朝僕は部屋の中に干した靴下にメモが差し込まれているのを見つ
けた。読んでみるとニューヨークへ行くと書いてあった。僕は驚いて
バス停に向かった。

「なんだ見送りなんていいのによ」
 森田さんは笑った。
「いつ帰ってくるんですか?」
 僕は見送りにきたんじゃない。
「今世紀中には帰るよ」
 森田さんはさらりと交わした。
「はぐちゃんは、はぐちゃんの気持ちはどうするんですか?」
「はっ?どうするって夫婦じゃないしな」
「森田さん!」
 僕はカッとなった。けど森田さんは僕を抱き寄せて言った。
「また、会おうな」
 軽く手を振ると、森田さんはバスに乗っていった。

 僕は花本教授の研究室に走った。はぐみちゃんは一心に絵を描いて
いた。
「森田さんアメリカに行くって。今なら空港間に合うよ」
 彼女は描く手を止めたが、動かなかった。
「森田さんのこと好きなんでしょ?」
 僕はたまらなくなった。でも彼女は静かに言った。
「アメリカに行って欲しい、アメリカで思い切りやりたいことやって
来てほしい」
 そして彼女はまた描きはじめた。

 森田さんがはぐちゃんに残していったものは僕がどれだけそばにい
て、どんなに努力しても与えられるものではなかった。それは決して
宝石のようにきらきらと輝いてもいないし、ケーキのように甘くもな
いけど、はぐちゃんは確かにそれを受け止めて前に進んでいた。
 落ち込んでくれた方がずっとよかった。行かないで欲しいと泣かれ
た方がずっとよかった……

 一心にキャンバスに向かう彼女の姿を僕はただ見つめることしかで
きなかった。打ちのめされた衝撃で出て行くだけの力もなかった。


寸  評  竹本に共感するところはないのですが、それでも気の毒に思えま
した。これほど人が好くて自分のことよりも他人を思って行動してい
るのに、森田のこともはぐみのこともまるで空気が読めないことを言
っているというのは見ていて痛々しいです。森田やはぐみと同じ土俵
に立てていないのが、そういう風に見せているのではないかと思いま
す。森田もはぐみも真山もあゆみもみなそれなりに作品が出ていて、
前向きに進んでいるのですが、竹本の作品はまだ出てないですし、創
作に打ち込む姿もないのも一因でしょう。竹本もそろそろ将来に向け
てエンジンをかけていかないと、5人の輪の中で浮いてしまいそうで
すので、何かアクションを起こして欲しいと思いました。

執 筆 者 けん()

----------------------------------------------------------------------
2. 編集後記
----------------------------------------------------------------------
 最近仕事が忙しくて休日はいつも片付けに負われています。そんなに散らか
しているつもりはないのに週末になるとあちこちに本や手紙、スーパーのレジ
袋、カバンなどが散らかっていて、まずそれを片付けたあと掃除して整理がつ
くのですが、また週末には散らかっています。これもひとつの癖みたいなもの
で、気をつけないと直りそうもありません。もっとも仕事をさっさと片付けて、
早く帰ってまめに片づけをしていればいいだけのことですが。(けん)

======================================================================
発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。
(http://www.mailux.com/)
======================================================================

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。