メルマガ:日刊ドラマ速報
タイトル:Daily Drama Express 2008/01/05 のだめカンタービレ in ヨーロッパ 第一夜  2008/01/07


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2008/01/05 (Mon) ☆☆
======================================================================

== 目次 ==============================================================
  1.月曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
======================================================================

----------------------------------------------------------------------
1. 月曜日の連続ドラマ
----------------------------------------------------------------------
タイトル のだめカンタービレ in ヨーロッパ
局  名 フジ系
放映日時 月曜21時
キャスト 野田恵 (上野樹里)
 千秋真一(玉木宏)
 谷岡肇 (西村雅彦)
 峰龍太郎(瑛  太)
 三木清良(水川あさみ)
 奥山真澄(小出恵介)
 多賀谷彩子(上原美佐)
 大河内守(遠藤雄弥)
 佐久 桜(サ エ コ)
 峰 龍見(伊武雅刀)
 河野けえ子(畑野ひろ子)
 江藤耕造(豊原功補)
 フランツ・シュトレーゼマン(竹中直人)
 石川怜奈(岩佐真悠子)
 田中真紀子(高瀬友規奈)
 玉木圭司(近藤公園)
 橋本洋平(坂本 真)
 鈴木 萌(松岡璃奈子)
 鈴木 薫(松岡恵望子)
 岩井一志(山中崇)
 金城静香(小林きな子)
 井上由貴(深田あき)
 金 井 (小嶌天天)
 フランク(ウエンツ瑛士)
 ターニャ(ベッキー)
 並木ゆうこ(山口紗弥加)
 片平 元(石井正則(アリtoキリギリス))
 黒木泰則(福士誠治)
 エリーゼ(吉瀬美智子)

原  作 二ノ宮知子
脚  本 後藤凜
主題歌  『』

あらすじ 第一夜

 2007年春――。
 桃ヶ丘音大を卒業した千秋(玉木宏)はいよいよパリに旅立とうと
していた。のだめ(上野樹里)も千秋と一緒に向かうことにしていた。
「なんでだよ、秋までに行けばいいんだろ?」
 コンセルヴァトワールの新学期は秋からだった。
「先輩が一緒に行こうって言ったんですよぉ」
 のだめがうれしそうに言うので、龍太郎(瑛太)や真澄(小出恵介)
は怪訝そうに千秋を見た。
 千秋は何も言わなかった。飛行機に乗れるようになったとはいえ、
まだ恐くて1人じゃダメなんてことは言えるはずない。
「本当にもう行っちゃうんだな」
 龍太郎は寂しそうな顔をした。
 もうというか……。千秋は湧き起こる嬉しさを噛みしめた。
 やっと行けるんだ!

 千秋とのだめはまずプラハに立ち寄った。ヴィエラのコンサートを
聴くためだ。曲目はリヒャルト・シュトラウス(ドイツ1864-1949)
の交響詩『英雄の生涯』。11年ぶりに見た師の指揮は圧巻で割れんば
かりの大拍手に包まれた。千秋も感動で涙ぐんでいた。だが――。
「何で会いに行かないんですか?」
 千秋はヴィエラに面会せずパリに行くという。
「会ったところですぐ弟子にしてもらえるわけがない。俺はまずパリ
で指揮のキャリアを積んだらそのとき会いに行く」
 どこまでもストイックな千秋だった。

 パリに到着すると、千秋はのだめを高級レストランに誘った。
 今日は俺様がおごってやるよ。千秋はいつになくご機嫌だった。の
だめも楽しそうだが、フランス語のメニューが読めない、給仕の言う
こともわからない。
「お前少しもフランス語勉強しなかったな」
 千秋はいつものように説教を始めた。が、きょうの千秋はあまりと
がめず、困惑しているのだめを他所に陽気にワインを飲み、鼻歌まで
歌っていた。

「先輩にとってここは慣れ親しんだ庭みたいなもんでしょうよ」
 帰り道、のだめはいらいらを爆発させた。
「のだめ、おまえ……」
 千秋は気づいた。のだめにとっては初めての海外。ストレスでホー
ムシックになっている。考えてみれば自分のわがままで半年早くパリ
に来させたのだ。コンセルヴァトワール(音楽院)の試験勉強に追わ
れて、フランス語まで勉強する余裕がなかったのだろう。そう思うと
千秋は反省せざるを得なかった。

 翌日、観光に行きたいというのだめに千秋は付き合った。ノートル
ダム寺院や凱旋門などをまわっていくが、のだめはガトーショコラな
ど食べ物に夢中の様子だった。ホームシックはどうしたんだ?苦笑し
つつものだめのバイタリティに千秋は少し安心した。

 この日はこれから生活するアパルトマン(アパート)への入居日で
もあった。荷物をまとめてやってくるとまるでお城みたいな古風で大
きな館が目に入った。ここは千秋の母方の実家、三好家が所有するア
パルトマンで、音楽を専攻する学生に対して優先的に貸し出していた。

 アパルトマンを管理している中年の女性はにこやかに出迎えてくれ
た。各部屋にはピアノも置いてあり勉学には申し分のない環境だ。管
理人女性のリクエストに応じてのだめはラヴェル
(フランス1875-1937)の『鏡』を弾きだした。
 相変わらず、飛ぶ、跳ねる。でも軽快で明瞭なタッチで多彩な音を
出している。やっぱりすごいな。久しぶりに聞くのだめの演奏に千秋
は改めて感嘆した。

 演奏が終わったとき、ドア越しに2人の学生がいるのが見えた。1人
は男子学生、もう1人は女子学生、2人とも欧米の人のようだ。
「フランク!」
 のだめは驚いて駆け寄った。フランク(ウェンツ瑛士)も笑顔で走
り寄ってきた。聞くところによるとのだめとフランクはコンセルヴァ
トワールの試験で一緒になり、お互いに日本のアニメが好きで意気投
合したのだと言う。フランクはのだめが千秋と親しくしているのが気
になった。のだめに会ったらお茶に誘おうと思っていたのだ。もう1
人の女子学生はターニャ(ベッキー)、ロシアから来た留学生でコン
セルヴァトワールの1年生だった。

 パリでの生活は快適だ。日曜日になるとバッハ(ドイツ1685-1750)
の音楽が聞こえてくる。そんな空気に包まれて千秋は幸福感に浸って
いた。
 来月にはプラティニ国際指揮者コンクールがある。4年に1度開催さ
れる若手指揮者の登竜門だ。のだめがフランス語を教えて欲しいと頼
まれたが、断った。勉強に集中しなくてはならない。初めて挑むコン
クール、千秋の気合は否応なしに高まっていた。

 のだめはしかたなくフランクに教わろうと部屋にやってきた。
「君の方から来てくれるなんて!」
 フランクは勝手に感激しているが、のだめは「プリごろ太」のフラ
ンス語吹き替え版ビデオを見つけると食い入るように見始めた。ハリ
セン江藤のレッスンで見せた驚異の集中力が発動したのだ。

 季節は流れ、9月になった。のだめはフランス語に慣れ生活には不
自由しなくなっている。千秋はプラティニ国際指揮者コンクールのビ
デオによる予備審査をパスし、1次予選への準備に追われていた。が、
集中力を高めているその横で、フランクとのだめはアニメフェスタの
ことで盛り上がっている。もうすぐコンセルヴァトワールの新学期が
始まるのに……。千秋は呆れた。

 千秋は列車でプラハに向かった。コンクールは9月14日から23日ま
で10日間にわたって開催される。

*------------------------------------------------------------*
 プラティニ国際指揮者コンクール、それはチェコの名指揮者プラテ
ィニを記念し、1960年から4年に一度開催される。演奏は名門ヴィル
トゥール交響楽団の協力している。課題曲も多く、年齢制限30歳とい
う若手対象のコンクールとしては過酷で難易度も高い。優勝者には高
額の賞金とヴィルトゥール交響楽団との演奏、そして1年にわたって
のプロモーション契約が得られる
*------------------------------------------------------------*

 1次審査はくじ引きで決まった課題曲を指揮する。エントリー者は
18名。千秋はハイドン(オーストリア1732-1809)の交響曲第104番二
長調になった。と、くじを引いた日本人女性が突然高笑いを始めた。
「ジャン!あなたのお望みのロッシーニ(イタリア1792-1868)よ!」
 ジャンという名前を聞いて会場内がざわついた。ジャン・ドナディ
オ。ベルギー国際コンクールで優勝した若手指揮者だ。
 そんな実力者も出るのかと千秋は驚いた。
「でも他人は気にせず自分の音楽に集中すればいいんだよ。君日本人
だろ?」
 不意に千秋は声をかけられた。
「僕は片平元。お互いがんばろう」
「はい」
 千秋が相手をよく見ると30歳くらいの日本人男性だ。片平(石井正
則(アリtoキリギリス))は日本に家族を残して単身コンクールに挑
む駆け出し指揮者で、今回が4回目の挑戦、背水の覚悟で臨んでいる
のだという。
 不意にジャンがやってきた。
「君はチアキというのかい?あのマサユキ・チアキと関係あるのか
い?」
「いや、関係ないです」
 千秋は即座に否定した。
「そう」
 ジャンはそっけなく言うとさっきの日本人女性、ゆうこ(山口紗弥
加)のところへ戻っていった。余裕なのか?チャラチャラしやがって!
べたべたしているジャンを見て千秋の闘志に火がついた。

*------------------------------------------------------------*
 交響曲の父ハイドン。交響曲にメヌエットを含む4つの楽章の形式
を作り、ソナタ形式、弦楽四重奏の形式を整え、古典派音楽の礎を築
いた偉大なる作曲家。
*------------------------------------------------------------*

 ハイドンで試されるなんて、光栄だ!千秋は気持ちが高ぶるのを感
じた。

*------------------------------------------------------------*
 第1次予選。1曲にたった15分の持ち時間で、リハーサルと通し演奏。
審査員は主にリハを見ている。音楽の理解力、表現力、耳のよさ、そ
して才能……
*------------------------------------------------------------*

 指揮台に立った千秋はオーケストラを見渡し「よろしくお願いしま
す」と一礼した。ところが失笑が聞こえてくる。どうも千秋の寝グセ
を笑っているらしい。千秋は昨晩一睡もできず、細かいところまで気
がまわらなかった。
「ただ軽快なだけじゃ退屈な演奏になる、さてどうする?」
 審査員は意地悪そうな眼差しで千秋を見ている。
 でも――。緊張しているわけじゃない。わくわくしすぎて眠れなか
ったんだ!千秋は臆せずオケを見返した。

 冒頭、千秋は重すぎるほどテンポをゆっくりにした。
「ハイドンなのにこのテンポ?」
 審査員席からは呆れたような感想がもれた。
 だが、すべて計算づくでのことだった。あわてることもなくテキパ
キと指示を出し自分の音楽を作り上げていくと、次第に審査員席も納
得の表情に変わった。まるで黒い羽が舞い散るかのように深い知性と
精神性に裏打ちされた雰囲気が支配していた。

 次に指揮に立ったのはジャンだった。曲目はロッシーニの『ウィリ
アムテル序曲』。ジャンは千秋と違い、優しく繊細、かつ華やかで人
の心を奪う表現。まるで白いバラが咲き乱れるかのような雰囲気に包
まれた。

 千秋もジャンも1次予選を通過した。そしてコンクール4日目、第2
次予選が始まった。

*------------------------------------------------------------*
 課題は間違い探し。出番15分前にはじめて楽譜を見せられ、すぐに
演奏するのだが、オケは故意に書きかえられた楽譜で演奏している。
指揮者は目と耳だけを頼りに……
*------------------------------------------------------------*

 課題曲はドボルジャーク(チェコ1841-1904)の交響曲第9番「新世
界より」の第4楽章。
 が、千秋もジャンも難なく誤りを見つけて指摘し、審査員席を唸ら
せた。2次予選通過者6名。パーフェクトは千秋とジャンの2人だった。

 3次予選へ。ここからは一般公開になり街も熱気に包まれている。
さすがの千秋も少々疲れを感じた。
「あいつ、来るのかな……」
 千秋はホテルに戻るとベッドに倒れこんだ。次を越えればいよいよ
ファイナル(本選)だ。

 3次予選当日。のだめはフランク、ターニャとともにやって来た。
6名が挑むとはいえ、ここまでくると事実上千秋とジャンの一騎打ち
という感じだった。感覚的で色彩的なジャンの指揮と、哲学的で重厚
な千秋の指揮、オケも審査員も注目していた。

*------------------------------------------------------------*
 3次予選。くじで決められた課題曲を持ち時間30分でどこまで高い
完成度の演奏に仕上げるか
*------------------------------------------------------------*

 まず指揮に立ったのはジャンだった。千秋は片平に誘われて見にき
た。ジャンの課題曲はリヒャルト・シュトラウスの交響詩『ティルオ
イレンシュピーゲルの愉快ないたずら』だった。
 お、音がまぶしい。千秋は色を失った。ジャンの演奏はうわさ通り
色彩的だった。ジャンは陽気で軽妙なタッチの曲を得意としていて、
曲が終わると聴衆は大きな拍手を送った。千秋は硬直していた。ジャ
ンの演奏がすごいだけではない。千秋の課題曲はジャンと同じだった。
ジャンの演奏にどう差をつければいい?さしもの千秋も焦りを感じず
にいられなかった。

 千秋は険しい表情で指揮台に立った。千秋は神経質になり何度もホ
ルンの音を小さくするように指示した。自分の音楽を表現できさえす
ればジャンに負けはしないという思いが、千秋の冷静さを奪
った。不意にオケが演奏を止めた。千秋が指揮を間違ったのだ。
「す、すいません。今のところ僕が間違えました。もう一度お願いし
ます」
 千秋は謝った。しかしオケは千秋を信用しなくなってしまった。誰
も千秋の指揮を見ないで演奏している。
 音が、音が零れ落ちていく……。歯止めが利かない。
「またですか、カズオ……」
 のだめがつぶやいた。

 千秋は敗北感に襲われていた。後半はなんとか立て直せたものの、
自分の音楽を表現できた実感はなかった。ジャンに負けたわけじゃな
い、自分に負けた。ジャンを意識して我を失ってしまった。そのこと
が悔しすぎて、のだめがいくら慰めても気持ちの整理ができなかった。

 気晴らしにやって来たレストランで千秋はジャンに会った。ゆうこ
はいつもの高笑いでジャンの勝利を確信していて千秋はさらに落ち込
んだ。だが、ジャンは言った。
「やめなよ、ゆうこはわかってないよ。僕は君の演奏を聴いた。ぜん
ぜん気に病むことないよ」
 ジャンは帰って勉強するからと店を出て行った。
 ジャンの言ったことは慰めか?千秋は複雑な思いに駆られた。ジャ
ンにああ言われるとどこか救われる気がした。

 翌日、千秋はのだめに促されてコンクール会場にやって来た。来た
くはなかったけど、片平の演奏は聞いておきたいと思った。
 片平の課題曲はグリンカ(ロシア1804-1854)の『ルスランとルドミ
ラ』序曲。片平は軽快なメロディとリズムに合わせて指揮台を飛び跳
ねていた。オケも聴衆も片平の楽しげな指揮に魅入っている。のだめ
も大喜びだ。
 ただ跳ねているだけじゃない、計算されている。千秋は内心唸った。
それとともに自分も人々を楽しませたかったという思いがこみ上げて
きた。ただ音楽を楽しめればそれでよかったのに。もう一度チャンス
があったら……。

  3次予選結果発表。千秋は硬い表情で貼り出しを見つめた。まず順
当にジャンの名が見え、そして……千秋の名前もあった。さらに片平
も。ファイナルに進むのはこの3人だった。
「あ、あった……」
 だが驚いたり、喜んだりしている暇はない。すぐに本選のくじ引き
が始まる。

*------------------------------------------------------------*
 本選はくじ引きで引いた課題曲の他に、これまで演奏した曲から
1曲自由に演奏する。審査は非公開のリハとその夜コンサート形式で
演奏を行う
*------------------------------------------------------------*

 ゆうこがいつもどおりくじを引こうとする。ロッシーニやリヒャル
ト・シュトラウスといったジャンが得意とする曲をことごとく引き当
てたのはゆうこだった。だが、ジャンは自分で引くという。最後くら
い自分の手で明るく華やかな曲を引いてみせると意気込んだが、引き
当てたのはラロ(フランス1823-1892)のスペイン交響曲(バイオリ
ン協奏曲第2番)ニ短調という重々しい暗い曲だった。目眩を起こす
ジャンをゆうこは慌てて介抱した。

 千秋はのだめにくじを引いてもらった。引き当てたのはチャイコフ
スキー(ロシア1840-1893)のバイオリン協奏曲二長調。こどものこ
ろヴァイオリンの練習でよく弾いた明るく華やかな曲だった。千秋に
とってはこの上ない選曲になった。

 本選出場をのだめから聞いてRSオケやSオケのメンバーから続々と
激励のメッセージが届いた。Sオケのときに学んだ音楽を楽しむこと
を千秋は改めて思い出した。千秋は3次で失敗した『ティルオイレン
シュピーゲルの愉快ないたずら』を再挑戦することを決め、もう一度
見直しに入った。

 本選はスメタナホールで行われた。
 楽しもう!千秋は胸にその思いを込めて指揮台に立った。思いはオ
ケに確実に伝わっていく。
 最高の音!千秋は『ティルオイレンシュピーゲル』の出だしで確か
な手ごたえを感じた。シュトレーゼマンが言っていた。オケにぶつけ
る思いがそのまま自分に返ってくるのだと。
 審査員席も唸った。3次予選とは違う、作品の精神性を余すところ
なく伝えてくれる知性的な演奏。
 続くヴァイオリン協奏曲。こどものころからいつかこの曲を振りた
いとあこがれていた曲。会場内にはまたもや黒い羽が舞うかのような
深遠な雰囲気が広がっていった。
 万雷の拍手とともに千秋の演奏は終わった。すごく楽しかった――。
千秋はそんな思いに満たされた。もはや結果は決まったも同然、そん
な出来栄えだった。

 コンクール後のレセプション会場で千秋は1位のインタビューを受
けた。ジャンも片平も祝福してくれた。ジャンはポケットからメモを
出して千秋に渡した。ヴィエラの連絡先が書いてあるのだという。ジ
ャンはヴィエラの弟子でコンクールの途中経過を報告していた。その
中で千秋のことに触れると、ヴィエラは千秋のことをよく覚えていて
とても喜んでくれたということだった。

 ヴィエラ先生が?千秋は驚いた。てっきり忘れられているものだと
思っていたのに……。少しはなれたところでゆうことのだめが張り合
っていた。ゆうこは負け惜しみを言っているらしい。
「おたくの彼女、すごいな」
 千秋は苦笑した。
「そうだろ。彼女と会ってからいいことづくめなんだよね」
 ジャンはヒステリックなゆうこをまったく意に介していないようだ
った。いいことづくめ、か。千秋はふと思った。もしも自分がのだめ
に出会ってなかったとしたら……と。

 プラハから戻って数日後、のだめのコンセルヴァトワールの授業が
始まった。のだめの通う学校はパリ国立高等音楽院だ。
「のだめだってがんばります!」
 千秋に刺激を受けて、俄然やる気になるのだめだった。

 千秋も気持ちを新たにしていた。とりあえず契約を済ませたらヴィ
エラ先生に会いに行こう!ジャンと片平に別れ、千秋は軽やかに歩き
出した。そのとき何者かが突然千秋を連れ去ろうと襲いかかってきた。

 ファーストクラスのゆったりしたシートでくつろぎながらシュトレ
ーゼマン(竹中直人)はエリーゼ(吉瀬美智子)と電話をしていた。
「ヨウイハデキマシタカ?デハ『サバクノプロメテウスサクセン』ノ
ジッコウデス」
 なにやら不敵な笑みをシュトレーゼマンは浮かべた。


寸  評  1年ぶりののだめの復活です。原作を見たことはないのですが、
日本編と比べたら面白みは落ちるんじゃないだろうかとなんとなく思
ってました。面白いところはあるとは思うのですが、2時間半は長く、
間延びするのではないかと。しかしやはり楽しんで見られました。ス
トーリーも平坦でこれといった事件もない、千秋が勝つのものだめが
随所でボケているのもお約束で予想できることなのですが、それでも
飽きがこないという不思議な感じです。千秋とのだめのやりとりがそ
れだけ面白おかしいということなのでしょう。
 ところで千秋の指揮者コンクールですが、あの評点はどうやってつ
けているのでしょう?千秋が3次を通ったのは1次、2次を加味しての
ことでしょうか。しかしそうしたら総合点ではジャンのほうが上回り
そうですね。そういった意味では3次の後半巻き返した千秋の指揮振
りが見たかったです。原作では描かれたところでしょうか 。たぶん
そこがこの話の中で唯一ドラマティックな展開にできるところだと思
うのですが。
 さて第二夜ではのだめが主役、ハチャメチャをやらかして本場の伝
統をぶち壊すくらいのことをしてくれるのか、それともより高い次元
へと上っていくのか、楽しみなところです。

執 筆 者 けん()

----------------------------------------------------------------------
2. 編集後記
----------------------------------------------------------------------
 年末年始で録りたまっていた秋ドラマ『オトコの子育て』を見ました。尾崎
将也作品はキャストが常連という人で占められていますね。『アットホームダ
ッド』『鬼嫁日記』『結婚できない男』とかで見たことある人ばかりという感
じです。脚本家がキャストを指名しているのだろうか、とふと思ったりします。
(けん)

======================================================================
発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
このメールマガジンは、メールマガジン[MailuX]を利用して発行しています。
(http://www.mailux.com/)
======================================================================

ブラウザの閉じるボタンで閉じてください。