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タイトル:Daily Drama Express 2007/07/15 パパとムスメの7日間 (3)  2007/07/20


===================================================== 発行部数   25 ==
                        ★★ 日刊ドラマ速報 ★★
            ☆☆ 2007/07/15 (Sun) ☆☆
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== 目次 ==============================================================
  1.日曜日の連続ドラマ
  2.編集後記
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1. 日曜日の連続ドラマ
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タイトル パパとムスメの7日間
局  名 TBS系
放映日時 日曜21時
キャスト 川原恭一郎(舘ひろし)
 川原小梅(新垣結衣)
 大杉健太(加藤成亮)
 中嶋耕介(八嶋智人)
 川原理恵子(麻生祐未)
 西野和香子(佐田真由美)
 中山律子(森田彩華)
 桜木真一(高田延彦)
 国枝ひそか(佐々木すみ江)
 渡辺武志(江守徹)
原  作 五十嵐貴久『パパとムスメの7日間』
脚  本 荒井修子
     渡辺千穂ほか
主題歌  YUKI 「星屑サンセット」(EPIC レコード ジャパン)

あらすじ 第3話「パパのせいで留年!?ムスメのせいで夫婦の危機!?」

 小梅(恭一郎)(新垣結衣)が恭一郎(小梅)(舘ひろし)と西野
さん(佐田真由美)の後をつけていくと、2人は銀座の大きなビルの
イタリアンレストランの前で止まった。
「このお店、よく来るんですけど本当においしんですよ」
 西野さんは、恭一郎(小梅)にそう説明した。
「へえ」
 恭一郎(小梅)は嬉しそうな顔して聞いている。
「まさか、一緒に食事する気じゃないだろうな」
 小梅(恭一郎)はますます不安になってきた。2人はそのまま店内
に入ろうとしている。
(せっかく入れ替わったんだから、ちょっとくらいいいことあっても
いいよね!)
 恭一郎(小梅)は浮かれきっている。
 慌てた小梅(恭一郎)は帽子を深くかぶって携帯を取り出し2人に
近づいていった。
「おーい、なにやってんだぁ?」
 小梅(恭一郎)は電話しているふりをしながら恭一郎(小梅)に声
をかけた。
「あっそうだ、娘に電話をしなきゃ」
 恭一郎(小梅)は西野さんに断ってその場を離れた。

「あーもしもし、小梅か?テスト勉強ちゃんとしてるんだろうな」
 恭一郎(小梅)は煩わしそうに切り出した。
「何やってんだ、会社ってのはすぐうわさになんだぞ。西野さんとの
食事は絶対ダメだ!」
「相談あるんだって。女の相談なんて挨拶みたいなもんだからサクッ
と済ませてくるよ」
「相談なら会社で聞けばいいだろう!」
 恭一郎(小梅)の魂胆はわかっている。銀座のおしゃれなお店でご
飯が食べたいだけに決まってる。
「あれぇ?1000人分の女子高生のアンケート集められたの誰のおかげ
だっけ?」
 ここぞとばかりに恭一郎(小梅)は言い出した。
「……1時間だぞ。だが相談事は必ず持ち帰れよ。それから携帯はつ
ないだままにしておくんだ」
 小梅(恭一郎)は仕方なく折れた。
「わかってる、わかってる」
 恭一郎(小梅)は適当に答えて西野さんと店内に入っていった。
「しかし、西野さんもどういうつもりなんだ?」
 小梅(恭一郎)は首をかしげた。

(すごい、めっちゃくちゃゴージャス!)
 恭一郎(小梅)は店内の高級感に目を見張った。しかもメニューは
イタリア語、読めない。どうしていいかわからずしどろもどろしてい
たら、西野さんがいろいろフォローしてくれた。
「西野さん、気が利くなあ」
 恭一郎(小梅)はホッとした。
「そんな……」
 西野さんはちょっぴり照れている感じだ。

「で、相談ていうのは?」
 恭一郎(小梅)は乾杯しながら切り出した。
「大したことじゃないんですけど……」
 西野さんはためらいがちにしゃべりだした。
「うまっ、ヤバッ!」
高級料理に恭一郎(小梅)はびっくりした。西野さんは目を丸くして
いる。恭一郎(小梅)は慌てて行儀よくした。
「恋愛のことでしょ」
 恭一郎(小梅)は身を乗り出すようにして口を挟んだ。
「あっ、何でもわかっちゃんうんですね」
 西野さんはびっくりして目を丸くした。
「こう見えても結構、勘いいんだよね」
 恭一郎(小梅)は得意げに答えた。

「なんで俺に恋愛相談なんか?」
 外で携帯に耳を当てながら小梅(恭一郎)は腑に落ちない。

 西野さん最近6歳年上の人とお見合いして相手がとても素敵な人だ
ったと話した。
「うまっ、超ウマイ!」
(大人はこんなおいしいもの食べてるわけ?ずるくない?)
 恭一郎(小梅)は料理に夢中になって話をそっちのけにしてしまっ
た。気がつくと西野さんがじっと見ていた。
「い、いいんじゃない?」
 恭一郎(小梅)は慌てて答えた。
「あっ、でも結局断っちゃいました!」
 西野さんはあっけらかんと言った。
(結論でてんじゃん、相談になってないっつーの!)
 恭一郎(小梅)は内心でツッコミを入れた。
「男と女って難しいですよね」
 西野さんはそう言って考え込んでしまった。
「ま、まあ結婚と恋愛は別ものだけど、ときめきをなくしたら女はお
しまいですからな」
 なんだかよくわからないから、恭一郎(小梅)は笑って誤魔化した。

「実は、もう一つ相談があるんですけど……」
 食事が一通り終わったころ、西野さんはそう言った。
 でも恭一郎(小梅)はちょうど運ばれてきた高級スイーツに目を奪
われてそれどころじゃない。気がつくとまたも西野さんにきょとんと
されてしまった。慌てて話を聞く。
 西野さんによると、ここのところ中嶋(八嶋智人)に食事や飲みに
誘われるのだという。
「悪い人じゃないんですけど……」
 西野さんは思わずため息をついた。
「ぶっちゃけ、迷惑なわけ?」
「はい……」
「迷惑ならはっきり言ったらいいかもね」
「でも、私が言ったら角が立つというか……できればリーダーから言
ってもらいたいんです」

「余計角が立つだろう」
 携帯を通して話を聞いていた小梅(恭一郎)はやれやれといった感
じだ。
「うん、いいよ。私から言っとくよ」
「おい!持ち帰れよ!」
 あっさり引き受けた恭一郎(小梅)に小梅(恭一郎)は驚いて叫ん
だ。でも恭一郎(小梅)には届かない。

「問題は理由だね。やっぱりちゃんと彼氏がいるって言った方がいい
かもね」
 恭一郎(小梅)はどんどん話をすすめていく。
「あたし、今はフリーなんです。気になる人はいるんですけど……」
「へえ、どんな人?」
「背が高くて、やさしくて、何でも相談できる人」
 西野さんはそう言って、恭一郎(小梅)を見つめている。
(この視線、もしかしてパパ?)
「それからこうして困っているときにお話ができて、お茶目で一緒に
いてすごく楽しい人!」
「なるほどね」
 恭一郎(小梅)はホッとした。パパはお茶目じゃないし、つまんな
い。
「リーダーは奥様とどこで出会ったんですか?どこが好きなの?」
 突然西野さんが話題を変えてきた。
「……ど、どこだろう」
(そういえばパパとママことぜんぜん知らないや……)
 恭一郎(小梅)は困った。そのとき店員が通った。
「お勘定」
 恭一郎(小梅)は店員の腕をつかんで呼び止めた。

「しまった、忘れてた。領収書もらってくれ!領収書」
 小梅(恭一郎)は慌てた。

「ねえ、どこが好きなの?」
 西野さんがまた聞いてきた。
「忘れちゃった……」
 恭一郎(小梅)は笑ってはぐらかした。
「もう、いいですよ別に」
 西野さんは少しむっとしたような気がした。
(いいって何が?別にってなんで?)
 恭一郎(小梅)は困った。そこへ店員がお勘定のシートを持ってき
た。
(2万6千円!高っ!まあいいかパパのお金だし)
「カードで」
 恭一郎(小梅)は落ち着き払ってみせた。
「領収書は?」
「いりません」

「……自腹か」
 小梅(恭一郎)はがっくりきてしまった。

「西野さんはどこに住んでるの?」
「浦安です」
「えっ?じゃあディズニーランドの近くじゃん!いいなぁ」
 恭一郎(小梅)は思わずはしゃいだ。
「リーダーったらこどもみたい!今度遊びに来ます?」
 西野さんは笑いながら恭一郎(小梅)の腕をとった。
「えっ?いいかも!1日目はランドで、夜は泊まらせてもらって、2日
目はシーに行くってどう?」
 恭一郎(小梅)は思わず我を忘れてしまった。
「でも、リーダーには奥様が……」
 西野さんの表情から笑みが消えている。
(しまった!あたしはパパだった)
「じょ、冗談、だよ」
 恭一郎(小梅)は笑ってみせた。
「ひどい……」
 西野さんは急に泣きそうな顔になった。
「ご、ごめん」
(なんで傷ついた顔してるの?えっ、もしかしてその気が?いやぁ、
ないない。だってパパだもん)
 恭一郎(小梅)は慌てて自分に言い聞かせた。
「じゃあ、ここで。お休み」
 そう言うと、恭一郎(小梅)は逃げるようにして西野さんと別れた。

(ちょっとまずかったような……。もしかしたら不倫てこんな感じで
はじまっていくのかな……)
「まっありえないけどね、パパだし!」
 恭一郎(小梅)は気を取り直した。
「相談事は持ち帰れって言っただろう!」
 小梅(恭一郎)がものすごい剣幕で駆け寄ってきた。
「だって頼られちゃったんだもん。それよりテスト勉強は?」
「そんなことより領収書は?」
 途中デュエル化粧品のシャンプーの試供品を受け取りながら恭一郎
(小梅)と小梅(恭一郎)は言い合いになった。そこへ中嶋から電話
がかかってきた。中嶋は酔っていて来てくれないと死んでやるとかわ
めいている。
「仕方ない。パパは先に帰ってて」
 恭一郎(小梅)は中嶋のところへ向かうことにした。
「ちゃんと相談事は持ち帰るんだぞ」
「わかってる、わかってる。アーッ、大人は疲れる!」
 恭一郎(小梅)は夜道を走り出した。

 新橋のガード下の屋台風の居酒屋に中嶋はいた。すでに相当酔って
いる。恭一郎(小梅)はあずきアイスを食べながら話を聞いた。
 中嶋は同期の出世頭梶野(柏原収史)に会社で小ばかにされたと愚
痴をこぼした。レインボードリームプロジェクトにいるということは
出世からはずれたことを意味していた。だけど、そんな自分らだって
やればできるってところを見せてやりたい!中嶋は熱っぽく語った。
(本当に悔しいんだな……)
 恭一郎(小梅)は中嶋が気の毒になってきた。

 中嶋の母親から電話がかかってきた。恭一郎(小梅)が尋ねると、
父親がガンの手術で術後の様子が思わしくないという。でも中嶋は火
曜日の御前会議が終わるまでは仕事に専念するつもりだという。

 恭一郎(小梅)は恭一郎の父親が死んだときのことを思い出した。
恭一郎は仕事で死に際に立ち会えなかったのだ。そのときは冷たいし、
ひどいと思ったけど、こうして中嶋さんの話を聞いているといろいろ
あったのかなぁと思えた。でも家族より仕事をとる気持ちは理解でき
ないけど。

 翌朝、恭一郎(小梅)がリビングに来ると、小梅(恭一郎)は新聞
を読んでいた。
「よーし、テストでいい点とったらお小遣い3千円アップだ」
 テスト勉強はどうなってんの!と思った恭一郎(小梅)はいきなり
そう言って小梅(恭一郎)を驚かせた。
(お小遣い上がったタイミングで元に戻れたらラッキー!)
「3千円ていくらなんでも」
 理恵子(麻生祐未)は驚きながら食べ物を運んできた。
「いいだろ、たまには」
 恭一郎(小梅)は涼しい顔をしている。
「あら、小梅、シャンプー変えた?」
 理恵子が尋ねた。
「うん、デュエルの試供品もらったの」
「へえ、いい香りね。今度買おうかな」
 恭一郎(小梅)は気になったので、においを嗅いでみた。

 恭一郎(小梅)が会社に来ると、中嶋と西野さんが楽しそうにしゃ
べっていた。
(何で愛想いいの?迷惑だって言ってなかったっけ?この人侮れない
かも……。女同士って結構わかっちゃうんだよね)
 恭一郎(小梅)は西野さんにどことなく警戒感を持った。

 一方、小梅(恭一郎)は自席で固まっていた。高校時代は成績優秀
と高をくくっていたら問題が難しすぎてさっぱりわからない。「どう
だった」と恭一郎(小梅)にメールで聞かれた恭一郎(小梅)は一言
「……白旗」と書き送った。

 中嶋が御前会議の資料を持ってきた。見るとティーン向けの商品な
のにモデルが全員20代だった。不思議に思って中嶋に尋ねるとお偉方
が好きそうな純なイメージの女の子を集めないと決裁がとれないから
だという。
(でも、お偉方よりも買う人のことを考えないといけないんじゃない
の?みんな責任取りたがらないんだ。大人はよくこどもにはわからな
いって言うけど、御前会議って言ったってこんなもん?ただ乗り切れ
ばいいの??)
 恭一郎(小梅)にはさっぱりわからない理屈だった。

 そこへ梶野がやってきて、レインボードリームの宣伝のために試供
品を出して欲しいと言ってきた。すると中嶋は後で持っていくと答え
た。周りのみんなは驚いた。試供品など用意してなかったからだ。中
嶋は同期の梶野にいいところを見せようと見栄をはってしまったらし
い。試供品用のボトルは?予算は?御前会議までに用意できるわけが
ない、チーム内は混乱してしまった。

 恭一郎(小梅)は考え込んでいた。
(たしかに試供品のシャンプーでママは買おうと思っていた)
 ふと西野さんの髪を止める飾りが目に入った。
「そうだ、髪を止めるゴムとか飾りにフレグランスをかけて試供品と
して配ったら?」
「それいいかも!」
 みんなの顔がパッと明るくなった。

 小梅(恭一郎)は憔悴しきっていた。もし赤点をとったら留年……。
そんなことになれば嫁に出すときに傷がついてしまう!
「しょうがないなあ、じゃあ小梅の家で一緒にやろっか」
 律子(森田彩華)と美佳(高山侑子)に励まされているところへ健
太(加藤成亮)が現れた。
「川原、テストが終わったらさ」
 健太は小梅(恭一郎)に声をかける。
「ごめん、留年かかってるから」
 小梅(恭一郎)は見向きもせずにさえぎった。健太はそれ以上何も
いえなくなってしまった。

 試供品を作るためにチームは大わらわだった。中嶋は父親の状態が
思わしくないという連絡を受けても行こうとしなかった。
(何で親が生きるか、死ぬかの時に普通にしてなきゃいけないの?そ
んなのおかしいよ!)
 恭一郎(小梅)はたまらなくなった。
「中嶋、行ってきなよ。このままもしお父さんに会えなかったら一生
後悔するよ」
「サラリーマンですから。仕方ないです」
「サラリーマンの代わりはいくらでもいるよ!だけど息子の代わりは
いない。家族より大切なものはないって。行って来い!これはリーダ
ーとしての命令だ。後は俺がなんとかする。お前の気持ちはみんなわ
かっているよ」
 みんなも頷いた。恭一郎(小梅)に背中を押されて中嶋は出かけて
いった。西野さんはとても嬉しそうに恭一郎(小梅)を見ていた。

 御前会議の準備で今日は徹夜で仕事だというのに、今日は電気工事
で19時以降停電になるというアナウンスが流れた。
「どうしよう」
「そうだ、リーダーの家、一軒家でしたよね?」
 突然西野さんが言った。
(なに?西野さん、うちにこようって言うの?)
 恭一郎(小梅)はにこにこしている西野さんが少し不気味に思えた。

 小梅(恭一郎)は必死になって勉強していた。なのに、律子と美佳
は新曲CDをかけてはしゃいでいる。
「うるさい!いいか、人間頑張るときに頑張っておかないとだな」
 小梅(恭一郎)は思わず怒鳴った。律子と美佳はなんか変という感
じの眼で見ている。
 そこへ理恵子が夕食を運んできて、恭一郎(小梅)の会社の人たち
が来たと言ってきた。
「会社の人が?」
 小梅(恭一郎)はびっくりした。

 西野さんは理恵子のところに行って挨拶した。なんだかものすごく
気合いが入っている感じがして、恭一郎(小梅)は不安な気がした。

 小梅(恭一郎)は律子と美佳がお風呂に行っている間に小休止しよ
うとリビングにやって来た。会社の人たちが一生懸命仕事をしている
の見えると懐かしさがこみあげてくる。
「みんな、ご苦労さん!」
 思わず、我を忘れて声をかけてしまった。
「おい、テストはどうだった?」
 焦った恭一郎(小梅)は小梅(恭一郎)の手を引っ張って廊下へ出
た。

「撃沈?どういうことだ」
 恭一郎(小梅)は詰問した。
「すまん!」
「パパってバカなんじゃないの?」
「お、親に向かってバカとは何だ!」
 そんなところへ律子と美佳がお風呂から出てきた。
「あっ、ひさしぶり〜!」
 恭一郎(小梅は)は思わず両手を振って声をかけてしまった。
「……」
「飲み物は冷蔵庫にあるから」
 唖然とする律子と美佳を何とか行かせたところに健太からメールが
来た。近くの公園にいるので5分だけ会って欲しいという。
「試験中なのに、何考えているんだ!」
 小梅(恭一郎)は腹立たしく思いながら会いに行く。

「何の用ですか?」
 小梅(恭一郎)はぶっきらぼうに話しかけた。
「これ、去年の問題。よかったら使って」
 健太はそう言って用紙を渡してくれた。小梅(恭一郎)には思いが
けないことだった。これさえあれば乗り切れる!
「健太先輩、大好き!」
 小梅(恭一郎)は感激のあまり健太に抱きついた。
「何で抱き合ってんのよ!」
 離れて様子を窺っていた恭一郎(小梅)は愕然とした。
「ありがとう!」
 小梅は健太の背中に手を回し、ぽんぽんと軽く叩いた。
 健太は驚いて身動きできなかったが、自然と手が小梅(恭一郎)の
背中に回っていく。
(それは本当のあたしじゃなきゃイヤッ!)
「だめぇ〜!」
 恭一郎(小梅)はたまらず飛び出した。
 健太はびっくりして小梅(恭一郎)から離れた。
「お、大杉くんかい?」
 恭一郎(小梅)は握手の手を差し出したが、健太は後ずさりしてし
まう。
「あの、失礼します」
「大杉くん、送っていこうか?」
 恭一郎(小梅)は声をかけたが、健太はそれを断って走り去ってし
まった。
「いやぁ、あいつはいい奴だ。見直したよ。よかったな小梅」
 小梅(恭一郎)は嬉しそうに恭一郎(小梅)を見た。が、恭一郎
(小梅)は悲しそうな目をしている。
「あたしの初めてのぎゅっ!パパにとられちゃった……」
 恭一郎(小梅)はうずくまり手で顔を覆って泣き出してしまった。
(あたしの青春、どんどん過ぎちゃってる……早くもどりたいよ)
「すまん、小梅」
 小梅(恭一郎)は恭一郎(小梅)の肩に手をあてて慰めようとした。
「元に戻れなかったらどうなっちゃうんだろ……」
 恭一郎(小梅)は手を払いのけて走り去った。

 そのころ、西野さんは寝室に入り込んでピアスを恭一郎のスーツの
ポケットに入れた。そこへ洗濯物を持って理恵子が入ってきた。西野
さんは笑顔で理恵子を探していたのだと言い、昨日恭一郎と銀座のレ
ストランで食事をしたけれど、夕食を用意して待っていたかもしれな
いので謝りたかったと一部始終を話した。理恵子は平然さを保ってい
たが、西野さんが出て行った後、洗濯物を床に叩きつけた。

 恭一郎(小梅)が帰ってくると、西野さんが出迎えにきた。西野さ
んはどういうわけか躓いて恭一郎(小梅)の胸に倒れこんでしまった。
それを見た理恵子は恭一郎(小梅)を寝室へ呼んだ。

「昨日はおしゃれなイタリアンでお食事だったそうね」
 理恵子は笑顔だった。
「えっ、何で知ってんの?」
「知ってちゃまずいわけ?」
 急に真顔になった。
「ぜんぜん」
 恭一郎(小梅)は否定した。
「で、いくら使ったの?」
 また笑顔になった。
「2万6千円。でも大丈夫。カード使えたから」
「信じられない!こっちは朝から特売のじゃがいも買いにいってたの
に」
(これは、謝るべきだよね?)
「ごめん、なさい」
 恭一郎(小梅)はベッドの上で土下座した。
「何が?何か謝らなきゃならないことでもあるんですか?」
(ママ、恐い……)
 下手に謝って、逆に理恵子に不信感を持たれてしまった!

 小梅(恭一郎)も恭一郎(小梅)も徹夜になった。御前会議の資料
は何とかそろい、みんなはそのまま会社に直行した。恭一郎(小梅)
も会社へ行く準備にかかり、小梅(恭一郎)が1人みんなを見送って
いると、タクシーが来て中嶋が出てきた。

「みんなは?」
 中嶋は開口一番そう聞いてきた。
「なんとかなったみたいです。あの、お父さんは?」
「うん、なんとか持ちこたえたよ。なんか久々に話し合えたんだ。い
や、はじめてかな、あんなふうに腹を割って話したの」
 中嶋はしんみりした口調でそう言った。
「お父さんが言ったんだ。家族より大事なものはないって」
(そんなこと言っていたのか?)
 小梅(恭一郎)は驚いた。
「小梅ちゃんのパパはかっこいいよ」
(そうか、俺はかっこいいのか!)
 小梅(恭一郎)は思わず嬉しくなった。
「最近のリーダーはかっこいい!」
「最近の?」
(何だ、小梅のことか……)
 小梅(恭一郎)は少しがっかりした。でもチームのみんなが徹夜し
てまで頑張るなんて思いもよらなくてそれが嬉しかった。

 恭一郎(小梅)と小梅(恭一郎)はそろって出かける。
「ねえ、御前会議を乗り切るために頑張るってなんかおかしくない?
目指すゴールはそこじゃないよね?」
 恭一郎(小梅)は尋ねた。
「小梅は何もしなくても無事終わるから。とにかくお互い今日を乗り
切ろう」
「小梅、NANO3ってなに?」
 前を歩いている律子が聞いてきた。
「硝酸ナトリウム」
 恭一郎(小梅)が答えた。
「小梅のパパってすごいねぇ。尊敬!」
 律子と美佳はそう言って恭一郎(小梅)を誉めた。
「パパってすごい、か」
 小梅(恭一郎)はちょっと複雑な思いがした。


寸  評  恭一郎(小梅)の女子高生らしさはよく出ていますが、小梅(恭
一郎)の方は少し弱いかもしれません。恭一郎(小梅)の方は女子高
生特有の言葉遣い、しぐさ、そしてケータイメールなどいろいろある
のですが、小梅(恭一郎)のほうの中年オヤジぶりのほうはそういう
アイテムがないからでしょうか。オヤジギャクが入ってくればそれら
しくなるかもしれません。ただ恭一郎は気が弱くてアクの強いタイプ
ではないので不自然かもしれませんが。
 ストーリー的には単なるコメディではなくて、根底にアイロニーが
含まれていますね。御前会議という不可解なシステムとか。恭一郎
(小梅)の目を通した大人社会の奇怪さはよく伝わってきます。一方
で小梅(恭一郎)の方は初回こそ恋愛についての踏み込みがありまし
たが、それ以外はない状況です。それが少し主題のバランスを崩して
いるかもしれません。

執 筆 者 けん()

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2. 編集後記
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 夏のドラマ一巡したというところでしょうか。フジの土曜深夜枠、だましあ
いの次はイジメですね。社会問題になっていますし、良くも悪くも面白いです。
ただ「中学生日記」を見てますと、最近のイジメははっきりした理由がないの
が特徴のようです。ただ、あるいはなんとなくうざいとかそんな曖昧な理由で
あるがために止ま ることなく延々とイジメが続けられるというのが実態らし
いです。殺人事件もかつてのように貧しさゆえといったような明確な動機がな
いまま、衝動的に殺すというケースが増えていますし、個々人にその原因が求
められるようなものではなく、社会構造的な問題が潜んでいるような気がしま
す。(けん)

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発行元:ドラマ研究会
e-mail:info@j-drama.tv/
url   :http://www.j-drama.tv/
ID  :MM3E195F16414CD 
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